【連載】関東大学秋季リーグ戦直前特集 第4回 OL橋口慶希×DL只松哲郎

米式蹴球

 先月メキシコで開催された第5回U19世界選手権で、日の丸を背負ったOL橋口慶希(創理2=東京・早実)、DL只松哲郎(スポ2=東京・足立学園)。日本を離れ、世界を相手に戦った男たちの目には何が映ったのか。ハイレベルな環境で腕を磨いたお二人に、国際大会の振り返りや今後の抱負を伺った。 

※この取材は8月21日に行われたものです。

「悔しさが残った春」

さらなる飛躍が期待されるお二人

――今春を振り返っていかがですか

只松  僕はあまり1軍の試合には出られなくて、キッキングなどでは出られたんですけど、あまりディフェンスとして出ることができなかったので悔しかったですね。もうちょっと頑張らないといけないと感じた春シーズンでした。

橋口  僕は序盤の方にいいプレーができなくて、只松と同じでJVの試合に出ることが多かったんですけど、その悔しさが結構あってそれと向き合った春でした。最後の方は少しVの試合にも出ることができたんですけど、課題が多く残る春だったと思います。

――春を踏まえて夏に重点的に取り組んだことは

橋口  僕はウエイトから見直しました。フィジカル的にもっとあればということが試合を通して感じたので、その問題を潰すためにもウエイトをする期間があったので、そこでは結構頑張って取り組みました。

只松  僕も春シーズンが終わってウエイト期間になったので、とにかく上半身を中心にやってきたんですけど、その後にすぐU19日本代表の遠征があったので、春シーズンが終わって2週間はずっとウエイトはしていたのですが、遠征に行ってからはあまりできなかったので、取り組むことには取り組んだんですけど、最終的にみたらそんなにウエイトが伸びたかと言われればそうでもないですね。あとは動画をよく見て研究していました。

――U19日本代表を目指した経緯は

橋口  元々大学に入る時から自分が早生まれで選出される資格があることは分かっていたので、1つの目標としていました。自分が成長していく過程の中でU19があり、そこでさらに成長できればいいなと思い選考を受けました。

只松  僕は正直受かると思っていなくて、自分が同年代のトッププレーヤーたちの中でどのくらいの立ち位置なのかを知るために、もちろん受かりたい気持ちはありましたが、まずはどのくらいの立ち位置なのかを把握したくて、挑戦の意味も込めてU19を受けました。受かってすごく嬉しかったですけど、経緯としては自分がどの程度のプレーヤーなのかを知りたくて選考を受けました。

――大会期間を振り返っていかがですか

橋口  他校の選手と触れ合う中で、いままで自分たちには無かった価値観や世界観を感じられて、ウエイトの数値もそうだったんですけど全然違っていて、同じ同年代の人たちでももちろん日本の選手もそうですし、すごく差を痛感してもっと頑張らないといけないと思いました。

只松  僕も同年代のレベルの高さを感じました。どの動きにも無駄がなく、それを見て自分はまだまだだなと思いましたし、もっと上手くなりたいと感じました。アメフトに対してもっと積極的に取り組もうと思うようになりました。

――その中で特に印象に残っている選手は

橋口  同部屋で法大のOL松本(鐘太)という選手がいたんですけど、法大はめちゃくちゃウエイトを熱心に取り組んでいて、フットボールスキルが高いというのもあるんですけど一緒に生活をする中で、松本は1つの目標になりました。

只松  僕は2人いますね。1人は立大のOL三隅(悠司)なんですけど、本当に強いんですよね。たぶんどのポジションでもそつなくこなすと思いますし、去年の冬に1度立大と戦った時に、対面がその三隅で何しても勝てず、まさか同年代とは思っていなかったので、U19で一緒になって色々と話した時にもすごいと思うことは沢山ありました。もう1人は、1つ年下の立命大のDL下村修平という選手なんですけど、体の使い方やアメフトに対する姿勢やプレーのやり方を通して、僕が高校大学では全然考えなかった動きや考えがあったので、立命大はDLが強くて有名なんですけどすごいなと思いましたね。

「全然まだまだ足りない」(只松)

国際大会を振り返る只松

――チーム内で交流する機会はありましたか

橋口  向こうに行って観光の時間や自由時間も結構ありましたね。

只松  治安が悪かったので外にはあまり行けなかったよね。

橋口  部屋にいることが多かったね。

只松  いろんな人の部屋に行って遊ぶ感じでね。パッとすぐに買い物とかは治安が悪いので止めてくれと言われたので、ショッピングとかも1、2時間の制約があったので、自由な時間は基本的に部屋にいて、ホテルの中で過ごしていました。

――食生活はいかがでしたか

橋口  しんどかったですね。

只松  しんどかったですね。

橋口  僕7キロ減ったんですよ。

只松  僕も結構減りましたね。やっぱり味がね。

橋口  やっぱり味付けが合わなくて。

只松  あと大体味付けが似てますね。

橋口  あとは同じものしか出てこなくなって、みんなあんまり食べられなくなって。

只松  みんなポテトばっかり食べてたよな。ポテトだけはやっぱり美味しかったですね。あとは持って行ったカップラーメンと、サトウのごはん。カップラーメンの中にご飯を入れてリゾット風に食べて、みんな美味しいって言ってましたね。

――3ヵ国(メキシコ、カナダ、オーストラリア)との対戦で印象深かったことは

橋口  どの国にも共通して言えるころだと思うんですけど、日本よりも体が大きかったことですね。その中で何が勝負できたかというと、僕はスタートのスピードと低さでは勝負できたと思います。スタートは少し遅いけど力で何とかするタイプの選手が相手に多くて、スタートと低さに関しては勝負ができていたと思うので、あとはフィジカルの部分があればもっと勝負できていたと思います。

只松  個人としてはそんなに反省や収穫あまりなかったんですけど、チーム全体の約束事として相手が乱暴なことをしてきても、日本は世界的にもクリーンなフットボールをするチームなので、それは相手が反則を取られて自滅するので手を出さないというのはありました。チームとしてそういったことを徹底してクリーンなフットボールをやっていましたね。あとはフィジカルで勝つのは難しいので、とにかく頭を使ってアサイメントで僕らは対抗しようという話になりました。

――この大会を通じて何か手応えなどはありましたか

橋口  同年代の他校の選手のレベルの高さを知れたこととは1番大きいですね。それは一緒に練習や試合をする中で、上手い人のスキルであったりテクニックであったりを身近で感じることができたことはすごく大きな収穫だったかなと思います。あとは海外の選手たちの強さというのは忘れられなくて、海外に勝てるようにならないといけないなと思っています。

只松  僕も当初の目的と言いますか、自分がどの程度の立ち位置でアメフトのプレーヤーなのかを確認できたと言うか、やっぱり周りが上手くて全然まだまだ足りないなというのが1番痛感したことです。橋口も言った通り、他校の上手い選手たちとプレーすることによって、沢山の気づきもありましたし、これを持ち帰って自分なりに上手いこと体に馴染ませることができたらなと感じましたね。

――長い遠征期間の後に大学の期末試験がありましたが

橋口  しんどかったです。

只松  僕は代替としてレポートになるものもあったので、あっちで終わらせてそこまで大変ではなかったですね。

橋口  メキシコで課題もやって、帰って来てから次の日から試験がずっとあって、7月24日に帰国して25日から8月2日まであって、メキシコでもあまり勉強ができなくてしんどかったですね。友達に色々と聞いてなんとかやりくりしましたけど、しんどかったです(笑)。

「数少ないチャンスを活かす」(橋口)

実りある秋を目指す橋口

――今年から後輩ができましたが、一推しの後輩はいますか

橋口  1年生と接する機会はそんなに多くはないんですけど、DL光本(周平、国教1=京都・立命館宇治)とWR田窪(大渡、政経1=東京・早大学院)ですね。一緒にメキシコに行って割と評価されていた2人ですし、光本とは対戦系のメニューで当たることもあるんですけど上手くて強いなと思いますね。

只松  僕もそんなに接する機会は多くないので情報は少ないですけど、高校の後輩が1人BIG BEARSに入って、DL永山(開一、教1=東京・足立学園)という選手なんですけど、一応親友でもありますし3年間一緒に高校でもアメフトをやってきて、上手いと思いますし足も速いですし先輩たちからも評価されていて、僕の中ではいい刺激になっていますね。

――高校時代に印象に残っていることは

橋口  僕はやっぱり自分が3年生で勝てば関東大会に出場できた日大鶴ヶ丘戦で、1点差で負けたことが今でも忘れられないですね。

只松  僕も3年生の最後の試合ですかね。最後の相手は学院(早大学院高)だったんですよ。3Qの途中まで14―0で勝っていて、僕らの足立学園は1回も学院に勝ったことがなかったので、初めて勝てるんじゃないかと思った矢先に3本一気に取られて逆転されたことがあったので、大学に入ってからもイジられましたね(笑)。思い出深いというのも、1番悔しかったというのもあの試合でしたね。

――リーグ戦開幕が迫っていますがチームの雰囲気はいかがですか

橋口  初戦が日体大ということで、2年前も去年も日体大戦はかなり厳しい試合になっていて、全く油断できる相手ではないとDL斉川主将(尚之、スポ4=東京・獨協)がよくおっしゃっていて、初戦の難しさもあると思いますが秋の初めての試合なので、気を引き締めていかなければならないと思います。僕はオフェンスなのですが、オフェンスで勝つとオフェンス陣でずっと言っていて、それを最初の試合から体現できる絶好の機会だと思うので、それに向けて練習を頑張っています。

只松  ディフェンスとしては日体大で1番恐いのはエースQBの小林(優之)さんだと思うので、とにかくどうやって相手のパスを崩すかを考えて練習を進めています。僕らDLはどのように相手QBにプレッシャーを与えるか、相手QBにスクランブルで逃げられた時の対処法を考えています。相手の足を止めさせることが1番だと思っているので、ディフェンスとしてはとにかく打倒日体大、打倒小林さんという感じでやっています。

――リーグ戦のキーマンは

只松  キープレヤーにならなくちゃいけないのは僕らなんですけどね(笑)。まず試合に出たいんだよな。でもやっぱり同期ですかね。特にWR小貫(哲、教2=東京・戸山)とはポジションは全然違うんですけど、パス取って上手いなと思いますね。あとはDB高橋(弘汰、法2=東京・早大学院)とDB大西(郁也、法2=東京・早大学院)とかLB橘(風雅、教2=大阪・豊中)の主力で出ている選手には悔しいですけど、僕もその一員になりたいですけど現時点では難しいので、試合に出られるように頑張りつつ同期にも頑張ってほしいと思います。

橋口  とにかく自分も試合に出られるように、自分が試合に出られてキーマンと言ってもらえるようにしたいですね。

――リーグ戦で見せたいポイントは

橋口  試合に出られたら僕はOLのセンターというポジションなんですけど、まず求められるのは安定感だと思うので、安定したスナップから安定したブロックが求められると思うので、攻めたプレーを毎回毎回やって、RBが走りやすいコースであったり、QBが投げやすいプロテクションをしたりして、オフェンスをしっかり盛り上げていい攻撃ができたらいいなと思います。

只松  DLの花形であるQBサックは、もし仮に試合に出られたらですけど、やりたいですね。ただ公式戦の出場機会も全然ないですし、QBサックも1回もしたことがないので、もし試合に出られるのであればそれが1番の目標ですね。

――最後にリーグ戦へ向けて抱負を願いします

橋口  試合に出ることが1番のチームへの貢献だと思っているので、まず試合に出ることを目指して練習をして、数少ないチャンスを活かすしか無いと思っています。長いリーグ戦は本当に総力戦になると思うので、底上げという意味でも僕たちが頑張って、チームを勝たせられるような存在になれるように頑張ります。

只松  言いたいことは言ってくれました。全くその通りですね。僕もまず試合に出ることが大事なので、試合に出られる選手になりたいですし、先輩たちもずっと言っていたんですけど、リーグ戦はいつ主力がケガをするか分からないので、下からの突き上げというか伸びが大事なので、僕らがその伸びを上げられるように、底上げできるような存在に、そして結果として試合に出られるような存在になりたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 成瀬允)

抱負を力強く書いていただきました!

◆橋口慶希(はしぐち・けいき)(※写真左)

1999(平11)年3月17日生まれ。176センチ。109キロ。B型。東京・早実高出身。創造理工学部2年。OL。第5回U19世界選手権日本代表。趣味はスポーツ観戦。川崎フロンターレを応援。1点差で敗れた高校の引退試合が忘れられないという橋口選手。1点の重みを胸に、最前列で戦い続ける勇姿から目が離せません!

◆只松哲郎(ただまつ・てつろう)(※写真右)

1999(平11)年2月4日生まれ。183センチ。95キロ。A型。東京・足立学園高出身。スポーツ科学部2年。DL。第5回U19世界選手権日本代表。趣味は読書。高校時代には東京都代表として、ニューイヤーボウル(東西地区選抜対校戦)で優秀選手に輝いた只松選手。国際大会での経験を活かしたアグレッシブなプレーに注目です!