今季最後のスピード種目の大会となる全日本学生ジムカーナ選手権大会。舞台を西日本に移して行われたこの大会に、早大は今季初タイトルを狙い臨んだ。この日は次々に天気が変わり、雨の影響からスピンや脱輪が相次ぐ劣悪なコンディション。それでも午前の1走目で暫定6位とすると、午後の2走目で全員がタイムを上げ、3位入賞。優勝には届かなかったものの、全国の舞台で力を示した。
最悪の結果に終わった全日本学生ダートトライアル選手権大会(全日ダート)から、再び前を向いて練習を重ねてきた3週間。タイトル獲得へ、その成果を見せたい早大・男子団体の部は井田翔太主将(政経4=埼玉・開智)、白井智也(基理3=東京・早稲田)、五月女敦(基理4=東京・早大学院)という盤石の3人で挑んだ。しかし午前の1走目で思うような走りができない。第1走者・井田主将がスピンなどもありいいタイムを残せず終わると、続く白井も2つのペナルティを取られてしまう。その後第3走者・五月女の、個人の部で暫定2位となる走りで何とか持ち直し、暫定6位という団体順位で午前を終えた。
チームの期待に応えた五月女
迎えた午後の2走目、このままでは終われないという思いの選手たちが本領を発揮した。まず流れを引き寄せたい第1走者の井田主将が、午前の課題を克服した好走行を見せ1走目から約18秒タイムを上げる。続いて全日ダートの悔しさに燃える白井も、「狙ったラインをしっかりと走れた」と、大きなミスもなく20秒以上タイムを縮め、勢いを増す。そして回ってきたバトン。最後を走るエース・五月女は完璧なコーナリングで他を圧倒。「ベストを尽くせた」という走りは、一時は個人の部・1位に躍り出る好タイムをたたき出した。午前から大幅にタイムを改善した早大は、全国で3位という結果で大会を終え、力を見せつけた。
女子個人の部に出場した岩脇彩香(先理3=東京・創価)は、午前の1走目で珍しく精彩を欠き、暫定6位となる。そして午後の2走目。降りしきる雨に苦しみながらも力強い走りで1分33秒126という好タイム。暫定1位に踊り出た。しかしこのまま優勝を勝ち取るかに思えた最後の最後に落とし穴があった。終了間際に立命大の選手にその記録を破られ準優勝。「絶対に勝ちたい」と意気込んでいた岩脇にとっては無念の結果となってしまった。
女子個人の部2位となった岩脇
男女ともにいい成績を収めたかに見えた今大会であったが、試合後のチームは決して明るい雰囲気ではなかった。名門・早大自動車部として、常に『優勝』という高い目標を掲げる選手たちにとっては、今回の結果にすらも喜びより悔しさの方が大きかったのだろう。残す全国大会は全日本学生自動車運転競技選手権大会のみ。3カ月の練習にすべてを注ぎ、そして最後の舞台、笑顔で優勝を飾ることができるか。
(記事 伊藤広真、写真 扇山友彰)
結果
※早大のみ
▽男子団体の部
3位 早大 4分23秒786
▽男子個人の部
2位 五月女敦(基理4=東京・早大学院)1分23秒330
27位 井田翔太(政経4=埼玉・開智)1分29秒960
29位 白井智也(基理3=東京・早稲田)1分30秒496
▽女子個人の部
2位 岩脇彩香(先理3=東京・創価)1分33秒126
コメント
井田翔太主将(政経4=埼玉・開智)
――今大会を振り返ってみて
悔しいですけれど、これが最善なのかなって感じですね。
――ベストは尽くせたということですか
んー、何とも言えない感じです。
――1走目については
1走目はスピンをしてしまって全然だめだったので2走目でどうにかしようと思いました。
――午後の2走目は、天気の変化や1走目の反省があったと思いますがどのようなことを考えて臨みましたか
1走目の反省がやっぱりブレーキの踏み方だったので、それを改善するようにしてその辺のミスは修正できました。けれど、そのせいで守りに入ってしまった部分もあって、1走目でうまく行っていた小回りの部分がグダグダになってしまって、それが本当に悔しいですね。せっかく1走目のミスを克服できたのに、1走目でできていたことができなかったというのが。そしてそれで結果的にタイムが伸び悩んでしまったのが。
――1分29秒960というタイムについては
まあ悔しいですけどこれが実力だと認めざるを得ないのかなと思います。
――全日フィギュア(全日本学生自動車運転競技選手権大会)に向けてどのような練習をしていきたいですか
もっとOBの力を借りたりして、もっと色々な練習をしていきたいです。自分たちだけではなくて先輩方から話を聞いたりして。
白井智也(基理3=東京・早稲田)
――今大会を振り返って
1本目は雨の中だったんですけど、OBの方からはウェットの中では上出来だったと言われましたがやっぱりスピンをしてパイロンタッチをしてということを考えると、1本目からそういうところをもっと詰めていければもっと2本目がよくなったんじゃないかなと思います。やっぱり優勝を狙っていたので3位は悔しいですね。
――前回の大会でミスをしてしまい悔しい思いがあったと思いますが、それから今大会へどういう気持ちで臨みましたか
あれから落ち込むのもあったのですが、この大会があるのは分かっていたので。それからOBの方に指導を受けながら練習を重ねて、努力はしてきたつもりなので意気込みっていうのはすごくありましたね。
――1分30秒496というタイムについて、どこが良かったと思いますか
慣熟歩行でOBさんに教えてもらったところを一応通れたかなというところですね。そこはコースジムカーナを初めて走ったのですが収穫になったと思います。
――悪かったところは
やっぱりパイロンセクションでサイドターンが全然できなかったところですね。それに関しても自分の経験不足だったりとか乾いてきた路面に対してほかの選手との技術の差が出ちゃったかなと思います。
――今大会は理想の車両で臨めましたか
しっかりと部室の段階からセッティングを見てきましたし、オイルの管理とかもしてきたつもりで、そういう面で試合に影響が出るようなことはなかったのでその点はらいねんにも生かしていければいいと思います。
――3年生としてはらいねんに向けてどのようにスピード種目の練習をしていきたいですか
僕はらいねんも選手としてやっていくつもりですし、、残り2人の男子選手も出さなくてはいけないと考えると、下を育てなくてはいけない、もしくは同期を育てなくてはいけなくなります。そうなると全体のチーム力を考えると僕が指導する必要がありますし、指導するためにも自分の技術が必要になってくるのでフィギュアもありますけど冬の間そういうところを詰めて、らいねんはチームで勝てるようにやっていきたいと思います。
――全日フィギュアへの意気込みをお願いします
小型乗用の部には2人が出るということで、枠が減ってそこの競争もしていかなくてはいけませんし、しっかり練習をしていきたいです。
五月女敦(基理4=東京・早大学院)
――今大会を振り返っての感想をお願いします
予選の前の練習走行で車の不具合が出て止まってしまい、エンジンの調子も悪くて不安でした。予選もあまりエンジンの調子が良くなく走れない部分もあり、詰め切ることはできませんでしたが、個人9位でまあまあかなあと思いました。きょうに関しては1本目に少しミスがあり2、3秒ほどロスもありましたが2本目は結構ベストを尽くせて最後の最後までは順位は1番だったのでまあまあかなと思いました。しかし、車のトラブルがなく、エンジンの調子がもっと良ければさらにいいタイムも出たかなとも思います。少し悔いが残るけれど4年の最後だし、しっかりは走れたので良かったと思います。
――3番目というチーム全体のラストを飾る走順についてはどう思いますか
3番手は基本的にどこの学校もエースが走るので責任も重大だしみんなの期待に応えなければいけないというプレッシャーもあるけれど、そのプレッシャーや期待を味方に付けてうまく走れたと思います。来年の3番手を務めるであろう3年の白井にはメンタル面でも強くなってほしいと思います。
――最近はダートの大会が続いていて、あまり間が空かないまま今回のジムカーナの大会となりましたがどのように切り替えましたか
自分の中でもダートとジムカーナは違うものと考えているので切り替えは割と簡単にできました。しかし、今年はダートに力を入れてしまったため、ジムカーナの練習は多少少なくなってしまったという悔いはあります。
――最後のスピード種目となりましたが
あっという間でした。本当に4年間あっという間で、もっと頑張れた部分もあるけれど仕方ないというか、楽しかったし、いい4年間を過ごさせてもらえたかなと思います。
岩脇彩香(先理3=東京・創価)
――今大会の感想をお願いします
全日ダートで負けてしまったので、今回は絶対に勝ちたいと思っていたため、普段はする事のない苦手な動画研究もたくさんして真剣に取り組みました。
――悪天候でしたが、天候について何かありますか
言い訳になってしまいますが、自分が走ったときは土砂降りの雨だったにも関わらず、1位の選手の時はドライ路面だったため少し悔しかったです。しかし、もっと自分が雨路面でも勝てるくらい上手に走れてたら、ドライ路面に関係なく勝てたので、言い訳をしたい気持ちはありますが、実際は自分の実力不足だと思います。
――2位という結果に関しては率直にどう思っていますか
めちゃめちゃ悔しいです。
--次の大会に向けて
次のスピード競技は1年後になってしまうのですけれど、自分の個人車で練習をたくさんしたいです。今年度の大会としては、フィギュアが冬にあるので全日3連敗だけは避けれるように優勝したいと思います。
――現在3年生の岩脇さんが今後後輩に期待したいことは何ですか
女子の部は団体で出場できてないので、出ましょう!