やはり、日体大は強かった。毎年のように優勝決定戦で相まみえ、未だ破ったことのない相手だ。ことしは両者風を相手に苦戦したものの、早大はすぐに立て直した日体大にみるみる突き放され完敗。本来の力を出し切ることができないまま、初のリーグ優勝はまた来年に持ち越されることとなった。
風が止むのを待つ場面も多く見られた
コンディションは劣悪だった。立っているのも難しいほどの強風が吹き荒れ、第一エンドは両チームとも点数が伸び悩んだ。しかしここから明暗が分かれる。早大の選手たちが後半まで調子を取り戻せなかった一方で、相手選手は徐々に50点台を並べ始めた。第一エンドではわずかにリードしていたものの次第に点差が開き、70メートル1回目終了時点ではすでに122点に。日体大の応援のつくりだす独特の雰囲気にものまれ、強さをまざまざと見せつけられる結果となってしまった。
試合新記録をマークした宮崎
しかしもちろん、ただ負けているだけのワセダではない。2回目が始まるとエースの野村美加女子リーダー(スポ4=石川・金沢桜丘)が復調の兆しを見せ、点数も50点台にのり始める。また、大学からアーチェリーを始めた宮崎沙織(スポ4=長崎・口加)や太田有実(創理4=東京・晃華学園)ら4年生が、風の中でもそれぞれ286、266点をマークするなど健闘した。そして、次に勝つための課題も見つかった。守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)は「日体さんは体幹がぶれずにしっかりと射ちきっていた」と相手選手の印象を語る。全日本学生女子王座決定戦(王座)までの練習に、きょう得られた収穫がしっかりと生きてくるだろう。
この敗戦をどう次につなげるかで、1ヶ月後の王座の結果も大きく変わる。王座はリーグ戦よりも射つ本数が格段に少ない。1本の矢の重みも大きくなり、さらなる集中力が必要とされるだろう。射線に立てる選手は3人だけ。しかし、3人だけの力で勝てるわけではない。「王座で勝てるチームをつくる」(守屋監督)。一部昇格を果たした男子チームを含め、ワセダ全員で念願の王座優勝を達成したい。
(記事、写真 手塚悠)
結果
女子 ●早大2187-2356日体大
コメント
守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)
――風が強かったですね
ちょっとひどい風でしたね。特に(射場の)右側が強かったように見えました。もちろん相手も同じ条件なので本来はそれを言い訳にはできないんですけど、とても大変な条件の中でよく射ちきったと思います。
――かなり大差をつけられてしまいました
そうですね。関東のリーグ戦の優勝決定戦ではまだ一度も勝ったことがないので、今年こそはと思っていたのですが。やはり射ち方を見ていて違いを感じましたし、強風の中でも日体さんは体幹がぶれずにしっかりと射ちきっていて、うちの選手たちは長くなってしまって風に持って行かれてしまうことがありました。いまの時点ではやはり実力の差があることは認めざるを得ないかなと思います。
――70メートルの調整はうまく行っていたのでしょうか
ことしは第一戦の日程がずれたおかげで2週間ほど70メートルを射つ期間があったのですが、やはり50、30メートル中心の練習をしなくてはならないというところで70メートルは練習量が足りなかったかなと思います。毎年もうそれは同じ条件なので、前々から70メートルを射ち込んで対策を立てていかないといけないとは思います。なかなか射場の関係上70メートルを射とうとすると他の距離を射てなくなってしまうので、練習の調整をするのが難しいというのはありますね。
――各選手の調子は
点数的には決して良くなかったんですけれども、その中できょうは、大学以前は未経験の選手たちが頑張ってくれました。この風の中で270、80点台を出すのはすごいことだと思います。そういう意味では頑張った人はしっかり頑張ったし、逆に経験者の選手にはもう少し頑張ってもらいたかったかなと思いますね。
――王座に向けて
王座はまったく戦い方が違うので、選手選考もこれからありますが、選手だけではなくてそれ以外の人がどれだけチームの一員として良いチームをつくっていけるかというのが大切になってきます。これまでとは違う、王座で勝てるチームを、これから野村中心につくっていくと思うので、王座では絶対に頑張りたいと思います。