最終回は今年で就任7年目を迎える髙岡勝監督(平4人卒=静岡・聖光学院出身)の登場。昨シーズンの振り返りやチームの現在地など、幅広くお伺いしました!
1年1年が勝負
就任7年目を迎えた髙岡監督
――昨シーズンは監督に就任されて6シーズン目でしたが、振り返っていただいていかがでしたか
髙岡 去年の最上級生はコロナ前に入ってくれた代で、2年生になって「さあ行くぞ」という時に練習できないなど大変だったと思います。それでも3年間頑張って、彼ら自身の力で甲子園に行けたというのは感謝しかないですね。
――今年で7年目のシーズンになりますが、改めてどのような思いで臨まれていますか
髙岡 学生のチームは毎年人が変わるので、1年1年が勝負だと思っています。今年の子たちとどう戦っていくかを考えながら、改めて1年間取り組みたいと思います。
――昨秋のシーズンは全勝で関東を突破されましたが、今年はどのような展開が予想されますか
髙岡 学見ての通り、去年はほとんど4年生がスターターだったので、今年は去年のことを忘れて一からスタートします。コーチ陣も含めてちゃんとしたチーム作りをしていかないと、入れ替え戦もゼロではないので、気を引き締めていきたいです。
――昨年の強力なランオフェンスを支えたOL陣、また堅守を誇ったディフェンス陣のほとんどが卒業されてしまいましたが、チームの再構築はどのように考えていますか
髙岡 やっぱり春シーズンの練習と試合を、どう一人一人がチームのテーマを理解して、有限な時間で自分がどう成長するかを考えてほしいです。それはもう選手一人一人の気持ちの問題なので、どれだけ時間を無駄にせずに取り組めるかで結果は変わってくると思います。
――昨年の甲子園ボウルではオフェンスに秀でていた早大でも突破できないディフェンスでしたが、そういった関西の対策はどのように考えていますか
髙岡 あまり相手を意識し過ぎないというか、どれだけ自分ができることをやり切るか。その結果の集大成が甲子園ボウルやその先があるのかなと思っています。
繋げていくこと
――その中で昨年から試合に出場している選手もいますが、彼らに期待している役割などはありますか
髙岡 やはり去年出た甲子園ボウルを経験しているかどうか。あの雰囲気を知っている者がどう繋げていくかが、チームにとってすごく必要なことだと思います。甲子園ボウルに出られたことは財産になるはずです。その中でフィールドに出ていたメンバーは、やはりあの場の雰囲気や試合での相手の強さを繋げていくのが大事になると思うので、繰り返しになりますがそれを忘れずにチームの中心としてそれぞれやっていって欲しいです。
――昨年はあまり試合に出ていなかった選手も今年はたくさん出られると思いますが、デプスやそれぞれのスキルはいかがですか
髙岡 これから試合が始まっていくので、デプスは決まっていなくて、現時点では秋に誰が番号を着けているかも含めてサバイバルになるのかなと思います。選手個々のスキルは当然、昨年の4年生と比較したら(レベルは)落ちます。しかし、これは毎年のことですので、選手一人一人が春にどれだけやる気を出して、伸びしろを生み出せるかだと思います。
――新主将であるWR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)の印象について教えてください
髙岡 目黒とは、彼が小学生からの付き合いなので、人として成長したことに素直に驚いています(笑)。小さい頃は、俺が俺がという意識でしたが、今はチーム全体を見ることができるリーダーシップが彼にはあると思います。今までにないタイプのキャプテンになると期待しています。
――目黒主将からチームを変革しているとお聞きしているのですが、監督から見てその姿はどのように映っていますか
髙岡 目黒はすごくチームを変えようという気持ちがあるので、あとはそれに4年生、3年生がどう呼応していくかだと思います。一人一人がもっと良くしていこうという気持ちを持たないといけないので、まだまだ意識は足りていないのかなと思います。
――副将のRB安村充生副将(文構4=東京・早実)、中尾公亮副将(社4=東京・早実)についてはいかがですか
髙岡 2人とも立候補して副将になったので、もちろん期待はしています。ただ毎年ですが、副将とは何か、どういう立ち位置なのかを本人たちに問いているので、そういう意味で彼らの中で自分にとっての副将をつくっている最中だと思います。
――今年の4年生への印象はいかがですか
髙岡 昨年は初の女性副将だった江川(祐希、令5スポ卒)や副務の平田(智裕、令5人卒)がリーダーシップを発揮してくれたことを考えると、まだまだ今年の4年生は大人しいのかなと感じます。このまま4年生が埋もれて3年生以下が出てくるのか、それとも4年生が頑張るのか。この春シーズンで結果が出てくるのかなと思います。
早稲田の根本
――大所帯であるBIG BEARSの監督において必要な心構えなどはありますか
髙岡 こう言ってしまうのもですが、監督はただの役職の1つです(笑)。しかし、あえて言うと、監督だからといって飾ったりはせず、私がこのチームが頑張れる環境をつくるのが使命だと思っています。そのためにナチュラルな自分を出して、みんなと一緒に頑張るというのを心がけています。
――選手を指導するときに気を付けていることはありますか
髙岡 私が指導するのはフットボールの根本的なこと、このチームにいて何を目指すのか、そしてどう行動したらいいのかというところです。それは入部のときに部員みんなと約束したことですので、ちゃんとしているかを聞くようにしています。
――以前の対談で大学での学問があっての部活。フットボールを通して学んで人間として成長してほしいという話がありましたが、具体的に部活のどのような場面で成長してほしいなどはありますか
髙岡 「大学スポーツとは何か」と私もいつも考えていますが、早稲田の体育各部に求められていることは、早稲田アスリート宣言の6項目にあることだと思っています。その中で、この米式蹴球部で特にみんなに考えてほしいのは、フットボールで自分が出来ることって何か。クラブの運営の中で自分に何が出来るのか。そのようなマインドセットというのを常に自分に問いかけて、自分が何者か、自分はどうすればいいのかを体現する。それが早稲田の根本にあって、ここはそれをどう社会に生かすかの教育の場だと思っています。
――今年の早稲田のここに注目してほしいなどはありますか
髙岡 常に選手へ言っていることですが、最後まで足が止まらないかなどのやり切る姿を学生が見せてくれると思うので、そこに注目してほしいです。
――春季オープン戦では、昨年勝利を挙げることができなかった関西の大学を含めた強豪校と多く対戦しますが、監督のなかでの試合の位置付けていますか
髙岡 やはり点差なども大事ですが、個々のフィニッシュの力がどれだけやり切れるか。去年でしたらライン戦が圧倒的に立命館さんに負けていましたし、関大さんのスピードに全く歯が立ちませんでした。そういうパワーとスピードが特に今年の関西2校と比較して、どのぐらい差があるのかは大事にしていきたいです。
――今年のチームで攻守のキーマンになる選手をそれぞれ教えてください
髙岡 オフェンスはやはりOL5人ですかね。春はここがどう機能するかが大事になると思います。ディフェンスは悩みますが、1年生の吉川(大紀、社1=東京・佼成学園)ですかね。 非常に身体能力が高いので、どういった動きをするか見たいと思います。
――最後に、春シーズンの意気込みをお願いします
髙岡 春シーズンは全員が1から自分を見つめ直して、どういう成長をするのか。本当に愚直にやってほしいと思います。まあ、私も含めてですね(笑)。
――ありがとうございました!
(取材・編集・写真 田部井駿平)
意気込みを書いていただきました!
◆髙岡勝(たかおか・まさる)
静岡・聖光学院高出身。1992(平4)年人間科学部卒。選手はもちろんスタッフの存在を大事にしている高岡監督。昨年は監督として3年ぶりの甲子園ボウル出場を果たしましたが惜しくも敗北。創部初の日本一に向けて、今年もチームマネジメントに期待です!