収穫と課題を得たリーグ戦。ブロック全勝で優勝決定戦に臨む

女子アーチェリー

 1カ月に及んだ関東学生リーグ戦(リーグ戦)もいよいよブロック最終戦を迎えた。ここまで4戦全てで勝利を奪ってきた早大だったが、この日はなかなか思うように点数が伸びていかない。苦戦を強いられながらも舩見真奈(スポ3=山形・鶴岡南)が30メートルで自己新記録となる352点をたたき出すなどなんとか巻き返し、2496-2439で勝利。辛勝ではあったものの、ブロック優勝を果たし、2週間後の優勝決定戦へ駒を進めた。

 「30メートルが良い割には50メートルの点数が悪い」(倉坪絢女子リーダー、スポ4=岐阜・高山西)。リーグ戦を通じて課題であった出だしの悪さをこの試合でも露呈してしまう。さらにこの日の射場は小高い丘に位置し、風が吹いていた。「自分が感じている風と的前の風が違ったみたいで、矢が流されてしまうことが結構あった」(倉坪)と、思いの外得点を伸ばすことができない。同じく苦戦する明大にリードを奪うものの、その差はわずかに4点。緊迫した試合展開のまま、勝負の後半30メートルに突入する。

エンド後の円陣は笑顔に包まれる

 50メートルと比べて常に高得点を維持している30メートルでは、この日も持ち前の強さを発揮する。ここでひときわ輝きを放ったのが舩見。「落ち着いて自分のペースで射てた」と語ったように、舩見の放つ矢は何度も10点を射ち抜く。舩見の大車輪の活躍に他のメンバーも思わず笑みがこぼれ、女子部らしい明るい雰囲気に。徐々に点差を広げ、ブロック最終戦も無事白星を挙げた。これにより早大はAブロック全勝を果たし、Bブロック全勝の日体大との優勝決定戦に臨むこととなった。

舩見は30金のコールを連発した

 この日は勝利を手にしたものの全5戦中最も点数が低く、試合後には守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)から「きょうはみんなで反省会」という一言だけが掛けられた。リーグ戦を通して浮き彫りになった長距離の不安定さと風に対する弱さは、優勝決定戦、そして全日本学生王座決定戦(王座)に挑むにあたって絶対に克服しなければならないポイントだ。また優勝決定戦からは70メートル72射での戦いとなるため、さらに伸びた距離への対応も必要となってくる。まだまだ課題は残っているが、もちろん収穫も多く得た。「点数が落ちたとしても暗くなることがなくみんなで励まし合う雰囲気のあるチーム」(舩見)と言う通り、苦しい試合でも負けなかったことは自信につながるはずだ。次戦はこれまでより1週間、試合間の期間が長くなる。5戦で溜まった疲れを解消し、万全の状態で優勝決定戦に臨んでほしい。

(記事、写真 吉田優)

結果

▽女子
○早大2496-2439明大

コメント

倉坪絢女子リーダー(スポ4=岐阜・高山西)

――第4戦後には「自信を取り戻したい」とおっしゃっていました。この1週間どのような練習を積んできましたか

いつも試合になると力んでしまってそれによるミスが多かったので、この1週間はとにかく手先の力を抜くことに意識を置いて射ってきました。それによってきょうの試合はまあまあできたかなと思うんですが、(的の中心から)外す度に力が入ってしまっていたので、そういうところも含めて今後はいつでも力を抜いていけるようにしたいです。

――きょうは50メートルでは苦戦を強いられましたが、射っている感覚としてはいかがでしたか

自分で感じている風と的前の風が違ったみたいで、そんなに吹いていないのかなと思って射ったら矢が流されてしまうってことが結構ありました。そこの調整が難しかったんですけどもうちょっと攻めて射てばよかったかなというところはあります。

――その点では30メートルでは点数を挽回しましたが、風の感覚は修正できたということでしょうか

風とか環境に関して影響はなかったんですが、自分の中で少し押し手に頼りすぎるところがあったりしてそこがさっき言った力みにつながってくるんですけど、それで力んでしまってちょっとずつミスをしてしまったので、今後はそういうのを無くしていきたいなと思っています。

――きょうは全体の点数も少し落としてしまいましたが、どこを修正していきたいですか

この5戦通してずっとダメだったのは出始めの点数が悪いっていう点と、30メートルが良い割には50メートルが悪いっていう点です。30メートルで盛り返せるのでそこは自信にして良いと思うんですが。あとは外部の射場で風が強い所になった途端に自信がなくなってしまうのがチーム全体としてあるので、今後外部での練習も積極的に行って、試合でも点数が取れるという状況をつくっていきたいなと思っています。

――優勝決定戦からは70メートルの射になりますが、普段もこの距離での練習はしているのでしょうか

いまはリーグ戦に合わせてショートハーフしかやっていない子の方が多いので、この後は70メートルにシフトして2週間で合わせていくという感じです。

――これまでよりも試合間が1週間伸びますが、どのように調整していきたいですか

まず70メートルになったら50メートルより高さが出てしまって射ち方が変わるっていう女子は少なくないと思うので、その中でも(的に)当たる射ち方っていうのを見つけていってもらいたいなと思います。


舩見真奈(スポ3=山形・鶴岡南)

――リーグ戦全5戦お疲れ様でした。きょうは30メートルでは圧巻の射を見せましたが、ご自身の中ではどこが良かったですか

自分が今回の試合で気をつける部分をしっかりと考えて集中できたところです。

――どこを具体的に気をつけていましたか

押し手のグリップのところをしっかりと押し込むというのを一番意識していました。

――50メートルについてはいかがでしょうか

出だしがしっかりと射てなかったんですが、3戦目、4戦目と比べると落ち着いて自分のペースで射てたかなとは思います。

――きょうも拮抗(きっこう)した試合になりましたが、第4戦よりチームの雰囲気が良くなった印象でした

いまの代のチームは全体的に点数が落ちたとしても暗くなることがなくみんなで励まし合うっていう雰囲気のあるチームだと思うので、それがあったからこそきょうは明るくいけたのかなと思います。

――5戦を戦ってみて見つかった課題はありますか

自分の集中力が切れたりとか、意識するポイントを絞れなかったりとかでミスをしてしまうときがあるっていうのが今回分かりました。これから優勝決定戦、王座に向けてそこを重点的に直していければと思います。

――優勝決定戦からは距離が伸びますが、距離に応じて変えたいこと、また変えずに取り組みたいことなどはありますか

70メートルになると射つ感覚はやっぱり変わってしまうと思うので、練習の最初のうちは本数を稼いでなるべく早く慣れるようにしたいです。それでもグリップの押し手のポイントはしっかり意識し続けたいと思います。