中大に快勝し連敗を回避 リーグ戦終盤へ弾みをつける/中大戦

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 15 14 36
中大 RACCOONS

 立大戦で試合時間残り1秒からまさかの逆転負けを喫し、あとがなくなった早大BIG BEARS。負けられない試合が続く中、関東大学秋季リーグ戦第5節では中大RACCOONSと対戦した。第1クォーター(Q)にパントブロックからRB安藤慶太郎(社2=東京・早大学院)のTD(タッチダウン)で先制すると、後半には4つのTDを決め、相手を突き放す。ディフェンス陣はDB木村大地(法3=東京・早大学院)の2つのインターセプトなどで中大オフェンスの得点を許さず、2試合ぶりの勝利。秋季リーグ戦終盤に向けて、弾みのつく試合となった。

タックルに対して手を使いかわすRB花宮

 早大のキックで試合が開始される。中大のオフェンスを抑え、攻撃権を得ると、怪我から復帰し今季初出場となったQB國元孝凱(社4=東京・早大学院)のパスプレーで、1stダウンを2回更新する。しかし、ファーストオフェンスシリーズでは得点できず、攻守が交代。続くディフェンスでは、LB原康介(法2=東京・早大学院)のロスタックルなどで中大のオフェンスを封じ、パントを選択させる。ここで、DB塚田隼也(商3=東京・早大学院)がパントをブロック。RB安藤がリターンしTDを決め、幸先よく先制する。第2QではRB花宮圭一郎(文構4=東京・足立学園)の個人技が光る。2回のオフェンスドライブで、それぞれ30ヤードを超えるランで敵陣まで侵入するが、いずれも得点に結びつけることはできない。終盤には、QB國元からWR入江優祐(商3=大阪・関西大倉)へ40ヤード越えのロングパスが通り、再びチャンスをつくる。しかし、残り11秒となったところで、QB國元のパスをインターセプトされ、攻守交代。結局追加点を上げることはできず、前半を終える。

ボールを拾い、先制のTDを決めたRB安藤

 レシーブで後半を開始した早大は、ランとパスを織り交ぜレッドゾーンに侵入する。QB八木義仁(政経3=東京・早大学院)からWR入江へのTDパスによって、後半最初のオフェンスドライブで待望の追加点を決める。得点直後のディフェンスでは、ここでもDB鈴木晴貴(基理3=神奈川・鎌倉学園)がパントのブロックに成功し、レッドゾーン付近から攻撃が開始。RB花宮のランを中心に1stダウンを更新し、最後も敵陣1ヤードからRB花宮のTDランで、中大を突き放す。このPAT(ポイントアフタータッチダウン)でキックを選択した早大だったが、スナップが低く、ホルダーを務めていたQB八木がボールを取り損ね、後ろへ逸らす。しかし、ボールを拾ったQB八木は冷静にTE小原有貴(社4=愛知・旭丘)へのパスを通し、結果的にプレーで得点。思わぬかたちで2点を追加した。第4Qでは、パスプレー中心の中大の攻撃に対し、DB木村がインターセプトを連発。これが、ダメ押しの追加点となったRB花宮の華麗なTDランと、快足を飛ばしたRB安藤の61ヤードのTDランを生み出した。第4Q終盤には、中大に1stダウンを5回更新され、押される展開だったが、粘りのディフェンスでTDを許さず試合終了。36ー0と快勝し、秋季リーグ戦を3勝1敗とした。

ヘルメットの位置を調整するDB木村。試合を通して2インターセプト、パスカット3回の大活躍だった

 後味の悪い敗戦となった立大戦から一転、今節は攻守ともに躍動し完封勝利をあげた早大BIG BEARS。特に後半は終始試合の主導権を握り、立大戦での課題をしっかり修正することができた。これで前節の嫌な流れは完全に払拭できただろう。残る2試合は昨年の秋季リーグ戦で上位につけた強豪の明大と法大との対戦となる。目指すのは勝利のみ、「一戦必勝」で試合に臨みたい。

(記事 沼澤泰平、写真 安齋健、飯田諒、田部井駿平)

担当記者のPICK UP PLAYER

アウトサイドへのランを狙うRB花宮

 エースRBの本領が発揮された。花宮は昨季、萩原奎樹(令5政経卒)、安村充生副将(文構4=東京・早実)らとともに強力なRB陣を形成。リーグ1位のTD数とリーグ3位の獲得ヤードの好成績を残し、初のオール関東24にも選出された。名実ともに安村と並ぶBIG BEARSのエースRBとなった花宮だったが、今シーズンは試合前までTD0と調子が上がりきらなかった。それでも中大戦では花宮のランがチームの獲得ヤードの約4割を占め、TDも2本生まれるなど復調。チームを勝利に導く大活躍だった。しかし、花宮は試合後「反省の気持ちの方が大きい」と語り、快勝の結果にも満足はしていない。花宮の見据える先は昨季悔しい思いをした甲子園ボウル。日本一への道が続く限り、花宮は貪欲にグラウンドを駆け巡る。

(記事、写真 田部井駿平)

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得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
早大 PR #26塚田のパントブロックを#30安藤がリターン #11曽木 7ー0
早大 PASS #18八木→ #8入江 #11曽木 14-0
早大 RUN #25花宮 #18八木→ #98小原 22-0
早大 RUN #25花宮 #11曽木 29-0
早大 RUN #30安藤 #11曽木 36-0
星取表(10月31日現在)
  早大 法大 明大 中大 立大 東大 慶大
早大 11/23 11/12 36○0 20●21 44○0 17○0
法大 横浜 14○6 11/12 6○3 20○0 21○14
明大 横浜 6●14 11/23 10●14 27○7 20○0
中大 0●36 横浜 横浜 14●20 21〇11 7●3
立大 21〇20 3●6 14〇10 20〇14 11/23 31〇6
東大 0●44 0●20 7●27 11●21 横浜 11/12
慶大 0●17 14●21 0●20 7○3 6●31 横浜
コメント

髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――立大戦の敗北からどのように心を入れ替えられましたか

 どれだけ自分たちにできることをやるか、それだけですね。1年生から4年生まで、選手、スタッフ、私を含めてチームにいる人間がチームのためになにができるかを考えた2週間でした。

――オフェンスとしてはTDまでつながる攻撃が印象的でしたが満足のいく内容でしたか

 前半はたまたまキックのブロックから得点しましたが、ODともに中大さんにコントロールされていました。思ったような攻撃ができず、前半は完全なウチの負けゲームでした。後半は選手も頑張ってくれて、流れを断ち切ってくれたと思います。それでも得点差ほど実力差があったかと言われるとそういう訳では決してないです。次の明治さんにはまたタレントがたくさんいますので気を引き締めたいと思います。

――キックブロックが2本出たように、キックプレーで試合の流れを変えたと思いますが

 あのブロックは練習していて、練習でもうまくいっていました。そこは練習の成果が出たと思います。それ以外はスナップミスがTDにつながったりと決して全体がよかった訳ではないので、まだまだ全体を通すと課題の残った試合でした。

――ディフェンスは今季3試合目の完封でしたが、それでも改善点はありますか

 まだまだいっぱい押されているプレーもありますが、パスディフェンスでもいいところが出てきたのでしっかり全体を見つめ直して次に臨みたいです。

――次回の明大戦の意気込みをお願いします

 負けたら終わりなので、全員で一戦必勝の早稲田のフットボールをできたらと思います。いつもありがとうございます。

WR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)

――前節の敗北からどのようにチームの気持ちを立て直されましたか

 ああいった形で負けて、自分自身も驚いきましたが、やるべきことは変わりません。一試合一試合勝って終わるだけなので、そこはチーム全員に「まだ終わったわけじゃない」と伝えました。残り3試合なので、まずは目の前の中央戦に向けてしっかり戦っていこうという話はしました。

――今日の試合全体を振り返っていかがでしたか

 後半はオフェンスをドライブでつなげられたり、インターセプトなどの好プレーもあったのでそこは良かったなと思います。けれども前半は中央のペースでしたし、オフェンスが取り切れない。ディフェンスも点こそ取られませんでしたが、ジリジリ出されている展開が続きました。やっぱり春シーズンからの課題であった前半の立ち上がりが、前回の試合を経て注力を注げていなかったので、ここからの明治、法政と手強い相手なのでより意識しないといけないと思います。

――オフェンスの特に後半はTDまでつながった攻撃が印象的でしたが、なにか意識されたことはありましたか

 オフェンスは今回の試合で5TDを目標にし、その中でどのように爆発力のあるオフェンスをつくれるか。細かいコミュニケーションのQBとRB、OLであったり、QBとWRの連携を密にしようという話はしました。

――ディフェンス面では今季3試合目の完封でしたが、好調をどのように見られていますか

 最後はジリジリドライブされた中で止められたのは、前回の反省が生かされているなと感じました。ただまだまだ要所要所で止め切りたいところで止めきれなかったり、3rdダウンロングのような大事なシチュエーションでフレッシュを取られたり、まだまだできることはあると思うので、残りの2試合は徹底できたらなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 法政の結果やプレーオフの話があると思いますが、僕らのやることはこれからの2試合を勝つだけなので、チーム全員で一戦必勝の覚悟を持って臨んでいきたいです。

花宮圭一郎(文構4=東京・足立学園)

――前節の立大戦は不運な形での敗北となりました。今日の試合に向けてモチベーションの維持等で意識されたことはありますか

 個人的にはモチベーションを保つのが難しいなと思う時もありましたが、チームの一員として、4年生として絶対にそういった部分は見せてはいけないと思っていたので、練習から前を向いていこうという声掛けはずっとしていましたし、自分自身がコントロールできないことでモチベーションが下がらないようにということは常に意識していました。ただ立教が喜んでいるあの姿は夢に出てくるくらい悔しい光景として残っています。

――オフェンス全体としての今日の試合への意気込み、それに対する出来栄えとしてはいかがですか

 後半はうまくいきましたが、前半は課題だらけです。今季は(早稲田オフェンスで)前半に得点できなかったことはなかったので、オフェンスとしてはすごく課題が残る結果になりました。

――個人としては後半で2TD、前半も要所でロングゲインが光りました

 反省だらけです。前半は持っていけるところで持っていけなかったり、判断ミスがあったりしました。(後半は)結果的にタッチダウンできましたが、反省の気持ちの方が大きいです。

――次の試合への意気込みおねがいします

 背水の陣ということで、僕らは試合に勝って甲子園に行くしかありません。今日の結果に喜ぶことなく、次の明治戦に向けて頑張っていきたいと思います。

DB木村大地(法3=東京・早大学院)

――今日の試合にはどのような気持ちで臨まれましたか

 前節立教戦に負けてもうあとがなく、4年生も引退を覚悟していたような試合で、今日は絶対勝たなきゃいけないという気持ちで臨みました。

――ディフェンス陣は立大戦からどのように立て直してきましたか

 立教戦では、勢いにのまれてそのまま押し切られた感じだったので、まずは1プレー1プレー気持ちを切り替えて、新しい気持ちをつくって臨みました。また、前回は戦略面で修正が効かないままずるずるといってしまったので、ベンチに戻ったときにしっかり何がダメなのかというのを話し合って、次のプレーの作戦を考え直していました。

――第4Qでは2つのインターセプトを決めましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 レシーバーをしっかりカバーして、パスは絶対決めさせないというイメージを持ってやっていました。レシーバーについていけばそこにボールが来ると分かっていたので、ボールにしっかり反応して取ることができて良かったです。

――2試合ぶりの完封勝利ですが、それについては

 前回のディフェンスは結構失点してしまい、ディフェンスとして若干勢いが落ちているというのは練習中にもあったので、この完封勝利でまた勢いが戻ってきたらいいなと感じています。

――明大戦へ向けて意気込みをお願いします

 明大戦も絶対に落とせない試合です。4年生がまだ日本一を目指し続けられるっていうのにおいて大事な一戦なので、DBとして絶対にパスを止めて、ボールをチームに持っていきたいと思います。