全日本学生女子王座決定戦(王座)の決勝ラウンドが行われた。女子アーチェリー部の集大成となる今大会。静岡・ヤマハリゾートつま恋まで多くの部員やOB・OGが駆け付け、選手と応援が一丸となって挑んだ。早大は1回戦で名古屋大を破り2回戦に進むも、関西大に4点差で敗れ、優勝という目標を達成することはできなかった。
高得点を出し喜ぶ野村女子リーダー
「できるだけのことはやってきていたので、不安は全くなかった」(野村美加女子リーダー、スポ4=石川・金沢桜丘)。王座に向け、平日の5日間で1000射以上射つという厳しいノルマを課し、練習に取り組んできた。「選手としても自信にもなっていたし、わくわくして楽しく試合を迎えられたと思います」と守屋麻樹監督(平3卒=東京・杉並)が語るように、野村、林香里(スポ3=奈良学園)、吉峰さやか(スポ2=香川・高松東)の3選手はリラックスした表情で試合に臨んでいた。試合形式は、各校3名が1エンドに一人2本ずつ、計6本の矢を放ち、4エンド終了時の合計得点で勝敗を決めるもの。前日の予選の結果によって決められたトーナメントにより、早大は1回戦で名古屋大と対戦した。「風を気にしすぎたりして全員あまり当てることができなかった」(林)と振り返るように点数は思うように伸びなかったものの、186-161と危なげなく勝ち進む。
2回戦の相手は強豪・関西大。第一エンドでは1回戦同様に本来の得点を出すことができない。それでも早大アーチェリー部の士気が下がることはなかった。応援の声が終始響き渡り、矢取りの際には『紺碧の空』を合唱するなど、選手たちを支え続けた。「こんなに嬉しいことはないなと思った」(野村)。その声援に応えるように徐々に調子を取り戻した早大は、第4エンドでは53点という高得点を出し追い上げを見せる。しかし第1エンドの点差が響き、最終スコアは197-201。2回戦敗退となった。
多くの部員が応援に駆けつけた
わずか4点差という敗戦ではあるが、強豪校がコンスタントに超える200点に届かなかったのも事実だ。実力を発揮する前の敗退に、選手たちは悔しさを隠せない様子だった。しかし、1年間女子リーダーを務め今大会で引退となる野村は、「本当に楽しかった」と笑顔で試合を振り返った。次期女子リーダーの林は、「点数ももっと上げられる、実力もあるチームにしていけたら」と、来季に意気込んだ。
(記事 田中絢、写真 手塚悠)
コメント
守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)
――悔しい結果になりました
悔しいです。
――関東学生リーグ戦優勝決定戦からきょうまでの練習は
選手が本気でやっていないと応援する方も本気でやってくれないということで、野村がけっこう厳しいノルマを選手に課したんです。平日の5日間で必ず1000射以上射つというもので、団体戦の練習もして本数が減ってしまう中ではけっこう大変なんです。でもやっぱりやるだけのことはやってきていたので、選手としてもそれをやったことで自信にもなっていたし、わくわくして楽しく試合を迎えられたと思います。応援の人たちもそういう選手を見て、本気で応援しようと一つになれたチームでした。
――一回戦は危なげなく勝ちました
危なげはなかったんですがうちの点数としてはあまり良くなかったですね。緊張もしていたと思いますし、少し硬くなってしまったかなという感じです。
――二回戦は強豪の関西大との試合でしたが印象は
関西大さんとは初めての対戦で。元気がありましたね。勢いがあるなあと感じました。うちも普段通りの力が出せたら全然問題なく勝てたと思うんですけれども、1エンド目であまり思ったような点が出なかったりして、ちょっと不利な感じでしたね。最後かなり追い上げたんですけど、抜かすことはできなかったですね。
――トーナメントの難しさもあると思いますが
本当にその瞬間にどれだけ力を出せるか、少ない本数で100%発揮できるかということですね。逆にうちのようなチームは有利でもあるんですよね。シングルの試合でたくさん射って点を稼ぐというのは実力でどうしても近畿大さんのような強いチームにはかなわないんですけれども、これだけ短い時間で少ない本数でチームとして戦うという試合は、うちはむしろ得意なところだったので。本当はもっとやれたら良かったですね。
――調子が良かった選手、悪かった選手は
野村は少し調子が悪めだったとは思いますね。一方で林、吉峰はかなり調子は良かったと思います。しっかり決める所で10点取ってくれましたし、最後のエンドでもしっかり入れてくれたので。
――野村女子リーダーはこれで引退となります
いやもう本当に、お疲れ様と言いたいですね。ことしのチームは特にそうなんですけれども、全員のコミットメントを求める厳しさもあったし、野村本人の強さというものもあったし、本当に頼もしいリーダーだったと思います。それにプラスしてみんなを安心させる存在でもあり、包み込むような優しさもあり、パーフェクトなリーダーだったんじゃないかと思いますね。
――新チームはどのようにつくっていきますか
また1からということになりますけれども、きょう試合に出られなかった1年生の福井なんかも本当にすごく悔しがっていて、絶対来年は出たいと思っていると思うので、おそらく彼女はこれから相当頑張ってくれると思います。それに刺激を受けて他の選手たちも一生懸命頑張るでしょうね。吉峰もきょう頑張ったのでこれからもっともっと伸びると思います。次期リーダーの林もこの試合で完全に一皮むけたなと思っているので、本来持っているまだまだ出し切れていない実力が出せるようになると、もっと一段上のチームができるんじゃないかと期待しています。
野村美加女子リーダー(スポ4=石川・金沢桜丘)
――どのような気持ちで今大会に臨みましたか
もちろん優勝することを目標に挑みました。
――試合を振り返って
個人的には中らなかったなあというのはありますね。でも、練習で点数もずっと良くきていて、本数も平日1000本とかずっとやってきて、できるだけのことはやってきていたので、1回戦も2回戦も不安は全くなくて、やるだけのことをやろうという気持ちで臨みました。
――2回戦ではだんだん調子を上げて、第4エンドでは点数も相手を上回っていました。それでもわずかに及ばなかったということで、悔しかったのでは
悔しさはありますね。1回戦も2回戦も200点に乗らなくて、練習では乗っていたのに試合で出せなかったというのは悔しいですし、もっと行けたはずなので。今季はこれまで以上に、平日1000本など目に見える練習をして、これだけやってきたというのが本当に自信になっていたので、それだけにまさかベスト8で負けるという事実にも結構ショックですね。
――しかし、試合後の円陣では「楽しかった」とおっしゃっていました
楽しかったです。一人一人射つので、自分が射つ時にしてくれている応援は、自分のためだけに何十人もが応援してくれているので。応援の声がすごく聞こえてきて、そんな中で射てて、こんなに嬉しいことはないなと思いました。本当に楽しかったです。
――団体戦はこれで最後ということですが、女子リーダーとして1年を振り返っていかがですか
王座に来る前日にみんなで話していたんですけど、このチームは安心感があるし、どっしり構えている感じがあります。でも最近変わったのかというとそうではないと思っていて、昨年の池内さん(麻実、平25卒=兵庫・甲南女子)の代で今の雰囲気を作ってくださっていて、入りやすかったというのも大きくて、女子リーダーとして何かしなければという不安が最初からありませんでした。普通に今まで通りにチームの中にいてみんなと話して、でもリーダーということでみんな付いて来てくれて、一人一人に頼れるし、みんなも頼ってくれるという関係性が築けていたので、だからこそ安心感があったのかなと思います。特別にリーダーとしてこれをやったというのはないんですけど、それでもみんなが付いて来てくれたのは嬉しかったなと思います。
――後輩に向けて
今回みんなが納得がいくまで練習して、それでも負けてしまったというこの事実は、みんなすごい悔しがっていたので、この悔しさをバネに、来年また日本一を目指してもらえたらと思います。今回見ていても、選手も応援も本当にみんな手を抜かずにできる限りのことをやっていて、その姿を見て、それができるなら絶対に大丈夫だと思うので、今回王座に向けて取り組んだ姿勢を忘れることなく、また一から頑張ってもらえればいいなと思います。
林香里(スポ3=奈良学園)
――試合を終えてのお気持ちを聞かせてください
悔しいというのと、まだまだ実力が足りないなということを感じています。
――試合を振り返って
1回戦は、風を気にしすぎたりして全員あまり当てることができなくて、勝てて良かったという感じです。2回戦方が自信を持って思い切って打てたんですけど、でもやっぱり相手の方が強かったのかなと思います。
――これで4年生は引退となりますが、4年生はどのような存在でしたか
1年間ずっと、点数面でも雰囲気の面でも引っ張ってくださっていた、すごく大きな存在です。
――来年は林選手が女子リーダーということですが、どんなチームにしていきたいですか
チームの雰囲気としてはすごく良い形に作ってきていただいたので、それをもっともっと良くすると同時に、点数ももっと上げられる実力もあるチームにしていけたらと思います。