TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 BIG BEARS | 14 | 14 | 7 | 7 | 42 |
明大 GRIFFINS | 10 | 0 | 7 | 15 | 32 |
秋2戦目の相手は、初戦で法大相手に劇的勝利を収め勢い乗る明大。試合はテンポ良く攻撃を仕掛ける相手に主導権を握られ、序盤から10点を追う展開に。それでもRB元山伊織(商4=大阪・豊中)のTDで7点を返すと、QB柴崎哲平(政経3=東京・早大学院)のTDパスで逆転に成功。後半は相手の反撃に苦しんだが、リードを保ったまま何とか逃げ切り明大から白星を奪った。
試合は序盤から大きく動いた。明大にわずか5プレーでおよそ80ヤードのゲインを許しTDを献上すると、続く早大の攻撃でボールをファンブルしターンオーバー。この悪い流れを断ち切れずFGで3点を失い、試合開始5分を経たずに10点のビハインドを追うことに。それでもその後はしっかりとアジャストし、WR小貫哲(教2=東京・戸山)のパントリターンで敵陣に侵入。この好機で元山が31ヤードを走り切り、反撃ののろしを上げた早大はWRブレナン翼(国教3=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)へのTDパスで逆転に成功する。続く第2クオーター(Q)では、LB杉田直人(法3=東京・早大学院)のファンブルリカバーやDB阿部哲也(商4=東京・早大学院)のインターセプトでモメンタムを引き寄せ失点を0に。さらにディフェンス陣の活躍に触発されるかのごとく、TE松岡直希(政経4=東京・早大学院)、WR遠藤健史(法4=東京・早大学院)の2人が空中戦を制しTDを獲得。早大が3ポゼッションのリードで前半を折り返した。
3つのTDパスを決めたQB柴崎
迎えた後半。互いに攻めあぐねる場面が続いたが、パントフォーメーションから強気のプレーコールで勝負をかけた早大は、相手の意表を突くTE杉山遼平(基理3=東京・早大学院)へのTDパスを決め35―10。エンジの秘策が功を奏し相手を大きく突き放した。しかし、「点差が少し開いた時の緩さが、チームとしての大きな問題」(DL斉川尚之主将、スポ4=東京・獨協)と、精度の高いパスが光る明大オフェンスに手を焼き、後半で3つのTDを献上。さらに試合終了間際にも猛攻に苦しみ、エンドゾーン目前まで進軍を許す場面も。それでも何とか反撃を振り切ったエンジのユニフォームが42―32で勝利を収めた。
スペシャルプレーでTDを奪ったTE杉山
混戦模様のリーグ戦で開幕2連勝を飾ったBIG BEARS。しかし2戦共に快勝とはならず「まだまだ課題が多いなとも思う」(元山)と、唇をかんだ。今後も一戦たりとも落とすことはできず「自分たちを見つめ直さないといけない」(高岡勝監督、平4人卒=静岡聖光学院)と、昨年の上位校との対戦を前に、かぶとの緒を締める指揮官。次戦は秋の早慶戦。エンジのプライドを胸に伝統の一戦で弾みをつけ、甲子園への道を切り開きたい。
(記事 成瀬允、写真 元田蒼、林大貴、小松純也、涌井統矢、小田真史)
得点経過 | |||||||
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TEAM | Q | PLAY | PLAYER(S) | PAT | PLAYER | G/NG | スコア |
明大 | 1 | RUN | #32小泉 | K | #37佐藤 | G | 0―7 |
明大 | 1 | FG | #37佐藤 | 0―10 | |||
早大 | 1 | RUN | #7元山 | K | #96髙坂 | G | 7-10 |
早大 | 1 | PASS | #1柴崎→#6ブレナン | K | #96髙坂 | G | 14-10 |
早大 | 2 | PASS | #1柴崎→#81松岡 | K | #96髙坂 | G | 21-10 |
早大 | 2 | PASS | #1柴崎→#13遠藤 | K | #96髙坂 | G | 28-10 |
早大 | 3 | PASS | #81松岡→#87杉山 | K | #96髙坂 | G | 35-10 |
明大 | 3 | PASS | #4西本→#5九里 | K | #37佐藤 | G | 35―17 |
早大 | 4 | RUN | #5中野 | K | #96髙坂 | G | 42-17 |
明大 | 4 | PASS | #4西本→#88平澤 | RUN | #9福田 | G | 42―25 |
明大 | 4 | PASS | #4西本→#82明松 | K | #37佐藤 | G | 42―32 |
星取表(9月17日現在) | ||||||||
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早大 | 法大 | 中大 | 立大 | 慶大 | 明大 | 日体大 | ||
早大 | * | 11/25 | 11/11 | 10/28 | 9/30 | 42○32 | 23○15 | |
法大 | 横浜 | * | 10/28 | 11/11 | 10/14 | 14●16 | 23〇10 | |
中大 | 横浜 | 川崎 | * | 11/25 | 21●24 | 10/14 | 9/30 | |
立大 | 川崎 | 横浜 | 横浜 | * | 17〇3 | 9/29 | 10/13 | |
慶大 | 夢の島 | 川崎 | 24〇21 | 3●17 | * | 11/25 | 11/11 | |
明大 | 32●42 | 16〇14 | 川崎 | アミノ | 横浜 | * | 10/27 | |
日体大 | 15●23 | 10●23 | 夢の島 | アミノ | 横浜 | アミノ | * |
コメント
高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)
――試合を終えて率直な感想はいかがですか
今年のシーズンは、なかなか楽にはいきませんね。
――序盤の10失点から逆転まで、どのようにアジャストされましたか
日体大さんの時もそうだったのですが、思っていたよりも相手にスピード感があり、最初はアジャストできずにロングゲインを許してしまいました。その後は落ち着いて自分たちの目が慣れたという部分もありました。最後はちょっと点差もあった中でのディフェンスだったのですが、ここまでキャッチアップされるとは思いませんでした。やはり強かったですね。
――初戦の日体大戦に比べてオフェンス陣が機能した印象がありました
とはいえボールをコントロールができたかと言うと、3アンドアウトの場面もいっぱいあり、いいときと悪いとき差がありました。これから上位校との戦いがあり、法大さんも本来のスピードあるオフェンスが戻ってきたので、そこを改善するために自分たちを見つめ直さないといけないと思います。
――今試合ではキッキングチームが好調に見えました
きょうはキッキングが良かったですね。シーズン前に秋のシーズンを勝っていくためには、オフェンス、ディフェンス、キッキングのどこかでやられるので、それをどこかでリカバリーしてトータルで勝ち抜くことを掲げました。秋を勝つためにそこが絶対に必要条件だったので、そういった意味ではキッキングは悪いところもありましたが、いいところもあって、チームのトップアスリートをキッキングに入れていい効果が出ていますし、キッキングで頑張れたのは良かったかなと思います。
――これまでの戦いを踏まえて、備えるべきポイントは
全部です。やはり取り組んでいることですね。最後まで足をかき続ける。最後までボールを追い続ける。それに尽きますね。そこをどれだけやっていけるかだと思います。
DL斉川尚之主将(スポ4=東京・獨協)
――前回の試合を踏まえて、チームとしての修正点は
技術の面、オフェンス、ディフェンス、キッキングを含めたら、細かいことがたくさんありますが、チーム全体として考えれば、流れがよくなるとそこに甘えてしまうところがあります。日体大戦も、勝てたものの接戦になってしまいました。そこを修正しようと思っていたのですが、今日の明大戦でも、前半で点差を離したことで少し油断があったのか、また差を詰められてしまいました。点差が少し開いた時の緩さが、チームとしての大きな問題だと思います。
――試合の当初、10点を追いかける展開の中で、明大へのアジャストはどのようなものでしたか
明大に対してスカウティングを続けていて、最初は浮き足立ったのですが、だんだん慣れてきて、相手を止められるようになり、オフェンスも調子が出てきて、少し落ち着いたのかなというところですね。明大のオフェンスに対して、特別なアジャストはしていません。
――先ほどもお話にありましたが、4Qで点差を詰められる展開になってしまったことについては
最初のスカウティングの部分です。明大はRBやOLのスキームが驚異的で、それに対して重点的に対策を練ってきました。ただ、そこが止まり始め、相手がスプレッドオフェンスでレシーバーを多くつけてパス主体のゲームに変えてきた時の対策について、僕たちのスカウティングが「パス主体になったら勝てる」というように甘く見ていました。それが原因で、最後もパスが通ってタッチダウンを許すという展開になりました。そこは改善しないといけないと思います。
――ご自身では、QBサックを決め、喜びを爆発させる場面がありました
サックはしたかったし、できると思っていました。ただ、1プレーを止めた程度のもので、その後タッチダウンを取られています。もう1本止めたい、それは僕が止めたいというのではなくディフェンスとしてですが、止められなかったというのは甘い部分かなと思います。
――次戦は早慶戦です
春の慶大と秋の慶大は全然違います。慶大は立大に負けたものの、まだまだTOP8は混戦で、どこが1位になるかは分からない状況です。何としてもワセダに勝とうという気力を、毎年対戦していて感じます。そこに対しておじけづくことなく真っ向から勝負して、オフェンス、ディフェンス、キッキングの全てで圧倒したいですね。
RB元山伊織(商4=大阪・豊中)
――きょうはどういったプランで臨んだのでしょうか
相手のラインバッカーにかなり良い選手がいるということで、その選手をまずは惑わして、はめていこうっていう作戦と、ロングパスを積極的に通していこうというプランでした。
――ラインバッカーを封じるというプランは実際のゲームではいかがでしたか
そうですね、ゲインしたプレーもあったんですけど、終始手駒にできたかと言われるとそうではなかったですね。
――きょうはパスユニットが多く決まっていた印象を受けましたが、パスのプランはうまくいったのでしょうか
そうですね。練習からかなり柴崎とレシーバー陣の息があっているなというのは思っていて。今回はパスプロテクションのオフェンスラインもかなり機能していてくれたので、その二つが噛み合った結果、本来の力を出すことができたのかなと思います。
――前節と比べてオフェンス面では改善が見られましたが、何か変えた点はあるのでしょうか
前回のインターセプトに関してもレシーバーとQBのコミュニケーション不足という部分からのミスが多かったので、OLとRBもそうなんですけど、互いにコミュニケーションをとっていこうということを言っていて、曖昧な部分は無くして。練習で細部の部分まで詰めることができた結果が少しきょうのスコアに出たかなというのはあるんですけど。まだまだ課題が多いなとも思いますね。
――課題もあるとおっしゃいましたが、試合全体を振り返ってみていかがですか
まずは課題の部分ではオフェンスリーダーである自分が試合序盤にターンオーバーを喫してしまったっていうのがあるんですけど、逆に良かった点としては自分がしくじったところを仲間が盛り返してくれて、本当にきょうはオフェンス全体でつかみ取った勝利だなと思います。
――これで開幕2連勝となりましたが、ここまでの手応えとしてはいかがですか
ワセダは去年2位だったので、優勝候補だと言われているんですけど、全然そんなことはなくて、力の拮抗(きっこう)具合がこの2戦で出たと思うので、後の4試合もしっかり一戦一戦、目の前の試合に集中してやっていきたいと思います。
――次戦は慶大戦となりますが、意気込みなどはありますか
一応早慶戦なので(笑)。フットボールの面以外にも負けられない試合になってくると思います。相手はきょう負けている分、ワセダに対しては勝ってやろうという気持ちで臨んでくると思うので、その淡い希望をしっかり僕らのオフェンスで打ち砕いていこうかなと思います。
TE松岡直希(政経4=東京・早大学院)
――前回の試合から振り返っていただいて、きょうの試合はどのような気持ちで迎えましたか
前回の試合はあんまり出場機会がなく、悔しい思いをすごくしました。なので今週から試合絶対に出ようということを意識していました。
――どのようなプレーを意識していましたか
タイトエンドというポジション柄ランとパスどっちもあるのですが、この試合はパス、キャッチをすごく意識していました。
――実際に試合をしてみてご自身の感触はいかがでしたか
試合の早い段階でパスがきて気持ちが楽になりました。たまたまパスが飛んできて結果的にはおいしいところを持っていけたかなと(笑)。
――タッチダウンも1つ挙げましたが、その時の場面を振り返っていただけますか
あれは、ゲームプランとしてあんまり意識していなかったんですけど、本当にいいところで飛んできたので。本当にQB柴崎(哲平、政経3=東京・早大学院)がよく投げてくれたなと思います。二個目タッチダウンまで持っていけるパスがあったので、自分の弱さが出てしまった結果だと思うのでもっと成長して決めるところで決めたいなっていう気持ちがありますね。
――次戦に向けて一言お願いします
次慶大との対戦ということで、双子の兄がいてプライドがぶつかり合う試合になると思います。ここから全部勝って甲子園に行く中で、前半戦の中で手強い相手になると思いますが、練習から慶大という相手を意識して絶対に負けないようにオールワセダで勝ちたいと思います。
DB阿部哲也(商4=東京・早大学院)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
試合前から、厳しい試合になるだろうなとチームとして予想していたので、気持ちの面でもタフな試合になると思っていました。その予想通り最後まで厳しい展開が続いて、DBとしてとても課題の残る試合だったと思います。チームとしてもまだまだ課題は多いなと感じました。
―試合序盤はパスを通される場面が目立っていました
明大相手にはランストップを第一に考えていて、ある程度のパスは通されてもいいというゲームプランだったので、そこまでの焦りはなかったです。
――TOP8のチーム相手に初のスタメン出場でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
誰がフィールドに立とうと、そこに立った選手がワセダの一本目として全力で戦うということに変わりはないので、絶対に明大を倒してやるという気持ちでフィールドに入りました。個人としてはどっかの場面でビッグプレーをもってこれればなと思い試合に臨みました。
――意気込み通りの第2Qのインターセプトでしたが、あの場面を振り返っていかがでしたか
思っていたより相手QBの球が伸びなくて、最初はカットに入ろうかと思っていたんですけど、いけると思い狙いにいった結果、インターセプトすることができてよかったなと思います。
――今後の試合に向け、DB全体としても層の厚さがカギとなってくると思われます
そうですね。DBは人数がすごくたくさんいる中で、試合経験の多さであったり、実際に試合に出て通用するメンバーっていうのが人数の割に多くないなというのは感じています。自分もその中でもっともっと頑張らなくてはいけない立場ですし、他にも同じような立場の選手はたくさんいるので、次の試合まで日にちは少ないですが、どこまで底上げできるかというのが重要になってくると思います。そして、普段一本目で出ている選手を超えていけるか、ユニットとして良い雰囲気で普段の練習から戦っていけるかというのも大事になってくると思います。
――次戦、早慶戦への意気込みをお願いします
リーグ戦の1試合としてももちろんですけど、早慶戦ということで、今年は個人としてもラストイヤーで絶対に負けられない一戦なので、全てを懸けて戦います。
QB柴崎哲平(政経3=東京・早大学院)
――開幕2連勝、感想をお願いします
リーグ戦では負けたら終わりの戦いが続くので、しっかり2連勝できているという事実だけは本当にほっとしているというか、甲子園への道が途絶えていないというのは本当に良かったと思います。
――きょうは10点ビハインドの立ち上がりでした
予想外な展開ではあったんですけど、この2週間で坂本コーディネーター(平19卒)から覚悟をもってこいという話もあって、自分自身どういう状況になっても動揺しないという部分は準備できていたので、むしろオフェンスでしっかり勝ち切れるなくらいの気持ちでいました。
――長いパスを出す場面が多くて見られました
そうですね。もともとゲームプランとして奥を投げるというのはあったので、レシーバーとも合わせていて。実際にスカウティング通りに奥を狙える場面は多かったので、レシーバーを信じて投げられたかなと思います。
――TDパスも何度も決まりました
1戦目で本当に不甲斐ない試合をして自分自身この2週間で取り組み姿勢からいろいろな部分から見直して。本当に結果を出したい試合だったので、果敢に攻められた結果、レシーバーがTDゾーンで取ってくれたというだけだと思います。
――実際に明大のディフェンスは戦ってみていかがでしたか
坂本コーディネーターも言っていたのですが、当たってくるディフェンスで、ランなどはしんどい場面が多くて。ただパスは自分も自信を持っていたので、自分たちのパス攻撃をしっかり展開できたかなと。ディフェンスは想定していた通りというか、パスに関してはしっかり戦えた相手だなと思います。
――きょうはインターセプトされる場面はありませんでしたが、前の試合からどういう修正を行いましたか
ディフェンスがしっかり見えていたので、ロングパスも投げたんですけどリスクマネジメントできていて。ゲームをコントロールするという気持ちでいて、あまりインターセプトを意識しすぎるのも良くないなと思ったので、結果的にインターセプトがなかったかなくらいの気持ちで攻めて、こういう試合になったかなと思います。
――最後に、次の試合への意気込みをお願いします
次は早慶戦で、秋の早慶戦は苦手意識があるので、しっかりオフェンスディフェンスがかみ合えるように。春の早慶戦でも自分たちのやりたいオフェンスができていたので、秋も慶應に対して自分たちのオフェンスを展開できるように準備して、あとはチームの総合力を上げられるかだと思うので、オフェンスディフェンスが密に関わり合ってしっかり勝ち切りたいと思います。