予選を突破した精鋭たちが集う全日本学生個人選手権(インカレ)決勝ラウンド。大学でアーチェリーをする者なら誰もが憧れる、学生アーチェリー界の頂点を決める試合だ。この試合にワセダから唯一臨んだ山本周平(スポ1=山梨・甲府一)が、強豪校のライバルたちを次々に破り決勝に進出。約40年振りとなる大快挙を成し遂げた。
昨日自己新記録をマークし、予選を13位で通過した山本。決勝ラウンドは五輪と同様、ポイント制のトーナメントで行われた。3射の合計得点が高い方に2ポイント、同点の場合は1ポイントが与えられ、6ポイントを先取すれば勝利となる。インカレだけあって、山本は一回戦から全日本学生王座決定戦(王座)2位の日体大の選手と当たるなど、ハイレベルな戦いとなった。その中でも山本は1年生ながら怖気付くことなく、安定して高得点を出し続ける。一回戦、二回戦は山本の圧勝となった。
迎えた準々決勝の相手は王座優勝の近畿大の選手。試合は4ー4までもつれ込み、次勝った方がベスト4の展開を迎える。しかしここでも山本は平常心を崩さなかった。ここまでと同様高得点でまとめた山本が1年生対決を制し、準決勝進出を決めた。ここまで来ればもう負けられない。準決勝も同じく1年生との接戦となったが、冷静さで上回った山本が波に乗る相手を下し勝利。チームメイトは歓喜に沸いた。
最後の相手は日体大の岩崎恭平。地元宮代高校の出身で、昨年のインターハイ9位の実力の持ち主だ。奇しくも3回連続の1年生対決となったが、レベルはもちろん一流の戦い。射つたびにコールされる点数はほとんどが10点満点中9点以上であり、最後まで気を抜けない争いになった。リードされて迎えた最終エンド、山本は最初の2本を10点満点に決める。このまま勝てるかと思った3本目、コールされたのは5点。悔しそうな表情を浮かべた山本だったが、最後まで戦い抜いたその姿は一流選手のものだった。
試合後「緊張してしまいました」と語った山本。しかしその堂々とした戦いぶりを誰もが頼もしく思ったはずだ。インカレ、そして王座出場のチャンスはまだあと3回もある。若きエースのこれからの活躍が待ち遠しい。
(記事、写真 手塚悠)
◆結果
▽男子
2位 山本
コメント
山本周平(スポ1=山梨・甲府一)
――今日の結果はいかがでしたか
最後の決勝戦ちょっと悔しかったんですけど、今までの中では最高の順位だったので良かったです。
――決勝戦の雰囲気は
やっぱり違いますね。3位決定戦とかは経験したことがあるんですが、全然それとは違います。ちょっと緊張してしまいましたね。
――相手の選手は
自分よりも格上の選手がたくさんいたので、その中で戦っていくのは楽しかったです。
――学んだことは
昨日の試合にもつながりますけど、始めの点数で失敗しても、後の距離で頑張れば盛り返すことはできるし、調子を作っていくことも可能だと知ったので、諦めずに攻め続けることが大事だなと思いました。
――今後の予定は
冬季に行われる全日本学生インドア選手権で、また上位に入れるようにがんばりたいと思います。