「秋の大きな目標の一つ」(守屋麻樹監督、平3政経卒=東京・杉並)である早慶戦。毎年両校で交互に行われるこの試合が、ことしは早大所沢レンジで開催された。関東学生リーグ戦(リーグ戦)と同じく、各選手が50メートル、30メートルをそれぞれ36本ずつ射ち、男子は上位6人、女子は上位4人の合計得点で争われる。早大は、持ち味である選手と応援が一体となった試合を見せて、男女ともに勝利。リーグ戦前最後となる団体戦で夏の成果を発揮すると同時に、次の課題も見えてきた。
円陣を組む男子部
男子部では、山本周平(スポ2=山梨・甲府一)、寺澤紀彦(スポ2=東京・足立学園)の2年生コンビが変わらぬ実力をみせた。守屋監督も注目選手としてあげた2人は、それぞれ最終得点が677点、657点でチーム1、2位。そして2人に続いたのは衣斐直也(スポ1=岐阜・大垣西)、平井大介(政経3=早大学院)である。これまでと同じメンバーが安定した成績を見せたが、鈴木惇志主将(創理3=東京・早大学院)が今後の目標としてあげたのは、選手層を厚くすることだ。この春1部昇格を果たした男子部。次の目標は1部優勝、そして全日本学生王座決定戦(王座)の制覇であり、チーム全体の点数を上げていくことが欠かせない。春までに、正選手として活躍できる選手をどれだけ増やすことができるかにワセダの今後がかかっている。
新メンバーも加入した女子部
一方の女子部は、リーグ戦とは違った顔触れでの戦いとなった。新たに加わったのが、中村とも枝(スポ2=神奈川・横浜国際)、羽生千春(人1=神奈川・横浜翠嵐)の2人。ともに大学入学後からアーチェリーを始めたものの、「リーグ戦で活躍してほしい」(林香里女子リーダー、スポ3=奈良学園)と期待も大きい。女子部は、これまでチームの大黒柱となってきた野村美加(スポ4=石川・金沢桜丘)が引退。今後もワセダが勝ち続けるには、リーダーの林に続き、また超えていくような選手が必要となることは間違いない。同じく未経験からスタートし、いまやチームの主力となった男子部の寺澤のように、更なる飛躍を見せてほしい。
「自分たちの当り前のレベルを上げていきたい」(守屋監督)、「選手層を厚くして、もっと高いレベルで点数を出せるように」(鈴木主将)、「未経験の人にもリーグ戦で活躍してほしい」(林女子リーダー)と、目標のリーグ戦、そしてその先の王座制覇に向けて、ワセダが目指すのは男女ともに選手全体の底上げだ。次にチームで挑む試合は、いよいよリーグ戦である。4月まで残り5カ月――この冬を終えたとき、ワセダはどのような進化を見せてくれるのだろうか。
(記事、写真 建部沙紀)
結果
男子 ○早大3862-3840慶大
女子 ○早大2533-2422慶大
コメント
守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)
――きょうの試合について
代が替わった後、個人のシーズンが続いていたんですけれども、チームとしては早慶戦というのが秋の大きな目標の一つだったので、そこで良い点数で勝てたというのは良かったなと思います。あとは3年生が頑張ったのが良かったです。
――代替わりの後、チームに変化は
どうしても最初はバタバタすると思うんですけれども、夏合宿でも色々と話し合いをして、いつもミーティングをたくさんしているので、例年に比べたら早いできあがりで、いい形のチームができているかなと思います。
――最近の練習で重視している点
目的意識をもつということですね。何のためにいま練習をしていて、自分の目的や目標に対してこの練習はどうつながっていて、何を自分はしなくてはいけないのか、ということですね。
――注目選手は
男子はやっぱり2年生の山本周平と寺澤紀彦(スポ2=東京・足立学園)ですね。女子は女子リーダーの林がこれから先もっともっと伸びてくると思います。
――男女ともに新しい選手も加わりました
そうですね。女子の羽生はまだ初めて数カ月なので、50メートルもここ1、2カ月で射ちはじめたばかりで。頑張っていると思います。
――これからについて
まだまだ点は出せると思うので、もっと自分たちの当り前のレベルを上げていきたいです。リーグ戦で、男女ともにことしは1部なので、関東で優勝ということと、その先の王座で優勝というのを狙っているので。上位校と比べるともっと頑張らなきゃいけないと思いますので、もうちょっと点が出せるように。精神的にもですが、本当に練習をしなければうまくいかないスポーツだと思いますので、うまく練習もしながら、上を目指していきたいと思います。
鈴木惇志主将(創理3=東京・早大学院)
――きょうの感想
チームとしての点数目標は達成できなかったんですけれども、雰囲気もよく、結果として勝利をつかむことができたので、有意義ないい試合になったんじゃないかなと思います。
――チームの雰囲気について
非常によかったですね。理想としている、選手と応援がみんなで盛り上がってみんなで点数をもらうというスタイルができたと思います。
――最近の練習について
練習のときから、声掛けや、盛り上がるべきところは盛り上がるなど、雰囲気作りは意識していますね。射ち方については、夏休みで培ったものを伸ばそうということで、各自に任せてやっています。
――きょうの試合では練習での雰囲気作りが活かされました
そうですね。ケイオーもきっととても勝ちたいと思っていましたし、その気持ちの差、応援の差が勝利につながったと思います。
――今後の練習は
結果として勝利はしましたが点数が出ていないので、応援だけでなくて、選手層を厚くして、もっと高いレベルで点数を出せるように、練習試合などで多くの人が経験を積んで、1年生から3年生まで全員がリーグ戦に出られるように、実践レベルの選手になれるように、各自が高い意識をもって練習していくと思います。
――今後の意気込み
リーグ戦全勝して、王座に行って王座を制覇します。
林香里女子リーダー(スポ3=奈良学園)
――きょうの感想
チームとしては六大学(定期)戦以来の試合で、久しぶりのショートハーフの試合だったんですけれども、雰囲気はちゃんと作れて、楽しく射てたなと思います。
――きょうの目標は
個人個人で目標をたてて、それを足した点数を出す、というふうにしていて、その目標には足りなかったんですけど、久しぶりに2500点代にのって、チームに勢いはついたかなと思います。
――羽生選手や中村選手など、新しい選手も出場しました
2人とも大学から(アーチェリーを)始めたんですけど、とても上手で、羽生さんは1年生で始めたところなのにだいぶ試合でも練習くらいの点数が射てているので、そういう未経験の人にもリーグ戦で活躍してほしいなと思っています。
――今後の目標
次の大きな目標はリーグ戦になるので、リーグ戦に向けて、寒くなりますが、しっかり意識を高く持って練習していきたいなと思います。