18メートル先に3つ並んだ的を順番に射抜くインドアアーチェリー。その全国大会である全日本学生室内個人選手権(インカレインドア)が東京・駒沢オリンピック公園屋内球技場にて開催された。早大からは髙見愛佳女子主将(スポ3=エリートアカデミー)を始めとして5名が出場。園田稚(スポ2=エリートアカデミー)が3位、廣木円華(人3=茨城・水戸二)が6位入賞を果たし、今年初の全国大会で幸先の良いスタートを切った。
1日目の予選ラウンドでは1人60射を放ち、その合計点の上位32人が決勝ラウンドへ駒を進める。園田は全ての射で9点以上をマークする驚異の行射で磐石の2位通過。前半35位で折り返した廣木は「流れに乗れた」という後半30射で自己記録を更新する290点を記録。順位を11位まで押し上げ、安定した行射を披露し、決勝ラウンド進出圏内を守り続けた髙見女子主将と共に予選ラウンドを突破した。一方、塚本美冴(スポ2=東京女学館)は激しい決勝ラウンド進出争いを繰り広げるが、一歩及ばず。点数にして3点、順位はわずか1位の差であった。また、渋谷樹里(スポ1=エリートアカデミー)は後半こそ決勝ラウンド進出者と遜色ない点数を叩き出すも、流れをつかみきれなかった前半の点数の伸び悩みが響き、予選ラウンド突破はならなかった。
予選ラウンドで狙いを定める髙見女子主将
2日目は決勝ラウンドが行われた。決勝ラウンドは1対1で得点を競い合うトーナメント方式で行われる。1セット3射を放ち、得点が多い方に2ポイント、同点の場合は1ポイントが加算され、6ポイント先取で勝利となる。廣木は初戦を危なげなく勝利する。藤田寿里(日体大)と対戦した2回戦では3セット連続で同点となり、シュートオフに突入。藤田と同じ9点を射抜くも、中心からの距離の差で制し、ベスト8入りを決めた。勝てば園田との対戦となった準々決勝ではナショナルチームに所属する名手・野田紗月(近大)と対戦。ここまでの全セットで29点以上をマークしてきた野田に対し、廣木も必死に食らいつき、第1セットを引き分け、ポイントを奪取する。しかし、「絶対に黄色から外さないんだなっていうのをすごいまざまざと感じました」と中心を射抜き続ける野田に徐々に離され、1-7で敗戦。園田との早大対決はお預けとなったが、「私もこれからもっともっと伸びる余地があるなと思って頑張ろうって思いました」と廣木は前を向いた。
決勝ラウンドで行射する廣木
髙見女子主将と園田は1回戦でまさかのマッチアップ。第1セットは高得点の接戦となったが髙見女子主将に軍配が上がる。しかし、その後は次々に10点を射抜いた園田が3セットを連取し、逆転勝利を収めた。同門対決を制した園田はその後2戦連続でストレート勝ち。準決勝は廣木を下した野田と顔合わせとなった。3射全てを10点に入れ、園田は第1セットを先制。その後も9点以上を射抜き続ける。しかし、それを上回る行射を見せた野田から第2セット以降勝ち越すことはできず。3-7で敗れ、上原瑠果(同大)との3位決定戦に回った。先週行われた全日本室内個人選手権(全日インドア)に続く上原との対戦となった3位決定戦で園田は3セットすべての射を10点に入れる完璧な行射を披露。決勝ラウンド初戦で敗れた全日インドアの雪辱を果たし、銅メダルを獲得した。
決勝ラウンド1回戦で互いの点数を確認する髙見女子主将(左)と園田
園田は昨年の全日インドア以来の個人でのメダル獲得となり、廣木は自身初となる全国大会での入賞となった。さらに、競技経験は大学からである塚本も決勝ラウンドまであと一歩のところまで迫り、今大会は早大女子にとって実りの多い大会となったと言えよう。今回のインカレインドアをもって今季のインドアの公式戦は終了し、いよいよ集大成である全日本学生王座決定戦(王座)に向けたアウトドアシーズンが始まる。2023年の好スタートを切った早大女子は悲願の王座制覇へ一直線に走り続ける。
表彰式後、メダルと表彰状を掲げる園田(左)と廣木
(記事 星野有哉 写真 加藤志保、齋藤汰朗)
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結果
▽リカーブ女子
◇予選ラウンド ※上位32名が決勝ラウンドへ進出
園田 2位 590点
廣木 11位 560点
髙見 31位 540点
塚本 33位 536点
渋谷 52位 518点
◇決勝ラウンド
1回戦
〇園田6-2髙見●
〇廣木6-0鈴木(日体大)
2回戦
〇園田6-0芦田(慶大)
〇廣木6(9+ SO 9)5藤田(日体大)
準々決勝
〇園田6-0桝岡(近大)
●廣木1-7野田(近大)
準決勝
●園田3-7野田(近大)
3位決定戦
〇園田6-0上原(同大)
◇最終結果
園田 3位
廣木 6位
髙見 17位
コメント
廣木円華(人3=茨城・水戸二)
――全国大会で初の入賞とのことですが今のお気持ちはいかがですか
すごく嬉しいです。高校生の時から1年の目標みたいものを書いていて、ずっと個人で入賞するっていう目標を掲げていました。最近ちょっと(入賞)できないのではないかと弱気な気持ちになる時もあったのですが、今年こうやって大学3年生で入賞することができて、すごい嬉しいです。
――35位で予選ラウンドの前半を終えましたが、振り返っていかがですか
点数が270点で、いつもの練習と比べてもあんまり良くありませんでした。このままだったら、明日のトーナメント(決勝ラウンド)進めないと思って、とても危機感がありました。後半は絶対(点数を)上げようと思って、前半は折り返しました。
――追い上げを見せた後半を振り返っていかがですか
とにかく順位を上げなきゃというのと、絶対に決勝トーナメントに行きたいという思いでした。最初調子よく始まって、そのまま流れに乗ってと言いますか、10点多く積み上げることができました。結果的に自己ベストを出すことができて、 11位という順位で決勝トーナメントにも進むことができたので、本当に気持ちが強く出た後半だったかなと思います。
――11位という順位と560点という点数についてはどのように捉えていますか
560点っていうのも試合でのベストだったので、今季最後のインドアの試合でそれを出せたことはすごく嬉しいです。夏の70メートルのインカレ(全日本学生個人ターゲット選手権)の方では、30位ぐらいで、ギリギリで(予選を)通過した苦い思いがありました。今回はそれよりも順位が高い11位という順位で通過することができてすごい嬉しいです。
――良い感触で終えた1日目を受け、2日目はどのように臨みましたか
昨日は午後の試合で、今日は朝からの試合っていうことで、調整であったり体の具合であったりが違うかなと思って、試射でしっかり体を動かして、大きく射とうっていうことを意識していました。昨日と射ち方で気をつけることは共通して、頭を動かさないで(弓を)大きく引くっていうことで、落ち着いて射つことができたかなと思います。
――接戦となった2回戦の全5エンドを振り返って
相手と同じ点数になることが3回ぐらいあって、どっちも1点ずつしか積み重ならなくて、ずっと同点だったので、緊張していました 。
――シュートオフを振り返って
公式戦でシュートオフするのが初めてですし、しかもインドアっていうことだったので、とりあえず大きく射とうっていう気持ちで射ちました。
――決勝ラウンドで2勝を挙げたことについては どのように考えていますか
32人が予選を通るので、2回勝てばベスト8っていうのはずっと頭にありました。賞状が欲しいとずっと思っていて、全国で入賞するんだという強い気持ちをあの試合では全体通してずっと持って試合できていました。それを達成できて、本当に嬉しいです。
――準々決勝を振り返って
相手の野田選手がナショナルチームに所属しているすごい実力がある選手なので、自分は挑戦者としてポイント1点でも多く取ろうっていう気持ちで挑みました。29、29と自分が点を取ったのに、相手は29、30とそれ以上に点を取っていて、絶対に黄色から外さないんだなっていうのをすごいまざまざと感じました。私もこれからもっともっと伸びる余地があるなと思って頑張ろうって思いました。
――今回は一度弓を引いてから引き戻すことが多かったように見えましたが
私は元々結構引き戻しが多い方なのですが、インドアはあまり大きく射てないことが多くて、昨日からずっと引き持しが多くなりました。逆に言うと、自分でちょっと長いなと思ったら、引き戻すというのをちゃんと判断できたので、 無理やり射つ射が少なかったのはよかったかなと思います。
――アウトドアシーズンへの意気込みをお願いします
この試合でその18メートルのインドアは終わるので、6月の王座に向けて70メートルをしっかり射って、最後に王座制覇できるように、残りの期間一生懸命練習したいと思います。
園田稚(スポ2=エリートアカデミー)
――試合を終えての心境を教えてください
惜しい部分もいっぱいあったのですが、すごいやりきった感がある試合だなと思います。
――全日インドアからの連戦となりましたが、その点についてはどうですか
全日インドアでは、 予選は普通にいいなと思ったんですけど、本選の方では悔しい結果が残る試合だったので、そこでの良くなかった点をここで生かして、いい結果に繋げられればいいなと思っていたので、その点に関しては連続の試合で良かったなと思います。
――予選は2位で通過となりましたが予選を振り返っていかがでしょうか
予選はすごい良かったんですけど、実際自己新をそこで打つことができて、最後に緊張した時でも10、10、10って決めて終えることができたので、ちょっと成長を感じられた試合だなと思いました。
――全日インドアよりも点数が上がったと思いますが、その要因は何だと思いますか
全日の時にミスしたところを考えて、具体的には弓と弦の位置をしっかりした方が10点に当たるなと思ったので、全日とインカレの間の練習でそこを気を付けて練習していたので、安心して試合に臨むことができて、そこが良かったのかなと思います。
――決勝ラウンドでは1回戦で高見女子主将との対戦となりましたが、いかがでしたか
すごい緊張しました。いつもいる先輩との試合なので、私も分かっているし、向こうも私のこと分かっているし、すごいやりづらい試合ではあったのですが、無事取ることができて自身に繋がりました。
――第1エンドを落としましたが、焦りなどはあったのでしょうか
ちょっと焦ったのもありましたし、10点にめっちゃ近い9点だったので、運ないなと思ったのですが、そこで焦らない練習というか、焦ったらだめだなと思ったので、いつもの自分を取り戻してやろうという気持ちで頑張りました。
――昨年の全日インドアでも中村美優氏(令4スポ卒)と対戦がありましたが、同じ早大の選手と対戦することについて特別な意識はありますか
早稲田からしたらどっちかは勝つじゃないですか。だけど、そこで自分が勝ちたいなという思いがすごくあるので、絶対に負けないという気持ちで臨んでいます。
――2回戦、3回戦はいずれも6―0で勝利しましたが、振り返っていかがですか
すごい緊張はあったのですが、自分がミスした時に偶然相手もミスしてくれて運があったなと思うのですが、大事な最後に10点決めるだったり、決めたい時に決めることができたのでいい状態だなと思いました。
――準決勝を振り返ってといかがですか
もったいないなというのが一番で、相手が外していたのに、自分ももっと外していたので、そこで冷静になって打つというのがまだ足りていないなという思いです。
――3位決定戦の相手が全日インドアで敗れた上原選手でしたが、振り返っていかがですか
3位か4位でメダルがかかっているので、負けたくないなという思いがあって、野田さんと戦った時も最後はすごい良かったので、そこの感覚を生かして打ちました。
――今回の3位という結果は、大会前の目標に対してどのくらいの達成度でしょうか
具体的に何位になりたいとは考えていなかったのですが、3位になれてうれしい反面、取れたところで取れなかった悔しい部分もあるので、来年や今年のシーズン初めからそこを生かして取れる時にポイントを取りたいなと思いました。
――最後にアウトドアシーズンに向けて意気込みを教えてください
昨年はあまりいい成績を残すことができなかったので、今シーズンはまた新たな方法で頑張っていって、早稲田を勝利に導いていけたらいいなと思います。