TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 BIG BEARS | 0 | 7 | 0 | 14 | 21 |
関大 KAISERS | 14 | 14 | 3 | 0 | 31 |
夏の蒸し暑さがグラウンドを包み込み始めた6月中旬。前節で念願の春シーズン初勝利を挙げた早大BIG BEARSは、関西の強豪・関大KAISERSと対戦した。関大は昨年、関西学生リーグDIVISION 1で2位の成績を残した実力のあるチーム。試合は序盤からタレント豊富な関大ペースで進み、早大はなかなか得点の機会を得られない。それでも早大は、QB國元孝凱(社4=東京・早大学院)を中心に攻め、徐々に追い上げるが最後まで届かず。21-31で敗れた。昨年から痛感していた関西との距離を再確認する試合となった。
試合前の整列をするBIG BEARS
早大の攻撃から始まった試合。10ヤードを更新できずに攻守交代となると、関大に45ヤードのロングパスとQBによるTDランのたった2プレーであっさり先制点を与える。さらに早大は関大にオンサイドキックを決められ、モメンタムを完全に握られてしまう。このシリーズでは、DB吉田朋英(社4=東京・早実)の見事なパスカットなどで得点を許さなかった。オフェンスでは、QB國元からWR上野陸(社4=東京・早実)へのパスによるフレッシュ獲得のみで終わり、攻撃をつなげることができない。再び早大ディフェンスとなったが、今度はラン中心の攻めを止めることができず、そのままTDを決められて失点する。反撃に転じたい早大は、RB安村充生副将(文構4=東京・早実)のランを中心にオフェンスを展開すると、WR入江優祐(商3=大阪・関西大倉)、WR上野へのパスで敵陣も突破。最後はボールを持ったTE工藤航世(文3=埼玉・栄東)がエンドゾーンに押し込んでTDを決めた。さらにディフェンスでは、DB宮本昂汰(教4=東京都市大付)のタックルで相手キャリアーがボールをファンブル。それをDB鈴木晴貴(基理3=神奈川・鎌倉学園)がリカバーし、ターンオーバーとなった。同点に追いつきたい早大は、QB國元のランやWR中尾公亮副将(社4=東京・早実)へのパスを成功させるも、反則が続きダウンを更新できずにディフェンスへ。ランとパスを織り交ぜた攻撃の関大を止めきれず、またしても点差を広げられる。さらに直後のKRでリターナーがボールをファンブルし、関大ボールに。そのままの勢いでTDパスも通され、スコアを7-28で前半を折り返した。
今年のパスユニットの中心として存在感を増しているWR上野
ディフェンスから始まった後半。DB鈴木のロスタックルで関大の攻撃を防ぐと、オフェンスとなるが、QBサックを受けるなど波に乗ることができない。早大は関大に再びラン攻撃を中心に攻め込まれるが、ここはゴール前で早大フロント陣が粘りFGに持ち込んだ。早大オフェンスは、パス中心の攻めを展開。WR上野のランアフターキャッチで敵陣に侵入するが、エンドゾーンには届かずFGも失敗する。しかし、ディフェンスがすぐに攻撃権を取り戻すと、RB花宮圭一郎(文構4=東京・足立学園)が独走TDランで得点。まだまだ点が欲しい早大は、WR中尾へのパスで敵陣レッドゾーンまで攻め込む。4thダウンまで追い込まれるが、FGではなくプレーを選択。QB國元が投げたボールはパスターゲット手前でバウンドし、惜しくもTDは逃した。すぐにディフェンスが関大オフェンスを防ぐと、WR嘉屋光希(文構4=東京・早大学院)が相手との競り合いを制したレシーブで前進。さらにQB國元がRB安藤慶太郎(社2=東京・早大学院)をリードブロッカーに自らキープしてダウンを更新する機転を見せる。しかし、タックルを受け倒れ込んだ後、自力で起き上がることができずに無念の負傷交代。正QBを失う緊急事態であったが、代わって入ったQB船橋怜(政経2=東京・早大学院)がWR上野へTDパスを決め、追加点をあげた。さらに早大はPATでツーポイントコンバージョンを選択し、RB花宮がランを成功させて2点を加えた。早大は直後のKRでオンサイドキックを試みるも失敗。その後は得点こそ許さなかったが、そのまま時間がなくなり試合終了。21-31で敗れた。
昨年のブレイクの勢いそのままにこの試合でもTDを決めたRB花宮
実力差を痛感した試合だった。WR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)は、「全部がまだ足りない」と試合を振り返る。オフェンス、ディフェンス、キッキング。そのすべてで関大に圧倒されたことでチームの課題が浮き彫りになった。春シーズンの試合はすべて終わり、秋の本番まで約3カ月。それまでの期間、特に夏の合宿について「チームにとって大事な10日間」と髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)は語り、チーム全体の成長に欠かせない時間だ。秋で悔しい思いをしないため。BIG BEARSに厳しく熱い夏がやって来る。
(記事 田部井駿平、写真 権藤彩乃、安齋健)
髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
見ての通りしんどい試合でした。みんな頑張ってはいましたが、実力が出た試合だと思っています。
――関大と実際に戦ってみた印象は
関大さんの春の試合のビデオをずっと見ていて、最初は苦労しているようでしたが、関学さんにも勝利したり、徐々にチームが出来上がっていると感じていました。我々も胸を借りるつもりで臨んだ試合で、どこまでできるかと思っていましたが、やはりフィジカルやスピードなど勝ちきれなかったところが多かったです。
――この春シーズンで得た収穫は
スターターがほぼ入れ替わったので、新戦力をどう作っていくかに春は取り組みました。やっぱりしっかりと頑張ってくれている子は成長していますし、ここから合宿を経て、また秋のリーグ戦では一戦一戦成長していきたいと思います。
――新人戦もこれからありますが
毎年この2試合は私も楽しみにしているので、まずはのびのびとBIG BEARSの一員としてフットボールを楽しんでもらいたいです。
――夏に向けての意気込みをお願いします
合宿の10日間が、チームにとって大事な10日間になるので、しっかりといい時間を過ごしたいと思います。
WR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
春シーズンの集大成でしたが、オフェンス、ディフェンス、キッキング全部がまだ足りないなということをより痛感した試合でした。
――後半は徐々に状態を上げられたと思いますが
相手が2本目になっていたのもありますが、その中でも関西相手に自分たちの力を出し切れたかなと思います。後半のスコアは個人的には良かったです。
――昨年の関大や自分たちと違いはありましたか
自分たちもですが、去年に比べると向こうもまだまだ試行錯誤中で、勝てない相手ではないと感じています。ただこっちも去年と比べて、DLのフロントがいなかったり、OLもかなりメンツが変わっていたりする中で、ファンダメンタルやフィジカルの部分で圧倒されていたと思うので、もっともっとこの夏の期間でトレーニングに励まないといけないと思いました。
――春シーズン全体を振り返って見えてきたものは
オフェンス、ディフェンス、キッキングを通してファンダメンタルですね。ヒットやタックルといったところがまだまだ足りてないと感じました。オフェンスはOL、WRのブロックもそうですし、タックリングを受ける側もする側もそうですし、ディフェンスはフロントがまだまだランを止めきれてないですし、バックスもパスが止まっていませんし、まずは基礎のファンダメンタルのところを全員が強化していかないと、シーズンを戦える相手ではないと感じました。
――夏に向けての意気込みをお願いします
秋シーズンはリーグ戦総当たりということで、僕らも初めて経験する戦いになって、1試合も負けられないので、まずはこの2〜3ヵ月をしんどいトレーニングに励んで、しっかり標準を合わせて頑張っていきたいです。
RB花宮圭一郎(文構4=東京・足立学園)
――春季オープン戦最終節ということで、どのような気持ちで試合に臨みましたか
背水の陣で臨む絶対に負けられない試合ということで、『執念』という言葉をゲームスローガンとして設定しました。タックルされた時もする時も執念を見せて、やってやろうという気持ちで試合に入りました。
――後半はご自身のTDランや2ポイントコンバージョンを決め切るシーンなどありましたが、振り返っていかがですか
今日の試合は4年生として見せなければいけないと意気込んでいましたが、上手くできなかったと思っています。TDランの場面も2ポイントコンバージョンの場面も相手は控え選手だったので、(メンツを)落としていない状態でこのプレーができなかったことが悔しいです。個人としてもユニットとしても突き詰めなければいけないことがたくさんあると感じました。
――試合後のユニット全体の振り返りでは、どんな話がありましたか
いろいろありますが、やはり個人個人の強さかなと思っています。プレースピード等の課題はありますが、まずはこれからのフレックス期間で一人一人がウエイトに取り組んでとにかく強くなって、関西と戦える選手にならなければいけないということが今日の一番の収穫かなと思います。
――春季オープン戦が終わりましたが、この春シーズンを振り返っていかがですか
良くなかったシーズンだと思っています。チームとしてはもちろんそうなのですが、個人的にもケガが多くて試合に出られず、チームを勝たせなければならない4年生でありエースRBになるという絶対的な目標があったのにも関わらず、チームを勝たせるプレーができなかったことに悔しさを感じています。
――秋シーズンに向けて、今後の意気込みをお願いします
(早大の)立ち位置としては、TOP8の下位だと思っています。例年のフレックス期間というのは休みのような雰囲気もあったのですが、今年はここで死ぬほど取り組んで、秋にはBIG BEARS全員が目の色変わったなって思わせられるように、休むことなく取り組んでいきます。
DL堤祥悟(教3=東京・早実)
――今日の試合振り返っていかがでしたか
結果が全てだと思います。前半取られた点数がディフェンスの今の実力ですし、自分たちの甘さが全部出たのかなと思います。
――相手は関大で、パスの得意なQBでしたが、どのように対策しましたか
DLとしてはしっかりラッシュをかけて、プレッシャーをかけようと話していましたが、やっぱり走って逃げられてロングパスを投げられてしまいました。自分たちの対策がまだまだ足りなかったのかなと思っています。
――本日の試合で早大のMVPを受賞しましたがどんな気持ちですか
自分としては全く喜べなくて。試合に負けてしまった以上、それ以外のことはどうでもいいかなと思います。負けたことが全てなので、この賞に関しては喜べないですね。
――秋への意気込みをお願いします
今日で春シーズンが終わって、秋までしばらくあって、組織としてのDLの弱さを自分が1番感じているので、そこをどんどん強くして、DLで勝ったと言われるユニットにしていきたいです。