『チーム力』光るも頂には届かず…王座制覇へ再出発!

女子アーチェリー

 早大の前に立ちはだかる高いカベ・日体大。今季も、そのカベを乗り越えることはできなかった。関東学生リーグ戦(リーグ戦)最終戦は、現体制で臨む8人制では最後の試合。優勝で全日本学生王座決定戦(王座)へ弾みをつけたいところであったが、緊張からか全体的に射が安定しない。終始流れを引き寄せることはできず、2320-2520で完敗。200点という大差をつけられる、悔しい幕引きとなった。

 これまでより距離の長い70メートルの2ラウンドで行われた優勝決定戦。各選手が立ち上がりでつまずく中、福井瑞生女子リーダー(スポ4=埼玉・春日部共栄)と舩見真奈(スポ2=山形・鶴岡南)は序盤から順調に得点を重ねていく。しかし、日体大との差は広がっていくばかり。後半は慣れない70メートルで疲れもあったのか失速する選手が目立ち、目標としていた2550点には大きく及ばなかった。一方、唯一の600点台を出したのは今季急成長を遂げたエース舩見。「射型面や雰囲気の面で今後に生かせるところはあった」(舩見)と、今月末の全日本東日本大会(東日本)へ向け自信をのぞかせた。

いつでもチームのために尽くしてきた渡辺

 リーグ戦は8人制で行われるが、チームの得点に直結するのは上位4人の成績だ。だが、アーチェリーはその4人だけで成り立つスポーツではない。快進撃を続ける2年生の隣で、最上級生の背中を見せ続けたのは葛原鈴佳(スポ4=東京・吉祥寺女子)。「落ち着いて射っていこう」(葛原)。そんな言葉で後輩たちを落ち着かせ、射型に入っている時でも周りを気にかける姿が幾度となく見られた。葛原は前回の明学大戦で今季初めてベストメンバーを外れたが、「後輩が出てくれてうれしかった」と振り返る。その『後輩』とは、渡辺香蓮(文構3=東京・共立女子第二)のことである。リーグ戦序盤はメンバー入りできず、『声』で仲間を鼓舞した。射場に入っている時、得点コールの時、円陣を組む時。いかなる時でも、誰よりも声を出し雰囲気を盛り上げたのは渡辺だった。前回初出場を果たすと、この日は大一番で試合新をマーク。あふれ出た大粒の涙が、試合に出られなかった時期の悔しさ、そしてそれを力に変えるほどに強いチームへの愛を物語っていた。

笑顔でリーグ戦を終えた女子チーム

 全員が力を出し切り、リーグ戦を2位で終えた早大。点数で勝利に貢献してきた選手であれ、チームを陰で支えてきた選手であれ、目指す場所は同じだ。「もっと高いところにセルフイメージを持つべき」(守屋麻樹監督、平3政経卒=東京・杉並)、「練習と本番でいかに同じ点数を出せるか」(福井)。明らかになった課題を克服すべく、再び鍛錬の日々が始まる。悲願の王座優勝へ。その射で、夢をつかめ。

(記事 川浪康太郎、写真 山下夢未)

結果

▽女子

●早大2320-2520日体大

コメント

守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)

――リーグ戦を総括してみて、いかがですか

男子は予想外に良い出だしで、最初の方で思っていたよりも点数が出ていたんですけど、授業が始まって少し失速してしまったところが残念です。ただ、いろいろな人が頑張ってくれたという意味では王座に良い形で向かっていけるのではないかなと思います。女子については、毎年の話なんですけど、本来もうちょっと点数が出るべきだし、出さなきゃいけないと思っています。甘さというか、自分たちの課題としっかり向き合ってもっと高いレベルで争えるようにならないといけないと感じています。

――リーグ戦を通してチームが得たことは

今回のリーグ戦では、後ろの応援の人たちが一生懸命仕事をしてくれていましたね。そうやって健気にやってくれる人たちがいると選手も頑張れますし、それでチームが作られていくので、そこが今回の良いところだったと思います。

――先ほどおっしゃっていた『甘さ』以外に何か課題はありますか

『甘さ』にも通じることではあるのですが、自分たちはこのレベルに行くんだ、このレベルにふさわしい自分なんだというセルフイメージを持っていないと、「まあこれくらいで良いかな」という感じになってしまいますよね。今のチームはもっと高いところにセルフイメージを持つべきだと考えているので、そこに向けてどんな行動や思考、在り方が必要なのかということをもう一度見つめ直して、やるべきことをやってほしいです。

――リーグ戦を通して特に活躍が目立った選手は

男子は池田亮(人3=東京・国際)がエースとして頑張ってくれたし、野村翼(スポ2=愛知・岡崎北)もそれに続く存在としてすごく頑張ってくれたなと思います。女子は舩見真奈(スポ2=山形・鶴岡南)ですかね。

――2年生の活躍が目立ったリーグ戦という印象でした

そうですね、若いチームでしたよね(笑)。2年生はよく頑張りました。

――東日本大会、王座と試合が続きますが、どのような試合をしたいですか

残念ながら西日本大会が地震の影響で中止になってしまったので、東日本大会で得られるインカレのシード権は無くなってしまったのですが、公認の試合ということで、出場する選手には全日本につながるような結果を期待しています。王座については、きょねんは慶大が優勝していますし、ことしはうちが獲るという気持ちで、男女共にきょねん以上に強いチームを作っていきたいなと思います。

福井瑞生女子リーダー(スポ4=埼玉・春日部共栄)

――優勝決定戦ということで、どのような意気込みで臨みましたか

リーグ戦5戦通して自分たちの掲げていた目標点を一度も達成することができなかったので優勝決定戦では目標点を出したかったのですが、リーグ戦終わってから点数も出ていない状況だったのでいかに自分たちのできることをやるかということを意識しました。

――きょうの試合は70メートルということで、練習法を変えたりということはありましたか

部活全体としては飛距離が違うということで男女別の練習が続いていたので、雰囲気に関しては2週間かけて70メートルで射つ環境は整えられたかなと思います。

――ご自身の出来はいかがでしたか

優勝決定戦の選考からあまり点数が出ていない状況が続いていて、2日前くらいから少し調子を取り戻してきていました。きょうは1ラウンド目の点数に関しては最近ではいい方だったのですが、2ラウンド目で自分の射ち方であったりいい時の射を見失ってしまって、一つのことに集中して射てていなかったので、そこが課題かなと思います。

――チームとして、今後日体大との差を埋めるために必要なことは何でしょうか

個人の実力はもちろんなのですが、練習と本番でいかに同じ点数を出せるかということが課題だと思います。目標点として定めていた点数を射てればきょうの試合も勝っていたのですが、その点数も絶対に射てない点数ではないはずなので、本番でいかに実力を発揮できるかだと思います。

――リーグ戦全体を振り返って、主将から見たチームの成長した部分はどのようなところでしょうか

1試合目から徐々に点数も上がってきていて一人一人点数に対する意識も変わってきたのかなと思うのですが、きょうの結果は結果として受け止めてそれぞれまだ伸びるところもあると思うので伸ばしていってほしいです。

――新女子リーダーとなる倉坪絢選手(スポ3=岐阜・高山西)に期待することは

代替わり自体は王座が明けてからなので、まだ本人たちにとっても実感が湧かない部分は多くあると思います。練習中の取り組む姿勢などはこの1週間で変わってきていると思うので、このまましっかり次のチームのことを考えて、王座が終わったら1年後のことを見据えてもらえたらなと思います。

――最後に全日本学生東日本大会(東日本)への意気込みをお願いします

東日本では70メートルの試合なので、このあと70メートルを射ち込んで自分の納得のいく結果を残していきたいと思います。

葛原鈴佳(スポ4=東京・吉祥寺女子)

――きょうの試合を振り返って

個人的には最近ずっと点数が出ていなかったということもあるのですがきょうもいい結果ではなく、最後のこの代の試合ということで悔しい思いはあります。全体的にも最近みんなが本調子ではない状態で優勝決定戦に臨んでしまって、このままの点数だと王座での優勝もないと思うのでこれから個人で実力を上げていかなければと思います。

――前回の試合でベストメンバーを外れましたが、悔しさはありましたか

個人的に悔しい反面、それまで試合に出られなかった渡辺(香蓮、文構3=東京・共立女子第ニ)が試合に出られたので、後輩が出てくれてうれしかったし応援でサポートできたらなという気持ちでした。

――リーグ戦を通して、最上級生としてどのような役割を担ってきましたか

3年生までは自分の射に集中していて射型に入っている時には声かけをしていなかったのですが、4年生になってからは射型に入っている時でも周りを見て声かけするようにしていました。

――下級生の活躍についてはどのように感じましたか

舩見(真奈、スポ2=山形・鶴岡南)、狐塚(佑姫、岐阜・聖マリア女学院)が圧倒的な点数を出していて、川部(栞里、文2=千葉・船橋)もこのリーグ戦ですごく成長して試合新もたくさん出していたように2年生の活躍がめざましいのですが、その一方で上級生はまだ不調でした。これから王座、来年につなげていくために上級生がもっと点数を出していかなければいけないと思います。

――リーグ戦全体を振り返ってみていかがでしたか

最後のリーグ戦ということで個人的には点数を出してチームに貢献したかったのですが、一度も納得のいく点数を出すことはできなくてそのあたりは悔しい思いが残ります。チーム全体としては試合新を大きく更新することができたので、そこはチームとしてはよかったと思います。ただ、まだ王座に向けては点数が足りないのでこれから出していかないといけないと思います。

――今後、具体的に取り組んでいきたいことは何ですか

これから王座の選手の選考期間に入るのですが、選考で4人を絞るに当たってその4人に入ることを目標にするのではなく、みんなが本番で実力を発揮できるように上を目指して練習していかなければと思います。

渡辺香蓮(文構3=東京・共立女子第ニ)

――優勝決定戦でのベストメンバー入りが決まった時の心境は

リーグ戦中全然試合に出られなかったので悔しかったのですが、最後なので楽しく射とうと思っていて、試合に出られたのはうれしかったです。

――その試合を振り返ってみていかがでしたか

1ラウンド目は自分でもいい射で思い切り射てたと思うのですが、2ラウンド目から緊張とか疲れが出てきて全然射てなくなってしまって、それは悔しかったです。

――リーグ戦序盤は応援などでチームを鼓舞されていましたが、どのような気持ちで試合を見ていましたか

リーグ戦は絶対勝てると思ったので、よりいい試合ができるようにうしろから声出しなどで盛り上げていました。

――ご自身のチームでの役割はどのように考えていますか

自分は楽しませるというか、円陣の時とかも一言ずつ言っていくのですが、その時も面白いことを言おうとか考えたりしてできるだけいい雰囲気を作ろうとしていました。

――リーグ戦全体を振り返ってみていかがでしたか

リーグ戦全体的にはチームとしてあまりいい点数が出なかったので、そこは悔しいなと思います。王座につながる試合ができたとは自信を持っては思えないので、ここからみんなでまとまって調整していきたいと思います。

――最後に、王座への意気込みをお聞かせください

これから選考がありますし、監督やOBさんにも言われたのですが、あと約1ヶ月で胸を張って試合に臨めるようなチームにできるようにみんなで向かっていきたいと思います。

舩見真奈(スポ2=山形・鶴岡南)

――優勝決定戦を終えての感想をお願いします

調整が間に合わず、チームに貢献できるような点数を出せなかったことが本当に悔しいです。

――東日本大会や王座を見据えたうえで、今回の70メートルに手応えはありましたか

久しぶりの70メートルの試合ということで、射型面や雰囲気の面で今後に生かせるところはあったし、改善点も自分の中で見つけることができたので良かったと思います。

――具体的な改善点とは

射型で体の軸を意識する必要があるということを改めて実感したので、そこを直していきたいです。

――チームの目標点である2550点を超えることができませんでしたが、原因などについて思うところはありますか

ひとりひとり、自分が点数を出すという意識や自分なら出せるという自信を持って射っていく必要があったなと思いました。

――早大と日体大の差は何でしょうか

日体大さんは試合のとき落ち着いているし、自信を持っている射ち方をしていると思うので、そこで差が出たのかなと思います。

――東日本大会、王座と試合が続きますが、どのような戦いをしていきたいですか

今回の試合の反省点を直していき、自分のベストを尽くせるように戦っていきたいと思います。