先月に行われた全日本ターゲット選手権(全日ターゲット)で予選を通過した男女各32名が出場できるナショナルチーム選考会(選考会)。全日ターゲットにおいて3位の成績を残した園田稚女子主将(スポ3=エリートアカデミー)が7度目の出場を果たした。昨年の選考会では1日目の予選で姿を消した園田主将だったが、今年は1日目の予選、2日目の本選ともに1位で終え、見事ナショナルチームの選考に通過した。この選考会を通して、2024年ナショナルチームの男女各6枠中の残り3枠が決定する。1日目、2日目ともに、70m先の的を狙って72射を射つ70mラウンドを2回行い、その合計点を競う。1日目で上位20人に入った選手が2日目の本選に進み、2日目で上位3人に入ると、晴れてナショナルチームの一員となる。
1日目に行射する園田主将
11月とは思えない、強い日差しが照りつける中、始まった1日目。「最初はすごく緊張した」と語った園田主将であったが、初めの36射を335点と、この日最も高い点数で終え、1位につける。その後も高い集中力で他の追随を許さない。2位と20点以上離した1324点で1日目を終え、圧倒的な力を見せた。園田主将は1位で本選に駒を進めた。
園田主将(左)とコーチとしてスコーパーを務めた野村翼コーチ(平31スポ卒=愛知・岡崎北)
そして運命の2日目。1日目の点数はリセットされ、この日の点数で全てが決まる緊張感の中、前半は混戦となる。半分の72射を終えた時点で、上位5人が6点差に収まる熾烈な争いとなった。園田主将は5位で午後に行われる最後の72射に臨んだ。「あまり焦らず余裕を持つことができていた」という言葉通り、後半初めの36射で339点という高得点を叩き出す。このエンドで一気に1位へと躍り出た園田主将は、最後まで持ち前の安定感のある射を見せる。その結果1位を維持し、選考会を通過した。
「早稲田大学に入って練習している自分を見ていて、いつか失敗する日が来ると思っていた。それが昨年の選考会だった。」まさかの予選落ちとなった昨年の選考会を園田主将はこう振り返った。それから自分を見つめ直し、様々な改善点を見つけ、練習を重ねてきた。その成果は今年の快挙尽くしの1年に現れている。そして、1年越しにナショナルチームに選出された。
アーチェリー日本女子は、来年行われるパリオリンピックの女子団体出場枠がまだ獲得できていない。それに伴って、今年のアジア選手権の日本代表メンバーからメンバー2名が再選考される。最終選考会はナショナルチームの選手が出場するので、園田主将にもパリオリンピック出場のチャンスが巡ってきた。これからは早稲田大学アーチェリー部の女子主将としてのみならず、日本代表としても活躍が期待されることであろう。ひょっとしたらそれが重圧に変わることもあるかもしれない。しかしこれまでも、園田主将はその重圧に打ち勝ち、試合のたびに新たな強さを見せてくれた。今後も園田主将、そして園田主将たちが率いる早稲田大学アーチェリー部から目が離せない。
(記事・写真 梶谷里桜)
結果
▽ナショナル女子
◇1日目 ※ボーダー1224点・上位20名が2日目に進出
園田 1位 1324点
◇2日目
園田 1位 1320点
コメント
※インタビューは11月7日に行いました。
園田稚女子主将(スポ3=エリートアカデミー)
――悔しい思いをした昨年のナショナルチーム選考会から今年はどのような気持ちで臨みましたか
もともと早稲田大学にはいって練習をしている自分を見てみていつか失敗する日が来るなと思っていました。それが去年の選考会だったと思います。しかし、この悔しい結果があったからこそ改めて自分を見つめ直し練習内容やフォームの改善ができました。前の私より自己理解が深まりましたし、ミスをしても慌てることなく落ち着いてプレーができる選手に成長したと思います。その自信があったので今回の選考会は余裕を持って強気で挑みました。
――緊張はしましたか
最初はすごく緊張しました。ミスしたらどうしようと不安になる場面もありましたが、自分のいいポイントを思い出して気持ちを切り替えることが出来て、いつも通りの自分に戻れました。
――初日を1位で通過しました。初日を振り返っていかがですか
初日は思い切ってアーチェリーをすることができたと思います。いつも風が苦手で、固くなってしまう時もありましたが、「思い切って射った方がミスが少ない」と自分に言い聞かせながら射てたと思います。
――2日目は5位から順位を上げての1位でした。どんな気持ちで順位を上げていったのですか
普段からあまり順位を見ないので今5位だったんだ!と知ったのですが、午前の競技が終わったあともあまり焦らず余裕感をもてていました。私の感覚が思ったより良くなくて、あまり10点に入らなかったので点数も高い点数ではなかったです。しかし、午後はみんな緊張するし、私の練習通りのプレーが出来ればいい位置まで行けると思っていたので自信を持って午後は競技に臨みました。
――ナショナルチームの選考に1位で通過しました。この結果をうけていかがですか
率直に、すごく嬉しいです。まだ、日本の女子はパリオリンピックの枠が取れてなくオリンピック出場メンバーの再選考があるかもしれません。そんな中のナショナルチーム選考会だったのでこの試合で2日間とも1位をとれたのは私の自信になりました。まだまだ、足りない部分があるのでこの冬で更にレベルアップをしていつでも試合ができるよう、備えていきたいと思います。
――これからはナショナルチームの一員として、さらに早稲田大学のアーチェリー女子主将としてアーチェリーをしていくことになります。今後への意気込みをお願いします
日本代表として、早稲田大学の女子主将としても恥ずかしくない態度、競技をしていきます。とくに、早稲田大学の雰囲気を盛り上げていける女子主将となり今月末にある早慶戦も勝ちを貰います。そして、来年の6月にある王座(全日本学生王座決定戦)の試合でも優勝に導いていけるよう頑張りたいと思います。