第5回はMGR片井麻有里主務(政経4=東京・早実)とDL登正尊副務(政経4=神奈川・桐光学園)が登場。マネジャー主任、選手と兼務して幹部を務めているお二人に普段の業務やチームのことについて話を伺った。
※この取材は8月25日に行われたものです。
「学生が主体的に動いて、自分から考えて行動している」
DLセットをする登
――最初にお互いの他己紹介をお願いします
登 BIG BEARSの主務の片井麻有里さんです。彼女は1年前、留学に行っていたのですが、そのブランクをものともせず、マネジャーの業務を完璧にこなして、現在は主務としてもうBIG BEARSの母のような存在でチームを支えていらっしゃるので、もう普段からも本当はに頼りにしています。
片井 ありがとうございます、たくさん褒めていただいて(笑)。では私からも。名前は登正尊と言いまして、副務も務めてくれています。普段は、 プレイヤーとしてDLをしているのですが、副務としてはスケジュール管理だとか(早稲田大学高等)学院とのやり取りとかを担ってくれています。ちょっと信頼しきっていて、任せすぎかな?というくらい「しごでき(仕事ができる)」な同期です。
――お二人がBIG BEARSに入部したきっかけを教えてください
片井 私は高校生の時、友達でスポーツ頑張ってる友人が結構多かったんです。その子たちが日本代表として世界で戦ってる姿を見て、 感化されたというか感銘を受けて、大学に入ったらスポーツの世界で自分がプレイヤーとして活躍できなくても、そういう経験をできたらなと思ったのがきっかけです。
登 自分は高校3年生の時に早稲田の甲子園ボウルの試合を見て、そこで関学とめっちゃいい試合をしているのを見て、 ここでプレーしたいなっていう風に思いました。早稲田に入ってからサッカー部とアメフト部で迷ったのですが、アメフト部の方が日本一に近いという点で熱量を持ってやれるかなという風に思ったので、アメフト部に入りました。
――実際に入部されてどのようなことを感じましたか
登 勝手なイメージだったのですが、大学のアメフトって、もっといわゆる体育会的な感じで、指導者があれこれ行って、選手たちが絶対に従うみたいな感じだと思っていたんですよ。いざ入ってみると、結構学生が主体的に動いて、自分から考えて行動している点がいい意味でギャップだったなという風に思っています。
片井 確かに。私も結構体育会の固定概念みたいなのがあったのですが、そことのいい意味でのギャップで言うと、部員が何をしたいかというのをしっかり体現できる組織だなって思いました。あと感じたこととしては、このチームの組織の大きさというのは、入ってからじゃないとわからなかったということでした。部員が多いのもそうですが、創部から来年で90周年なので、すごく長い歴史を持っていて、OBOGの方のすごく熱いサポートを頂いていることだとか、 保護者の方を含めていろんな方に応援されているチームだなということを特に今年は強く感じる場面が多かったなと思います。
――お二人がそれぞれ主務、副務に就いた経緯を教えてください
片井 結果的には立候補したのですが、元々代替わりの時は主務をしたかったとか、そういう意識はありませんでした。 代替わりの時って、同期みんなでたくさん話す機会があるのですが、同期のマネジャーだとか、自分1人でこれからどうしたいかなと考えた時に、これまでやってきたマネジャーとしての3年間とは違う形でチームに貢献したい、チームを支えられたらいいなという思いが生まれて、立候補して主務になったという感じです。
登 自分も元々は副務やる予定ではなかったのですが、去年副務だった平田さん(平田智裕氏、令5人卒)から、3人くらいの副務の候補に入れてもらって、自分は山口(聖悟、政経4=早稲田佐賀)が1番適任かなと思っていたので、最初は全然立候補とかはしなかったのですが、山口が頑なに副務をやりたがらなかったので、最終的に自分がどうやったらこのチームに貢献できるかって考えた時に、プレーだけじゃなくて、チームの運営に携わって貢献できるなという風に思ったので、立候補しました。
――それぞれの役職の具体的な業務を教えてください
片井 主務はチームを運営する上で必要なこと全般をやっているイメージです。特にこれといったものはないのですが、部員も含めてコーチ、監督、あとはOBOGの方や保護者の方などいろんな人を繋げてチームがうまく回っていくように、チームが円滑に進むためにできる限りのことをするっていうのが主務の役目かなと思っています。
登 副務の実務的な役割としては、先ほど片井からあった通り、スケジュール管理であったり、学院やワセクラとのグランドの利用の調整ですね。本当それくらいです (笑)。
片井 チームの他のスケジュールとかも結構管理してくれていますね。
――主務と副務ということでお二人は連携を取ることも多いのでしょうか
片井 今までがどうだったか分からないんですが、今年は分業体制というか「任せるところは任せたぞ」みたいなイメージですかね。これの良い面、悪い面があるなというのは春をやってみて思ったので、秋はもう少し連携した方がよりうまく進むところは来年のためにも、少しずつ改善できたらなと思っているところです。
登 確かに分業というところではあるのですが、やはりスケジュールに関して、試合とか対外的なことに関してはマネジャーから聞くことが多いので、その点に関しては割と連携しているっちゃしています。
――連携するところはするけど、分ける場所は分けるという感じでしょうか
片井 その通りです。仲が悪いわけじゃないです(笑)。
「どっちかがうまく回らないことは起こらないように」
質問に答える片井
――お二人ともマネジャー、選手と兼務しながらの業務だと思うのですが、大変なことはありますか
片井 私の場合はマネジャー主任という役目も兼務しているのですが、マネジャーを引っ張る立場としての自分とチームの幹部として主将や副将、副務と協力し合いながらチームを進めていくという面で、時期によってはバランスがうまく保てない時期とかもあって、どっちかが疎かにならないようにというのは常に意識しないと、やることが盛りだくさんだからこそどっちかがうまく回らないことは起こらないようにという意識は常にあります。
登 副務を選手がやるということはグラウンドではプレイヤーとして練習をしているので、マネジャーやケガ人だとプレーをしていないという点で、視野を広く持てると思うのですが、プレイヤーだと限られた範囲内でしか視野が確保できないので、チームに対する課題の発見というのがマネジャーとかと比べてなかなかできないので、そこはマネジャーやケガ人の選手とかに補ってもらっています。
――先日まで夏合宿があったと思うのですが、主務・副務ならではの仕事はありましたか
登 今思い出したのですが、副務の役割として練習形態を考えるっていうのがあったんですよ。夏合宿前に夏合宿の あの練習形態を考えたのですが、今年は、午前中はいわゆるフットボールのいう、その、試合に近い形式で練習をするんですけど、午後は個人の技術にフォーカスした練習を行いました。元々はフィールドトレイングという心肺にくるランニングトレーニングを練習の1番最後に行っていたのですが、あえて練習の1番最初に行うことで、きつい状態でも集中力だったり、(プレーの)精度を落とさないという狙いで、夏合宿はそういった練習形態を組みました。
片井 私は合宿だからこそ何か特別なことをしたというわけではないのですが、先ほど申し上げた通り、いろんな人をつなげるといったパイプ的な役割もあるので、部内で言うと、その、合宿の運営を担当してくれたマネジャーと選手お世話になった宿舎の方、指導者陣の練習だとか、練習外での動きとかを毎日確認するというそとには参加していました。ちょっと対外的なもので言うと、今年はOBOGの方や保護者の方の見学がコロナ前ぶりに解禁されたので、 そこのオペレーションをコーチとかマネジャーと連携しながら、来てくださった方に楽しんでもらえるように、運営を考えました。
――個人として、4年の夏合宿を経験して感じたものはありましたか
片井 私は目まぐるしい11日間ではあったのですが、その中でも、日に日にというか練習ごとにチームが成長しているというのをみんなが感じていたように、私自身もすごく感じていたので、今回の合宿は秋シーズンの試合が始まるにあたり、すごく有意義だったというか、本当に良かったなと思いました。 あとは個人的な話で言うと、下級生のスタッフだとか、同期もそうですけど、今まで関わっていた人よりもっと広くいろんな人と関わる機会があったし、今まで関わっていた人はより深くコミュニケーションを取る場が多くて、チームとしてのまとまりがより強くなった夏合宿だったかなと思います。
登 1日の大半をミーティングだったり、グラウンドでのフットボールでアメフトに費やすということで、片井先ほど言った通り、アメフトの技術の面でもそうですし、チームの練度というのも 格段に上がったかなという風に思っています。実際にフットボール以外の面で言うと、 選手は毎日、体重を測るわけなのですが、多くの選手が、食事にも集中して取り組んでいて、 ほとんどの人が増量に成功していたので、朝ちゃんと起きて、フットボールして、 ご飯食べてというルーティーンをしっかりと身に付けられたのは、合宿の意味があったかなという風に思っています。
――お二人から見た目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園) はどのような方ですか
登 本当に3年まで目黒は1番同期の中でチームのことを考えていて、下級生の時も上級生に対して 批判的な言葉だったり、まあ結構強い口調でチームに対して意見をしていたので、 やはりそういったところで同期の中で1番チームのことを考えているなというに思っていました。元から持っていた印象は結構頑固かなという風に思っていたのですが、一緒にチームのことに関して議論していくと、意外と柔軟性があって、他の幹部の意見も取り入れているなという風に感じました。
片井 私も日本一になるためにチームがどう行動していくべきかとか、自分が自分に何ができるかというのをただひたすらずっと考えて、チームのために行動しているっていうのは下級生から今はまで変わらないなと思っているところです。今年に入って目黒とは主将・主務で(チームの運営を)進めていくことになって、チームのこととかをなるべくコミュニケーションを取るように。最初は意識しながらですけど、とにかく毎日話すようにしていました。今は特に夏合宿の時期もそうですけど、秋に向けてチームのそれぞれが見ているチームの今の状況をどう思っているかとか、 これからどうしていくべきかとか、自分たちはチームのために、部員のために何ができるか、主将・主務、幹部として何ができるかということに頻繁にコミュニケーションを取るようにしています。褒めるのは嫌ですけど(笑)。 すごく信頼できる、信頼し切れる主将がいてくれてありがたいという気持ちです。
――それでは安村充生副将(文構4=東京・早実)はどのような方でしょうか
片井 どちらかというと、主将、副将の方がなる前となった後で印象が変わったなと思っています。充生は下級生の頃から試合に出ていて、プレーが上手なので、試合とか練習中にランビートして目立っている姿というのがすごい印象が強かったです。今年に入ってからはその印象もありつつ、それとはまた別に、 副将としてなのか、彼の元々持っている特性なのかはちょっとわかんないのですが、すごい周りを見る力があるなと思う場面が、すごい今年に入って多くあったなと思います。というのも、練習後とかに幹部で集まって話す機会とか、個人的に充生と話す機会とかあったりするのですが、そういう時にか「今日練習中誰がどうだったよ」とか、 他のポジションとか、スタッフのことまで気にかけるような言葉があったりするので、自分にはできないくらい、すごく広いところまで目が行き届いていて、そこは充生の副将としての武器というか強みだなと思います。
登 安村はやはり下級生から試合に出ていたということで、元からフットボールが大好きなお調子者という感じだったと思うのですが、副将になってからは1番チームのために行動しているなという風に考えています。ワンタップスポーツっていうコンディション管理アプリがあるのですが、それを12時までに全員が入力しなきゃいけなくて、それのリマインドを最近しっかり行うようになって、あとはウエイトトレーニングの実施の状況を徹底して、行わない選手に対してしっかりと言うことで、以前よりウエイトトレーニングをしっかり実施させるという点で、すごい行動力があるなという風に思っています。
――中尾公亮副将(社4=東京・早実) はいかがでしょうか
登 中尾は元々下級生の時から1番発言力がすごくて、チームのムードメーカーで、すごい声も通るので(笑)。
片井 確かに(笑)。声すごく大きいんですよ(笑)。
登 その発言力というのが悪い方向に行く可能性もあったりしたのですが、副将になってからチームのことをしっかり考えるようになって、自分の発言力をいい方に持ってきているなという風に思っています。
片井 私も登が今言ってくれたように、中尾は副将になる前から、下級生からの支持が熱いというか、仲が良いだけじゃなくて、本当に慕われているようなイメージがあって、それは中尾の持つ明るさというか、持ち前の周りを楽しませる力から来るのかなと思っていました。今年に入ってから、また違う印象を持ったのは、 中尾は結構自分の考えていることとか、思っていることをしっかり周りの人に伝える力があるなとは思っていたのですが、それと同じくらい人の意見に共感できる力というのが彼のいいところかなと思っています。私自身も本当に小さなことの相談とか、気づきだったりを中尾に話すと、それをさらに深掘りできちゃうというか、自分の頭の中を中尾のおかげで整理されることが多かったりします。幹部とかで話していても、主将の考えていることとか、意向を彼はすごく汲み取ることが上手だなと思う場面が多いです。
――最後に、ラストシーズンへの意気込みをお願いします
片井 時間が限られているのはBIG BEARSだけじゃなくて、どのチームも同じことで、その中で自分たちにできることをひたすらやり続けて、練習もしっかりですが、それ以外のこともチームとして、あとは個人として日本一のために何ができるかというのをひたすらやるのみかなと思っています。主務としても後悔のないよう、幹部一丸となって、今年の秋シーズンを過ごしていきたいと思っています。
登 自分は選手である以上、 絶対にプレーでチームに貢献して、結果を出したいなという風に思っています。プレー以外で言うと、選手のポテンシャルなどをしっかり考えた上で、スケジュール管理にだったり、練習形態を考えて、チームの総合力を上げられるようにしたいなという風に思っています。それ以外で言うと、幹部との議論を通じて、リーグ戦を通じて出てくる課題を潰して、チームとして強くなりたいなという風に思っています。
――ありがとうございました!
(取材・写真 田部井駿平、編集 星野有哉)
グラウンド内外で活躍するお二人に注目です!
◆片井麻有里(かたい・まゆり)(※写真左)
東京・早実高出身。政治経済学部4年。主務。MGR。試合前のルーティンは、普段よりも早く起きること。ゆっくりと朝活を楽しむそうです!
◆登正尊(のぼり・まさたか)(※写真右)
神奈川・桐光学園高出身。政治経済学部4年。171センチ。92キロ。副務。DL。試合前のルーティンは、リポビタンDを飲むことと音楽を聴くこと。試合への準備を整えるそうです!