第3回はOL笹隈弘起副将(スポ4=東京・早大学院)とDL金子智哉副将(教4=大阪・豊中)の登場。春シーズンで浮き彫りとなったチームの『弱さ』についてや全てをかけて挑む秋季リーグ戦への意気込みなど、BIG BEARSの現在地を語っていただきました。
※この取材は8月19日に行われたものです。
「圧倒的な力の差を感じた」(笹隈)
春シーズンを振り返る笹隈副将
――春季オープン戦の総括ということで、関西と対峙して感じたことなど含めて振り返っていかがですか
金子 精度の差を感じました。春はチームが始まって少ししか経っていないという中でしたが、関西と戦って感じたのは、オフェンスもディフェンスもキッキングもプレーの精度が全く違いました。ただでさえ練習の質、量ともに関西に比べて低い我々が、春の段階から全てにおいて負けているなというのを感じました。それをどうするかというのを合宿では考えて取り組みました。
笹隈 圧倒的な力の差を感じました。僕自身それを一番痛感したのが立命大との試合です。僕はOLとしてランを7ydしか出すことができなくて、こんなにも関西の壁は高いのかというのを痛感したシーズンでした。
――春の対談でチームの層の薄さが課題というお話がありました。春シーズンはケガ人などの影響でJV戦のほかにもスタメン以外の選手が多く出場されていましたが、振り返っていかがですか
金子 僕は副将とは別にキッキングの主任もしているのですが、夏合宿までを通じて、1年生2年生がすごく成長してくれていると感じます。特にキッキング部門はオフェンスやディフェンスと違って下級生が出場しやすい部門なので、そこで下級生が台頭してくれているのはすごく助かるし、チームとしてもボトムアップが体現できているのかなと思います。
笹隈 春シーズン最後の日大戦で、OLに限らず全てのポジションでJVのメンツが出ていたにも関わらず、日大に勝ちきれたというのが、チームとしてボトムが上がってきているなと感じましたし、すごく自信になりました。
――合宿はチームとしてどのような意気込みで臨みましたか
金子 自分たちが(春季オープン戦で)関西に負けて、どれだけ弱いのかというのを自覚して、その弱さをどう克服するかを幹部で課題として一番に挙げて合宿には取り組みました
笹隈 同じことにはなりますが、幹部として自分たちは弱いんだということを表現するというか、弱さを補うために合宿はハードなものにしました。昨年と同じメニューをやっていても弱さを克服できないということで、練習の時間自体や相手とフルヒットする時間を増やすということを、オフェンス・ディフェンスのリーダーや、各ポジションのリーダーと話し合って新しいメニューを作って、量はとにかくこなしました。
――合宿を通して各ユニットや個人で得た手応えはありますか
笹隈 OLは練習が本当にしんどくて。チーム全体の練習以外でも、フルでヒットして、フルでスタートしてということをやりきった合宿だったので、練習量なら他のポジションに負けない自信があります。
金子 関大戦でケガをしてしまった影響で夏合宿までに復帰ができなかったので、個人としての成長は僕自身あまりできていないのが正直なところです。
――合宿までを終えて、成長著しい選手を教えてください
金子 1人目はディフェンスの人間として2年生のDL齋藤菜穂都(政経2=東京・早大学院)を挙げます。前回の対談では堤(祥悟、教2=東京・早実)を挙げたのですが、同学年の齋藤も最近すごくウエイトをしていて、体も大きくなって強くなって。春の日大戦でも活躍していましたし、上級生がケガをしていた中で、堤と一緒になってDLを支えてくれていたので、秋シーズンの活躍が期待できるなという選手です。2人目はキッキング主任という立場から、1年生のOLの藤原くん(柊馬、国教1=東京・西)はすごく期待ができる選手ですね。OLとしてはまだまだ体が細い選手ではありますが、足も早くて身体能力も高くてフットボールセンスもありますし、1年生ながら合宿でも活躍してくれて、今一番勢いのある選手かなと思います。
笹隈 面白くないかもしれませんが、春と同じく飯田(星河、法2=東京・早大学院)を挙げさせていただきます。飯田は(ケガの影響で)春に思い切ってプレーすることができなかったので、復帰した当初は思い通りに体が動かなくて悩んだりしていたのですが、ポジションとして合宿でハードに明るくやっていた中で飯田もすごく存在感を出していて。秋は注目しているというか、お互いに切磋琢磨してやっていきたいと考えています。
「DLが圧倒して、後ろを助ける」(金子)
秋季リーグ戦への意気込みを語る金子副将
――合宿までを終えて、秋のBIG BEARSはこれで戦っていく、みたいな強みを言える範囲で教えてください
笹隈 オフェンスとして用意しているものが昨年とは全然違うので、昨年とは違ったオフェンスというのを見ていただけるのかなと思います。具体的な内容というのは実際に足を運んで確認していただけたらと思います(笑)
金子 ディフェンスの立場から言うと、昨年とスキームが全く違いますし、使っているポジションの人数も多種多様なフォーメーションを用意しています。対戦校からしたらスカウティングしづらい個人の裁量が高いディフェンスになっているので、いかに個でDLが圧倒して後ろを助けるかというのが重要になってくると思います。
――秋季リーグ戦は試合を積む中で成長していくことも重要になってくると思いますが、最終的にどのようなチームに仕上げていきたいかを教えてください
笹隈 アメリカンフットボールは全体として強いチームが強いというよりは、一人一人が日本一の選手になることが重要だと僕は考えていて。そのために僕自身はOLというポジションの中で、日本一のプレイヤーを目指すということに注力していて、うまくいかないことも多々あるのですが、試行錯誤を繰り返して日本一のOL、日本一のプレイヤーになるということを意識してやっています。チームをどう引っ張っていくかということについては、試合の中では何が起こるか分からないので、チームが劣勢の状況に立たれた時でも、僕自身が常にチームを鼓舞し続けることが大事だと考えています。
金子 うちのチームの特徴として、昔は強かった、昔は関東で優勝争いを多くしたというだけのチームだと思うので。要は、自分たちはまだまだ弱いということをいかにチームに浸透させるか、部員を慢心させずに幹部から自覚させるための働きかけというのがすごく大事になってくるかなと思います。
――ラストシーズンへの意気込みをお願いします!
金子 池田さんの代が甲子園に出た1年時、コロナで厳しかった2年時、主力として試合に出場できるようになったけど法大に負けた3年時といろんな経験をしてきた代なので。いかに4年生が一つになって日本一を獲るか、法大を圧倒して関西に勝つために、春のリベンジをするために全員が努力しているので、幹部として弱さを自覚させるという話もしましたが、その弱さを自覚させるのと同時に、日本一になるチームということを部員に意識させるかが大事になってくると思います。
笹隈 僕はこの部活に全てを賭けていて、大学生活の思い出といえば東伏見でアメフトをした4年間でした。そのような辛くてしんどい4年間を過ごしてきたからこそ、最後は絶対に自分たちが勝って終わらないと僕自身は納得できないというか、終わることができないので。アメフトをやるのも最後になると思いますし、これまでの人生の集大成として残りの3カ月は全力を注ぎたいと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 安齋健、田部井駿平)
お二人の活躍に期待です!
◆金子智哉(かねこ・ともや)(※写真左)
大阪・豊中高。教育学部4年。179センチ。99キロ。DL。浪人生活を経てBIG BEARSに入部した苦労人。低学年時はケガに苦しみながらも、ラストイヤーである今年度は副将として、ディフェンスの要として存在感を発揮している。勝負メシは上井草にある洋食屋『ア.ストラーザ』のデカ盛り料理。
◆笹隈弘起(ささくま・ひろき)(※写真右)
東京・早大学院出身。スポーツ科学部4年。175センチ。103キロ。OL。早大学院時代は硬式野球部の主将を務めた笹隈選手。今年度は副将として、OLの一員としてBIG BEARS勝利の立役者へ。試合前のルーティーンは一人で試合会場に行くこと。寮に住んでいながらも、あえて実家に帰ってから一人で会場に向かっているそうです!