得点を伸ばすも王座出場に及ばず、リーグ入れ替え戦へ

男子アーチェリー

 16日に行われた関東学生リーグ戦(リーグ戦)第1戦では、団体10位と苦しい滑り出しとなった早大。目標の全日本学生王座決定戦(王座)出場のためには第1戦以上の得点が求められる緊張感の中、第2戦に臨んだ。風が難しく、多くの出場校の得点が伸び悩む中、早大は最終結果3302点と第1戦の3279点を上回る得点を残し、先週から順位を3つ上げて団体7位。しかし2戦を合わせた結果から、王座の出場は果たせず、5月7日に行われる1部リーグと2部リーグの入れ替え戦に出場することとなった。

 柿沼大翔主将(教4=東京・早大学院)を中心とした力強い円陣から始まった前半。しかし「かなり難しかった」と柿沼主将が語ったように風のコンディションが悪く、思ったように得点を伸ばすことができない。その中でも丸尾風瑛(スポ2=福岡・柏陵)は安定して50点台を出し続け、先週に引き続きチーム1位の個人10位306点で前半を終える。チームは合計1616点の団体8位で前半を折り返した。

 そして、始まった後半第1エンド。前半50点台がなかった下村謙史朗(人4=東京・暁星)がいきなり55点をたたき出す。「自分の中で1つ感覚を掴むことができた」と語るように、そこから調子を上げ後半は274点と自身の70m36射の試合記録を塗り替え、前半と後半を合計した72射でも526点と試合記録を更新した。また下村に続き、安達由樹(人2=茨城・下妻一)も後半は6エンド中5エンドが45点以上と奮闘し、70m36射では自身の試合新記録となる275点。72射でも試合新記録の533点でチーム個人3位となった。他のメンバーも多くが前半の自身の得点を上回り、チームに貢献。8人の合計点は2137点と今リーグ戦、チームの中で最も高い点数となり、前半からさらに一つ順位を上げた7位で後半を終えた。

自身の試合記録を更新した下村

 アーチェリー歴2年の下村と1年の安達がともに試合新記録を出したことは「多くの支えのおかげだった」と2人は語る。先週に引き続き応援に駆け付けたOB・OG、また試合を午後に控えた女子もサポートメンバーに入り、全員で最後まで声掛けやスコーパーとして男子チームをサポートした。また「雰囲気はうちのチームの強み」と柿沼主将が語るように最後まで全員が諦めない、その明るい雰囲気もこの試合新記録を生むきっかけとなったに違いない。

笑顔で矢取りから帰る安達と桑原

 2日にわたるリーグ戦の結果、早大は最終順位を9位とし、目標であった王座出場を果たせないという悔しい結果に終わった。しかし2人の試合新記録や難しいコンディションでの点数の伸びなど収穫もあった第2戦。次戦となる1部リーグ残留をかけたリーグ入れ替え戦や、その先の試合に向けて、これからの早大の活躍に期待したい。

(記事 梶谷里桜、編集 星野有哉、写真 梶谷里桜、濵嶋彩加)

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結果

▽男子1部

丸尾 606点

山下 588点

安達 533点

柿沼 530点

下村 526点

桑原 518点

井上 498点

立川 407点

7位 早大 3302点

コメント

柿沼大翔主将(教4=東京・早大学院)

――今日の試合を受けて率直なお気持ちを聞かせてください

 悔しかったです。王座出場、その先の王座制覇を目指して僕は4年間、みんなと一緒に62代として1年間やってて、実際にもうそれが叶わないというのが目に見えて結果に出た時は真っ先に悔しいな、というのがありました。1戦目に比べると点数的にも順位的にも上がりはしましたけど、今日は風も吹いてて難しい環境の中で「点数が前回よりもあんまり出ないな」というのは薄々わかっていた状況ではあったので1戦目にもう少し出せたら良かったな、という後悔も少しあります。

――今日の風は難しかったですか

 かなり難しかったです。ある程度一定にふいていればそこに合わせてずっと一定のところで射っていればいいんですけど今日は割と風が吹いたり止んだりして、風向きも急に変わったりしたのでそこの調整は苦労したと全体的に感じました。

――先週のリーグ戦を受けて今日のリーグ戦はどんな気持ちで望みましたか

 前回の全体の大学の点数をみて、現在の自分たちのベストの点数を考えた時に「チャンスがあるぞ」と前向きな気持ちで全員が取り組めていたのかなと思います。1戦目の前の時は「ベストは尽くすけど実際結果がどうなるかはわからないよね」と疑問を持ってる選手が多かったと思うんですけど、2戦目は前向きな気持ちで「自分たちがベストを出せば絶対にいけるんだ」という強い気持ちを持って臨めたのかなと思います。

――今日の試合中のチームの雰囲気は柿沼主将からみていかがでしたか

 雰囲気はすごく良かったかな、と思います。前回に引き続きですけど、雰囲気はうちのチームの強みでもあるので良かったと思います。実際に点数では王座に出場するには届かなかったですが、未経験から始めた安達とか大学2年生からアーチェリーを始めた下村とか大学から始めた部員が試合の中でのベストをこういう大事な試合で出すことができたというのは大きな収穫だったと思っています。

――風が難しい中では点数も順位も先週から上がりました。それについてはいかがですか

 そこは入れ替え戦も今後ありますし、自信になるかなと思います。「この1週間で部員全員がすごく点が伸びていたな」という印象で、練習で出せていた点を今日この場で出すことができていたら王座に出場する可能性はあったな、と強く感じていたので逆にいうと4年生の男子としてはまずは1部リーグに残るっていうところの一つの自信になるのかなと思いますし、後輩の2、3年生、あと今日見ていた1年生もそうですが、来年度以降のリーグ戦や王座へ向けての試合の時に自分がどんな立ち回りをしたらいいのかなとか自分がどんなコンディションでどう射ったらうまくいくのかなというところが風の強い難しい中でも掴むきっかけになった試合かなと思うと、いい経験だったと思います。

――今日の試合でのご自身の射を振り返っていかがですか

 僕自身は「もっと出せたな」というのが一つありますね。先週から今週にかけての1週間は僕はここ最近では類を見ないくらいいい点数が出ていて正直自分の中でも「ベストが出せるんじゃないかな」と強い自信を持って臨んでいたので、そことのギャップには今悔しさを感じています。

――今日はOB・OGの方がたくさん応援にいらしていました。その応援の力はどうでしたか

 すごくありがたかったです。人数の少ない中で62代はずっとやってきていたのでOB・OGの方にスコーパーをしていただいたり、後ろから実際に声掛けをしていただいたり本当に射つ中でも力になりましたし、試合に集中していくというところを自分たちは選手として優先したかったので、そこに集中させていただけるような環境作りやサポートをしていただけたことは本当に感謝しています。

――今日の試合の課題も含めて入れ替え戦に向けての意気込みをお願いします

 まずはここ1週間も含めて全体で点数的には伸びていますし、全体として成長しているのでまずは入れ替え戦で正直ぶっちぎりで1位を取るくらいの勢いで男子チームとして目指していきたいと思います。また女子は王座が決まったので女子の王座制覇に向けて男女ともに、男子の思いも含めて女子にはぜひ王座制覇をしてもらいたいな、と思っているので男女というくくりをつけずに早稲田のアーチェリー部として王座制覇を目指して精一杯頑張っていきたいと思います。

下村謙史朗(人4=東京・暁星)

――今の率直な気持ちを教えてください

 率直に言うと悔しいという気持ちでいっぱいです。

――先週の結果を受け、どのような気持ちで今日臨まれましたか

 やっぱりプレッシャーを感じる気持ちがなかったわけではないのですが、(前回の試合後、)自分たち全員でチームでベストを尽くして、王座優勝を本気で狙っていこうという気持ちに心機一転した気持ちで臨みました。

――下村選手自身は後半大きくスコアを伸ばされましたが、その点はどのように捉えていますか

 後半の最初のエンドで55点を射つことができたのが、自分としてもすごく嬉しくて、また驚いた部分ではあるのですが、突然射てたというわけではなくて、前半からスコーパーの浦田先輩(浦田大輔氏、令5=基理卒)からアドバイスを受けたり、同期の大翔(柿沼大翔主将、教4=東京・早大学院)だったり、井上さん(井上空副将、創理4=東京・早大学院)だったり、自分の同的である立川(旺佑、国教2=東京・早大学院)だったりといろいろ話をしていく中で、 自分の中で1つ感覚を掴むことができて、その結果として、点数を伸ばすことができたのかなと理解しています。

――自身の試合記録を更新されたことについてはいかがですか

 素直に嬉しいという気持ちでいっぱいです。ただ、試合記録を更新したとは言っても微々たるものですし、その点数もなかなかまだ自分で満足できる結果ではないと思っているので、これからも短い間かもしれないのですが、しっかり(点数を)伸ばしていきたいなと思ってます。

――今回のリーグ戦は有観客開催でOB・OGの方々の応援を背に受けての戦いでしたが、影響はありましたか

 本当にとにかくありがたいという気持ちでいっぱいです。スコーパーをしてくださった浦田先輩であったり、服部先輩(服部朝樹氏、令5教卒)であったり、また監督・コーチ方であったり、 本当に僕としては力を頂けました。その結果として、第1記録会でも、第2記録会でも、緊張はしたのですが、それでも緩むことなく射ち続けることができたと思っているので、(応援を背にプレーできたのは)本当に嬉しいです。

――最後に今後への意気込みをお願いします

 自分は2年入部ということもあって、競技始めた時期が他の人より遅いので、 その分もめいっぱいこのアーチェリーという競技を楽しみたいなという風に思っています。これからも しっかり楽しみながら、点数を伸ばしていくことができたらいいなという風に思っています。

安達由樹(人2=茨城・下妻一)

――今の率直な気持ちを教えてください

 まずは悔しいというのが一番です。また入れ替え戦があるので、そこに向けてしっかり明日から2週間準備していきたいというのが、今の正直な気持ちです。

――競技を始めてから1年足らずでリーグ戦のメンバー入りとなりました。その点に関してはどのように感じていますか

 人数がちょうどなので、男子は選考とかを行わずに試合に出るという形になっていて。観客としてもリーグ戦を去年は見ていないので、どんな雰囲気なんだろうのがありました。先週の1戦目でなんとなくの雰囲気はつかめたので、今日はそこまで緊張せずに射てたのかなという感じがします。

――安達選手自身の試合記録を更新されたとのことですが、その点はいかがですか

 前半少し風とかもあって、難しいところもあったのですが、スコーパーに付いてくれた髙見(愛佳女子主将、スポ4=エリートアカデミー)さんが1戦目から2戦目の間もずっと動画や射型を見てくださっていたので、本当にそのおかげで自分でも割と集中して射てましたし、後ろの応援の力も大きかったです。

――前回から1週間で大きく点数を伸ばされましたが、その要因を教えてください

 少し変えたところは押し手の押し方です。しっかりまっすぐ押せるようにというのを1週間意識していたので、 割とそれがハマったのかなという感じです。

――たくさんの応援を背に受けての行射となりましたが、どのような影響がありましたか

 練習試合などでは男女一緒に射つので、あまり女子の先輩や同期が後ろにいてくれることはありません。なので、ミスショットの後の切り替えだったりとか、いい点数射って、コールをした時の盛り上がり方だったりは、やっぱりだいぶ力になったかなっていう感じはします。

――今後への意気込みをお願いします

 まずは2週間後の入れ替え戦で、しっかり1部リーグに残れるように頑張りたいです。また、今回は一応チーム内では3位という結果でしたが、もっと点数を出して大きくチームに貢献できるように、しっかりもう一度基礎から見直して、来年のリーグ戦や王座を見据えて、頑張っていきたいと思います。