【連載】関東大学秋季リーグ戦直前特集『All or Nothing』【第1回】監督インタビュー 髙岡勝監督

米式蹴球

 第1回は早大米式蹴球部監督として7度目の秋を迎える髙岡勝監督(平4人卒=静岡・聖光学院出身)の登場。春シーズンや夏合宿の振り返り、秋季リーグ戦への意気込みをお伺いしました!
※この取材は8月27日に行ったものです。

「とにかく頑張るしかない」

ゲームの序盤、戦況を見つめる髙岡監督(写真中央)

――苦しい試合も多かった春季オープン戦ですが、全体を振り返っていかがでしたか

髙岡 春は本当に苦しく、結果が出ない試合ばかりではありました。昨年からスタメンがほぼ総入れ替えという中で、やはり戦力ダウンしているっていうのは明白だったので、夏合宿で鍛えて、秋に臨む。そして秋も成長しないと、やはり我々の目標は達成できないということは、よく分かったはずです。チーム全員がそれを理解して、とにかく頑張るしかないといった感じです、

――選手たちも意識していた関西の大学とも戦い、改めて力の差などを感じたと思いますが

髙岡 最後に1つの目安という意味で、関西大学さんとの一戦を迎えたわけですが、分かっていてもやられるというところに、自力の差を感じました。そういう意味で最後の詰めの部分の重要性を全員で理解できたなと思います。

――毎年楽しみにされていると話していた新人戦ですが、今年の2試合をどのように見られましたか

髙岡 実は日体大戦は直接見られましたが、2試合目の中央戦はフラッグの大会に行っており、映像でしか見られませんでした。その中で、今年は全員が真面目にやっている1年生だなと感じました。昨年は結構派手な試合をしていましたが、今年は真面目に一つ一つ努力できる子たちだなというところが見られました。また少し時間はかかるかなというような印象も受けました。

――時間がかかる部分とは

髙岡 なんというか、派手なタレントがいなかったところですかね。そういう意味ではうちのモットーである全員で一丸になるというのが、本当に必要なチームだなと改めて感じました。

――夏合宿を重要な10日間になると話されていましたが、終えた今どう感じていますか

髙岡 合宿は、台風直撃はなかったものの、雨が多かったりと、天候が不安定でした。そういう環境が変化していく中でも、自分たちがやるべきことを、臨機応変に柔軟に対応して、夏合宿をやり切りました。本当に今年のチームの特徴だと思いますが、しっかりと真面目にやろうという姿勢が見えたので、とてもいい合宿ができたと思います。

――合宿で特に力を入れたことは何ですか

髙岡 合宿だけではないですが、8月のテーマとして闘争心を掲げていました。プロセスよりも、秋の試合に向けての勝ち負けで結果がどういう風になっているかに、もっとこだわれということを話していました。合宿の中でも、学生自身がそれぞれそのテーマについて口にしていましたので、そういう意味でベクトルというのが本当に1つになって束ねられたと思います。

――合宿の中で印象に残った選手はいらっしゃいましたか

髙岡 QBの八木(義仁、政経3=東京・早大学院)と船橋(怜、政経2=東京・早大学院)です。2人は結果こそ出ませんでしたが、春も頑張っていたので、そこを超えるような気持ちが出てきて、この2人がどう國元(孝凱、社4=東京・早大学院)を脅かすかというところが楽しみです

「一戦必勝でやらなければいけない」

――春の対談ではOL陣が今年のオフェンスのキーマンになると話されていましたが、リーグ戦に向けての仕上がりはいかがですか

髙岡 彼らには力を発揮してもらわないと本当に困ります(笑)。期待もしていますし、秋のリーグ戦でさらに伸びてほしいと思っています。

――現在のチームの状態はいかがですか

髙岡 初戦に向けて、今かなり照準を絞ってみんなでやっています。関西というよりもうちは一戦必勝でやらなければいけないというのを、いい意味でフォーカスできているといったところです。

――春にWR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)のチームを変えようとする思いにもっと周りが答えなければならないと仰っていましたが、そこから変化を感じていますか

髙岡 4年はもちろんですけど、3年生、2年生が変わらなきゃいけないという意識が、少しずつ芽生えてきました。そういう意味では、チームは4年が中心になるのはそうなのでしょうが、うちのチームはどれだけ来年、再来年に新たな文化をつくっていくにあたって、下級生がそういう気持ちになってきたというのが、これからまだまだ成長できると思いますが、そういう気持ちを持って来られているのかなというところで楽しみにしています。

――春にも話されていたRB安村充生副将(文構4=東京・早実)とWR中尾公亮副将(社4=東京・早実)のお二人は副将の役割をつかみ始めていますか

髙岡 ずっと言い続けていますからね(笑)。まだまだ答えは出ていないと思いますが、彼らなりに考えて、頑張っていると思います。

――日々部員の皆さまと触れ合う中で、現在のBIG BEARSの選手、スタッフはどのような人間だと感じますか

髙岡 やるべきことを必死に取り組んでいます。チームのみんなは本当に真面目な子たちだと思いますよ。

「(他の代より)愚直に目標へ向かっていくという姿勢は強い」

――現在の4年生はコロナ後に入部した世代だと思いますが、今までの世代と違う部分はありますか

髙岡 メンタル面においては、昨年甲子園に出て、自分たちの自責というか、自分たちができることにフォーカスするということは、文化として成り立ったと思います。コロナの前後で変わったことは、言い方が悪くなりますけども体調を崩したり、体力面が影響を受けているなという部分で、心と体に少しギャップがあるような感じはします。ただ、コロナの中で一生懸命やってきた分、愚直に目標へ向かっていくという姿勢は以前より強くなっていますね。

――そのことも踏まえて、今年の4年生はどのような特徴がある代ですか

髙岡 これももしかしたらコロナの影響かもしれないですけど、1年生の時に4年生と触れ合える時間がすごく短かった分、なんかちゃんと真面目なんですよね。不良じゃないです(笑)。もっとガツガツ来てもいいのかなとは思うけど、みんなで合意したことを一生懸命やろうという姿がすごくある感じなので、もっと自分を出してもいいのかなと思う時もあります。

――やはりそういったガツガツした部分がプレーにも影響しますか

髙岡 あるのかもしれませんが、例えば今年の甲子園の慶応高校の試合とかも見ていても、世間の風潮が爽やかな路線になっている感じがしますよね。世の中の風潮が、優しくみんなで楽しもうっていう、そういう風潮にいい意味でなってきている気がします。

――秋季リーグ戦前になると気持ちの変化などはあるでしょうか

髙岡 年や相手チームとの関係性などによって違いますが、今年は春にみんなが本当に苦労してきた中で戦えるかというところで、やはり初戦の持つ意味合いはすごく大きいなと思います。いつも以上に今年の初戦っていうのが大きいところで、部員全員が集中できるように私も環境をつくっていきたいです。

――久しぶりの総当たり形式のリーグ戦ですが、何か戦い方に変化はありますか

髙岡 昨年も7試合だったので、その部分で昨年と今年とであまり違わないかなと思います。いずれにせよ全ての試合をしっかり勝ち抜くということで、一戦一戦で総力を出せるように、部員全員にいつ自分が出てもいいように準備しろということは伝えています。

――リーグ戦で選手たちに期待していることを教えてください

髙岡 秋のリーグはやはり勝たなきゃいけないので、結果にこだわって、最後まで全員でプレーできるようにみんなで取り組んでいきたいです。

――最後に秋季リーグ戦への意気込みをお願いします

髙岡 今年のチームのスローガンである『凌駕』。細かいところで昨年よりも遅刻するやつがいなかったり、提出物が出されていたり、完璧ではないんですが、『凌駕』している部分があります。最後に笑って終われるように、私も含めたそれぞれが昨年を『凌駕』したいと思います!

――ありがとうございました!

(取材・編集 田部井駿平 写真 安齋健、田部井駿平)

2年連続での甲子園へ。日本一を目指す髙岡監督の姿にも注目です!

◆髙岡勝(たかおか・まさる)

静岡・聖光学院高出身。1992(平4)年人間科学部卒。昨年の雪辱を晴らすため、日々練習を積み重ねる選手たちをサポートする髙岡監督。選手・スタッフ同様、監督自身も昨年を『凌駕』していきます!