【連載】新体制特集『Surpassing』【第1回】WR目黒歩偉主将

米式蹴球

 第1回は2023年度のBIG BEARSを率いるWR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)の登場。悲願の日本一に向けてのチームの変革に取り組んでいる目黒主将の現在をお伺いしました!
※この取材は4月4日に行われたものです。

「決して勝てない相手ではない」

相手のタックルに負けず、ランアフターキャッチをする目黒主将

――まずは目黒主将のこれまでのフットボール遍歴を教えてください

目黒 最初に始めたのは小学校3年生ぐらいの頃ですね。富士通の下部組織であるフラッグフットボールチームで始めました。ちょうど髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)の息子さんもいて、小中と続けていきました。高校は佼成学園に入り、3年目には主将もやらせていただきました。早稲田に入ろうと思ったのは、高2の冬に進路を考えているときに髙岡監督から佼成から1人選手を取りたいという話が自分に回ってきました。自分も行けるならぜひ行きたいと答えて、アスリート選抜でなんとか早稲田に入ることができました(笑)。

――早速ですが、昨季を振り返っていきたいと思います。甲子園ボウルで敗れた時のお気持ちを教えてください

目黒 自分はその前の東北大戦でケガをして甲子園ボウルには出場できなかったですが、サイドラインで見ていて、後半の体力の差やプレーの精度、アジャスト面などかなわないと感じる部分もありましたが、それでも総合的に見れば決して勝てない相手ではないと率直に感じました。前半はあれだけ戦えていたということは手の届かない相手ではないのかなと。あの舞台まで行って負けたことは悔しかったですが、来年またここに帰ってきてリベンジするという思いが湧いてきたのが甲子園ボウルでの印象です。

――関学大戦に敗れてから、オフの期間をどのような気持ちで過ごしていましたか

目黒 その期間、新4年生でミーティングを開いて今年のチームをどうしていくかの話し合いをたくさんしました。その中で意識したのは髙岡監督もおっしゃっていた既成概念の破壊です。今年は練習形態を昨年までと変えてやらせていただいていて、今までの文化をただ踏襲するだけでなく、自分たちで考えてどうやったら関学に勝てるのか、関西に勝てるかを意識して練習の内容やそれ以外の組織的な部分も変えていくことをオフシーズンで意識しました。

――昨季までの自身の活躍についてはどのように思っていますか

目黒 大学入ってからケガが続いてしまい、試合にもほとんど出られませんでした。2年生もなかなかプレーできる状態に持っていけず、2試合しか出ることができませんでした。ただ出た試合ではある程度の結果は残すことができたのかなと思っています。WRの中では先輩たち含めてもキャッチ数などでそこそこは活躍しました(笑)。3年生時もケガがあり、夏合宿以降の復帰で試合にたくさん出られたわけではありませんでした。その中で中央大学戦は印象に残っていて、オフェンスがだんだん出なくなった中で、ショートパスなどでフレッシュを更新できたことが何回もあったので、地味な場面ではありましたが自分の中ではいい活躍ができたかなと思います。東北大戦も活躍は出来ましたが、タッチダウンを狙えたなというプレーがいくつかあったのでそこは反省です。3年間を振り返るとぼちぼちかなと思います。

――主将に決まった経緯について教えてください

目黒 今年の主将は立候補制になっていて、自分以外にも今年の主将立候補には2人出ていました。立候補した理由としては、高校時代も主将を経験していたのもありますし、高校の時は1、2年生の頃は日本一になった中で自分たちの代の時は決勝で負けてしまいました。これまでの人生で自分の代で最後まで勝ったことがないので、自分が引っ張っているチームで日本一になりたいという思いは強くありました。それと大学に入ってからチームの組織的な面で、BIG BEARSはまだまだ成長できるなと思っていました。きつい言い方をすると、意味のないことを文化として受け継いでいるなと感じていたので、そういった所を変えていけばもっと良くなると思っています。3年生の時も新しいシステムなどを提案させてもらっていたので、そういった面からチームに貢献できると思い、立候補して主将に選んでもらいました。

去年までの自分たちを超える

――スローガンを『凌駕』にした理由を教えてください

目黒 去年は甲子園で負けたので、去年を超えようとなると日本一しかないということで『凌駕』にしました。対戦相手を凌駕するというのはもちろんなのですが、去年までの自分たちを超えるというのを意識しています。去年までと同じことをしても、関学にも関西勢にも勝てないと思うので、『凌駕』をスローガンにしました。

――BIG BEARSという大きな組織をまとめる上で、意識していることはありますか

目黒 最近意識しているのは、できるだけ多くの人と多い回数コミュニケーションを取ることですかね。100人以上の部員をまとめるときに、どうしても全然話したことのない後輩が出てきたり、下級生からもあの人主将だけど一度も話したことないなとなるのは自分としてはいかがなものかと思っていたので、選手やスタッフに軽くでも話しかけるのを意識しています。

――続いてはアメフト部全体について伺いたいと思います。春の全体練習が始まりましたが、主将という立場から見て現在のチームの雰囲気はいかがですか

目黒 雰囲気としては割と良く出来ていると思います。それこそ去年のこの時期と比べると、静かめだった去年よりも盛り上がっています。それは『凌駕』というスローガンもありますし、練習の形態も全体練習を減らして個人練習の時間を増やす方向へ変えて、自分をいかに厳しくできるかの意識づけからチーム全体が変わっているのかなと思います。

――どのようなチームにしていきたいなどはありますか

目黒 できるだけ無駄なことを省き、かつ日本一になるために大事なことをしっかりとやるチームにしたいです。アメフトという競技には色んな要素がある中で、自分は下級生の頃からこのやり方はどうだろうという疑問や不満を下級生ながら感じていました。そうしたところをできるだけ省いていって、いかに円滑に練習や業務を進めていけるかがフットボールの前に大切なのかなと思います。それらの基礎がしっかりやらないと、その上に乗るフットボールも上達していかないと思うので、どんどん良くしていきたいです。そういった面で組織として強くなっていけばと思います。

――今年のチームの強みは何でしょうか

目黒 一人一人の勝負へのこだわりですかね。フットボールはチームスポーツではありますが、結局一人一人の勝敗によってプレーの完成度や結果が変わっていきます。普段から選手たちには言っていますが、練習の中でもポジションに関係なく勝負へこだわれるかをすごく意識しています。みんなの意識もだんだんと変わっていて、いかに相手に勝つかを全員が考えて動いてくれています。そこで培われた強さが今年の強みだと思います。

――現時点でチームの課題は見えていますか

目黒 絶対的な選手がいないところですかね。そういった所も踏まえて自分たちがどうすればチーム力を高められるかを考えて行動していくのを部員には求めていきたいです。やっぱりチームスポーツなのでみんなで一丸になって戦わないといけないわけで、全員は頑張って初めて日本一が見えてくると思っています。みんなが頑張っていないとは思いませんが、一人一人の熱量の差を埋めていきたいです。

創部初の日本一を

――役職の面で特に関わりが深いであろう安村充生副将(文構4=東京・早実)、中尾公亮副将(社4=東京・早実)についてお聞きします。お2人はどういった選手でしょうか

目黒 まず安村は選手として優秀なのでプレーでチームを引っ張っています。ただここまでの3年間だとプレー面に比べてそれ以外の部分がおざなりな印象がありました。それでも副将になってからはチームへの意識の高まりは普段の態度から感じています。そういった面からももっと伸びしろのある選手だと思います。中尾は3年間ポジションも一緒だったのでどういう男かは大体分かっているつもりです。練習中も誰よりも声を出して盛り上げてくれので、そういったところを副将になってからもチーム全体の雰囲気をよくできるかに気を使ってくれています。それは自分も助かっていますし、今後もチームの盛り上げ役として期待しております。

――主将として何か意識していることはありますか

目黒 これは高校から意識はしていましたが、周りに隙を見せないのを意識しています。例えば自分は寮に住んでいるのですが、寮内だとだらしないとか、プレーはいいけどあの人だらしないよね、みたいなことを少しでも思わせちゃいけないと思っています。普段から周りに見られているという意識を持ちながら、丁寧な行動や部活への真摯な取り組みをモットーみたいな感じでやっています。

――今年のWRのユニットで期待している選手はいますか

目黒 新3年生のWR角井(春樹、文構3=東京・早大学院)ですね。去年は彼の同期のWR入江(優祐、商3=大阪・関西大倉)が2年生ながら試合に出ていましたが、角井もうまくて素質があると思います。昨年はケガもあって試合に出られませんでしたが、今年は新4年生に食らいついて試合で活躍してほしいです。

――春のオープン戦について伺います。特に意識しているチームや選手はいますか

目黒 やはり関西の2校。立命館と関大です。去年はシーズンを通して、立命館、関大、関学と3試合ともしっかり負けたので、日本一を目指す上でこの3校は負けてはいけないなと思います。この春の2試合を意識しなければ日本一は絶対に見えてこないので、まずはここに全力を注いでいきたいです。関西を圧倒していきたいです。

――最後に、ラストイヤーへの意気込みをお願いします

目黒 自分もフットボールを始めて13、14年なのでここが周大愛誠だと思っています。今まで得てきた知識や経験をチームに還元して、創部初の日本一を決めて卒業したいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 田部井駿平 写真 安齋健、田部井駿平)

昨年を「凌駕」するチームを作り、日本一へ突き進みます!

◆目黒歩偉(めぐろ・あい)

東京・佼成学園高出身。2001(平13)年5月8日。スポーツ科学部4年。168センチ。70キロ。WR。これまでクリスマスボウルで、5度高校日本一を成し遂げた名門・佼成学園でも主将を務めた目黒主将。自分の代では全国準優勝だった悔しさを胸に、早大で日本一を目指します!