ミスが響き明大に逆転負け 甲子園への道断たれる/明大戦

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS
明大 GRIFFINS 10 16

 11月12日、秋を全く感じさせない冬空の下、横浜スタジアムにおいて関東大学秋季リーグ第6節、早大BIG BEARSと明大GRIFFINSの試合が行われた。第1クオーター(Q)は両者譲らずなかなか点が入らない。試合が動いたのは第2Q。FGで明大に先制点を許すも、RB花宮圭一郎(文構4=東京・足立学園)の独走ランによるTDで逆転に成功する。しかし、第3Qではピンチを招き明大に追加点を許し、第4Qは耐え続けながらも反則が仇となり、試合は7-16で無念の敗戦となった。

旗手として先頭で入場したDB佐藤新太朗(法4=東京・早実)

 早大の攻撃から始まった本試合。オフェンスが明大ディフェンスを崩すことが出来ず、猛攻に耐える時間が長く続く。立て続けに1stダウン更新を許してしまうが、LB原康介(法2=東京・早大学院)やDL斉藤菜穂都(政経3=東京・早大学院)のタックル、DB粕田俊(商3=東京・早大学院)の好ディフェンスが光り、相手の得点を許さない。RB安村充生副将(文構4=東京・早実)の怒涛のランにより1stダウンを獲得する場面もあったが、得点にはつながらず。両者無得点のまま第1Qを終えた。第2Qに変わり、ようやくスコアが動く。FGにより先制点を許してしまうが、その後のオフェンスですぐに取り返す。QB國元孝凱(社4=東京・早大学院)からWR嘉屋光希(文構4=東京・早大学院)へのパスが通り1stダウンを更新。さらにQB國元からWR上野陸(社4=東京・早実)へのパスも成功させると、RB花宮が54ヤードの独走ランを見せてTDを決めた。第2Q後半にFGを決められるも、7-6とリードを保ったまま前半を折り返した。

独走の逆転TDを見せたRB花宮

 オンサイドキックをK曽木聡(スポ4=東京・国学院久我山)が自らキャッチし、幸先よく始まった第3Q。しかし、オフェンス、ディフェンスともに苦しい展開が続く。DL廣瀬灯遥(スポ4=埼玉・立教新座)とLB石黒哲(政経3=東京・早大学院)のロスタックルでTDこそ許さなかったが、FGを決められ逆転。さらに早大の4thダウンでのパントをブロックされ、そのままエンドゾーン付近まで攻め込まれてしまう。TDまでわずか3ヤードからのディフェンスとなったが、DL伊藤寛太郎(商2=東京・成蹊)やLB石黒のタックルなど粘り強さを見せ、なかなかスクリメージラインを割らせない。が、力及ばず4thダウンでラインをこじ開けられ、TDを許してしまう。続く第4Qで逆転を図りたい早大であったが、依然として試合の流れを掴むことが出来ない。RB安村のランやQB八木義仁(政経3=東京・早大学院)からWR入江優祐(商3=大阪・関西大倉)へのパス成功。パント隊形からTE工藤航世(文3=埼玉・栄東)にボールをスナップするスペシャルプレーなど、果敢に攻め込んだが、3度の被インターセプトを受け、攻撃をつなげられない。最後まで明大に追いつくことができず、7-16で敗戦という形に終わった。

TDをぎりぎりで防ぎ、吠えたLB石黒

 花宮の鮮やかなTDが飛び出し零封は回避したものの、後が続かずチームとしては痛い敗戦となった本試合。しかし、大量失点は決して許さない鉄壁のディフェンスと、何度でも立ち向かい続ける勇敢なオフェンスはまさにディフェンディングチャンピョンの意地ともいえる。秋季リーグ戦は法大戦のみ。王者のプライドをかけた戦いから目が離せない。

(記事 富澤奈央、写真 安齋健、五十嵐香音)

担当記者のPICK UP PLAYER

選手入場前のBIG BEARS。佐藤(7番)は旗手を務めた

 今季の早大BIG BEARSを毎試合取材していると、試合中のグラウンドで一際大きな声を出す選手に自然と目がいく。今年のパスディフェンスの柱の1人であるDB佐藤新太朗(法4=東京・早実)だ。プレー前は相手の陣形やモーションなどから自らが気がついたことを叫び、プレー後はチームメイトたちと喜びを分かちあう。その姿はチームを盛り立てるムードメーカーそのものだ。今年からスターターに名を連ねている佐藤だが、スタメンDB陣では唯一の4年生でもあるため他の3年生DBたちを束ねる立場でもある。アグレッシブなパスカットを見せるなど個人としても活躍を見せているが、佐藤自身は「3年生にいつも助けられている」と謙虚に話す。甲子園への道が閉ざされ、チームの雰囲気が以前よりも暗くなってしまうだろう。そんな時こそ佐藤のパッションがチームを盛り上げ、最終戦で早稲田らしさを取り戻す一助になることは間違いない。

(記事 田部井駿平、写真 安齋健)

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
明大 FG #4近藤 0-3
早大 RUN #25花宮 #11曽木 7-3
明大 FG #4近藤 7-6
明大 FG #4近藤 7-9
明大 RUN #87佐藤 #4近藤 7-16
星取表(11月14日現在)
  早大 法大 明大 中大 立大 東大 慶大
早大 11/23 7●16 36○0 20●21 44○0 17○0
法大 横浜 14○6 44○7 6○3 20○0 21○14
明大 16○7 6●14 11/23 10●14 27○7 20○0
中大 0●36 7●44 横浜 14●20 21〇11 7●3
立大 21〇20 3●6 14〇10 20〇14 11/23 31〇6
東大 0●44 0●20 7●27 11●21 横浜 20●45
慶大 0●17 14●21 0●20 7○3 6●31 45○20
コメント

髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――横浜スタジアムに会場が移り、さらに負けられない試合だったと思います。どのような意気込みで試合に臨まれましたか

 前節と同じく、この試合に負けると甲子園への道が断たれる試合でしたが、しっかりと自分たちのフットボールをやろう。そのために、自分ができることをそれぞれが体現しようと話をしてきました。

――ターンオーバーが多い試合でしたが、その要因は何かありましたか

 相手のDLが強く、QBへのプレッシャーがあったと思います。

――悔しい敗戦になったと思います。試合後に選手たちへ何か声をかけられましたか

 相手がというよりも、反則が多かったし、いままだ取り組んできた早稲田のフットボールができなかったことが今日の敗戦となりました。次の法政戦は、一年間このチームが取り組んできた成果を出す試合にしよう。来年の日本一、これからもチームを強くしていくための試合にしようと話しました。

――最後にリーグ最終戦である法政戦への意気込みをお願いします

 全員で取り組んできたことが100%出せる試合になるように皆で取り組みます。

WR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)

――今日の試合振り返っていかがでしたか

 自滅の部分が多かったかなと思います。要所要所の大事なところでホールディングやインターフェアなどの反則で、自分たちを苦しめてしまいました。それこそ春先から夏に通して言ってきた自分たちのフットボール、早稲田らしいフットボールが最後までできなかったと思います。

――ターンオーバーの多さもモメンタムをつかみ切れなかった要因でしたか

 ああいうターンオーバーはゲームの流れが大きく変わるポイントです。ファンブルやインターセプトがあって、逆にうちはターンオーバーに持っていけなかったので、そこは次の法政戦もそうですし、来年以降のチームの課題かなと思います。

――前半は逆転のTDがありましたが、後半は0点に抑えられてしまいました。前後半で何か変化はありましたか

 やっぱり前半見ていてうちの反則が多かった。それとオフェンスでも思うように出せていなかった部分があったので、自分たちのこれまでやってきたフットボールをしっかりと出し切ろうという話はしました。

――最終戦の法大戦への意気込みをお願いします

 まだチームが終わったわけではないので、来週の法政戦に向けて全員で一丸になりたいです。ここからの10日間の取り組み次第で、今年のチームの終わり方や来年へのつなぎ方がだいぶ変わってくると思うので、そこを上級生中心にやっていければなと思います。

QB國元孝凱(社4=東京・早大学院)

――前節から試合に復帰されました。今日の試合にどのような意気込みで臨みましたか

 とにかく試合に出れることに感謝しながら臨みました。いままでは試合に出るのが当たり前になっていたので、改めてアメフトをできることの幸せさを噛み締めながら出場しました。自分がエースとして勝ち切ることだけを考えて寝ました。

――前節からQB八木義仁(政経3=東京・早大学院)選手との併用という形での出場でしたが、ご自身の出来栄えも含めて今日の試合振り返っていかがですか

 併用はやはり難しいと感じました。やはり絶対的エースが存在しないとチームは勝てないということを学び、後輩には絶対的エースを勝ち取れと伝えました。試合は厳しいシチュエーションが続きましたが、非常に楽しかったです。

――オフェンスとして、相手の圧に押される厳しい展開となったと思います。試合全体で波に乗り切れず、我慢の展開が続いた要因はありますか

 オフェンスがドライブできなかったことが原因だと思います。簡単にディフェンスに回してしまったことによりディフェンスに負担をかけてしまいました。

――次節への意気込みをお願いします

 勝ちます!