【連載】甲子園ボウル直前特集『闘志』【第6回】LB池田直人主将×LB野城翔也

米式蹴球

 2年連続で関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)制覇を果たした早大米式蹴球部BIG BEARS。そんなチームの主将を務めるLB池田直人主将(法4=東京・早大学院)とLB主任を務めるLB野城翔也(創理4=東京・西)に甲子園ボウルに向けた意気込みを伺った。


「いいディフェンスができている」(野城)

激闘の法大戦を振り返る野城

――池田選手は主将として、野城選手はLB主任としてここまでチームを引っ張ってきましたが、これまでのシーズンを振り返っていかがですか

池田 僕は主将としてチームをまとめる立場なんですけど、人数が多い中でチームがまとまらず、それをまとめるのに必死で、春などは忘れ物が多かったりモラル面をしっかりやろうと思ってやってきました。僕が主将になって周りに対してもっと干渉しようと思い、今までは他の人に怒ったりすることはなかったんですけど、そういうのを厳しくしてやってきました。今年はLBというよりかはDLと同じ動きをしていたんですけど、その中でも主将としてプレーしながらも自分の能力も伸ばすために、DLとしてのヒットなど、当たる強度を上げて自分の能力を伸ばそうとやってきました。

野城 春シーズンに関しては自分の力を伸ばすという点に注力していました。それが結構チームや後輩にも影響を与えると思っていたので。合宿と秋シーズンは、最終学年としてのシーズンへ向けてという重みもあったので、なかなか思い通りに動けないなという部分もあったんですけど、そういう意味ではオフェンスやキッキングに助けられたディフェンスだったかなと思う部分はあります。僕は1年間を通じて、接点であったり、どう相手と当たるかというところの練習を積み重ねてきていて、それに関してはある程度できるようになったかなと思っているし、LB主任としてそれをLBユニットに落とし込んだりすることもできていて、後輩が練習でいいヒットをすると、やってきたことが伝わってきたんだなという気持ちになりますね。

――リーグ戦で一番印章に残っている試合はありますか

池田 やっぱり法政戦ですかね。法政戦は最初キックカバーで持っていかれて0-7になって、その後すぐにオフェンスのファンブルでボールオン20ヤードくらいからのディフェンスになってという展開だったので、しんどい試合でした。前半は割とボールポゼッションが悪い状況でなかなか流れが切れずにTDまで持っていかれてしまいました。ただ、後半はしっかり相手の傾向を自分たちで洗い出して対応して、0点に抑えることができました。オフェンスを僕は信じていたので、うちのオフェンスだったら逆転してくれると思って最後まで諦めずに戦うことができたので、法政戦は印象に残っていますね。

野城 僕も法政戦は印象的でしたね。僕はアメフトというスポーツをやってきた中で、あまり競った試合をやったことがなかったので、法政戦のような試合展開は試合中ビクビクしていたんですけど、ビハインドの状況でもディフェンス全体としては、あまり焦らずに自分たちのやるべきことをしっかりと集中してできて勝つことができたので、いいディフェンスができているなと思って、とてもうれしかった試合ですね。

池田 ディフェンスとしては1回だけロングドライブはされたんですけど、ボールポゼッションが悪い状況を断ち切れなかったというのはあるんですけど、あとはしっかりとドライブされていたわけではなかったので前半から悪くはなかったのかなと思います。あとはランプレーとかの傾向が出ていて、そこをコーチ陣がしっかりとアジャストしてくれたっていうのが大きかったですね。

 

――法大戦の勝利で2年連続のリーグ戦制覇となりましたが、チームの完成度としてはいかがですか

池田 まずまずですね。特にめちゃくちゃ悪いというわけでもないですし、最高というわけでもないので。ディフェンスとしては春からずっと基礎プレーをやってきて、今もそこまで大きく変えていないので、ある程度の一人一人の動き方としてはできるようになってきたんですけど、最終的なフィニッシュの部分であったりだとかタックルミスであったりとか、DBが競り合いで結局勝てていないだとかっていうところがまだまだ見受けられているので、これから修正していかないといけないと思います。キックもまだまだ細かいミスとかも多いので、そこもこれから修正していかなければなと思います。

野城 関西と張り合えるレベルかというのは実際はよく分からないですね。秋シーズンの最初の頃は日本一を目指してずっと練習していたんですけど、後半戦になるにつれて目の前の相手を倒すというところに注力していたので、リーグ戦を終えた今、どこまで関西をみんなが見えているのかというところですね。明治戦くらいから正直、全員が関西を意識してではなく、明治にも勝つぞという意識の方を強くやっていて、全員が関西のレベルを意識してやっていたかっていうとそうではないかなと思っています。なので、これから2週間ほどでどれだけ関西のチームのレベルであったり、関東との違いであったりを意識して練習できるかっていうのは大事になってくるなって思いますね。

――ディフェンスのお二人から見て、今年の早稲田のオフェンスユニットの印象はいかがですか

池田 まぁ、強いですね。僕は結構オフェンスを完全に信頼しているので。柴崎(QB柴崎哲平、政経4=東京・早大学院)やブレナン(WRブレナン翼、国教4=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)といったスター選手はいるんですけど、OLがめちゃくちゃ強いわけではないですし、RBも努力はしているなと思いますがスター選手というわけではない中で、ランプレーであったらランユニットとしてタイミングを合わせて完璧なタイミングで走ってランプレーを平均的に出していますし、パスプレーに関しても柴崎が周りを見てしっかりやってくれていますね。レシーバーも粒揃いなので、そこにしっかりと投げてというところです。パスに関してもランに関しても関東一位のオフェンスなだけはあるかなという感じですね。

野城 柴崎とかブレナンがいるからなんかすごいなっていうくらいのアバウトなイメージはありますね。あとはランオフェンスに関しては、ディフェンスの練習の時に仮想定として台になってやってくれるんですけど、実際の試合の方が練習の時よりプレースピードが遅かったり、RBとラインズのタイミングが合っていないなと感じることがあるので、そういったところでうちのオフェンスは完成度が高いんだなと感じるところはありますね。

――早稲田のRBというのは他のチームと比べてどのような印象がありますか

池田 迷いがないですね。とにかく早いです。エクスチェンジをミスったらハンドオフミスってしまうくらいのタイミングでハンドオフして、ほぼカットを踏まずに縦に縦に攻めてくるので、ディフェンスとしてはあのプレースピードは脅威だなと思います。

――ディフェンスの出来としてはどのように捉えられていますか

野城 ディフェンスはデプスが薄いというのは結構課題でしたね。試合に出るのが僕は一番成長すると思っているんですけど、僕らも試合に出たいので後輩にポジションを譲る気もさらさらなくて。そのせいで僕らだけ上達していってというところで、LBに関してはデプスが薄くなってしまったなという印象ですね。ただ、その反面、僕とか池田、あとは杉田(LB杉田直人、法4=東京・早大学院)であったりは春から1年通じて出てきましたっていうのもありますし、試合の中でこそ試せることも色々あって、うちはベースプレーが多いのでそこの中で思い切ったプレーができるようにはなりましたね。

池田 あまり昨年までのように難しいことはやらないようにして、アサインメントをクリアにしてやってきました。その成果が出ていて、アサインメント上では止まっているというか、これはこうやって止めるんだよっていう認識をみんなが理解できていたのはいい点ですね。あとはさっきも言った通り、一人一人が役割を遂行した上で、最後のタックルミスであったりとかが相手にドライブされてしまっている要因ではあるので、そういった細かいところを修正していがないといけないのかなと思います。

――LBで出ている選手は同じメンバーが多いなという印象ですが、競争という面ではいかがですか

野城 僕らはメンツを選ぶわけではないんですけど、出ている選手は信頼を得ているというところが大きい気がしています。

――早稲田のディフェンスはボックス内が4-2と、LB2人ですが、難しさなどはありますか

池田 ボックス内の枚数が足りないなと思ったり、セーフティーがランディフェンスに参加してくれたりはするんですけど、とは言ってもセーフティーなので。他校だとニッケルみたいなポジションがLB兼DBみたいな感じでやっているんですけど、早稲田は、LBはLB、DBはDBで分かれているので、そういった部分ではLBに要求されることはすごく大きいですね。パスカバーもしっかり下がらないといけないし、ランもしっかり追いかけないといけないし、しんどいなと思うことは多々ありますね。

――今シーズン、ランプレーでコンスタントにゲインされる場面が見られますが、要因としてはどこが挙げられますか

池田 まぁ、タックルミスですね。ただ、1試合1試合課題は潰してきているので、法政戦ではあまりやられなくなりましたね。開幕戦の東大戦は割とやられましたね。タックルミスであったりとか、最初にアジャストができなかったりで。あとはさっきも言ったんですけど、LBが2人しかいない中で、相手にボックス内を増やされてしまっている中で、DBとLBがランディフェンスに参加するっていうのがまだできていなかったので東大戦はやられてしまったんですけど、そこはシーズン中に修正できたので、あとはタックルミスがどれだけ無くなるかですね。

――主将としてかなりの大所帯を日頃からまとめられていますが、その難しさは感じられていますか

池田 そうですね。特にうちだと経験者も未経験者も入ってくるので、境遇が違う中で日本一を目指しているっていうチームなんですけど、それが1年生にはまだまだ伝わっていない部分があるのかなと思っていて。4年生と1年生の間では温度差があったりとか、スタメンとそれ以外では温度差があったりとか、そういった選手たちにどれだけ日本一を意識させてやらせるかっていうのが難しくて、今でも日々考えてやっていますね。そこはうちのいいところでもあり、悪いところでもあるとは思いながらやっています。

――チームとして春から成長を感じている部分はありますか

野城 ベースプレーを春からずっとやってきていて、秋もそれを使っているのでアサインメント上では止まっているねっていうことは増えましたね。その分逆にタックルのミスであったりっていうのが目立っちゃうんですけど。アサインメントの理解っていう部分では固まってきたんじゃないかなと思います。

池田 僕も一緒ですね。『How to stop』の部分であったりとか、相手がこう来たらこう止めようっていうのを試合中に話したりとか、ディフェンスの幹部陣が集まって話し合ったりっていうのは昨年よりもしっかりできているかなと思います。理解が深まっているので、試合中になにが悪かったかっていうのも話せますし、昨年よりもベースをしっかりとやって、秋まで4-2の体型でやっている成果が出ているのかなと思います。

――野城選手から見た池田主将の印象はいかがですか

野城 池田は2種類のポジションをやっていて、DLに近い位置でプレーしている時はよく分からない未知の動きをするので、すごいなって思いますね。LBとしては春から一緒にやってきていて、ちゃんとキャリアーが見えていてタックルに向かっていますし、何より一緒にフィールドでプレーをしていて、隣に居て信頼できるし、安心感を得られるプレーをする選手ですね。

――池田選手から見た野城選手の印象はいかがですか

池田 野城は昨年の秋シーズンからスタメンになってきて、思い切りの良さであったりとかは試合中でも練習中でも尊敬するところがあって、OLやFBに臆することなくぶつかったりしていけるのは、うちのLBでは野城くらいかなと思っていますし、試合中に成長しているなというのはすごい思っています。昨年までは僕の方が上手いなと思っていたんですけど、今になっては野城の方が全体的に上手いなと思います。パスカバーはひどいですけど。(笑)

一同 (笑)

池田 でも、思い切りの良さとか、アサイメント理解が向上していてすごい成長しているかなと思います。あとは、経験が浅いこともあって、フィールド内でディフェンスを仕切るというのがまだまだなので、そこはこれからですね。

――野城選手は高校時代からLBでしたか

野城 そうですね。都立西高校でやっていたんですけど、LBだけをずっとやってきて7年目ですね。

「どんな状況でも焦らない」(池田)

LBとして、ディフェンスの中心としての心構えを語る池田選手

――お二人とも7年間LBをやられてきた中で、心得のようなものはありますか

池田 僕はあんまりないんですけど、試合中に意識していることは、どんな状況でも焦らないということです。僕が焦ってしまうとディフェンスがまとまらなくなってしまうので。どんなにビハインドであっても、どんなにドライブされても絶対に次のプレーで切り替えていくことを意識しています。僕が周りに指示を出すことが多いので、そこで焦ってしまうとディフェンスが機能しなくなってしまうので、絶対に焦らないように意識しています。

野城 僕はここ数年ずっと接点の部分を練習してきたので、OLやブロッカーに対して思いっきり当たるっていうのを誰よりも練習してきている自信があるので、そこに関しては譲れない部分はありますね。

――試合を見ていても、野城選手のタックルの勢いは際立ちます

野城 ただ、あれはミスする時は思いっきりミスするんですよ。(笑)あんまりいいものじゃないですよ。

――他の選手のタックルを見て何か思う部分はありますか

野城 実際、アジリティーであったり、RBに近づいていく方法であったりとかは、みんなの方が上手い部分はたくさんあるので、練習と試合は違うんだなと思います。練習ではできているのに、試合になるとできなくなったりする選手もいて。それとは別で僕たちはLBとしてのタックル練習はしていて、それがいくらか試合で結果が出ているなと思います。

――4年生で主将になられた池田選手ですが、野城選手から見て池田選手の変化した点などはありますか

野城 僕らは今寮が同じなんですけど、私生活についてはあんまり変わらない感じはしますね。ただ、グラウンドに入った時の切り替わりは主将になってからは全然違くて。私生活を一緒にしている分、主将としてチームに振る舞っているなというようには思いますね。

――池田主将は1年時と昨年の2度、野城選手も昨年甲子園の舞台でプレーされましたが、甲子園の雰囲気というのはいかがですか

池田 あそこは、全然違いますね。観客の入り方も、会場の雰囲気も関東でやるどの試合よりも引き締まると言いますか。試合に集中できないくらいの観客の数ですし、サイドラインの声もフィールドの中にいたら全然聞こえないですし。僕は試合で緊張はあんまりしないんですけど、緊張感がある場だなというのは思いますね。

野城 やっぱり空気感は全然違うなと思いますね。僕も1年生の頃から甲子園から連れてきてもらっているんですけど、この場所にきて勝つっていう風にできていないんじゃないかと感じてしまうような、いつもと違う場所ですね。

     

――普段の試合と違った難しさは感じられていますか

野城 観客の入りがすごく多くて、それでいて関西のホームなので僕らからしたらアウェーという感じですね。2回とも関学とやったんですけど、スタンドがまっ青になっている印象がすごく強いですね。

――昨年はお二人とも出場されましたが、昨年の甲子園ボウルを振り返っていかがでしたか

池田 何もできなかったなという感じです。結構色々と準備していったんですけど、ほぼ歯が立たず。昨年の関学には何回やっても勝てなかっただろうなという結果でした。試合中もみんな諦めてないような感じで振る舞ってはいたんですけど、もう無理だなって思っている選手が多かったですね。特に後半の最初でもTDされてしまったりとかで、関学大の雰囲気にのまれてた部分があったので、そこに関しては完敗だったなと思います。

野城 僕からしても何もできなかったなっていう印象が強いです。その思いが試合中もずっと続いてすぐに試合が終わっちゃったという感じで、今までやってきたことが出せなかったなという気がしましたね。最後、けがをしていた相手RBの山口選手(RB山口祐介 、関学大)が出てきてニーダウンに参加したときはすごい悔しかったです。俺らってこういうことされるくらい相手にならなかったんだっていうのは後々悔しくなりましたね。試合中に関しては、本当に何もできなくて、ただただ時間が過ぎていったみたいな感じがして、もったいなかったなと思います。

――池田主将は1年時の頃から出場されていましたが、その時と比べてご自身成長した点はありますか

池田 1年生の時と比べるとOLと戦えるようにはなりましたけど、関学大のOLはあまり押してくるというタイプではなくて、甲子園ボウルにいかないと関学大のOLとは当れないので、関東のOLと関西のOLの違いっていうのが明らかにあったんですけど、そこにギャップを感じてしまって戦い切れなかったところがあります。そう思うと1年生の時も昨年もそこまで変わらなかったなと思いますね。あんまり成長できていないというか、「関西ってこんな感じなんだ」っていうのを思い出しただけっていう感じになってしまったので、そういう意味ではチームとして何年も連続して甲子園ボウルに出ていかないといけないのかなと思います。

――昨年甲子園ボウルに出場されたことが今年に生かされていることはありますか

野城 僕は自分が甲子園のフィールドに立ってプレーして、関学大と実際に当たるっていう経験ができたっていうことが1つです。あとは、さっきの山口選手の話とかも含めて、試合後のメディアの記事とかを見て「悔しいな」って思ったことが自分の中でモチベーションになっていますね。

池田 昨年はチームでも甲子園に行けたことに満足してしまっていて、そこで勝つっていうのはそこまで考えられていなかったのかなと思います。そこは今年は『甲子園で勝つ』っていうのを目標として掲げているので、その意識はしっかりもってやってこれました。関西との差は、フィジカルの部分でもあって、RBなどのスキル陣でもフィジカルの差があるので、自分から攻めて当たりにいくというのはやってこれました。

――これまでの甲子園ボウルではたくさんの悔しい思いもされてきたと思いますが、お二人にとって『学生日本一』を目指せるチャンスは今年がラストになります。今年に懸ける思いというのはいかがですか

野城 僕はLBコーチの言葉が胸に刺さっています。「お前らは負けている文化を作っているだけや」っていうように言われて、「たしかにな」って納得してしまいました。僕は関西に勝ちたいなとすごい思っているので。「関西の選手たちは負けたらいけないプレッシャーの中でやっているけど、僕らにはそのプレッシャーはないだろ」とも言われました。関西に行って甲子園に行ったことだけで満足してしまって負けるっていうのをこれ以上繰り返してしまったら、本当に負けの文化ができてしまうなって思っているので、そういうのを後輩には残せないなと思うので、やっぱり勝ちたいですね。

池田 僕は大学で2回、高校でもクリスマスボウルで2回関学に負けていて、計4回関西に勝てていないということで、今年こそは勝って、日本一になってシーズンを終えたいというのが僕の中ではあります。特に僕と同じ早大学院出身の選手は何度も何度も負けているので、そこの気持ちは強いなと思います。甲子園を『勝つ場所』と認識できる選手がまだまだ少ないので、あの場を行って満足する場所じゃなくて、勝って終わらせる場所にしていきたいと思うので、そういった面でも今年は勝たないといけないなと思います。今年の4年生は柴崎であったり、ブレナンであったりとメンバーがそろっている中でも勝てないとなるとこれから先しんどいと思うので、ここでしっかりと勝ち切りたいなと思います。

――関学大の印象としてはいかがですか

池田 やはりフィジカルがあるので、OLとかRBとかの力は相当あると思います。関学大は頭がいいと言いますか、試合中すぐにアジャストしてきますね。あとは、相手のオフェンス、ディフェンスの弱いところをしっかりとスカウティングして突いてきてます。なので、関学大は頭を使ってくるなという印象です。

野城 僕の中では関学大はいなすというか、巧さがあるなというのは対戦して思いましたね。関立戦を見ていると、両校とも鬼気迫っていて、フットボールに対する気持ちが強いなというのが一番印象的でした。見ていて素直に凄いなと思いました。

――警戒されている選手はいらっしゃいますか

池田 関学で一番警戒しているのはQBの奥野選手(奥野耕世、関学大)ですね。彼はしっかりと投げれますし、走る方に関しても走りながらレシーバーを探したり、自分で走るのも上手いので昨年は結構ドロープレーでやられましたね。今年は昨年ほどのパフォーマンスではないんですけど、それでも勝負所で決め切るという部分はさすがなのでそこは警戒していますね。

野城 もちろん奥野選手は警戒しています。同じLBとしては海﨑選手(LB海﨑悠、関学大)と繁治選手(LB繁治亮依、関学大)は基礎が本当に完璧というか、無駄のない動きをしているので参考にもしていますし、同じLBとしては負けてられないなという気持ちはありますね。

――勝てば創部史上初の日本一となりますが、どのような試合展開に持ち込みたいですか

池田 勝てるとすれば、ディフェンスが粘ってロースコアで勝つという感じですね。うちのオフェンスは関東では1位ですけど、関西のディフェンスを見ているとそこまでは取れないのかなとも思います。なので、勝つとすれば僕らディフェンスがしっかりと3点なり0点なりに抑えながら粘って粘ってオフェンスがチャンスをものにするということになると思うので、そういう展開を自分たちの中で作れればなと思います。あと昨年はキッキングで流れをつかまれてしまった部分があると思うので、キッキングでのミスもなくしていかないと勝ちはないかなと思います。

野城 キワに対してもっと突き詰めていかないとなと思います。キワでのタックリングであったりキャッチであったりが関西に対してもできれば戦えると思います。昨年もミスから負けてしまった部分もあるので、ミスがないというのが最低限必要であって。そういう試合展開ができれば法政戦みたいにある程度落ち着いてプレーできると思うので、試合運びは楽になると思います。

――最後になりますが、ラストイヤーとして臨まれる甲子園ボウルになります。そこへ向けた意気込みのほどをお願い致します!

池田 僕は主将として色々とチームをまとめてきた部分もありますし、周りに厳しいこともかなり言ってきたので、そういった面でも今年は勝たないといけないと思っています。個人としてもこれまで日本一を懸けた場で4度も関学に負けていて、相手の優勝の瞬間を何回も見て悔しい思いをしているので、そこでしっかりと勝って日本一になりたいという思いは強いです。圧倒的に勝つというのはできないと思うんですけど、泥くさく泥くさくやって、しっかりと勝って終わりたいなと思います。

野城 最終学年として関西に勝ちたいという思いは人一倍強いです。その中でも自分がやりたいなって思うことは、甲子園ボウルでもプレーは攻め続けるということと、昨年できなかった『早稲田のフットボール』を甲子園の舞台で全員が出し切れるようにしたいですね。そうすればいい試合になると思うので、そういうプレーをしていって試合に勝ちたいなと思います。

――ありがとうございました!

甲子園ボウルへの意気込みを色紙に書いてくださりました!

(取材・編集 涌井統矢 写真 黒田琴子)

◆池田直人(いけだ・なおと)

1997(平9)年7月24日生まれ。168センチ、85キロ。東京・早大学院高出身。法学部4年。LB。1年間大所帯の中心に立ち、主将を務めてきた池田選手。チーム全員の思いを胸に、関学大へのリベンジに期待です!

1996(平8)年11月21日生まれ。178センチ、84キロ。東京・都立西高出身。創造理工学部4年。LB。高岡監督が甲子園ボウルのキーマンに挙げるなど、激しいタックルが持ち味の野城選手。甲子園の舞台でも、持ち前のタックルで関学大の猛攻を止めてみせます!