【連載】甲子園ボウル直前特集【第1回】OL亀井理陽主将

米式蹴球

 第1回は早大BIG BEARSの大黒柱・亀井理陽主将(法4=東京・早実)の登場!秋シーズンの振り返りやに甲子園ボウルにかける熱い思いを語っていただきました。

「素直に嬉しい」

リーグ戦を振り返る亀井

――関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)で優勝が決まった時の率直な気持ちを教えてください。

亀井 昨年法大に負けてからやってきたことを一つ証明することができたと思っているので、素直に嬉しく思っています。

――今年のリーグ戦のオフェンスはランを出して勝ってきたという印象ですが、OLユニットの成長というのはどのように感じていますか

亀井 試合を積むたびにどんどん良くなっていったのかなと思います。春シーズンの立命大戦では11回7ydという屈辱的な結果に終わって、そこからは自分たちが強くないということを自覚して練習をしてきました。秋シーズン開幕戦の横国大戦や第三節の桜美林大戦などで点数は取れていたのですが、OLとしては課題が残っていたので、特に4年生を中心に追求していって、その結果としてディフェンスが強いと言われている法大にランを出せたのかなと思います。

――リーグ戦のターニングポイントは

亀井 中大戦なのかなと思っています。この試合までは大差で勝ってきたのですが、タイブレークで生きるか死ぬかという状況になった時に全員が気持ちを引き締められたというか、ここで負けたら終わるという気持ちを持って取り組めた結果として勝てたのかなと思います。

――3年前の甲子園ボウルでは何をしていたかと、先輩たちの敗北から何を感じましたか

亀井 3年前、一応ユニホームは着させてもらっていましたが、OLとしてのデプスは左タックルの3枚目で試合には全く出場せずに外から見ていました。僕自身3年前の4年生の方々を尊敬していましたし、スター選手たちがこれほどの熱量も持ってしても関学に負けるのかというふうに感じました。

――そこからの3年間をどのように過ごしてきたかと、いつ頃に主将になろうという気持ちが芽生えましたか

亀井 甲子園ボウルに3年間遠ざかっていたのですが、2年生のシーズンはコロナで思うように活動ができなくて。秋季リーグ戦の初戦からスタメンを任されたのですが、春の試合経験がない状態で秋シーズンを迎えて、正直に言うと甲子園どころではなかったというか自分自身のことに精一杯でした。昨年もコロナの影響を受けてはいましたが、その中でも2年生の時に秋シーズンを経験させてもらっていた以上引っ張っていかなければいけないということを自覚していました。甲子園に出たいという気持ちは強かったのですが、まだまだ精度が低くて甲子園には届きませんでした。この時期くらいに自分自身が来年主将になってチームを勝たせたいなという気持ちになりました。

――早実の野球部時代に甲子園に立った経験はありますか

亀井 高校2年時の春の選抜大会にあります。ブルペンキャッチャーというか二番手キャッチャーみたいな感じでした。実際に試合に出場はしていません。

入部のきっかけ

――大学入学するにあたり、部活動をするということは決めていたのですか

亀井 全く決めていませんでした。

――どういった経緯でアメフト部に入部することになったのですか

亀井 一つの転機としてLB若原碧飛(社4=東京・早実)やQB西坂公秀(政経4=東京・早実)に連れられて、大学のアメフト部を見学する機会があって。その時に単純にかっこいいなと思ったのですが、その場で入部を決めたわけではありませんでした。その後に普通の大学のサークルの新歓にも行ったのですが、どうしてもアメフト部の熱量が頭から離れませんでした。高校3年間を野球に注いできて、大学でも本気で新しいこと始めたいということを考えていた中で、最終的にアメフト部に入部することを決めました。

――甲子園ボウル以外に印象に残っている出来事や試合はありますか

亀井 昨年の法大戦ですね。昨年はチームの中で一番強いOLと言われていたのもあり、自信も少なからずありましたが、法大のDLに結構やられて自分に自信が持てなくなったというか、まだまだ井の中の蛙だったのだなと痛感しました。

――理想の主将像を教えてください

亀井 僕の理想の主将像は高校の時の野球部の先輩である清宮(幸太郎、現日本ハムファイターズ)さんです。一学年上で主将をされていたのですが、めちゃくちゃかっこいい主将でした。というのも、清宮さんは高校通算111本のホームランを打った圧倒的なバッターだったのですが、それだけではなくて練習で一番声を出していたりだとか、メディアに沢山注目されていても天狗になるようなことがなくて。下級生とも積極的にコミュニケーションを取っていて、圧倒的な実力があるにもかかわらず、寄り添ってくれるような方だったので、僕自身もそのような存在になりたいと思いました。僕は昨年度の主将の永山さんのように強くモノを言うことはできないので、だからこそチーム全体とコミュニケーションを取りながら、ボトムアップできる主将になろうと心がけて来ました。

――チームスローガンが『一丸』ということで、一見シンプルな言葉ですが、その難しさというのを私自身もこの一年間で痛感しました。それでも現在のチームはまさに『一丸』となってきたと思います。法大戦に勝利してからのチームの雰囲気はいかがですか

亀井 明大戦が終わってから法大戦までの10日間というのは、4年生は負けたら引退という状況で、チームの全員が法大に勝って甲子園に行くという目標を達成するために必死になってチームのために行動していたと思います。そういった部分では一丸になってきたとは思いますが、法大がゴールでは無いということは常日頃言っています。気を引き締めて甲子園に向けてチームをより良い状態にしていかなければいけないと感じています。

――これまで様々な監督や指導者に出会ってきたと思いますが、その中で髙岡監督の印象というのは

亀井 選手のことを考えてくださる監督だなと感じています。何をするにもまず選手で考えて結論を出しなさいということをよく仰っていて、トップダウン式でやるチームというのは簡単だと思うのですが、そうではなくて、選手の中で一つ一つ考えてそこから監督に話すということができているので、チームファーストであり選手ファーストである監督なのかなと思います。

培ってきたラン攻撃

――ここから甲子園ボウルまで、主将としてどのようなチームに仕上げていきたいですか

亀井 負けないチームを作りたいと思っています。春シーズンの関西の大学との試合ではいいようにやられていて、かなりの実力差があるなというのも正直感じました。そこから秋シーズンを経て、自分たちの中で自信が持てる部分というのも少なからずあるので、そういった自分たちがやってきたことを関西にぶつけて勝てるように、負けないチームを作っていきたいと思います。

――甲子園ボウルの注目ポイントや注目選手を教えてください

亀井 この秋シーズンで培ってきた早稲田のラン攻撃が、関学にどれだけ通用するかというのはひとつの注目ポイントであると思います。注目選手としてはWR佐久間(優毅、政経4=東京・早実)かなと思っています。もしランが出なかったら、あるいは出たとしても絶対にパスを通さなければいけない場面というのはあるので。僕も佐久間も甲子園でプレーしたことはないのですが、早実野球部出身二人でオフェンスを作り上げたいなと思います。

――ご自身が関学大相手にやりたいことを教えてください

亀井 ランもパスも今年の1年間は特に基礎から磨いてきたので、自分がやってきたことを出し切って関学DLを圧倒したいと思います。

――同期や後輩に対する思いを聞かせてください

亀井 4年生は結構仲が良かった代なので、仲が良い代だからこそ、スタープレイヤーがなかなかいない中でもここまで来られていると思うので、最後の最後まで一緒に日本一をつかみたいと思っています。後輩に対しては、後輩のおかげで勝てている部分もたくさんあるので、後輩は初めての甲子園ですが、臆することなく伸び伸びとプレーをしてほしいなと思います。

――改めて、甲子園ボウルへの意気込みをお願いします!

亀井 僕らは本当に失うものは何もないですし、全ての試合でチャレンジャーだと思ってやってきたので、甲子園という舞台に臆することなく、戦って創部初の日本一を成し遂げたいと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 安齋健、田部井駿平 写真 安齋健)

『一丸』で悲願の日本一へ

◆亀井理陽(かめい・りょう)

東京・早実高出身。法学部。184センチ。115キロ。OL(オフェンスライン)。