春の東西エンジ対決 善戦するも一歩及ばず

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 13 19
立命大 PANTHERS 21

 時折強くなる雨の下、第73回長浜ひょうたんボウルが開催され、早大BIG BEARSは立命大PANTHERSと対戦した。前半は攻守で立命大に圧倒されリードを許すが、後半第4Q(クオーター)にRB松村拓磨(スポ4=埼玉・昌平)のTD(タッチダウン)ランで2点差まで追い上げる。さらに早大は試合終了間際、FG(フィールドゴール)での逆転を狙うが、連携ミスによりタックルを受け、19―21で敗れた。

部旗を持ち入場したWR中尾副将

 立命大のKR(キックオフリターン)で始まった試合。早大ディフェンスはオープニングドライブで、2度のパスによるロングゲインでTDを許し、あっさり先制される。反撃したい早大は、PR(パントリターン)でボールをキャッチしたWR中尾公亮副将(社4=東京・早実)がハーフウェイライン付近までナイスリターンを見せたが、QBサックやパスインコンプリートが続き、ボールを進めることができない。なかなか雰囲気が良くならない中、ディフェンス陣が魅せた。LB堀田峻平(文構4=東京・早実)のタックルを受けた相手のキャリアーがボールをこぼすと、DB塚田隼也(商3=東京・早大学院)がそれをカバーし、ターンオーバーに成功する。敵陣25ヤード付近からの攻撃となった早大であったが、ここではあまりヤードを進めることができず、K曽木聡(スポ4=東京・国学院久我山)のFGで3点を返した。勢いに乗ったまま逆転につなげたい早大であったが、立命大のラン、パス、スクリーンなどを織り交ぜた多彩な攻撃に翻弄(ほんろう)され、TDパスを許し失点。11点差をつけられて前半を終えた。

インターセプトしたDB佐藤と喜ぶ選手たち

 早大のKRで再開した第3Q。RB松村のランやWR入江優祐(商3=大阪・関西大倉)へのパスで立命大を攻めるが、エンドゾーンまでは届かず攻守交代となる。しかし、直後のディフェンスでDB佐藤新太郎(法4=東京・早実)がモメンタムを変えるインターセプト。早大オフェンスのドライブとなると、QB國元孝凱(社4=東京・早大学院)からWR上野陸(社4=東京・早実)へのロングパスで一気に敵陣深くまで前進する。ここではTDとはならなかったが、K曽木がFGを決め、スコアを6―14とした。続く早大のディフェンスでは自陣の30ヤード付近まで攻められるが、FGを相手が外し何とか耐えきる。早大オフェンスはRB松村が約30ヤードのロングランでフレッシュを獲得するが、直後に痛恨のインターセプト。それをランやパスでTDにまでつなげられ、またしても点差を広げられる。しかし、直後のドライブ。WR入江へのパスやRB松村のランで敵陣まで侵入すると、最後は上野へのTDパスに成功する。さらにLB宗村尚輝(スポ4=京都・立命館宇治)のロスタックルなどで立命大を止め、再び早大が攻撃権を得ると、RB松村がディフェンスの間を抜け出し独走TD。早大は一気に同点に追いつくため、トライフォーポイントでツーポイントコンバージョンを狙う。サイドライン際にパスを放ったが、相手ディフェンスに阻まれ惜しくも同点とはならなかった。残り時間が少ない早大は勝負に出る。KCでオンサイドキックを蹴り、これを相手選手が弾くと、WR嘉屋光希(文構4=東京・早大学院)が確保したことで早大がまたしても攻撃権を得た。そのボールを何とか敵陣35ヤード付近まで運ぶと、早大はFGを選択。しかし、コールのミスからキックを蹴ることができず、タックルを受けて失敗すると、そのまま立命大ボールのまま試合終了し、19ー21で惜敗した。

試合を通して活躍したRB松村

 早大BIG BEARSと関西の強豪校である立命大との試合は、早大が善戦したがあと一歩のところで敗北を喫した。オフェンスでは4度のQBサックを受けるなどOLの連携面でミスが出ると、ディフェンスでもパスカバーの裏を狙われ、そこから失点につながってしまった。ミスを挙げればキリがないが、楽しみな要素も多かった。オフェンスではRB松村が大活躍し、RB安村充生副将(文構4=東京・早実)やRB花宮圭一郎(文構4=東京・足立学園)のいるRBの激しいデプス争いに名乗りを上げると、ディフェンスは2度のターンオーバーに成功するなど粘り強く最後まで戦った。昨年も立命大には敗れたが、今年は初陣ながら濃い内容で戦えた。これから昨年のチームを『凌駕』していく姿を期待したい。

(記事、写真 田部井駿平)

コメント

髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――今日の試合全体を振り返っていかがでしたか

 合同練習などではない、ちゃんとした試合は久しぶりでしたので、チームの若さやミスが多い試合でした。もちろんいい所も多かったですし、初歩的なミスもあったので課題が出て良かったなと思います。

――選手も意識していた関西の大学との対戦でしたが、選手にはどのような言葉を伝えられましたか

 相手がどうのこうのではなく、自分がやるべきことを100パーセント出せるかだと思っていますので、自分のことに集中しようということを話しました。

――前半のオフェンスはTDまでが遠かった

 そうですね。前半が象徴していたのは、取るべきところをしっかり取らないといけないというのが大きかったと思います。

――しかし、4QにはふたつのTDを奪いましたが

 RB松村の覚醒、個人技、スピードというのが特に目立ったのかなと感じました。そういう意味でチームへいい影響を与えると思います。

――ディフェンスも試合全体を通して奮起していましたが

 非常にけが人も多く、しんどかったですが、その中で集中してタックルできていたかなと思います。2回のターンオーバーでボールを奪った結果は、彼らの能力が出せたのかなと思います。

――次回の立大戦に向けて意気込みをお願いします

 1週間という短い準備期間の中で、今日出た課題がどれだけ自分たちの創意工夫で潰せるかが重要だと思います。やるのは選手なので次に向かって精進してほしいです。

WR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)

――初陣となる試合でしたが、試合前に選手たちへ何と声をかけられましたか

 昨年圧倒された立命館大との試合だったので、いつも以上の気合を入れようという声は掛けました。立命館に勝つ気持ちをみんなに持ってもらえるような声掛けを心掛けました。

――雨が降る中で気を注意されていたことはありますか

 パスユニットやスペシャリストなどのボールポジションには声をかけていました。雨用の練習にも取り組んでいたので心配はしていませんでしたが、結果的にボールミスが多かったのは改善点だと思います。

――前半リードされた中でハーフタイムでは選手たちに何か伝えられましたか

 前半は自分達のミスで流れを持っていかれていたので、まず自分達のやるべきことが何なのかを再度確認させました。また、試合内容で圧倒されており、気持ちが下がっている選手が多かった印象だったので、少しでも鼓舞出来るような声掛けをしました。

――今日の試合での収穫はありましたか

 やはり前半戦の弱さは再度認識できた試合ではあったと思います。最初の1プレーからどれだけ思い切りプレーができるかが大きな課題だと感じました。また、技術的なミスだけでなく、コミュニケーションミスやメンタリティ的な問題など多くの課題が浮き彫りになった試合だったと思います。

――次回の立大戦に向けて意気込みをお願いします

 今回の試合でまだまだ力不足だと感じました。日本一になるためにはまず関東で圧倒的な力を発揮しなければいけないと思うので、自分達のやるべきことを再確認し、立教大学戦では思い切りのいいプレーを見せられたらなと思います。

RB松村拓磨(スポ4=埼玉・昌平)

――スタメンに決まった時のお気持ちを教えてください

 やってやるぞという気持ちです。

――昨年スタメンを務めた安村副将、花宮選手から何か言葉はもらいましたか

 今日は頼んだぞという言葉を貰いました。

――前半から多くボールを預けられていたと思いますが、ご自身としの出来はいかがでしたか

 いいところもあり、悪いところもありました。ですが、思い切ってできたのは良かったです。

――4QでのTDを決めた時の気持ちを教えてください

 逆転へ向けて大きな仕事ができたと思いました。

――次回の立大戦に向けて意気込みをお願いします

 RB全体でチームの勝利に貢献できるよう頑張ります。