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先週の第1戦で首位・日体大と50点差の2位につけ、リーグ戦優勝への望みをつないだ早大。雨の中試合となったこの日だが、悪条件をものともせず、得点を重ね、前半を23点差で折り返す。後半も先週以上のペースで猛チャージするも、点差を縮めることはできず。この日は23点差の2位となり、2戦の得点の平均で争われるリーグ戦の総合順位でも日体大に次ぐ2位となるが、チーム得点は創部史上最高タイを記録。王座に向け、実りある一日となった。
先週は50点差をつけられ、日体大との差が浮き彫りとなった前半50メートル。園田稚(スポ2=エリートアカデミー)が1射あたりの得点が9点を越す安定した行射で個人2位につけると、個人6位に入った矢原七海女子主将(スポ4=福岡・柏陵)が前回より6点を上積みする。頼れる主将とエースがチームを引っ張り、日体大との点差を23点まで縮めることに成功した。
2戦ともチームをけん引した園田
追い上げを期す後半は絶好調の矢原、園田が全てのエンドで56点以上を記録する高水準の行射で引き続きチームをけん引する。それに触発されるように広木円華(人3=茨城・水戸二)、高見愛佳(スポ3=エリートアカデミー)の3年生コンビが340点超えの好得点をマーク。日体大を猛追するも、まさかの第1戦と同じく、後半のチーム得点は同点という結果に。早大は歴代最高タイの得点を挙げるも、僅かに日体大には及ばず、2位でリーグ戦を終えた。
試合の合間に笑顔を交わす矢原(左)と渋谷
また、リーグ戦の個人成績上位16名は5月に開催される全日本学生アーチェリー東日本大会(東日本大会)の出場資格を得ることができる。早大からは園田、矢原、広木、渋谷樹里(スポ1=エリートアカデミー)の歴代最高タイのチーム記録を樹立した4人に加え、「本当にショックでした」と振り返る大不振から復調の兆しを見せた高見が東日本大会への進出を決めた。
今回、惜しくもリーグ戦優勝はならなかったものの、創部史上最高タイの高得点を記録した早大。特筆すべき点は4年の矢原、3年の広木、2年の園田、1年の渋谷と各学年1人ずつのバランスの良いメンバー構成である。矢原が今回の好記録の要因として掲げた「早稲田らしさ」は各学年の大きな経験を得た選手を中心に今後も脈々と受け継がれていくだろう。早大アーチェリー部の歴史に刻まれた今回の試合は黄金時代の幕開けとなるかもしれない。
(記事、写真 星野有哉)
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結果
▽女子1部
園田 677点
矢原 659点
広木 644点
渋谷 635点
高見 631点
廣瀬心咲(人2=東京・雙葉) 572点
田中伶奈(人3=東京・国際) 568点
塚本美冴(スポ2=東京女学館) 566点
2位 早大 3615点
コメント
矢原七海女子主将(スポ4=福岡・柏陵)
――今日立てた目標を振り返っていかがですか
チーム上位4人の合計得点の目標は先週と同じく2600点でした。チーム全員の合計得点の目標は先週4920点だったものを達成できたので、4940点に引き上げました。その中でチーム全員の合計得点は4952点とさらに上回ることができ、チーム上位4人の合計得点は2615点で、先週より34点アップ、歴代最高タイを記録することができました。
――その要因はなんですか
先週はリーグ戦が初めてで慣れていない選手もいて緊張があったと思います。今週は早稲田らしい雰囲気でリラックスした状態で試合をできたことが良かったのかなと思います。雨の中でしたが、選手それぞれが最大のパフォーマンスをできたことが良かったと思います。
――雨の話がありましたが、雨の影響はありましたか
個人的にはあまり影響はなかったです。私は雨の中だと番狂わせが起こりやすいと思っていて、マイナスイメージがないんです。そのことを試合前にチーム全体に伝えたのですが、それでチームとしても雨に対して後ろ向きにならず、試合に臨めたのかなと思います。
――先週よりも日体大との点差が大きく縮まりました
関東で1番になれなかったということはやはり悔しいです。しかし、選手みんなが頑張ってくれたおかげでこのような雨の中でも絶対王者の日体大と差を大きく縮めることができたことには満足しています。
――関東2位で王座出場となりました
王座出場というのは当たり前に達成しなければいけない目標だったので、達成できたことは素直に嬉しいです。今回負けたからといって、王座でもまた日体大に負けるわけにはいかないので、しっかり6月の王座に向けてまだまだ詰めることができる部分は詰めていきたいと思います。
――2年ぶりとなる男女同時の王座出場となりました
本当に嬉しいです。私たちの代は「一人一役、全員主役」というスローガンを掲げてきました。そのスローガンの通り、応援も含めてチーム一丸となって、男女ともに雰囲気作りなど、全員が当事者意識を持って取り組むことができた結果だと思います。王座も早稲田らしい雰囲気でチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。
――矢原選手自身の行射を振り返っていかがですか
本当に今日は楽しかったです。そもそも私自身が試合が好きだということもあるのですが、チームメイトが楽しんでくれて、前向きな声掛けをしてくれたので、自分自身もリラックスした状態で試合に臨めました。あっという間に試合が終わって、気づいたらいい点数だったという感じです。これくらいの点数が出るのは最近ではなくて、それを試合で出せたということには満足しています。欲を言えばあと1点欲しかったです(笑)。あと1点あればチーム得点も歴代最高タイではなく、歴代最高でしたし、自分自身の得点も660点になってキリが良かったので(笑)。
――今後への意気込みをお願いします。
61代になってからコロナ禍で実戦経験を積むことができなかったのですが、公式戦で徐々に成績が出てきているということは今までやってきたことが間違ってなかったと思っています。このまま東日本、王座に向けて61代らしい雰囲気で男女ともにしっかり準備をして、目標である王座制覇をできるように頑張っていきたいと思います。
高見愛佳(スポ3=エリートアカデミー)
――先週からどのような練習をされましたか
先週の試合が点数がすごく悪かったので、月曜日に押し手を安定させるような射ち方に変えました。50メートルを射って8点より低い点数が出ないくらい練習での感覚はとても良かったです。でも今日は全然噛み合わず、50メートルはあまり上手くいかなかったなという感じで、正直納得はいっていないです。ただ、射ち方としてはやりかたいことが6割くらいはできたと思います。
――雨の影響はありましたか。
雨の影響はあまり感じませんでした。元々雨や風は好きな方なので、むしろ楽しいくらいでした。
――今日を振り返っていかがでしたか
50メートルで本当にやりたいことができませんでした。もっとできるのに、なぜ押し手が残せないのだろうというミスが大きかったのことが反省点です。30メートルはだいぶ安定していて、いつも通りくらいの点数が出せたことはよかったと思います。
――30メートルで立て直せた要因はありますか
やはり後ろの応援の力が大きいです。応援してくれるチームメイトのためにもっと頑張らなきゃと思って頑張りました。
――先週失速してしまった30メートルで今回は点数を伸ばすことができました
先週の30メートルは本当にショックでした。あんな点数練習でも見たことありませんでしたし、30メートルで1エンド50点を割るなんてありえないと思っていたので、どうすればいいか分からないという感じでした。その点、今週はそれよりは下がらないだろうと思って射つことができました。気持ちも切り替わってよかったのかなと思います。
――チーム得点が創部史上最高タイを記録したことに関してはいかがでしたか
自分がチーム得点にカウントされる上位4人に入ることができなかったのはとても悔しいです。ただ、これからの未来を見据えた時にチーム全体の得点も上位4人それぞれの点数も上がってきているのは良いことだと思います。あと2ヶ月で主将を引き継ぐので、もっとチームを引っ張っていけるような点数と振る舞いで貢献できたらいいなと思います。
――現在の4年生と戦う最後のリーグ戦でした
特に主将(矢原七海女子主将)とは主将が競技を始めた時からの付き合いなので、感慨深いです。主将がチーム得点の創部史上最高タイを記録したことで涙を流されたのを見て、頑張ってきてよかったなと思いました。ただ、まだ王座が残っているので、より良い気持ちで引退してもらえるように頑張っていきたいと思います。
――今後への意気込みをお願いします。
1番にあるのは王座制覇です。過去2年間出させていただいたのですが、どちらもあと一歩のところで手に届きませんでした。先輩や卒業されたOB・OGの方のために王座制覇したいということが1番なので、それに向けて練習あるのみだと思っています。
広木円華(人3=茨城・水戸二)
――今日の調子はいかがですか
今日の調子は良くも悪くもないという感じですが、自分の力を出せたかなという感じです。
――後半は自身の公式戦新記録をマークし、順位も追い上げることができたと思うのですが、その要因はどのようなところですか
チームの勝利というのももちろんありました。また、先週よりも点数をあげたいと気持ちもあったので、後半ちょっとギアを上げた結果、公式戦新記録を出すことができました。
――今日は雨でしたが、なにか影響がありましたか
先週よりも風がなかったので、そこは打ちやすかったです。雨でもそんなに矢が下にいくことがなかったですし、いつも通り射てば真ん中に入ったので、雨の影響はあまりなかったかなと思います。
――今回のリーグ戦では安定した成績を残すことができたと思います。ご自身で振り返ってみていかがですか
去年よりも点数を一段階あげることができましたし、チームにも貢献できるようになってきたと思います。今日歴代最高記録タイの記録を取れたのですが、それはやはり自分自身も春休みの練習の成果が出たと思いますし、成長を感じられた2戦だったと思います。
――今後の試合への意気込みをお願いします
東日本も王座も70メートルなので、70メートルをしっかり打ち込んで、王座のメンバーに入れるように頑張りたいと思います。