団体で戦ってきたリーグ戦から1週間。そのリーグ戦で良い成績を収めた選手の みが出場できる全日本学生東日本に、女子部からは野村美加(スポ4=石川・金沢桜丘)、林香里(スポ3= 奈良学園)が、男子部からは山本周平(スポ2=山梨・甲府一)、寺澤紀彦(スポ2=東京・足立学園)の、 合わせて四名が出場した。早大勢にとっては野村の6位が最高成績となり入賞者は現れなかったが、それぞれ 今後に向けて実りのある大会になった。
昨年の得点を上回り、1年間の成長をみせた野村
1日目はロング(70メートル、60メートル)が行われ、女子部の2人は、それぞれ野村が3位、林は9位で大会を折り返した。入賞圏内で初日を終えたが、もともと野村はロングが得意ではない。そのため、リーグ戦を終えてからロングの対策を講じてきた。昨季の全日本学生王座決定戦(王座) の動画を見返し、ロングでもしっかりと当てていた自分に射形を学ぶ。そしてその射形をとにかく実践し続けた。その甲斐あってか、ロングの成績はどちらの距離も300点を超え、自らの出来に笑顔を見せた。しかし2日目のショート(50メートル、30メートル)は野村、林共に順位を落とす。野村は6位、林は13位で大会を終えた。「50メートルで点数が悪かったので、全体的に点数が出なかった」と自らを分析した林。リーグ戦の成績と比べても、実力を発揮しきれていないことは明らかだった。なぜいままで通りに射つことができなかったのか。それは、王座に向けて70メートルの練習に注力していたため、ショートの練習が不足してしまったのだ。ロングでは林も300点前後の成績を残している。リーグ戦を終えてから練習してきたことに間違いはなかった。王座に向けて1日目の成績は心強いものであることに変わりはない。
男子60名、女子38名が北海道に集結した
一方男子部は1日目のロング(90メートル、70メートル)を山本が6位、寺澤が21 位で終える。山本は90メートルで苦戦したが得意の70メートルで巻き返しに成功。総得点が団子状態になっていたこともあり、入賞を十分に狙える位置につけた。寺澤は練習量の不足を感じつつも不安はなく「そんなに悪い点数じゃなかった」と1日目を振り返った。しかし、それはあくまで今回の練習量をおもんばかっての言葉。「(次は)もっとしっかり練習して、もっと良い点数が出せたら」と意欲を見せた。2日目の ショートでは寺澤が成績を右肩上がりに伸ばす。1日目は寒さで「自分でも(原因が)わからないミスが増え た」が、2日目は暖かく穏やかな気候だったため「射ちやすかった」と寺澤は語った。また、緊張せず今大会に挑めたことが良い意味で影響したようだ。最終順位は山本が7位、寺澤が14位。山本は入賞を狙える位置にいながらも、果たすことができなかった。しかし、リーグ戦の反省点であり課題だった「テンポ良く射つ」 という点は克服できたため、悔しいだけの大会ではなかったようだ。
入賞はならなかったものの、四選手からは充実の色が見てとれた。王座、国民体育大会選 考、全日本学生個人選手権と選手によって照準を合わせる大会は異なるが、今大会でつかんだ手ごたえや反省 点はどの大会でも活かすことができる。早大アーチェリー部として、個人としてのこれからの活躍に期待せざるを得ない。
(記事 目黒広菜、写真 建部沙紀)
結果
▽男子
山本周平 1267点【7位】
寺澤紀彦 1250点【14位】
▽女子
野村美加 1270点【6位】
林香里 1216点【13位】
コメント
野村美加(スポ4=石川・金沢桜丘)
──2日間を振り返ってみて
あまり調子が良くなかったので、調子が良くない中ではすごく良い試合ができたのではないかと思います。調子 が悪い中で当たらない時とかもあるのですが、その中でもここだけはやろうって決めたこととか、こういう風に いこうと決めたこととかはしっかりと貫き通せたので、できない中でもベストは尽くしたと思います。
──ここだけはこうしよう、というのはどういったことですか
強気で攻めるとか、(弓の)引き方でしっかり引き付けようということは決めていました。
──1日目を3位で折り返しましたが、ロングは得意ですか
いや、逆にショートのほうが得意です。きのうは60メートルが思ったよりも当たって、全然練習できていなか ったので、きのうも引き方など、それだけを考えてやっていたので、きょうもそれを続けようとしたのですが …。
──思ったようには点が伸びなかった
そうですね。ショートの点はリーク戦とあまり変わらない感じで取れました。しかし、(ロングの点数は)実力 と同じくらいの点数なのかなと思います。
──リーグ戦の反省などは生かせましたか
ロングはかなり生かせたと思います。70メートルは優勝決定戦で全然当たらなかったのでその後ずっと練習し ていて、きょうも300点台には乗ったので、一応少しは生かせたかなと思います。
──ロングはどのように修正しましたか
優勝決定戦の直前に、きょねんの王座の当たっている時の射を見て、射形が今と少し違うなと思ってちょっと直したり、こうだったかなとかいろいろ探り探りでやってみました。そうしたら当たる時があったので、この大会 でも同じ撃ち方をしようと思って、ずっとやり通しました。
──2日間通して良かった点、悪かった点は
順位は下がりましたが点数で言えばきょねんより全然良いので、調子が悪い中で1270点なら頑張ったほうか なと思います。そこは良かったのですが、このように大きな大会に調子を合わせられなかったことだったところ とか、今回はベストコンディションで、ちゃんと調子が良ければ1300点も狙えたと思うので、そういうところが良くなかったかなと思います。
──きのうときょうの寒暖差がありましたが、影響はありましたか
特にはありませんでしたが、寒くてつらかったです…(笑)。
──不調の原因は何だとお考えですか
言い訳にはしたくないのですが、就活があって本数が減ったりだとか、あとは普通に射っていて当たるという感 覚が分からなくなってきたりだとか、そういうところが原因だと思います。
──次の大会は
国体選考が私個人としてはあるのですが、部としては王座ですね。
──王座に向けての課題や目標を教えてください
目標は王座優勝なのですが、きょう見ていても分かるように実力が足りなくて二人しか出ていません。王座では3人射つのでその時点でもっとレベルアップしないといけないですし、私と林が女子では出ていましたが、70メートルがそんなによかったわけではないです。王座で優勝を狙うには、もっともっと点数を出していかないと駄目だなと思っているので、そこを残り1ヶ月間で改善できればいいなと思います。
林香里(スポ3=奈良学園)
――2日間の感想をお願いします
もうちょっと点数を出したかったんですけど、これが今の実力なのかな、と思いました。
――きょうの50メートルでは点数が伸びませんでしたが、きのうの疲れはありましたか p>
そういう訳ではないんですけど、50メートルで点数が悪かったので、全体的に点数が出なかったのだと思い ます。
――原因は
ちょっと射つときに色々考えてしまったり、悩んでしまったりして思い切れなかったのが原因だと思います。 p>
――リーグ戦(関東学生リーグ戦)以降、今回に向けての調整はじゅうぶんに行えましたか
どちらかというと、王座(全日本学生王座決定戦)に向けて70メートルを射っていて、それ以外はあまり射 ってなかったので、そういう意味では、これに向けてはあまり準備はしっかりできてなかったです。
――王座への意気込みをお願いします
目標の優勝を達成できるように、あと一ヶ月しっかり練習したいと思います。
山本周平(スポ2=山梨・甲府一)
──2日間を振り返ってみていかがでしたか
楽しかったです。
──きょねんより順位がかなり上がりましたが、それについての感想は
きょねんは体調を崩してしまったりしたのですが、ことしは自分のベストな状態で挑めたのでよかったです。 p>
──1日目は6位で折り返しましたが、ロングは得意ですか
うーん…、長い距離はちょっと苦手な印象があるんですよ。90メートルのほうはあんまり良い印象が無いの で、今回はそこまで悪くはないかなという感じです。70メートルは自分の好きな距離なので、そこで巻き返す ことができました。
──長い距離に対してどのような対策を取られましたか
対策としては長く引きすぎない。なんていうか、狙いすぎると長い距離ほど当たらなくなってしまうので、力が どんどん入らなくなっていくんですよ。
──リーグ戦の反省などは生かせましたか
リーグ戦の反省点としてはテンポ良く射つというのを意識していたので、その点については結構良かったのかな と思います。
──調子はいかがでしたか
何とも言えないのですが、良かったほうだと思います。
──2日間で寒暖差がありましたが、影響はありましたか
北海道だから寒さ対策はしてきたのですが、想像していたより寒かったので、そこらへんは失敗しました。で も、自分の思い通りにはできました。
──良かった点や悪かった点があれば教えてください
良かった点はさっき言った通りリズム良く射てたということ、あとプラス思考でいけたことですかね。悪かった 点は自分の感覚の同じ繰り返しができなかったことです。
──同じ感覚の繰り返しというのは
自分の体の位置やバランスのコントロールがうまくいきませんでした。
──次の試合は
国体で地元のほうに戻ります。
──国体での課題や目標があれば教えてください
もう少し長い距離の練習をして、良いイメージをもっと作っていきたいですね。
寺澤紀彦(スポ2=東京・足立学園)
――試合全体の感想をお願いします
やっぱり周りを見ると、名前を知っていたり、噂で聞いていたりしたすごい先輩や同期の選手がたくさんいて。 でも緊張はしなかったです。ここまで来たらどうせ誰も自分のことなんて知らないし(笑)、自分なりに、こう いう場所でもいつも通り点数が出せたらいいな、と臨めました。緊張とかがなかったから良い点数も出たので、 楽しかったし、すごく良い経験になりました。
――きょうはきのうから順位をあげられましたが、きのうの疲れはなかったですか
きのうは寒くて、寒いと、アーチェリーはそれだけで自分でも分からないミスが増えるんですけど、それに比べ てきょうは、きのうも充分休むことができたし、暖かくて射ちやすい環境だったので、本当に良いコンディシ ョンのなかで射てたな、と思います。
――リーグ戦以降、90メートル、70メートルの練習は充分にできましたか
正直充分と言える練習量は確保できてなかったんですけど、少しずつ練習はして、その中で自分的には全然問題 ないというか、不安はない状態でした。この練習量で臨んで、普段とそんなに差がない点数が出せたら充分だな と思っていて、それで今回の大会でそんなに悪い点数じゃなかったので、全然問題なかったです。でも次出ると きは、もっとしっかり練習して、もっと良い点数が出せたらな、と思います。
――今大会を通じて得たものはありますか
やっぱりこういうところに来ると、欲が出るというのか、守ろうとしてしまって。でもそうするとよく分からな い緊張があるようで、それだけで本当に大きく外したりするので、こういう大会でも、これから先どんな試合で もそうですけど、攻めの姿勢というか、気持ち的に油断しないように、どんな時も大胆に射てるようにするべき だな、と思いました。