2年生の躍動でチーム新の大勝

男子アーチェリー

 リーグ戦第4戦。ゴールデンウィーク2日目のこの日、まさに行楽日和の吉祥寺で、対神大戦が行われた。掛け声が響き、はつらつとした雰囲気の早大男子部は、序盤から高得点を連発。最終合計得点3844点で、チーム新記録をたたき出した。快進撃の続く男子部。なかでもひときわ存在感を放っているのが、山本周平(スポ2=山梨・甲府一)、寺澤紀彦(スポ2=東京・足立学園)の2年生コンビである。

30メートル自己新の山本

 まずはこの日最高得点をあげた主軸、山本周平だ。「最近自分のなかで迷走しているところがあった」と語った山本。変化が訪れたのは、このリーグ戦4戦目となる試合のさなかだった。この日も、「始めの方は自分の感覚通り射てていなかった」と、決して好調とはいえないスタート。しかし、天候の良さ、そしてチームの作り出した良い雰囲気にも押され、少しずつ自分の感覚を調節する。アーチェリーは、ほんのわずかな違いが、矢の当たる位置に大きく影響する繊細な競技だ。「感覚がつかめた」、という後半の30メートルでは、各60点満点の6セット中、60点を2回、59点が3回、という高精度で、354点の自己新記録をマーク。長いトンネルを抜け出した瞬間だった。

今季大活躍の寺澤

 一方ここまでのリーグ戦、ワセダの立役者となっているのが、同じく2年生、寺澤紀彦である。1戦目、2戦目ではチームトップの数字を出し、申し分なくチームの主力となった新星は、まだ競技歴1年。大学入学後からアーチェリーを始め、この春2年生になったばかりだ。昨季のリーグ戦には、応援する側として参加していた寺澤。「選手としてあの8人のなかに立ちたい」。1年間彼を支えたのはその思いだった。アーチェリーの基本となるのが、弓を射つ時の姿勢、「射形」である。2年生の寺澤がそれを学んだのはちょうど1年前のことだ。教わったことを忘れないよう、毎日家で確認したという。今大会での躍進は、決して調子が良かったからではない。そんな努力に裏付けられた、折り紙つきの「実力」である。

 大学対抗で行われるリーグ戦。しかしライバルとなるのは、対戦相手の学校だけではないのかもしれない。エース山本、ホープの寺澤。切磋琢磨する二人の2年生が、これからのワセダの担い手だ。

(記事、写真 建部沙紀)

結果

男子 ○早大3884-3605神大

コメント

山本周平(スポ2=山梨・甲府一)

――きょうを振り返って

きょうの始めの方は自分の感覚通り射てていなかったので、始めの方は自分のなかでいまいちでした。でも原因を探して、きょうは天気が良かったこともあって、少しだけ挑戦してみようかな、と思い、挑戦して感覚がつかめたので、後半は思った通りに射てて良かったです。

――原因とは

自分の射ちかたのちょっとした感覚の違いです。それを少しだけ変えました。

――練習や試合で意識している点

最近自分のなかで迷走しているところがあったので、何が違うのかを一定のポイントで考えて、リズムなどを一定にすることを意識して射っていました。それが今回当たったのだと思います。

――チーム全体の雰囲気は

今回とても良かったと思います。やりやすかったです。

――チームの好調の要因は

皆が、相手どうこうでなく、チームのなかでよりいい状態を作り出そうとしているところだと思います。

――寺澤選手はいかがですか

最近負けていたので(笑)、きょうは自分の調子も取り戻せて、勝てて良かったです。

――残りのリーグ戦の意気込み、目標

きょう学んだことをより一層深くつかんで、今後の、東日本(全日本学生東日本)などの大きな大会で活かしていこうと思っています。

寺澤紀彦(スポ2=東京・足立学園)

――きょうの感想は

今まで基本的に周平君(山本周平)が僕より上で、きょう周平がとても当てていたので、僕も負けていられないな、と。最後までやる気が消えずに射ちきれたので気持ちよかったです。

――昨季から調子を上げた要因は

去年、この時期に試合を見せてもらって、応援の雰囲気、試合の雰囲気をみて、選手としてあの8人のなかに立ちたいな、と思いました。大学生から始めても選手として活躍できるように頑張りたい、とそれだけを考えていました。同期にも周平君がいて、上手い先輩方もいて、その方たちを目標にして頑張ってこられたかな、と思います。この先も、周平君と(笑)、後輩、先輩に負けないように頑張っていきたいです。

――(昨季)具体的にどのような練習を

一番初め、弓を打つ前にゴムで射形を確認するのですが、それをとにかく家で毎日していました。忘れないように、先輩から言われたことを確認して、始めの方に毎日やってきたことが自分の中で大きいかな、と感じています。

――練習や試合で意識している点

試合のときに、(練習と)違う感じにならないよう、いつも通りできるよう、練習のときも試合を意識しています。練習で感覚が悪いときなども、そんなに気にせず、試合で切り替えて臨めるように考えています。

――今後の目標をお願いします

インカレで、良い成績を残せるように、周平君にも勝てるように、大学生から始めてもできるんだ、という結果が残せたら、と思います。