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春らしい穏やかな晴天の中、全日本王座決定戦(王座)の予選も兼ねる関東学生リーグ戦(リーグ戦)が開幕した。今年は2試合の良い方の得点の上位5校が王座に進出することとなる。早大は日体大に次ぐ2位となる3838点を記録。2年ぶりとなる王座への出場に大きく前進した。
前半の50メートルでは抜群の安定感を誇る浦田大輔(基理4=東京・早大学院)と「 ここ1週間で調子が上がってきていた」という山本治輝(スポ4=奈良学園)がチームをけん引。序盤から安定して得点を積み重ね、山本は個人7位、浦田は同8位を記録。出場8人のうち上位6人の成績で計算されるチーム成績も2位で前半を折り返した。
さらに後半は井上空(創理3=東京・早大学院)と山下健友(スポ2=愛知・東海)が熾烈なチーム内6位争いを展開。「刺激になる」と中野主将が振り返ったように、チーム全体の士気を高めた。各選手大きなミスもなく着実に点数を重ねた早大は2位を守り、第1戦を終えた。
この日がデビュー戦となった丸尾
この日大きな収穫となったのが、新戦力の台頭である。後半の30メートルの自己ベストを更新し、チーム内6位に滑り込んだ井上やその井上とチーム内6位争いを繰り広げた山下、さらに大学での初の公式戦ながら安定した試合運びを見せた丸尾風瑛(スポ1=福岡・柏陵)が今回、チーム得点の底上げに貢献。チーム全員での平均得点が昨年の606.3点だったのが今年は620.8点と大幅アップに成功した。また、10点の数で惜しくも浦田に及ばなかったものの、山本が自己ベストに1点差に迫る好記録をマークし個人8位に入るなど、昨年のリーグ戦経験者にも良い刺激となっているようだ。頭角を表した新戦力によって、相乗効果が生まれている早大。各選手のコメントからも練習から良い雰囲気で行えていることがうかがえる。1週間後の第2戦ではさらなる高得点が生まれることが期待できそうだ。
(記事、写真 星野有哉)
結果
▽男子1部
浦田 655点
山本 655点
中野 646点
丸尾 629点
杉田蒼月(教4=東京・麻布) 628点
井上 625点
山下 618点
柿沼大翔(教3=東京・早大学院) 511点
2位 早大 3838点
コメント
中野勇斗男子主将(商4=東京・早大学院)
――今日に向けてチームとしてどのような練習を積みましたか
昨年のリーグ戦で緊張で硬くなってしまい、負けてしまったという反省があったので、まず雰囲気を作ることを意識しました。自分たちの雰囲気の作り方というのを考えて、個人の得点に固執せずチームの得点を考えようという話をしました。
――雰囲気作りというお話がありましたが、具体的にどのようなことをされましたか
リラックスして射ちたいという思いがあったので、無声試合で声が出せないという状況の中で射線に入る時にアイコンタクトをしたり、指を指しあったりというコミュニケーションを大切にしました。点数報告の際に点数の共有をしてチームの今の状況の確認できました。試合中のコミュニケーションを増やすという試みは上手くいったと思っています。
――中野選手のルーティンである最後の一射を制限時間いっぱいで射つことで今回盛り上がった点が多かったと思いますが
雰囲気作りのためにやっているわけではないのですが、決めた時はとても盛り上がってくれますし、外した時にも雰囲気が落ちず、「何やってるんだよ(笑)」と煽ってくれたりもして、良い雰囲気だったのと思います。自分としてもとてもやりやすい状況で射たせてもらえました。
――ご自身を振り返っていかがでしたか
最近はずっと調子が悪くて、練習でも600点が超えられないことがあるという状態でした。それをこの一週間で上手く調整できたかなと思います。特に50mの311点というのは自分の中でも納得できるものです。途中何射かミスはありましたが、トータルでよかったかなと思います。ただ、30mの方は前日でもあと10点くらい高い点数を取れていたので、340点を目標としていた分、少し足りないのが悔いが残ります。来週は30mの方もしっかり当てられるように練習していきたいと思います。
――畳の交換などで試合が長くなりましたがチームとしてなにか影響はありましたか
そこで上手く切り替えできたのが今日のいいところだと思っています。試合が長いとどうしても集中力が続かず、大きなミスが出ることがあるのですが、点数報告の部分でもう一回気を取り直していこうという声掛けができて、集中を保てたことが今日の結果につながったと思っています。
――チームの点数に関わってくるチーム内順位争いも今回激しかったですがチームにどのような影響がありましたか
今まではチーム内の順位が固定されていてあまり競争心が芽生えなかったのですが、今回井上(空、創理3=東京・早大学院)と山下(健友、スポ2)が6位を争ったことは普段上位にいる選手にも刺激になりますし、それに乗じてそれ以外の選手も突き上げてきて欲しいという期待があります。
――来週の第2戦への意気込みをお願いします
今日の点数はチームとして収穫になりました。また、2位と王座に行ける圏内に付けているので、まずは大きなミスをせず、今日の点数を少しでも越えられるように練習していきたいと思います。個人的には650点を目標に、30メートルでしっかり当てるというところを気をつけたいと思います。
山本治輝(スポ4=奈良学園)
――調子はいかがでしたか
ここ1週間で調子が上がってきて、春休み期間中の練習から点数としてはいいところで安定していたのですが、そこからもう一段階点数を上げられていませんでした。その中でここ1週間くらいで点数が15点から20点くらいぐっと上がったので、それが今日そのまま出てくれたかなという感じです。
――調子が上がった要因はありますか
一射ごとでも調子の良し悪しはあるのですが、その中でも絶対にこれは意識するということを実践できているのかなと思います。その結果、自分がミスショットしたかなと思っても、思ったよりも外れていないということが起きているので、それが点数につながっているのかなと思います。
――意識されているのはどのような部分ですか
引き手をしっかり引き込むということです。緊張していると押し手で押してしまってクリッカーを鳴らしてしまうことがあるので、しっかり引こうということを意識しています。緊張である程度押してしまうのはしょうがないのですが、しっかり引き切ることでバランスよく射てているのかなと思います。
――前半を振り返ってみていかがですか
最初の試射で昨日と同じようにいい感覚だなということを確信できました。本番になって緊張する部分もありました。悪い時はそこで自分のゾーンに閉じこもってしまいがちなのですが、チームのみんながいつも通りの雰囲気作りをしてくれましたおかげで、みんなの表情を見つつ、良い意味で集中力を散らすことができましたし、好調の要因にもなったのかなと思います。その結果1エンドから6エンドまで程よい集中力で射つことができました。
――後半振り返ってみていかがですか
後半は風が吹いてくるのかなと予想していたのですが、風がなくいい状態で懸念材料もなく、前半の調子もよかったのでそのままスムーズに入れたと思います。ただ、50メートルが良かった分30メートルもちゃんとしなければという思いがあり、ミスショットにつながってしまったかなと思います。その点はしっかり調整して来週につなげていきたいと思います。
――前半と後半で足場が変わるというあまり経験したことないことがあったと思いますが影響はありましたか
少しあったかもしれないです。前半はフラットな足場でできたのですが、後半は右足側が踏み込んでしまう土の状況だったので、右に重心がいってしまい押しが強くなってしまったかなと思います。しかし、それに早い段階で気づけたので、修正して安定した射型で射てて、点数をまとめられたと思います。今回のミスはしょうがないと思いますし、来週もまた同じ状況だと思うので、そこに活かしていきたいと思います。
――個人で8位という結果でしたがその点はいかがですか
リーグ戦が始まるまでこんな上位にいけるとは思っていなくて、自惚れじゃないですけれども、自分の努力がこの結果につながったのかなと思います。
――来週の第2戦に向けて意気込みをお願いします
チームとしてもとても雰囲気がいいですし、個人としても試合での自己ベスト記録に近い点数を射つことができました。ただ、チームで立てた目標の点数にはわずかに及ばなかったので、そこは自分の点数ももちろんですが、来週はこの良い雰囲気の中で全員が今日よりも点数を上げてチーム新記録を狙っていきたいと思います。
丸尾風瑛(スポ1=福岡・柏陵)
――今日の調子はどうでしたか
緊張して全然だめでした。
――自己評価としては何点くらいですか
初戦ということもあり、65点だと思います。
――早大アーチェリー部の一員として臨む最初の試合でしたが、その点についてはいかがですか
初めての試合でとても緊張する場面もあったのですが、周りの先輩がとても優しくて、たくさん声かけをしていただいたので、迷う部分もあったのですが、しっかりと最後まで打ち切れたのではないかなと思います。
――具体的に嬉しかった先輩の言葉などはありますか
後ろで服部(朝樹、教4=東京・筑波大付)先輩がスコープを読んでいてくださったのですが、自分が10点を入れた時に、「ナイスショット、10点」と言ってくれて、それがとても嬉しかったです。
――夢の島で射つのは初めてと伺ったのですが、その点はいかがでしたか
五輪もここでありましたし、アジア選手権の選考会もあったので、自分も同じところで打つということで、わくわくしながら打ちました(笑)。
――SHという形も初めてでしたが、いかがでしたか
自分はずっと70メートルかずっと18メートルといった距離が途中で変わらないものしかやったことがなかったので、途中で距離が変わり、その中で射つということが少し難しく感じました。
――想定していたものや練習の時と何か違いは感じましたか
高校の時の大会と比べたらとても賑やかだなと感じました。高校の時はできるだけ静かにというのが大きかったので、大学では個人というよりかはチームで頑張ろうという雰囲気があり、声かけもとても多かったので、とても楽しくできました。
――畳の交換もあり、いつもより試合時間が長くなりましたが、その点について何かありますか
最初戸惑うところがあったのですが、同的の浦田(大輔、教4=東京・麻布)先輩などが「休憩できたからよかったね」といった前向きな言葉を伝えてくれたので、ポジティブに考えて最後までできました。
――次戦への意気込みをお願いします
絶対に得点をあげてチームに貢献できるように頑張りたいと思います。