FG(フィールドゴール)。決めれば3点、外せば攻撃権を失う責任感の伴うポジションだ。アメリカンフットボールにおいてキッキングの3点が試合の結果を左右することは少なくない。今回は早大のK/P髙坂將太(創理3=東京・国立)とそのホルダーを務めるQB宅和真人(政経3=東京・早大学院)にお話を伺った
※この取材は3月10日に行われたものです。
「試合になったらメンタルが一番大事だと思っている」
キッカーとして今年も期待が懸かる髙坂選手
――キッカー、ホルダーのそれぞれのポジションについて教えてください
宅和 ホルダーはスナッパーが出してくれたスナップをキッカーが蹴りやすいように置く仕事です。
髙坂 キッカー、パンターは0か100かという結果が分かりやすいポジションなので、結果にこだわり、結果を出すことでチームに直接的に貢献できます。
――髙坂選手は秋リーグ慶大戦で5本のFGを決め、リーグ記録を塗り替えるといった飛躍の1年でしたが振り返ってみていかがですか
髙坂 自分だけであのような結果を出せたという訳では無いので素直に支えてくれた方々に感謝ですね。ただ昨シーズン振り返ると、思い出すのは甲子園ボウルの関学大へのパントの場面で。自分としては慶大戦が良かったと言うよりそれの印象のほうが大きいです。
――キッカー、パンターで切り替えてること、工夫してることはありますか
髙坂 助走のドライブステップとか足の入れ方とか具体的にはいろいろあります。キッカーはどんなボールでも入ればいいですけれども、その中で少しでも飛ばせるようにと心掛けてます。
――キッカーを務めるにあたって心がけていることはありますか
髙坂 練習では技術面を向上させることが大事ですけど、いざ試合になったらメンタルが一番大事だと思っているので、いい結果でも悪い結果でもあまり気にしないようにしてます。
宅和 晩御飯の話とかしてるよね(笑)
髙坂 そうだね(笑)緊張してる時は全然関係ないことを話して、いい意味でリラックスできるようにしてます。試合の時だからこそあえて特に意識をしないよう心がけてます。
――髙坂選手にとってのキッキングとは。またスローガンなどあれば教えてください
髙坂 去年であれば目標はスタメンで出るとかだったのですが、今年はモメンタム(流れ)を持ってこれるようなキッキングをするというのが目標です。キッキングは僕が唯一チームに貢献できることなので。自分のキック1本で流れが良い方向にも悪い方向にも変わってしまうので責任重大で、試合の勝敗を大きく左右するという意味ですごく大事なのがキッキングだと思います。
――宅和選手はホルダーをする際に心がけていることなどはありますか
宅和 髙坂が蹴りやすいようにボールの位置と角度とレースの3つを完璧に置くことを意識してます。レースを髙坂の方に向けない、傾きを少し自分側に倒すこと、あとはなるべく早く置くこと、言い始めたらキリがないですね。
髙坂 雨の日とかでボールが滑る時でも宅和がちゃんと置いてさえくれれば蹴れます。宅和はその日のコンディションに左右されず絶対取ってくれるので、他校の選手からも本当に評判いいです(笑)
――早大ではQBがホルダーをやってますがそのメリットはどこにあると考えていますか
宅和 全員がスペシャリストを何かしらやってると言うのがBIG BEARSの慣習で、QBはホルダーやキッカー、パンターをやるものかなと。僕は蹴るの得意じゃないし、あと高校の時ホルダーやってたのでやろうかと思いました。ほかにもスペシャルプレーの脅威を与えられるという意味ではいいかなと思います。
髙坂 キッカーがホルダーを選べるのですが、僕はホルダーにはきちんと素早くボールを置く技術だけでなく、信頼関係も求めているので宅和にやってもらっています。
宅和 俺の株めっちゃ上がってるな(笑)
一同 (笑)
――キッカーとホルダーのペアはシーズンを通して決まっているという感じですかね
宅和 シーズン最後のほうは決まっているみたいな感じですね。
――甲子園ボウルでスペシャルプレーがコールされたときの気持ちはいかがでしたか
宅和 やってやるしかないと。甲子園ボウルではQBとして出なかったから自分の唯一の見せ場だったので、コールされたら思い切りってやろうと思ってました。実際QBとやってること変わらないし、来るだろうなとは考えていたので緊張はなかったですね。
――同期の仲はいかがですか
髙坂 最近はよく学年ミーティングを開いていますが、2年生の時よりかは上級生として自覚ができているのかなとは思ってます。今年どれだけアメフトにかけられるかというのが自分たちが4年生になった時につながると皆わかってると思うので覚悟ができているという感じです。
宅和 同期の仲か…。ポジションごとで一緒にいることが多いので、今年はポジション外の人ともより関われたらと思います。ポジションごとは仲の良い選手が多いです。だからこそ今年はポジション外にも関心持てたらいいねとは話し合いましたね。
――下級生との関係はいかがでしょうか
宅和 去年はあまり面倒見てあげられなかったというのが反省の一つです。シーズンの後半になるにつれて自分のことに精一杯になってて…今年はシーズンオフになってからちょっと教えてたりとかできたんですけど。まだ趣味とかそういったことはあまり知らないので。
髙坂 僕もプライベートな部分に関わることはあまりないですね。
――主にはプレーを教えてあげるなどしてるのですね
髙坂 そうですね。
宅和 現1個下の子にパンターが1人いるんですけど、キッカーは皆やめちゃって…去年はスペシャリストのメンツは自分にフォーカスしすぎてあまり教えられなかった感じがするので春シーズンはそこらへんにも気を配れたらなと思います。
――後輩という視点から見た池田直人主将(法4=東京・早大学院)の印象はいかがですか
宅和 僕は学院の時から知ってる先輩なんですけど、オンとオフがちゃんとしてるなと。すごいみんなに明るく接してくれるし、練習始まったら主将としてみんなをまとめてるし、頼もしい感じがします。
髙坂 僕は池田さんとは去年はあまり密に関わってはいなかったんですけど、今年は割と相談とかにも乗って頂いています今年のチームに対する熱意がすごく伝わってくる尊敬できる主将です。
――QB柴崎哲平副将と二村康介副将(文構4=東京・獨協)の副将としての印象はいかがですか
髙坂 正直主将も副将もまだチームを主導したてなのでわからないけれど。
宅和 常にチームの雰囲気を見ている。周りがどうなってるかを率先して見てる感じはしますね。
――三人のここが違うなという点はありますか
宅和 池田さんと柴崎さん、二村さんで三人とも色が全然違って。共通しているのは三人とも誰よりも指摘とか周りに気を配ってるということですが、それぞれの接し方はそれぞれ違うなと感じます。
髙坂 柴崎さんで言えば去年から正QBとしてやっているので言うことの一つ一つがすごく鋭い視点が多くてチームを鼓舞してくれているように思うし。
宅和 個人的なことだと、二村さんは練習外でいろいろと話しかけてくれますね。
髙坂 やはり三人とも皆チームのためにやってくださっているなという感じですね。
――昨年と比べ今のBIG BARESの雰囲気はどのような感じですか
髙坂 今はトレーニング中心ですね。他人に指摘しあえるようにトレーニングのフォームが厳格に決まっていて、そういう意味では去年に比べコミュニケーションを取れているなと感じます。
「1年間で成長した姿を見せられるように頑張りたい」(宅和)
QBとしての飛躍にも期待が懸かる宅和選手
――二人にとっての早慶戦とは
髙坂 慶応は早稲田にとっては特別な相手なので勝たなきゃいけないというのが絶対条件だと思っていますし、そこがすべてだと思っています。
宅和 僕は高校生のころから早慶戦をやってたのであのフィールドはやはり思い入れのある場所に感じます。
――早慶戦は普段のリーグ戦や甲子園ボウルとも違う独特な雰囲気がありますが、どのような感じがしますか
宅和 リーグ戦より人も集まりますし、新入生を迎える時も早慶戦に呼んだりするので負けられないし、1年生に向けていいプレーを見せてあげるチャンスだと思ってます。
髙坂 春の早慶戦は出たことがないんですけど、チームとして最初のビッグゲームということで皆どこか心配しているところもあるし、ここから秋シーズンに向けて選手の指標を測るという意味でも大事な試合だからこそ、緊張と意気込みのいいバランスの中で楽しめている試合なのかなと思います。
――キッキングチームとしての目標は
髙坂 キッキングに貢献するという意味ではFGであれば100パーセント決めることだし、パントだったら1ヤードでも多く挽回することです。キッキングの良し悪しで試合が左右されると思っているので、そういう意味で責任感もってやりたいと思います。
宅和 髙坂がすごい文句つけてくるんですけど(笑)毎回ちゃんとできるように、そして向上心もってなるべく早く置けるように頑張りたいと思います。
――早慶戦に向けた意気込みをお願いします。
髙坂 出れるかどうかはまだわからないですけど、出れたとしたら結果を出したいですね。
宅和 去年は少し出させてもらったんですけどあまり自分の思ったプレーができてなかったと思うので、1年間で成長した姿を見せられるように頑張りたいと思います。
――ありがとうございました!
早慶戦への意気込みを色紙に書いてくださりました!
(取材・編集 鈴木隆太郎 写真 柴田侑佳、安岡菜月)
◆髙坂將太(こうさか・しょうた)
1997(平9)年12月11日生まれ。178センチ、80キロ。東京・国立高出身。創造理工学部3年。K/P。昨年度のリーグ戦慶大戦ではリーグ記録更新となる1試合5FGを決めた髙坂選手。早慶戦での注目ポイントは「FGを決めた後の宅和選手とのハイタッチ」だそうです!FGを決めた後の2人は要チェックです!
◆宅和真人(たくわ・まさと)
1998(平10)年9月7日生まれ。181センチ、79キロ。東京・早大学院出身。政治経済学部3年。QB。ホルダーとしての役割はもちろんですが、QBとしての活躍にも期待がかかります!甘いマスクにも注目です!