ついに高くそびえ立つ壁を打ち破った。関東学生リーグ戦(リーグ戦)優勝決定戦。これまで何年もの間早大の前に立ちはだかり、関東女王の名をほしいままにしてきた日体大相手に接戦を繰り広げた末に勝利し、女子アーチェリー部史上初のリーグ優勝。関東学生アーチェリー界に新たな女王が誕生し、見事歴史に名を刻んだ。
創部史上最高得点を更新するなど、かつてないほど優勝への機運が高まっていた早大と、関東最強の座を死守すべく目の色を変えて試合に臨んだ日体大の優勝決定戦は、予想通り白熱した試合展開になった。前半の第1エンドから第3エンド終了時点での点差はわずかに1。第4、第5エンドでは早大が7点のリードを奪ったものの、前半最終エンド終了時点でのスコアは1212—1214。日体大に2点のリードを許し前半を折り返すことになったが、文字通り互いに一歩も譲らない一進一退の攻防が繰り広げられた。
ルーキーながら早大の優勝に大きく貢献した中村美優(スポ1=北海道・旭川)
迎えた後半、膠着(こうちゃく)していた試合が動く。第1エンドで早大が2点のリードを奪い返すと、第2エンドでは12点差をつけ日体大を突き放しにかかる。舩見真奈女子主将(スポ4=山形・鶴岡南)の「後半からは自分のプレーができた」という言葉に代表されるように、選手たちの硬さが徐々に取れ、点差を広げていく。終盤には風が強まる場面もあったが、うろたえることなく対応し得点を重ね、2431—2401で試合終了。この瞬間、早大女子アーチェリー部史上初のリーグ優勝が決まった。
次の目標は当然王座制覇だ
「リーグ戦で日体大に勝てて本当に嬉しい」(舩見)、「歴史的瞬間にメンバーとして立ち会えたことを誇りに思う」(横塚葵、文構1=埼玉・栄東)と、歴史的快挙を成し遂げた選手たちは喜びを隠さない。長年早大の優勝を阻み続けてきた絶対王者・日体大に勝つことは、女子部にとって全日本学生王座決定戦(王座)制覇に並ぶもう一つの大きな目標であった。リーグ戦5試合で得た自信をさらに強固なものにする勝利に、遠藤監督は「間違いなく王座優勝は現実的な射程にある」と胸を張る。その言葉通り、王座制覇は達成困難な夢物語ではなくなった。関東の新たな女王に君臨した早大女子アーチェリー部。残りの1カ月でさらなる成長を追い求め、次に射抜くは日本一の称号だ。
(記事 森迫雄介、写真 石塚ひなの、石名遥)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
○早大2431-2401日体大
コメント
遠藤宏之監督(平4政経卒=東京・早大学院)
――女子部の関東学生リーグ戦(リーグ戦)優勝おめでとうございます。午後に行われた女子部の戦いぶりを振り返ってください
非常に安定していました。これまでのリーグ戦5試合と異なり、相手の方が実績は格上で、直近の点数はワセダの方が上回っていたので、十分に勝てるとは思いつつも、過去に日体大が優勝決定戦で負けたことがあったのか?という状況でした。少なくとも過去9年間ワセダは勝ったことがありませんでした。そうしてワセダに勝った日体大の女子部が全日本学生王座決定戦(王座)で幾度も勝利しているという、実績で言えば文句なしの学生界のチャンピオンチームです。ただ今回、リーグ戦を戦いながら我々の地力としても十分に勝機があるということを掛け声にやってきて、現にきょうは勝てはしましたが、全72射の折り返しの段階では2点差でビハインドでした。やはり相手も強いですし、うちもチャレンジャーとして硬くなっていたところもありました。リーグ戦とは違い、ワセダが負けるかもしれないというチームと戦うのは今季初だった中では、選手たちは非常に落ち着いていましたし、射っている時だけでなく射った後のインターバルの雰囲気も大事なのですが、応援の人たちと選手誰かしらがコミュニケーションを取っていました。選手が自分の中に閉じこもっている時にはコミュニケーションを取って心を整えさせ、次の行射に向かわせたという、チームプレーというのが安定してできていました。明るい雰囲気で楽しみながら、かつ集中してプレーするということを一貫してできていたように見え、非常に良い流れだったと思います。
――これで女子は関東王者として王座に挑むわけですが、期待することは
もちろん王座制覇です。女子は間違いなく優勝候補の一角だと思います。この後の1カ月間でもっとコンディションを上げることができるはずです。そういった意味でも女子はより現実的な射程で王座制覇を狙えると思います。
舩見真奈女子主将(スポ4=山形・鶴岡南)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
チーム全体としては最初の方は日体大さんが相手ということで結構緊張が見られていたのかなと思いますが、男子の試合が終わったあとに応援してくださったりとか、OBさんなど応援の方がたくさんいる中でどんどん落ち着いて打てていけるようになって、リラックスしてワセダらしく戦い抜くことができたのかなと思いました。
――個人的には
個人的にも自分自身に勝手にプレッシャーをかけてしまって最上級生として点数を出さなくてはという思いがはやってしまってミスが目立ったんですけど、同期や応援してくれるみんなの「大丈夫です」という声掛けで落ち着いて打てるようになって、後半はしっかり自分のプレーができたのかなと思います。
――2巡目の第5エンドあたりから風が強くなったと思いますがその辺はいかがでしたか
やはり風のタイミングを読まないといけないので、少し打つタイミングを待つことで時間がどんどんなくなっていって焦りとかも見られたんですけど、しっかり最後誰も打ち残すことなく打てたので、そこは非常によかったのかなと思います。
――ずっと勝てなかった日体大相手に勝ち、史上初のリーグ戦優勝を果たしました。率直にどう思われますか
本当に嬉しいです。本当に4年間目標として王座制覇とリーグ戦で日体大に絶対に勝つということを掲げてきたので、それが達成できたことは本当に嬉しいことだと思いますし、OBOGの方々からも本当にすごいね、よかったねと声を掛けていただいて、改めてすごいことなんだと実感できて、本当によかったなと思っています。
――来週は全日本学生東日本選手権がありますが、どのような気持ちで臨まれますか
個人戦ということで団体のときとは変わって雰囲気は静かな中での戦いになると思うんですが、きょうの個人での反省として焦りとか出てきたと思うので、そこを1週間でしっかり見直して、1週間後はベストをつくせるようにしたいなと思います。
――1カ月後の王座に向けて改めて意気込みをお願いします
部の最終目標として掲げている王座制覇ということなので、必ず達成したいなと思っているのと、まだまだ女子チームも男子チームも成長できると感じているので、1カ月というのは短い期間だとは思いますが、制覇できるチームに必ずなれると信じているので、目標に向かってチームみんなで頑張っていきたいなと思います。
曽野りさ子(人3=茨城・水戸第二)
―― 自身のプレーを振り返って
前日の点取りではあまり上手く出ていなかったので少し不安がありましたが、チャレンジャーだと思って全力で思い切ったプレーができたのかなと思います。
――二巡目の第五エンドから風が強くなりました
自分はポンドが弱いので結構風の影響を受けやすいんですけど、タイミングがいい時に早めにポンポン打ち、早く射線を抜けることが出来たのでよかったかなと思います。
――日体大に勝利し、創部史上初のリーグ優勝を達成しました
チームとして一番近くにあった目標であり、それをこの代で達成できたのは本当に嬉しいですし、一緒に頑張ってきてチームを引っ張ってきてくれた4年生に、恩返しというか華を持たせられたのが一番嬉しいです。
――リーグ戦全体を振り返って
全ての試合に参加できたことが自分的には本当に嬉しくて、成長を感じられました。点数の部分ではまだまだ劣っている部分がたくさんあるので、来年もっと活躍できるように頑張りたいです。
――1カ月後の王座に向けて意気込みをお願いします
全国で一番を決める大会なので、自分が選手になるんだという強い気持ちを持っていくことで、チーム全体が盛り上がって切磋琢磨することができると思います。自分たちはもっとできる、という気持ちで一生懸命練習していきたいと思います。
中村美優(スポ1=北海道・旭川)
―― きょうのプレーを振り返って
風がある状況の中で、うまくピンが的につききらなくて大きく外す射が出てしまったので、自分としては納得のいく点数とか形ではなかったなと思っています。
――日体大に勝利し、創部史上初のリーグ優勝となりました
本当に嬉しく思っています。いままではずっと2位だったので史上初というのは素晴らしいことだと思いますし、一人の力ではできないことだと思います。今は1年生なので、来年以降もわたしが4年生で引退するまで連覇していきたいと思っていますし、その後もこの流れを続けていってほしいなと思います。
――来週には全日本学生東日本選手権があります
宮城県ということで、いままで慣れてきた大学の試合ではないのかもしれませんが、全日本学生選手権のシードもかかっているので、上位を目指して頑張りたいなと思います。
――さらに1カ月後には王座が待っていますね
王座については高校の時まではなにも知らなくて。王座を目標にしているチームに入って初めてわたしも王座で勝ちたいと思うようになりました。メンバーは4人ということで厳しい戦いになると思いますが、絶対に自分も選手になって57代の先輩方がいるこの代で絶対優勝したいなと思います。
横塚葵(文構1=埼玉・栄東)
――きょうのプレーを振り返っていかがでしたか
非常に風の強い中だったんですけど、自分の意識するべきところはして打てた矢も多かったんですけど、失敗してしまう矢も多くて、そこで点数を落としてしまったのが残念だったかなと思います。
――2巡目の第5エンドから風が強くなったと思いますが影響はありましたか
5エンド目で風が吹いたことで自分はちょっと点数を落としてしまったんですけど、6エンド目で多少挽回できて、修正はできたかなと思います。その点はよかったかなと思います。
――今まで勝てていなかった日体大に勝利して、史上初のリーグ戦優勝となりましたが
単純に嬉しいですし、この歴史的瞬間にメンバーとして立ち会えたことを誇りに思いますし、このチームを作り上げてくれた4年生初めOBOGさん先輩方にとても感謝しています。
――リーグ戦を戦い抜いて、収穫と課題があれば教えてください
高校と違ってチーム一体となって頑張るというのが大学の主にリーグ戦での特徴だと思っていまして、そこで得られる絆というものは一生ものになるかなと思います。フォームに関しましても、しばらく50(メートル)30(メートル)は高校では打っていなくて、大学に入ってもちろん練習時間が確保し切れないこともあったので、その中でもきちんとポイントを抑えて打っていけば点数は出るということがわかったのがとても大きな収穫でした。
――1カ月後の王座に向けて意気込みをお願いします
まず自分はメンバーとして入ることを目標として頑張らなければならないので、70(メートル)をいっぱい打ち込んで、上級生の先輩たちに食らいついていけるように頑張りたいと思います。