今季いまひとつ波に乗りきれない早大。この不調を打開すべく、全日本学生ダートトライアル選手権大会(全日ダート)に挑んだ。しかし1走目で第2走者・白井智也(基理3=東京・早稲田)が転倒のアクシデント。車両の故障によりここでリタイアを強いられ、またしても厳しい結果となってしまった。
前大会と同じ井田翔太主将(政経4=埼玉・開智)、白井、五月女敦(基理4=東京・早大学院)の3人が出場した男子団体の部。第1走者の井田主将は「アクセルが踏めた」と語る走りで、1分39秒45の好タイム。チームに勢いをつけたかに見えた。しかしその後、女子個人の部の岩脇彩香(先理3=東京・創価)を挟んで第2走者・白井の走行で、思いもよらぬ結末を迎える。アクセルを強く踏み、うまくスタートを切った直後、カーブでブレーキの操作を誤りクラッシュ。事故後の車両の状態から、走行の継続が不可能となり、ここで早大は脱落。意外な形での幕切れとなった。
転倒してしまった白井の車両
女子個人の部に出場した岩脇も、今大会は苦杯をなめる結果に終わった。1走目で車両のコンディションに気を配りながらも1分47秒761の好走行。午前の時点で暫定1位とした。しかし、午後の2走目はリタイアとなるため他校の結果を待つ形となり、結局4位と表彰台を逃すこととなった。全日本学生ジムカーナ選手権大会でこの雪辱を誓う。
女子個人の部4位となった岩脇
勝負の分水嶺(れい)となった白井のクラッシュ。しかし、いままでアクセルを強く踏めずにいた白井だけに、岡島昭英監督(昭61理工卒=東京・早大学院)も「進歩は見られた」と、一定の成果もあったようだ。またしても優勝を逃し、いまだ無冠の今季の早大・男子団体の部。次の全日ジムカーナまで、時間は3週間と長くはないが、課題を克服し、このトンネルを抜け出せるか。
(記事 伊藤広真 写真 中澤佑輔)
結果
※早大のみ
▽男子団体の部
リタイア 早大
▽男子個人の部
30位 井田翔太(政経4=埼玉・開智)1分39秒45
リタイア 白井智也(基理3=東京・早稲田)
リタイア 五月女敦(基理4=東京・早大学院)
▽女子個人の部
4位 岩脇彩香(先理3=東京・創価)1分47秒761
コメント
岡島昭英監督(昭61理工卒=東京・早大学院)
――厳しい結果となった今大会を振り返ってみて
きのうの練習や先週の練習がすごくいい感じだったので、きょうは行けるな、たたかいになるな、というふうに思っていました。最近中大がずっと勝っていますが、十分渡り合えるなと期待はしていました。それなのでやはりこういう結果になってしまったのは悔しいですね。白井については、クラッシュする直前までアクセルはすごく良く踏めていたので、そういう意味では、彼はあまりアクセルを踏めなかったタイプなので進歩はしているとは思います。けれどまあああいう結果になってしまったということでまだ技量が不足しているということなんでしょうね。
――午前中に故障してしまった車両は、午後に直して再び使えないのですか
エンジンなどが壊れたときはそれが直せれば午後使っても大丈夫なんですが、今回のように窓が割れてしまうとそれができないんですよ。だから残念ですけどしょうがないですね。
――次からは関西でのたたかいになりますが
次の全日ジムカーナは鈴鹿サーキットでやるということで、アウェイといえばアウェイですが毎年あそこを使っているので。選手たちはあの会場で走った経験はありませんが過去の先輩たちが撮った動画などが結構あったりするので、そういったものを使って事前のシミュレーションをきっちりやって、また鈴鹿サーキットでの事前練習もありますのでそれを生かしてまた勝ちを狙っていきたいです。
――最後に全日ジムカーナへの意気込みをお願いします
事故の後集合させてハッパをかけたんですが、やっぱりもう前を向いて練習して、技術を高め、精神力を強くしなくては勝てるものではないですよね。とにかく事故が起こったのは残念だけれども前を向いて頑張れということを選手には言いましたし、私もそういう意識でやっていきたいと思います。
井田翔太主将(政経4=埼玉・開智)
――厳しい結果になりましたが
厳しいですけどシーズン初めに比べたら全員が実力的には上がっていたので。自分は1本目だったんですけど、タイムは別に良くはなかったですけど全関東戦に比べたら1本目である程度のタイムは残せたので2本目に向けて、というところでああいうことがあって残念ではあるんですけど次の全日ジムカーナ(全日本学生ジムカーナ選手権大会)では頑張ろうかなと。白井(智也、基理3=東京・早稲田)も単純に気合入りすぎて強く(アクセルを)踏んじゃったのかなと思うので、精神力の問題ですね。
――自身の走りの良かったところと悪かったところは
全関東戦の1本目で全然アクセルが踏めなかったんですけど今回ある程度それを克服できたのが良かったかなと。悪かったところはラインが慣熟歩行で考えた通りに走れていなかったことなので事前に下見したとおりに走れるようにしたいです。
――全日ジムカーナへはどのように練習していきたいですか
勝たなきゃいけないので時間を無駄にしないように、とにかく車に乗る時間を増やして車に慣れていきたいと思います。
白井智也(基理3=東京・早稲田)
――いきなりのアクシンデントでしたが転倒したときの状況を教えてください
単なる言い訳になってしまうんですけど、車が思ったより早くてブレーキのタイミングを早めたつもりだったんですけど焦ってロックしちゃってパニックになりました。そのあとはあまり覚えてないんですけど、そのまま内に巻き込んだまま行っちゃったのかなと思います。
――こういうことはよくあることなのですか
僕は初めてですけど、試合はみんな攻めるのでありますね。でもやっぱり自分がやるとショックです。
――倒れている時はどういう心境でしたか
放心状態というか、やっちゃったとかそういうのより生きた心地がしないという感じでした。
――2本目を走れなかったことについてはどう感じていますか
2本目が走れなくなってしまったことは僕の責任なのでそれはしょうがないと思っているのですが、最後4年生の五月女さん(敦、基理4=東京・早大学院)を1本も走らせてあげられなかったというのがやっぱりすごい心残りです。井田さんも2本目を走れなかったし、団体も順位がつかずに終わってしまったので2本目走れなかったというよりはそっちが大きいですね。
――3週間後にはジムカーナがありますがそこではどういう走りをしたいですか
もちろん個人1位を取る気で死ぬ気で練習していきます。もう終わってしまったダートは後ろを振り返ってもしょうがないので来年につなげて、次に向けて頑張りたいです。
岩脇彩香(先理3=東京・創価)
――今日の走りはいかがでしたか
とりあえず(車を)壊す可能性のある走りはやめようと思っていて1本目は壊さない走りをしました。結果がこうなってしまった今となってはもうちょっと何かできたのではないかと思うんですけど、部全体のことを考えると先頭で車を壊す可能性のある走りは良くないのでこれでよかったと思っています。これで結果がどうなったとしても悔いはないです。
――1分47秒というタイムについてはどう感じていますか
タイムはもうちょっとなんとかできたと思うんですけど自分の力量不足としか言いようがないです。
――もし2本目を走れていたらどのような走りをしたかったですか
立ち上がりの時にもうちょっと早くアクセルを踏むことを意識したと思います。
――3週間後の全日ジムカーナに向けて抱負をお願いします
全日ジムカーナはそれまでまだ日数があるので車をもうやりつくしたっていう状態まで仕上げて、自分自身の運転技術を上げるためにも毎回の練習会を無駄にしないように練習していきたいと思います。