『愚直』に戦い続けるもあと一歩及ばず、リーグ2位でシーズンを終える

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 0 0 7 3 10
法大 ORANGE 3 14 7 24

 関東大学秋季リーグ戦のグループリーグで3連勝した早大BIG BEARSは、2年ぶりの関東制覇をかけて法大と対戦した。法大は強力なオフェンスが持ち味で、今シーズンは1試合平均で400ヤードを稼いでいる。一方早大は、平均失点が8.7点と安定した守備が持ち味だ。互いに強みをどこまで発揮できるかが鍵となったこの一戦。前半はオフェンス・ディフェンス共に法大に苦戦を強いられ、0-17で前半を折り返す。後半は、最初のドライブで早大オフェンスがTDを決め、第4クオーター(Q)にはFGを成功させ、7点差まで追い上げる。しかし、法大に追加点を奪われ惜しくも10-24で敗れ、関東2位でシーズンを終えた。

 後半に攻撃権を選択した早大は、法大のキックオフリターンを止め、ディフェンスも自陣まで攻め込まれるもパントに追い込む。しかし、法大のパントによって自陣深くに追いやられ、早大オフェンスもダウンを更新できずにパントに終わる。続く法大のオフェンスでは、強力な武器であるランでロングゲインを許し、TDにはさせなかったが、FGで先制される。追いつきたい早大であったが、悪いフィールドポジションからの攻撃が続き、ダウンを更新することができない。すると第2Qに入り、TDを許し点差を広げられる。点を挙げたいオフェンスは、QB國本孝凱(社2=東京・早大学院)からWR目黒歩偉(スポ2=東京・佼成学園)にフリーフリッカーでのパスが通り敵陣に侵入する。しかしその後の攻撃が続かず、点を挙げることができなかった。これ以上の失点は避けたい早大であったが、流れに乗った法大オフェンスを止められず、さらにTDを許し、前半を0-17で終える。

タックルにいくDL山田

 17点差で後半を迎えた早大は、WR田窪大渡(政経4=東京・早大学院)へのパスやRB安村充生(文構2=東京・早実)のランで攻め込むと最後はRB吉澤祥副将(スポ4=東京・成蹊)のランでTDを挙げ、反撃開始。ディフェンスも法大のランプレーに対して粘り強く守り続け、追加点を許さない。ディフェンスの奮闘に応えるようにオフェンスも自陣17ヤードからドライブし、ゴール前まで迫る。そしてQB國本からRB吉澤にパスが決まり、TDかと思われたが、ホールディングの反則がありTDは取り消されFGに終わる。しかし7点差まで追い上げ、流れは一気に早大に傾く。ディフェンスも法大の4thダウンギャンブルを止め、第4Q残り6分58秒から早大は同点を狙いにいく。パスで徐々に陣地を進めていき、迎えた3rdダウン。早大はスペシャルプレーを試みたが、法大に完全に読まれていた。タックルを浴び、痛恨のファンブルロスト。次のオフェンスでは自陣6ヤードからの攻撃で、パスが決まらずギャンブルに失敗。自陣深くからのディフェンスとなった早大は、法大のオフェンスにダメ押しとなるTDを決められ、万事休す。10-24の敗戦を喫し、惜しくも2年ぶりの関東制覇には届かなかった。

TDランを決めたRB吉澤

 「前半を10点で抑えてればなと悔やまれますね」(DL永山開一主将、教4=東京・足立学園)、「何かで打開したかったのですが、できなかったです」(吉澤)と前半の劣勢が大きく響いた。しかし、チームは悲観せず『愚直』に戦い続けた。後半のオフェンスの追い上げには迫力があり、ディフェンスも「勝負所でしっかりと止め切る早稲田のディフェンスが体現できた」(石丸)と奮闘した。今シーズンは下級生も多く試合に出場しており、彼らはこの試合を通して感じるものがあったはずだ。「彼らには期待と安心しかありません。彼らなら大丈夫。必ず、僕らが辿り着けなかった頂の景色を見てくれると信じています」(DB岸野友哉、政経4=東京・早大学院)。4年生が背中で示してきた『愚直』を胸に来季こそは日本一を成し遂げてほしい。

粘り強く守るディフェンス陣

(記事 小野寺純平、写真 安齋健)

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
法大 1 FG #0霧峰 0―3
法大 RUN #32宮下 #0露峰 0-10
法大 RUN #1星野 #0露峰 0―17
早大 RUN #25吉澤 #16平田 7-17
早大 4 FG #16平田 10-17
法大 RUN #30新井 #0露峰 10―24
コメント

高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

学生たちが残り0秒になるまで本当に集中してやってくれました。ありがとうと伝えたいです。

――前半を無得点で終えてから後半を迎えるにあたり、どんなことを選手たちに伝えましたか

過去に法政さんとは厳しい試合をしてきて、そのたびに後半で盛り返してきたので。17点差ということでひっくり返せない試合ではないから、もう1度やるべきことをやり、できていないことを振り返って後半集中してやっていこうという話をしました。

――勝つためには何が必要だったと思いますか

やらなくていい反則がいくつかあったということと、うちのレシーバー陣はいい選手が揃っていて、その選手たちがこれまでの試合ではとれていたパスを、ドロップしてしまったことですかね。もちろん法政さんのDBがよかったというのもありますが、こういった部分において、わずかに完成度が低かったのかなと思います。

――今年1年間新体制スタートからチームを振り返っていただいていかがですか

今年の4年生は人数の少ない中でも個性的な4年生が多くて、最初はいろいろな意見が衝突しましたが、1年間を通して本当に人間的に成長してくれました。昨日の試合前日のグラウンドでの姿を見ても、非常にきれいに使っていましたし、試合には負けましたけれども、私が監督をやってきた中で1番成長してきた代だなと思います。

――引退する4年生にメッセージをお願いします

 ひとつは今後もフットボールに携わってほしいということですね。プレイヤーはもちろん、審判でもいいですし、とにかくこれからもフットボールを愛して欲しいなと思います。それからは、我々のチーム活動の目的として「社会に出た時に、自分をどういうふうにして有意義な人材として生かすか」ということを言ってきたので、この4年間で培ってきた活動目的をしっかり心に留めて社会に出ても頑張ってほしいなと思います。

DL永山開一主将(教4=東京・足立学園)

――今日の試合を振り返ってみていかがですか

力及びませんでした。

――前半にランでビッグゲインを許した後はなかなか難しい時間が続きましたが、振り返っていかがでしたか

たらればですが、前半を10点で抑えてればなと悔やまれますね。

――後半は粘り強いディフェンスで何度も耐え凌ぎました。振り返っていかがでしたか

素晴らしいディフェンスでした。このチームが始まってから一番まとまりがあり、粘り強かったディフェンスだと思います。

――4年間を振り返っていかがでしたか

悔しい思いが大半です。

――最後に後輩へ一言お願いします

僕たちが成し遂げられなかった日本一を任せます。後輩は本当に頼もしいやつばかりです。妥協せず頑張れば道は開けると思うので頑張って下さい。

LB石丸圭吾副将(政経4=埼玉・栄東)

――今日の試合を振り返ってみていかがですか

自分たちの持てる力は全員が出し切れたと思います。ただそれ以上に法政が強かったということだと思います。

――前半にランでビッグゲインを許した後はなかなか難しい時間が続きましたが、振り返っていかがでしたか

ディフェンスとしては、自分たちのやってきたことをしっかりと遂行すれば、必ず止まると全員が共通認識を持てていたので、厳しい時間帯も常に焦らず、前を向いてプレーすることができました。

――後半は粘り強いディフェンスで何度も耐え凌ぎました。振り返っていかがでしたか

全員が最後の最後まで高い集中力を持って、プレーをしてくれました。勝負所でしっかりと止め切る早稲田のディフェンスが体現できたのではないかと思います。

――4年間を振り返っていかがでしたか

技術も経験もフィジカルも無かった僕を、監督、コーチ、先輩、同期、後輩、早稲田のフットボールが僕をここまで育ててくれました。感謝しかありません。本当にありがとうございました。

――最後に後輩へ一言お願いします

今年は本当に下級生に支えられた代でした。全員に感謝しています。ありがとう。全力で応援しています。

RB吉澤祥副将(スポ4=東京・成蹊)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

法政は強かったです。この試合だけじゃないのですが、オフェンスで全然点が取れなくて、ディフェンス、キックには迷惑をかけました。自分がもっと走って、チームを勝たせたかったです。

――前半はフィールドポジションが悪く厳しい展開が続きましたが振り返っていかがでしたか

フィールドポジションもそうですが、法政ディフェンスにアジャストするのに時間がかかってしまいました。3回で終わることが多すぎたので、何かで打開したかったのですが、できなかったです。

――後半はどのような気持ちで臨みましたか

いつも通りの気持ちでした。後半、攻め続けていれば必ず逆転できると思っていたので、いつも通り、東伏見で練習しているときの気持ちで臨んでいました。

――一時はワンポゼッション差まで追い上げました。後半全体のオフェンスを振り返っていかがでしたか

悪くはなかったと思います。前半でやられていた部分をしっかり修正して、いいドライブができたと思います。でも、イケイケの場面で反則やミスが出てしまって、弱さが出たと思います。

――4年間を振り返っていかがでしたか

いろいろあったのですが、楽しかったです。大学でアメフトを始めて、わからないことだらけだったのが、毎日がむしゃらにやって、毎日成長できました。やり切りました。

――最後に後輩に一言お願いします

必ず勝て。

DB岸野友哉(政経4=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返ってみていかがですか

自分自身、やれることはやり切ったと胸を張って言えますが、やはりこの結果は悔しいです。

――前半にランでビッグゲインを許した後はなかなか難しい時間が続きましたが、振り返っていかがでしたか

苦しい展開ではありましたが、集中力を落とさず、1QでTDを許さなかったのは、今年の早稲田ディフェンスの集大成であったと感じます。しかし、2Qの最後に2つ目のTDを許してしまったことが、今回の敗因につながってしまったと感じており、悔しい限りです。

――後半は粘り強いディフェンスで何度も耐え凌ぎました。振り返っていかがでしたか

ハーフタイムでの選手間のコミュニケーションの賜物であったと感じます。正直、後半のゲーム内容としては全く負ける気がしませんでした。

――4年間を振り返っていかがでしたか

正直に述べると苦しいことばかりでした。その一方で、とても多くのことを学び、成長できた4年間でもありました。ラストイヤーは特に苦しい1年でしたが、後輩たちのおかげで何とか走り抜けることができました。後輩たちには感謝しかありません。

――最後に後輩へ一言お願いします

彼らには期待と安心しかありません。彼らなら大丈夫。必ず、僕らが辿り着けなかった頂の景色を見てくれると信じています。

WR田窪大渡(政経4=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

前半はオフェンスがうまく出せず苦しい状況が続きました。後半はテンポよく進めた時間もありましたが、ミスも多く重要な局面で決め切ることができませんでした。

――前半はフィールドポジションが悪く厳しい展開が続きましたが振り返っていかがでしたか

ラン・パスともになかなか出ず、法政ディフェンスを打開できずに、オフェンスで時間をコントロールすることができませんでした。

――後半はどのような気持ちで臨みましたか

前半は何があっても焦らず、後半勝負という気持ちでいたので、後半の4Qまで焦らずプレーしていました。

――一時はワンポゼッション差まで追い上げました。後半全体のオフェンスを振り返っていかがでしたか

後半のオフェンスはテンポ良く進むことができ、時間もコントロールできたシリーズがあったのは良かったと思います。ただ、ミスが目立ち大事な場面で決め切ることができなかったのは、力不足でした。

――4年間を振り返っていかがでしたか

偉大な先輩方、頼もしい後輩たち、そして熱い同期に恵まれ、4年間早稲田でフットボールができて本当に幸せでした。

――最後に後輩に一言お願いします

4年間をかけて、100%の力で目標に向かって突っ走ってください。応援しています。