『理想の王座』を我れ等の手に―。し烈な地方予選を勝ち抜いた全国の精鋭が集う、全日本学生王座決定戦(王座)。学生アーチェリー界最高峰の戦いに、悲願の優勝を目指す女子部が出場した。前日の予選を6位で通過し挑んだ決勝ラウンドでは、2回戦で明学大に快勝したものの準々決勝で強豪・長崎国際大に敗北。昨年に引き続きベスト8で散るという結果に終わった。学生女王の座は遠かったが、「確実に王座制覇には向かっていると思います」という福井瑞生女子リーダー(スポ4=埼玉・春日部共栄)の言葉からも分かるように、新たな出発に向け確かな手ごたえをつかんだ一戦でもあった。
予選6位という不本意な結果からのスタートとなった早大。倉坪絢(スポ3=岐阜・高山西)、狐塚佑姫(社2=岐阜・聖マリア女学院)、舩見真奈(スポ2=山形・鶴岡南)の3人に命運を託し、決勝ラウンドへ挑んだ。明学大との2回戦では、1セット目を引き分け緊迫した雰囲気となるも、2セット目で完全に払しょくする。流れに乗った3セット目も奪い結果は5-1の快勝。準々決勝へと駒を進めた。
試合に出場した3人
続く準々決勝では、5年連続で九州制覇を成し遂げている強豪・長崎国際大と対戦。2回戦と同様に1セット目を引き分け必死に食らいつく。しかし、2セット目以降着実に点を重ねる相手にじわじわと差を広げられ無念の敗北。ベスト8で王座の舞台から姿を消すこととなった。この結果に選手たちは悔しさをにじませたが、「実力はフルに発揮できていたと思う」と守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)が語ったように、決勝ラウンドでは若い選手の活躍が目立つなど、今後に期待が持てる内容だった。
部員は応援で選手を支えた
わずか4人という登録メンバーの中から、実際に出場できるのは3人のみという非常にハイレベルな今大会。「出られなかった人の分も全力を出し切りたい」(舩見)とチームの思いを背負って戦う選手たちを、部員全員が全力の応援で鼓舞し続けた。早大アーチェリー部が一丸となって戦い抜いたきょうの試合は、今大会をもって引退となる福井ら4年生からの最高の置き土産である。出場した3人をはじめとする下級生たちに、このチームを作り上げてきた4年生の思いはしっかりと受け継がれたはずだ。4年生からの最後のエールに背中を押され、早大は新たな挑戦へと踏み出した。
(記事、写真 久野映)
結果
2回戦
○早大158-143明学大
準々決勝
●早大153-162長崎国際大
コメント
守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)
――男女それぞれの戦いぶりをどうご覧になりましたか
女子については、きのうの予選の最後の方で順位を落としてしまったんですよね。それできょうは6位からのスタートになってしまったので、予選を4位以内で通過できていたら、また違った結果になったのかなと思います。ただ、女子の実力はフルに発揮できていたと思うので、この結果はしょうがないですし、切り替えてやっていきたいですね。男子の方は、決勝でも本当に堂々として落ち着いていて、すごく良い試合展開でした。何よりも選手が楽しそうにプレーしていて、応援の人たちも本気でやってくれて、チームとして一体感がありましたね。出場していた中で1番良いチームとして試合ができたのではないかなと思います。ただ、やっぱり残念だし悔しいので、徹底的に課題を潰して更に良いチームを作っていきたいです。
――チームの雰囲気の良さは、橋本主将ら幹部の力によるところが大きいのですか
55代は54代とは大きく違うんですよね。きょねんのチームは元気にみんなで盛り上がるという感じだったんですけど、ことしのチームは冷静で淡々としているというか、危機管理が得意な人たちが多かったです。それゆえに、4年生の誰か1人がチームを引っ張るというよりは、みんなで話し合って解決するかたちをとっていましたね。学年が上の人たちは実力が出しやすく、下の人たちも実力が上がりやすいという感じで、バランスのとれた良いチームだったなと思っています。
――次期主将の池田選手と、次期女子リーダーである倉坪選手に期待することは
毎年言っているんですけど、自分たちのやり方を尊重して、やりたいようにやって欲しいですね。それぞれ自分のリーダーシップというものがあるので、本当にのびのびと楽しくやって欲しいなと思います。
――監督として、今後どのような指導を行っていきたいですか
技術面についてはコーチに任せている部分があるので、どちらかというと誰もがちゃんとチームに貢献しているという意識を持てるような場や、それぞれに与えられた役割をしっかり認識できる雰囲気をつくっていきたいです。また、上を目指す選手が高いところにセルフイメージを持って、互いに切磋琢磨(せっさたくま)するようなチームを目指していきたいと思います。
福井瑞生女子リーダー(スポ4=埼玉・春日部共栄)
――今大会を総括してみていかがですか
きょねんに引き続き、女子部は準々決勝敗退という結果ではあったんですけど、確実に王座制覇には向かっていると思います。
――6位という結果をどう受け止めていますか
選手3人が普段以上の力を出し切ってくれたので、仕方がないというか、やりきった感じですね。
――アーチェリー部での約3年間で、ご自身が得たことは
高校の時までとは違い、大学に入ってからは負けることもあって、それが自分の成長につながったのかなと思います。
――女子リーダーとしての1年間を振り返って
自分は点数面でうまくいかないこともありましたが、後輩たちがしっかりカバーし、協力してくれました。やりきったかなと思います。
――次期女子リーダーの倉坪選手にはどのようなチームをつくってほしいですか
きょうの試合を含めて、足りない部分は自分でわかっていると思うので、それを改善しつつ今までの伝統を引き継いで欲しいです。
倉坪絢(スポ3=岐阜・高山西)
――今大会を総括してみていかがですか
個人的には、例年より調子が悪い状況で王座に臨むことになってしまい、ミスが目立ったことが申し訳なく、悔しいです。男子ががんばってくれたので、らいねん以降は自分たちも続いていきたいです。
――6位という結果をどう受け止めていますか
せめて3位決定戦には行きたかったですね。自分のミスで負けてしまったという気持ちも大きいですし、予選の結果が悪くてトーナメントの当たりも悪くなってしまったので、らいねんは予選の点数から上げていきたいです。
――風の影響はありましたか
少しありました。長崎国際大と試合をしている時に矢が左に外れていたので、右に狙いをずらしたんですけど、うまく修正できなくて点数を下げてしまいました。風に対する心構えをきちんとしておくべきだったなと思います。
――応援の力というのは感じましたか
感じましたね。他大より人数が少なくても早大の応援は聞こえましたし、最後は慶大や関東の大学の人たちも一緒になって応援してくれて、安心感がありました。
――これから女子リーダーとして、どのようなチームを作っていきたいですか
先輩方がこの日のためにいろいろな練習方法などを考えてくださって、これからもそれは続けていきたいなと思いましたし、今までできなかったことには要素を付け加えて練習していきたいです。
狐塚佑姫(社2=岐阜・聖マリア女学院)
――本日の試合を振り返っていかがですか
緊張はしたんですけど、それを上手く楽しさに変えられたというか、緊張しながらもしっかり射てましたし、そこはらいねんにつなげられる良かった点かなと思います。
――総合6位という結果をどのように受け止めていますか
本当にチームとしては負けないチームというか、勝てるチームだったと思うので残念ですね。ただ、自分にもチームにも足りない部分を見つけられたので、そこはらいねんにつなげられるところだと思っています。それでも6位という結果は本当に悔しいです。
――具体的にどのような点が足りなかったとお考えですか
団体戦で勝ち上がることはもちろんなのですが、やっぱり団体で上に行くためには予選がすごく大事だということを今回痛感しました。
――チームメイトからの応援はいかがでしたか
私たちは応援あってこそのチームだと思っていて、選手だけが射っているというよりチーム全体で射っているというつもりでいました。全員で戦うという雰囲気がしっかりできていたので、そこが今回1番良かった部分だと思っています。
――最後に今後の目標をお願いします
個人戦が始まるので、そこで勝利を重ねてらいねんの王座に向けて積み重ねていけたらいいなと思います。
舩見真奈(スポ2=山形・鶴岡南)
――本日の試合を振り返っていかがですか
私たちは1位のチームにも負けないような良いチームだと私は思っているので、次の1年で個人の実力を伸ばしていけばチームとしての力もついてそれを発揮させられれば絶対優勝できると思うので、らいねんもがんばっていきたいと思います。
――チームメイトからの応援はいかがでしたか
チームのメンバーは、本当に練習試合の時からずっと支えてくれていて本当に感謝していますし、応援してくれる人たちに誇れるチームでありたいと思いました。出られなかった人の分も、全力を出しきりたいと思いました
――これから新体制が始まりますね
4年生が引退してしまってまたチームの雰囲気は変わってしまうかとは思うのですが、この夏でまずは個々の実力をあげられるように努力していって、らいねんにつなげられたらと思います。
――今後の目標をお願いします
今後は個人戦が始まるので、しっかりそこでも力をつけて、自分の限界に挑戦できるようがんばっていきたいです。