雨が降りしきる悪天候の中、静岡・富士スピードウェイで全関東学生ジムカーナ選手権(全関東ジムカーナ)が行われた。昨年の全関東ジムカーナはコロナウイルス蔓延の影響で中止となってしまったため、富士スピードウェイでの公式戦は2年ぶり。感染防止の観点で今回は無観客で行われることになり、また部員の人数も制限されて行われた。早大自動車部からは4選手が出場。終始ウエットな路面で厳しい状況の中、戦いの火蓋が切って落とされると、男子の部に出場した最上佳樹(社3=東京・攻玉社)、女子の部に出場した大沼すず音(国教4=東京・日比谷)がそれぞれ個人優勝。さらに男女ともに団体優勝を果たし、完全優勝の快挙を達成した。
今大会は、各選手が午前と午後で1回ずつタイムを計測し、そのベストタイムで競われるレースとなっている。悪天候の中迎えた1本目。第1走者は昨年の早慶ジムカーナで個人優勝を収めた最上が務めた。雨でのジムカーナを経験したことがなく、「1本目ではびっくりするぐらい曲がらなかった」と振り返るものの、57秒192という午前全体ベストのタイムで首位に立った。続いて、女子の部の4年大沼が出走。勝たないといけないというプレッシャーを感じながらも、しっかりとまとめ上げ1分5秒203と好タイム。女子の部暫定1位となり、4年生の意地を見せる。第3走者は男子の部に戻り、藤岡慶(人4=東京・早実)がハンドルを握った。目立つミスもなく、「最後のセクションも綺麗に走ることができた」と藤岡。全体4位のタイムを記録した。次に出走したのは神林崇亮(人3=埼玉・早大本庄)。緊張により緩い走りになってしまってしまったのか、あまりアクセルを踏むことができない。しかし終始安定した走行を見せ、8位の順位でゴールをした。午前の走行が全て終了し、早大が団体首位で折り返した。
コースへ向かう黄色に輝くホンダ・インテグラタイプR
前半で走った経験をもとに車輌のセッティングを行い、始まった2本目。1本目と同様第1走者の最上は「ミスのない無難な走り」を心掛け出走。結果、総合ベストタイムである自身のタイムをさらに更新し後続を突き放す。続く大沼も1本目のタイムアップし、女子の部で首位獲得を確実なものに。しかし、その後早大は団体順位で芝浦工大に抜かされ2位になってしまう。重い緊張感のある雰囲気の中、藤岡の2本目が始まる。「団体で抜かれてもあまり緊張しなかった」と藤岡。細かいセクションにおいて1本目よりもより綺麗にまとめ上げ、57秒663と全体3位の好タイムを記録。この記録により、早大男子団体は首位に再び返り咲いた。続く4走目の神林も、1本目の反省を生かし落ち着いて冷静に走り切ることができ、0秒7のタイムアップ。「いい走りではなかったけど団体の優勝につながる貢献ができて、一安心思っている」と語った。そしてこの結果、男子の部において最上が、女子の部において大沼がそれぞれ個人優勝。さらに早大は男女ともに団体優勝を飾ることとなり、完封勝利の快挙を達成した。
雨というイレギュラーな状態の中でも、大きなミスもなく安定的な素晴らしい走りを見せた早大。個々の強さももちろんだが、チームとしての強さを十分に示すことができた。今回4選手とも2本目でタイムアップをしており、この悪天候の環境にいち早く対応できたのも完全優勝できた1つの要因であろう。次の試合は約1ヶ月後にある全関東学生ダートトライアル選手権(全関東ダート)。今大会優勝を果たした最上にとっては、関東の総合杯獲得のためには大事な試合となる。『常勝早稲田』を掲げた早大自動車部の躍動は止まらない。
(記事 風間元樹 写真 部提供)
※掲載が遅くなり、申し訳ございません
団体優勝を果たした早大選手たち
結果
▽男子団体の部
優勝 早大 2分54秒605
▽男子個人の部
優勝 最上 56秒742(2回目)
3位 藤岡 57秒663(2回目)
12位 神林 1分0秒200(2回目)
▽女子個人の部
優勝 大沼 1分3秒508(2回目)
コメント
藤岡慶(人4=東京・早実)
――1本目から生憎の雨でしたが、どういったことを考えて臨みましたか
ウエットでの走行はしたことがなかったので、その環境にどうアジャストできるかなということを考えていました。どのぐらいのスピードを出せてターンをしていけるかの見極めがとても難しかったので、様子を見ながら走行しました。最後のセクションは割と上手くまとめて走ることができたのですが、最上より遅かった点は悔しい点ですね。
――2本目を振り返っていかがでしたか
自分の走行の1個前あたりで首位だった団体順位が芝浦工大に抜かれたので、これはまずいと思い気合を入れていきました。少し大きく行きすぎた感触はあったのですが、細かいセクションでより綺麗に走れたところもあってタイムアップすることができ、いい状態で神林につなげられたのかなと思います。
――今後の意気込みをお願いします
自分は次の大会が全日本学生ジムカーナ選手権なので、まずは鈴鹿サーキットのコースに言ってコースに慣れることが重要だと思っています。また、今回の経験でウエットだとどんな感じだったかがわかったのは大きい収穫と思います。次の大会でもいい結果を出せるように頑張ります。
大沼すず音(国教4=東京・日比谷)
――1本目はどういった気持ちで臨みましたか
練習量の観点やマシンの観点からも、私は女子の部の中では優勝しなきゃいけない立場だったのでそこのプレッシャーはありました。ただ、みんなが頑張っている分私も頑張らないとと奮起することができ、また楽しもうとして走れたかなと思います。技術面としては、いつもやりがちなアクセルを踏みすぎて突っ込みすぎてしまうミスをなくし、成長した姿を見せようと1本目を臨みました。
――2本目には何を意識して臨みましたか
女子の部の優勝は決まってはいたものの、他大学の選手が速いタイムで帰ってきていたので、2走目ではタイムアップを目標に挑みました。ただ考えていたことは1本目と一緒で、一個のミスが命取りになることからミスをしない走りを心がけ、稼げるところは稼ぐ走りをしました。
――今回学んだ点を今後のどう生かしていきたいですか
今までは2本目は気合が入りすぎてタイムダウンをしてしまうことが自分の課題だったのですが、今回は2本目でタイムアップできたというのは成長した点だと思います。次からの大会では、成長できたメンタル面を生かしてどんどんタイムを上げていけるように、冷静に走っていきたいと思います。
最上佳樹(社3=東京・攻玉社)
――1本目を振り返っていかがでしたか
今回使った部車はあまり乗れていなかった上に雨での練習をしたことがなかったので苦戦をしました。ウエットの路面に車の状態があっておらず、びっくりするぐらい曲がらなかったので、ミスをせずに安定的に走ることを心がけました。全体の一番最初に走ったのですが、時間が経つにつれてどんどん路面状況が悪化していったので、結果的に路面状況が他の選手よりも比較的良い状態の中で走ることができたというのもあり、午前中トップタイムを出せてよかったです。
――2本目を振り返っていかがでしたか
午後は1本目の反省を生かして車のセッティングをし直して、午前と似た状況下だったので絶対にタイム上がるなと思っていました。なので、攻めに行きすぎてパイロンタッチといったペナルティやミスをしないように無難な走行をしました。2速にシフトアップをするところをしないで走るといった感じで。タイムを少し更新できれば個人団体も安泰かなと思っていたので、無事タイムアップできて一安心でした。
――今後のダートラや全日ジムカーナにどう生かしていきたいですか
来月に行われる全関東ダートにおいて、自分は全関東フィギュアと全関東ジムカーナで2連勝できているので、関東の総合杯は三種目の点数的に十分狙える位置だと思っています。ただダートは去年活動がなくて、周りと比べて不利な状況ではあるので、全関東フィギュアと全関東ジムカーナで稼いだ分、次の大会で足を引っ張らないように、落ち着いて車を潰さないのを第一に帰って来れればいいかなと思います。
神林崇亮(人3=埼玉・早大本庄)
――自身公式戦のジムカーナは初めてだったと思います。1本目を振り返っていかがでしたか
意外と落ち着いていけるかなと思っていたのですが、運転席に座ってスタートの手前までいった時は緊張してしまい頭の中が真っ白でした。また走行中は車をスピンさせたりタイヤをロックさせないようにと色々心配しすぎたせいで、結局アクセルをあまり踏まない緩い走りになってしまいました。
――2本目には何を意識して臨みましたか
自分の2本目のタイミングの時、団体順位において早大と芝浦工大の差が0秒167程の僅差で、さらにこの後芝浦工大のエースが控えているという状態だったので、1本目とは違う緊張がありましたね。しっかりと落ち着いて1本目よくなかった点やOBに教えてもらった点とかを考えながら、あまりテンパりすぎず、だからといって気合い入れすぎないことを意識して臨みました。良い走りではなかったですが、団体優勝に繋がる貢献ができて一安心です。
――今後の意気込みをお願いします
まずは実力やメンタル面を鍛えることが重要だと思っています。次の大会である全関東ダートではあまり緊張せずに、車も壊さないでちゃんとまともな走りをしていきたいです。