これほど完璧な結果があるだろうか。リーグ戦本戦で全勝ブロック優勝を飾った男子部。1部昇格をかけた入れ替え戦で、1部に所属する明大、東洋大をも抑えてトップにたち、文句なしの昇格を果たした。「リーグ戦を全て勝って、入れ替え戦でも一位になり、1部に上がる」(高城佳之主将、スポ4=埼玉・栄東)。初戦で語った目標は、そのまま現実のものとなった。
この日引退を迎えた高城主将
1対1で行われるこれまでのリーグ戦と違い、4校が参加する入れ替え戦。1部の下位2校と、2部の上位2校が来シーズンの1部の座をかけて争う。人数も多く、応援にも熱が入った会場は、各校の歓声、歌声、拍手が絶え間なく鳴り響き、野球場のような賑やかさだった。こうして始まった前半の50メートル。第1エンドでワセダは唯一の300点代を記録し、2位に12点、3位と25点もの差をつけて、トップに躍り出る。それでもやはり緊張はぬぐえないのか、全体的に選手のガッツポーズや笑顔もいつもより控えめな印象だった。その後徐々に差を詰められ、第3、第4エンドではメイジと同点に。50メートル終了時点で1位~3位が12点のなかにひしめいた。
会場を盛り上げた応援メンバー
ちょうど1年前も、1位~3位が2点差という大混戦での折り返しだった。昨年も、同じく本戦全勝で、チームは勢いにのり、昇格はほぼ確実とされた中で入れ替え戦に臨んだのだ。荒天にも影響され、降りしきる雨の中で決まったまさかの「2部残留」。たった3点の差が彼らの夢を阻んだ。油断や安心が決して許されないことを、誰よりも知るチームだった。あれから1年。迎えた後半の30メートル。12点、19点、25点――。少しずつワセダのリードは広がり、ついにそのままワセダがトップを譲ることはなかった。「この一年間ずっと、リーグ戦で1部にあがることばかり考えて頑張ってきた」(平井大介、政経3=東京・早大学院)。1年越しの思いがつかんだ1部昇格。まるで待っていたかのように、この日は試合終了と同時に雨が降り始めた。
「素直に嬉しい。」示し合わせたかのように、いまの心境を問われた選手たちは同じ言葉を口にした。4年生である主将の高城は、リーグ戦最終日でもあるこの日が引退試合だ。「本当に楽しくやれて、いい経験が出来た」(高城)。1部昇格という一つの大きな目標を達成して、主将生活を締めくくった。一方、「一つ目標が達成されたら次の目標がみえてきた」(寺澤紀彦、スポ2=東京・足立学園)。これからのアーチェリー部を担う後輩たちは、次なる的を見定めている。「目標は、男女で王座(全日本学生王座決定戦)制覇」(中川裕太、スポ3=岐阜・大垣西)。一つの金星を射抜いたワセダは、また新たな的に照準を合わせた。
(記事、写真 建部沙紀)
結果
男子 ○早大3792-明大3766―明学大3762―東洋大3636
※上位2チームに入ったため、来年度1部昇格
コメント
高城佳之主将(スポ4=埼玉・栄東)
――リーグ戦を振り返って
今回は自分のなかで良くて強いチームを作ることを目標にしていて、後輩も上手くやってくれたし、私自身も選手として頑張れて、本当に楽しい試合でした。
――4年間を振り返って
最初は結構上手かったんですけど、途中で下手になって、主将をやっている1年間は「絶対に引けないな」、という思いでやってきました。最後の主将としての一年間は本当にきつかったですけど、それなりに結果が残せたので、本当に楽しくやれて、いい経験が出来たな、という感じです。
中川裕太(スポ3=岐阜・大垣西)
――1部昇格について
やっと、っていう感じです。個人としては、良くはないです。他の人に支えられてきょうは勝ったと思うので、来年、王座に行くときにはしっかり自分が引っ張れるようになりたいなと思います。
――来年は最高学年として、どんなチームを作っていきたいですか
きょうみたいな雰囲気を来年も作っていけたらな、と思います。目標は、男女で王座制覇です。
平井大介(政経3=東京・早大学院)
――1部昇格について
この一年間ずっと、リーグ戦で1部にあがることばかり考えていて、頑張ってきたので、素直に嬉しいです。全勝出来たことと、一部に上がれたことが嬉しいです。
――来年の目標
来年は、王座に出られるように、ショートハーフも、全体的に、アーチェリーの向上をはかっていきたいと思います。主務なんですけど(笑)合間をぬってちょっとずつ練習していきたいです。
根本翔平(創理3=東京・早大学院)
――リーグ戦を振り返って
最初は試合に出られていなかったんですけど、後半から少しずつ実力が戻ってきて、入れ替え戦にも出られることになりました。ギリギリですけど点数でもチームに貢献できて、素直に嬉しいです。
――いよいよ最高学年です
来年は王座を目指すということで、いま以上に練習を重ねて、先輩として、点数でも精神的にもチームを引っ張っていけるようになりたいと思います。
寺澤紀彦(スポ2=東京・足立学園)
――きょうの感想
昇格したのはすごく嬉しいです。でも、自分がいつもと同じパフォーマンスでチームに貢献出来なかったことが、悔しいです。
――それは緊張からですか
緊張してることさえ分からない緊張というか、緊張してないつもりでも、緊張がすごく大きかったので、緊張しても、点数が変わらないくらいもっと練習して、来年のリーグ戦までには、成長して臨みたいかなと思います。
――今大会での活躍について
きょねんリーグ戦を見て、そこに立ちたいと思っていました。ことしになって、その念願のリーグ戦出場を出来て、すごく楽しいし嬉しいし。でもやっぱり一つ目標が達成されたら次の目標がみえてきたというか、チームに選手として出て、今度は活躍したい、っていう思いが出てきました。この先はチームの中心になって、もっと安定した、みんなから信頼されるアーチャーになりたいと思います。
山本周平(スポ2=山梨・甲府一)
――リーグ戦を振り返って
とっても楽しかったです。ことしは、チームとして絶対すべて勝つという意思があったので、それを貫き通すことが出来のがとても良かったです。自分のなかでも、悔いの残らない射が出来たと思うので、これからにつなげていきたいです。
――来週の東日本にむけて
強気でどんどん攻めていきます。きょねんがイマイチだったので、まずは上位進出を目指していきます。
田寺洋貴(人2=茨城)
――1部昇格について
やっぱりきょうはちょっと緊張したんですけど、いつも通りの試合で、チーム一丸となって戦えたので、素直に嬉しいです。全勝したことが嬉しいです。
――今後の目標
まず来週に国体の予選があるので、選手になれるように頑張ります。他の個人戦も、優勝を狙えるように、練習していきたいと思います。
衣斐直也(スポ1=岐阜・大垣西)
――きょうの感想
きょうは、早稲田大学アーチェリー部として、一丸となって勢いよく最後までいけたので、良かったと思います。すごく楽しかったです。本当に一部にいけることになって、良かったです。
――リーグ戦を通して得たこと
大学と高校は試合の様子というか、応援などが全然違うんですけど、それにちょっとずつ慣れてきたかな、と思います。
――4年間の目標
先輩たちに勝っていきたいです。あとは近大、日体大が強い、というのが常識になっているのですが、それを壊していきたいです。