王座への挑戦
早大アーチェリー部の最大の目標である全日本学生王座決定戦(王座)。中村美優主将(スポ4=北海道・旭川北)は1年生から4年間王座に出場し続けた。「王座を目指しての練習はキラキラしていた、楽しい時間だった」と語る女子主将が王座制覇へ挑み続けた4年間を振り返る。
狙いを定める中村
アーチェリーを始めたのは高校生の時。入学した高校にたまたまあったアーチェリー部がかっこよかったことがきっかけだ。その後、早大アーチェリー部の雰囲気に惹かれ入学を決める。すると、入学して間もなく行われた関東学生リーグ戦(リーグ戦)のメンバーに選ばれる。「初めての距離でよく分からなかったが、8人での試合を楽しむことができた」と、自身の点数には満足できなかったものの、史上初のリーグ戦優勝に貢献した。そして、6月の王座メンバーにも選ばれる。団体戦が好きな中村にとって初めての王座は、特別なものを感じた大会に。「雰囲気に飲まれてしまった」と、ベストパフォーマンスを発揮できずにチームも2回戦で敗退してしまった。
2年生の冬になると自分の思うように射てずに点数が出ない、ターゲットパニック(野球で言うイップスのようなもの)に苦しむ。競技へのモチベーションも下がり、楽しくないと感じることも。難しい期間が続いたが、ちょうどコロナウイルスにより大学の射場が使えない期間が重なったことを有効活用し、射たないトレーニングに力を入れた。帰省時には地元の指導者にアドバイスをもらいリフレッシュし、調子を取り戻していく。
早大で迎える3年目。王座は例年6月に開かれるが、20年度はコロナウイルスの影響で代変わり後の9月に開催されることに。中村にとっては主将となってすぐの王座となった。「チームをベストパフォーマンスに持っていくのが大変だった」と振り返る3度目の挑戦は日体大、近大と東西の強豪を倒すも決勝で同志社大に敗れ惜しくも準優勝という結果に。創部以来初めての準優勝だったが、「自分のミスで外して勝ちきれなかった」と悔しさの残る準優勝になった。
その後は、全日本室内選手権で準優勝するなど、安定感を見せつけラストシーズンへ突入する。主将として迎える2回目の王座は、選考から緊張していた。いつもはあまり緊張を見せない中村だが、最後の王座だという気持ちが強かったと言う。4年連続のメンバーに選ばれると主将として早稲田らしい雰囲気を作り、強い気持ちを持って最後の王座に挑んだ。結果は4位。王座制覇の夢は果たすことができなかった。「王座でしか泣いてないくらい」と、中村にとって王座はそれほど特別なものであった。
主将としてチームを引っ張った
世代交代を終え、2月の全日本室内選手権が早稲田のユニフォームを着て戦う最後の舞台に。大学最終戦の相手はこれからのチームを引っ張る園田稚(スポ1=エリートアカデミー)。中村は「最後に戦えたのが稚で良かった」と振り返り、後輩たちに王座制覇を託した。4年間を振り返って「シンプルに楽しかった。練習している時は苦しかったけれど、終わってみたら楽しかった」と語る。前に立って引っ張る自信はない、みんなの助けを借りながら王座を目指した女子主将の4年間が終わりを迎えた。今後はアーチェリーをどのくらいできるか分からないが、「競技者として関われれば、後輩に残せるものもある」と、これからも早大アーチェリー部に財産を残してくれるだろう。
(記事 写真 森山裕介)