永遠のライバルを制し、王座へ

男子アーチェリー

 「ワセダに所属していたら意識せざるを得ない相手」(中川裕太、スポ4=岐阜・大垣西)、それがケイオーだ。関東学生リーグ戦(リーグ戦)本戦をブロック2位で締めくくった男子部。別ブロックで同じく2位につけたのは、絶対に負けられない相手だった。半年ぶりの『早慶戦』となった3位決定戦。リーグ戦の点数で比較すると楽に勝てる試合ではなかったが、結果は3848-3798で圧勝。全日本学生王座決定戦(王座)に向け、さらに弾みをつけた。

生き生きと試合に臨む男子チーム

 「毎試合反省をして、試合の進め方であったり、応援の仕方であったりとか、全員がそれぞれ問題意識をもって次回に向けての改善を重ねていっていた」(守屋麻樹監督、平3政経卒=東京・杉並)、その成果が存分に現れた一日だった。序盤から実力を振るわせ、強豪相手に一度もリードを許すことなく終えたこの日の試合は、まさに「リーグ戦の集大成」(根本翔平、創理4=東京・早大学院)。この日が最後のリーグ戦となる4年生の根本は、前半の50メートルがチーム2位の312点。最高学年として諦めずに成長する姿を示した。同じく4年生の中川も、「このリーグ戦の期間が大学生活で1番楽しかった」と充実感を感じた様子。また、第一戦以来の選手復帰となった鈴木惇志主将(創理4=東京・早大学院)は、「チームの雰囲気が完成された中でケイオーと戦うということが楽しくて、満足のいく試合だった」とコメント。ライバルとの大一番で発揮されたチームの完成度の高さに、主将としての喜びをみせた。

4年間主力としてチームを支え続けた中川

 一方、この日チーム内では上位3位を3年生が独占。山本周平(スポ3=山梨・甲府一)、寺澤紀彦(スポ3=東京・足立学園)が同じ649点でトップに並び、645点で2人に続いたのが田寺洋貴(人3=茨城)である。田寺は自身の試合新となる好記録でリーグ戦を締めくくった。部員全員にとっての夢の舞台、王座。しかしそこに選手として出場できるのはわずか3人だ。「みんなそれぞれ出たい気持ちは強い」(守屋監督)、「王座で選手になる」(鈴木)、「王座で活躍できる選手に」(中川)。王座出場を決め、リーグ戦を終えたいま、全員が目指すものが王座の正選手である。憧れの地で、シューティングラインに立つことを許されるのは果たして誰になるのだろうか。

 「大学でアーチェリーを続ける理由の全て」(鈴木)。学生アーチェリー界最高峰、王座への切符を9年ぶりに手にした男子部。最大の宿敵、ケイオーを倒しクライマックスはいよいよここからだ。学生日本一へ──最終章の幕が、ついに切って落とされた。

(記事 建部沙紀、写真 谷田部友香)

結果

男子○早大3848-3798慶大

コメント

守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)

――きょうの試合をご覧になって

いい試合だったと思います。

――リーグ戦を通して成長した部分は

毎試合反省をして、試合の進め方であったり、応援の仕方であったりとか、全員がそれぞれ問題意識をもって次回に向けての改善を重ねていっていたので、とてもことしのリーグ戦は良かったですね。

――特に印象に残ったものは

第一戦で強豪の日工大に勝てたのはとても良かったと思いますし、あと接戦がとても多かったので、それを確実に勝てたというのは印象に残っています。良かったと思います。

――9年ぶりの王座が決まりました

長かったですね(笑)。2部の時代がとても長かったので、ようやく来たな、という感じです。

――王座に向けてどのような練習を

学生が色々考えて、選手選考を含めてやっていくと思います。

――監督の注目選手は

誰が出るか分からないので何とも言えないですね。みんなそれぞれ出たい気持ちは強いと思いますから、出場が決まった以上は、みんな頑張ってくれるはずです。

――王座の目標をお願いします

日本一です!

鈴木惇志主将(創理4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

個人的には最後の試合で選手として戻ってこられてよかったですが、点数としては納得のいくものではなかったですね。チームの雰囲気が完成された中でケイオーと戦うということが楽しくて、満足のいく試合だったと思います。

――3位決定戦が半年ぶりの早慶戦ということで、特別な気持ちはありましたか

そうですね。やっぱり絶対にケイオーに負けたくないという気持ちがあったので、ここ2週間の準備の仕方、気合の入れ方というのは全員段違いだったと思います。

――今までのリーグ戦での点数を見ると、楽に勝てる相手ではなかったと思うのですが、差をつけての勝利となった要因はなんだと考えますか

自分たちのチームの3年生以下はケイオーに負けたことがないので、勝ちのイメージがあることだと思います。それはケイオーにとっても同じことだと思うので、相手は非常にやりづらかったのではないかと思います。ただ選手の実力は一緒なので、(ワセダの)応援が勝っていたのだと思います。

――前回、選手に復帰するとおっしゃっていて、それを達成できましたがいかがですか

今は当たってないですが、王座で選手になることは諦めていなくて、もちろん全力で目指しているので、その通過点として選手になって勝ちに貢献したいという思いは多分誰よりも強かったと思います。なのでその差がちょっと出て、きょうも表れたのではないかと思います。

――主将として臨んだ最後のリーグ戦はいかがでしたか

春休みが1番点数として出ていたので、点数だけ言えばもっと出ている予定でした。ただこの形式の試合で、最後の1本を10点で射つことができたので、ひとまずは満足しています。

――9年ぶりの王座出場が正式に決まりました

1年生の時に女子の応援で初めて行った時から夢に見ていた場所で、大学でアーチェリーを続ける理由の全てが自分にとっては王座なので、本当に行けてよかったと思います。

――今後の目標を教えてください

王座に選手として出て、王座を制覇します!

中川裕太(スポ4=岐阜・大垣西)

――きょうの試合を振り返って

自分の点数的には満足はいかなかったのですが、きょうは今までのリーグ戦の中で1番いい雰囲気で試合ができていたと思うので、そこは同期、後輩に感謝しています。

――3位決定戦の相手がケイオーということで特別な思いはありましたか

そうですね。やっぱりワセダに所属していたら意識せざるを得ない相手だったので、意識はしました。勝ちたいと思ってきたので、勝てて良かったです。

――第5戦での反省点はこの試合で克服できましたか

射形面ではまだまだ改善の余地があると思うのですが、応援の人とのアイコンタクトという部分は、きょうは結構できたのではないかと自分の中では思っているので、その点に関しては結構改善できたと思います。

――最後のリーグを振り返っていかがですか

楽しかったです(笑)。前も言いましたが、このリーグ戦の期間が大学生活で1番楽しかったと思えたので、それで終わることができてよかったです。

――9年ぶりの王座が正式に決まりました

多分9年前は自分の高校のコーチの代が王座に出られたときだと思うので、それ以来に出られてよかったです。自分は高校の時からそこに出たいと思ってやってきたので、そういう意味ではワセダの人や、高校のコーチに恩返しができて本当によかったです。でもまだ賞状を獲っていないので、賞状を獲ってから色んな人に感謝したいと思います。

――4年ぶりの1部でのプレーでリーグ3位という好成績を残しましたが、それについてはいかがですか

自分が入学した当初は今より全然点数が低かったので、よく4年間でこんなに点数が出せるチームになったなと率直に思っています。自分も頑張ったつもりなのですが、周りのみんなが頑張ってくれて、3位という成績でリーグ戦を終えることができたので、すごくありがたいことだなと思います。

――今後の目標を教えてください

自分は王座で引退の予定なので、王座の選手になるだけではなく、王座で活躍できる選手になって、部の目標であり自分の目標でもある男女王座制覇に貢献できる選手になって、目標を達成したいと思います。

根本翔平(創理4=東京・早大学院)

――きょうを振り返って

本当にリーグ戦の集大成といった感じで、みんな選手一同気合いもばっちりで、スタートからいい雰囲気で試合ができたし、応援もみんな良かったです。

――前回おっしゃっていた課題の克服は

きょうの結果を見る限り、50メートルでは、課題は克服できたんじゃないかな、と思います。

――30メートルは

30メートルはM(矢が的の得点圏に入らないこと)を出してしまったのを少しだけ後に引いてしまったかな、と感じます。

――リーグ戦をすべて終えて

やっと終わった、という感じです。1ヶ月ずっとやってきたので、ようやく一区切り終わったかな、と思います。

――最後のリーグ戦でした

やっぱり最高学年として点数を出さなきゃいけない、雰囲気を自ら作っていかなくちゃいけない、というプレッシャーはあったんですけれど、その中でも楽しくできました。この4年生でのリーグ戦が一番楽しかった気がします。

――今後の目標を

やっぱり王座男女制覇ですね。