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先週の第1戦で好発進を切った早大。勢いに乗りたい第2戦だったが、西の方向に強く吹く風に矢が次々と流されてしまう。しかし、徐々に適応すると、後半は着実に加点。総合順位で首位・日体大に独走を許すも、3位・慶大の追い上げをかわし、2位でリーグ戦を終了。聖地・つま恋リゾートで行われる王座へ2年ぶりに駒を進めた。
海に近い立地から海風が吹くことが多い夢の島公園アーチェリー場。先週の第1戦では穏やかな気候で試合が進んだが、この日はその海風が牙を向いた。西向きに強く吹く風に次々に矢が流されてしまい、最初のエンドをまさかの6位で終える。しかし、中野勇斗男子主将(商4=東京・早大学院)が「準備はできていた」と振り返るように早大がここで折れることはなかった。エンド間の得点報告でコミュニケーションを取り、徐々に適応を見せていく。少しずつ得点を伸ばし、結果的に前半終了段階で3位まで順位を追い上げた。
50メートル3エンド終了後、グータッチを交わす山本(左)と杉田
風が弱まった後半、早大は手堅く得点を重ね、中野、丸尾風瑛(スポ1=福岡・柏陵)、杉田蒼月(教4=東京・麻布)、浦田大輔(基理4=東京・早大学院)、山本治輝(スポ4=奈良学園)、山下健友(スポ2=愛知・東海)の6人が330点台を記録する盤石の試合運びを展開。この日の順位は3位に留まるも、2戦の得点の平均で争われるリーグ戦の総合順位では第1戦のリードを守り、2位をキープ。王座出場を手中に収めた。
ガッツポーズを見せる浦田(左)と丸尾
また、リーグ戦の個人成績上位16名は5月に開催される全日本学生アーチェリー東日本大会(東日本大会)の出場資格を得ることができる。早大からは主将の中野、先週の試合でチームを引っ張った浦田、山本、さらには今回チーム内1位となったルーキー・丸尾が東日本大会への切符を手に入れた。
今回、2年ぶりの王座出場を決めた早大。その原点には昨年の苦い経験があった。高校時代、全国の頂を極めた丸尾でさえ「今週も緊張した」と語るように王座がかかるリーグ戦のプレッシャーは絶大なものである。「緊張で硬くなってしまい、負けてしまった」と先週の試合で中野が振り返ったように、各選手が本来の力が発揮できず、昨年は7年ぶりに王座出場を逃すこととなった。そして迎えた今年のリーグ戦。昨年のリーグ戦を経験した中野、浦田、杉田、山本を中心に雰囲気作りを徹底。その結果、リラックスした状態の中で試合を進めることに成功。丸尾は「今回の結果は、先輩の声掛けのおかげ」と語った。来る王座でも早大らしい和やかな雰囲気作りが悲願達成への鍵となるだろう。
(記事、写真 星野有哉)
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結果
▽男子1部
丸尾 644点
中野 634点
杉田 633点
浦田 633点
山下 628点
山本 623点
井上空(創理3=東京・早大学院) 589点
柿沼大翔(教3=東京・早大学院) 522点
3位 早大 3795点
コメント
中野勇斗男子主将(商4=東京・早大学院)
――先週チームとして成績が良かった中で、今週までどのように過ごしてきましたか
全く同じ感じで、いつもと変わらないことをしようとずっと言っていたので、変にリーグ戦第2戦だからというところで気負わずに、第1戦と同じことができるようにという調整をしました。
――風が強い中で、入りが先週よりはよくありませんでした
昨日の時点で風が強いという予報が出ていたので、風が強くて点数が低くても気落ちしないようにしようというのは事前から声をかけていました。あまりリズムには乗れなかったのですが、事前から準備ができていたので、雰囲気は崩さずできたのかなと思います。
――ある程度は想定内で進みましたか
そうですね。最初から耐えるアーチェリーというか点数を下げないアーチェリーになるかなというのは予想はしていました。その中でなかなかいいパフォーマンスはできなかったのですが、天気も想定していた通りだったので、耐えるアーチェリーは体現できたのかなと思います。
――後半、チームとして追い上げることができたと思いますが
30メートルも立ち上がりがちょっといまいちだったのですが、風が少し弱くなってから、だんだんみんなも点数が上がってきましたし、点数コールを全員でできたエンドも多くあって、それもとてもよかったなと思っています。前回30メートルで少しこけてしまったので、今回その課題を修正できたというのはとてもよかったなと思っています。
――今回3794点で3位ということでしたが、その点はいかがですか
ここ最近3800点を超えてきていたので、3700点台になってしまったというのは、残念だったなというところではあります。しかし、風の中でみんなよく耐えたなと思いますし、周りの大学の点数を見ても、周りがやっぱり風で点数が低くなっていたので、その中で3位につけられたというのは1つ自信になったかなと思います。
――関東2位で王座に進出ということになりましたが、率直な気持ちをお聞かせください
本当に一安心というところです。去年も王座に行く気で準備していて、それが王座に行けなかったという悔しさがあったので、それを1個果たせたなというのは大きかったです。また、個人的にも去年の点数が自分のせいで負けたという気がしていました。そのため、自分が耐えた中でみんなに支えられて、うまく全員で戦えたのかなというふうに思っています。これから王座に向けて準備はしていかないといけないですが、1つ成果としてあげられたのはとても安心しています。
――それでは王座に向けて意気込みをお願いします
まだまだ70メートルの実力は足りないですし、もっともっと準備していかないといけないなと思います。今日は1年生の丸尾がチームを引っ張ってくれたのですが、彼も高校時代は70メートルをずっとやっていた選手なので、また彼に引っ張ってもらいながら、上級生の意地を見せながらというところで、みんなで同じ雰囲気の中で、王座でもいい結果を残せたらなと思います。
浦田大輔(基理4=東京・早大学院)
――先週良い結果が出たと思うのですが、先週から今週までどのように取り組んできましたか
先週は前日があまり良くなくて、動画とかを見た結果、良いイメージで射てました。そのイメージを継続して平日も練習していました。
――今日の試合を振り返っていかがですか
50メートルで風が強くて、なんとか耐えることができましたし、30メートルも出だしから5エンド目までは良かったです。ただ、最後のエンドだけ気が抜けてしまったなと(笑)。結果としてチームが2位通過できたので、ほっとしています。
――リーグ戦全体の結果を振り返ってみていかがですか
チームとしては結構良い出来かなと思っていますし、個人としても東日本に行けるということでとても嬉しいです。新入生の丸尾も結構頑張っていて、刺激をもらえて嬉しいです。
――丸尾選手が同的でしたがこの2戦いかがでしたか
第1戦では緊張したのかなと思ったのですが、今回は緊張に耐えながら射っていて、チームとしても助かっています。頼もしいです。
――今後の試合への意気込みをお願いします
まずはSHから70メートルの切り替えというのがあるのですけれども、東日本大会あたりで70メートルの感覚を戻して、王座に出て、制覇まで、決める場面で決めるような選手になっていきたいと思います。
丸尾風瑛(スポ1=福岡・柏陵)
――先週からどのような練習をされましたか
先週の試合では点数が全然出ませんでしたし、自分のフォームのポイントを抑えることができませんでした。そのため、まず弓具の調整を行い、近射でフォームを固めるなど、基礎を一から確認しました。
――今日の調子はいかがでしたか
自信を持って射った行射はしっかり当たっていたので良かったのかなと思います。
――先週は緊張してしまったと仰っていましたが、今週はいかがでしたか
今週も緊張はあったのですが、今週はより先輩との会話を増やして緊張を和らげるようにしました。
――今日は表情が豊かでした
そうですね。感情を出すようにしました。
――風が強い中、いち早く適応したように感じましたが
自分は弓が重いこともあり、風はあまり考えずに射つことができました。
――最後の行射を30金で締めくくれました
とても良かったと思います。技術的にも精神的にも気持ちよく射てました。最後に決めることができてよかったです。
――個人順位では14位、チーム内順位は1位でした
今回の結果は先輩の声掛けのおかげだと思っています。ただ、点数としてはまだ欲しい部分があったので、まだまだ上を目指していきたいと思います。
――今後への意気込みをお願いします。
今日も72射全部が自信を持って射つことができたわけではないので、王座、東日本は72本全てを自分の射ち方で射てるように練習して臨みたいと思います。