強い風が吹きつける埼玉。その風は早大に吹いていた。新体制として初の試合である関東学生個人選手権に、早大女子からは8人が出場。中村美優主将(スポ3=北海道・旭川北)が見事優勝を飾った。団体としても、全日本学生王座決定戦(王座)選考のAブロックを余裕の1位で通過。強豪・日体大もおさえて関東王者の座を射止め、久々の公式戦で個々の強さが光る大会になった。
女子が多く出場した18日は強い横風が右から左へ常に吹き付け、選手たちを苦しめた。対応が難しい中でもうまくはまったのが中村だ。「いつも右にミスしやすいので、風で流れずうまくいったのかな」と前半6回を全て50点以上の安定した点数で折り返すと、後半もその勢いを落とさない。目標としていた620点を上回る633点で締めくくり、優勝を決めた。久々の試合を存分に楽しんだという矢原七海(スポ2=福岡・柏陵)は「久しぶりすぎて、風への対応を忘れていた」としながらも595点で4位、地元で調子を上げてきていた高橋優(社学2=岐阜・聖マリア女学院)も592点で5位に入る。点数は満足いくものではなかったが、成長過程でもしっかりと結果を残して実力の片鱗をうかがわせた。
また今大会にはルーキーの髙見愛佳(スポ1=東京・足立新田)も出場した。「(うつ)スピードを意識しすぎてきちんと風を読めずにミスすることが多かった」と、風に翻弄されながらも584点で10位。課題を見つけつつ収穫も得ることができた。
今大会で優勝した中村
この大会は個人戦と同時に、団体戦として王座の選考も兼ねている。各校4人のチームメンバーのうち上位3人の合計点により王座出場権が争われた。早大はAブロック2位の慶大を300点以上も引き離し、1812点で1位通過。Bブロック1位の日体大の点数も40点近く上回った。例年の関東学生リーグ戦による順位決定とは違うとはいえ、手にしたのは関東王者の栄冠。王座に向けて大きな自信となった。
関東王者となった王座選考メンバー(左から髙見、矢原、中村、横塚葵副将・文構3=埼玉・栄東)
部の活動が制限された時期の練習ではそれぞれの状況が大きく異なっていたため、これまでの試合の経験に差が出ていたのは否めない。その中でも今回は個々の強さが結果に表れた大会となった。団体としての王座進出は当然だが、点数にこだわった選手が少ない中でのこの結果は、前哨戦としては上々の出来といえるだろう。
もちろん、久しぶりの大会となり課題も多く見つかった。どの選手も風への対応に満足はしていない。しかしその風が攻略できたとき、王座制覇への道はおのずと開け、追い風へと変わるはずだ。
(記事 朝岡里奈、写真 部員提供)
結果
▽RC女子
1位 中村美優 633点
4位 矢原七海 595点
5位 高橋 優 592点
10位 髙見愛佳 584点
13位 高木陽菜 571点
26位 横塚 葵 519点
40位 澤枝紀華 477点
73位 粟田夏生 356点
▽Aブロック
1位 早稲田大学 1812点
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コメント
遠藤宏之監督(平4政経卒=東京・早大学院)
――まずは女子の王座選考を振り返っていかがですか
女子は実力的に通過は当然だったので不安はありませんでした。日体大を上回って1位になったことが1番のポイントだと思っています。アーチェリー競技は女子は関東の中では日体大と早稲田の二校が頭抜けた位置づけなのですが、その中でも日体大と早稲田の差は認めざるを得ないもので、日体大の方が格上のチームであると思っています。今回もチーム戦力としては本来は日体大さんが上だったと思います。コロナの影響で満足に練習できてない選手があちらにもいたみたいですし、(試合に)参加できていない選手もいると聞いています。そういう意味では決してベストメンバーではないと思いますが、それでも明確に40点、一人当たり10点以上というはっきりした差をつけて勝ったと言えるので、お互い万全でないとはいえ、価値のある1位通過と思っています。
――王座に向け、今回の試合から生かしてほしい部分や課題はありますか
ここから取り組んでほしいポイントというところでは、次の王座の試合というのは少ない矢数で勝負が決するので、実力や前評判とトーナメントの中での一発勝負の勢いやメンタルの準備や気持ちの強さがより強く問われます。有り体に言えば番狂わせがいくらでも起きるということですので、いいコンディションで本選まで上げてくることができたのでそのことを自分の中でやれる、という本人の確信というのを上げていってほしいと思います。
4人が王座の代表メンバーに選ばれますが、スコアを見ていただくと3、4番目が決して本人も満足していないだろうなという感じでシューティングラインに立っていると思います。早稲田もゼロから王座戦にむけて再度部内選考を行うので、4番手争いのところでチーム全体として気持ちもコンディションも上げていってほしいです。例年だと当たり前にインカレ予選で出場権を取りに行くのと、早稲田の中で上位4番手に入れば当然王座選手であり、同時にインカレ選手でもあるというチャンスの広さはありえません。そういった意味で今回のメンバーには感謝しなければいけないと思いますが、幅広くチームとしての台上げに結びつける雰囲気の中でやっていきたいと思います。