大所帯となり年々部内での競争が激しさを増すBIG BEARS。チームをまとめあげるには副将の尽力が不可欠となる。今季から副将に就任した片岡遼也(法4=東京・早大学院)、DB小野寺郁朗(社4=東京・早大学院)。主将を支えるお2人に昨季を振り返っていただきながら、早慶戦への意気込みを伺った。
※この取材は3月30日に行われたものです。
「誰よりも強く」(片岡)
今季副将としてチームを率いる片岡
――オフの期間に重点的に取り組んだことは
小野寺 自分としては副将という立場で、チームをどう率いるかという時に当たり前のことをし、妥協をしないチームをつくりたいと思っていて、今までおろそかになりつつあった当たり前の部分で人に指摘するために、どれだけ自分が1番出来るかということを心掛けてここまでやってきました。ユニットとしてはDB主任をやっているんですけど、最終的には日本一というチームの目標があって、それに相応しい日本一のDBユニットをつくるために、日本一のアスリート集団をつくりたいというのがあるので、その中で厳しいことを求めたりもしますけど、測定会などでDBのメンツが上位にいるのを見ると、ちょっと結果が出てきているのかなと思います。個人的には、きょねん甲子園ボウルに出られなくて悔しい思いをしたので、自分がどれだけチームを勝利に導けるかが今年大事になってくると思いつつ、他の人を伸ばすことも大事だと分かっているんですけど、自分に関してはきょねん初めてロングパスを通されて、そこから自分なりに課題点を出して、そこに重点を置いてやってきた感じです。
片岡 僕はユニットとしては、きょねんもオフェンスで負けた試合が多くてディフェンスの足を引っ張ることが多かったので、今年はオフェンスのワセダと呼ばれるくらいのユニットをつくるために、オフェンスとしては今までで1番ミーティングを重ねていますし、今までで1番キツい練習をしていると思うので、少しずつメンタル面も含めて、技術面もどんどん上がっているのではないかと思います。個人としてはケガが多くて、大事な試合で万全の準備が出来なかったことを、めちゃくちゃ後悔しているので、激しく練習をしながらもどう自分の体と向き合っていくか、体調をどうコントロールしていくかにこだわって新チームが始まってからやっています。現にケガをしていないので、少しずつ良くなっているのかなと思います。
――昨季を踏まえて求められる力とは
片岡 正直、根性かなと思っています。試合に下級生から出ているやつはある程度肝が据わっているやつが多いんですけど、200人を超える大所帯だと根性がない選手が多くなってしまうので、そこが日大、関学大との差かなと感じているので、そこが課題だと思います。
小野寺 妥協しないことと競争環境をどれだけ充実出来るかだと思います。妥協しないという部分では、どうしても上辺だけの関係で指摘をしない環境が1番良くないと思うので、どんな相手でも全員が全員に指摘し合える互いに成長出来る環境が大事というのと、競争環境については、きょねんは勝負にあまりこだわらない人間がちょっと多かったなというのがあったので、勝負にこだわることによって、どれだけ個人が上達出来るかが大事かなと思います。
――選手とのコミュニケーションを取る上で意識していることは
小野寺 積極的に話しかけるようにしています。ケガ人であったり今までどうしても人数が多かった分、3年生までにはあまり関われなかったオフェンスの人や後輩たちと、どれだけコミュニケーションを取れるかが大事だと思っているので、色々な部員に声をかけたり、ご飯に行ったりしています。
片岡 同じです。私生活から関わりを深めています。
――副将のお二方から見て斉川主将の印象は
片岡 誰よりも日本一を欲していて、誰よりも素直だなと感じています。自分の思ったことはしっかり言いますし、あいつの素直さに惹かれているところはあります。
小野寺 同じです(笑)。あいつに付いていくと決めたので、自分たちはあいつを信じています。
片岡 あいつを甲子園で胴上げするために僕らはいるので。
――副将としてどのようにチームを率いていきたいですか
小野寺 チームが始まってから、主将副将に関わらず全員がリーダーシップを発揮していこうというのは根底にあるんですけど、主将、副将がそれぞれ色が出ているなというのはあって、それぞれの色をどれだけ発揮してチームをまとめていくかが、自分は大事だなと思っています。
片岡 本当に同じです(笑)。主将、副将でそれぞれ違う4人の人間が集まったので、それぞれの個性をまとめていけたらなと思います。
――それぞれどのような色を持っているのですか
片岡 斉川と匠(LB中村、人4=大阪・豊中)が背中でがんがん上から引っ張っていくタイプだと思うんですけど、どちらかと言うと僕と小野寺はチームの1人1人に話を聞いたり、下級生や同期の意見を吸い上げて伝えるといった形で根底から支える役割を担っているかなと思います。
――理想像などはありますか
小野寺 2年前、4年生だった加藤樹さん(平28商卒=東京・早大学院)はずっと目標にやっていて、全然自分とはタイプが違うんですけど本当に尊敬するところがたくさんあります。例えば立ち振る舞いとかは真似出来ないかなと思うんですけど、行動で見せるという部分ではあの人よりすごい人はいないと思っているので、プレーでも絶対にそのような副将になりたいと思いますね。
片岡 自分は同期のRB元山伊織(商4=大阪・豊中)ですね。伊織は僕と180度違う人間で、本当に正反対な人間で、自分に持っていないものを持っていて誰よりも熱くてすごく不器用なんですけど、本当に根性があってオフェンスの精神的支柱と言いますか、熱さであったり、チームを勝たせたいという思いであったり、そういった部分で伊織をすごく尊敬しています。
――刺激し合える選手がいることで相乗効果は感じますか
片岡 RBだけではなくて例えばLBとの1対1や、スクリメージでディフェンスと戦う時には、うちにはいいディフェンスの選手がたくさんいるので、いい練習になっていると思います。
小野寺 DBも同じくチームにはいいWRがいるのでありがたいです。日々の練習をするにあたっては上手いWRがいてくれると、すごくいい練習になります。
――その中で成長を著しく感じる選手は
片岡 僕は2人いて、FB永木元大(社3=東京・早大学院)とFB高瀬滉平(政経3=東京・早大学院)のFB2枚看板です。FBは全然目立たないポジションで、高瀬という昔からのエースFBと同期の永木は未経験で入って、永木は最初の頃は下手くそ下手くそと言われていたんですけど、全然練習をアウトしなくて、気合いと根性と練習量だけでカバーして今では高瀬と2トップと言われる程の選手になったので、早慶戦でも是非FBの2人に注目してほしいなと思います。
小野寺 DB主任なので、DB高岡(拓稔、商3=東京・早大学院)とDB高橋(弘汰、法2=東京・早大学院)、DB大西(郁也、法2=東京・早大学院)には期待しています。自分がつくりたいアスリート集団であるユニットを彼らが体現してどんどん成長してくれると思うので、早慶戦でもすごく注目していますし、色々と期待しています。
――フットボーラーとしての心得はありますか
小野寺 試合の時は誰よりも冷静でいようという思いと、それとは裏腹に自分が1番上手いと思いながらやっているのが試合なんですけど、練習ではそれとは別で、誰よりも課題を潰しながら何かにどれだけ集中できるかと、その姿勢を全員に見せていくためにも、行動で示す必要があるので心掛けて練習しています。
片岡 「誰よりも強く」と意識して練習も試合もやっています。僕はRBなので前に倒れることが前提なんですけど、後ろに倒れてしまうとオフェンスの士気が下がってしまうことは分かっていることなので、前に倒れる。そうするために常に強く速く走ることを意識しています。
――多くの試合が控える春の目標はありますか
片岡 僕はRBなのでランで勝ちたいなと思います。パスユニットは課題もあるんですけどきょねんから出ているメンバーが多くて、それに比べてOLは今年新しくスターターに抜擢される選手が多いので、その中でいかにランを出せるか、というのは今後のシーズンを考えてもカギになってくるかなと思います。
小野寺 DB目線になってしまうんですけど、今全体的にディフェンスを見ても、きょねんの主力がDBから2・3人抜けて、フロント陣は安定しているんですけど、今どこからの目線で見てもディフェンスの中でDBが穴だと自分は思っています。しかし、それを春に絶対に覆したいなと思っています。
――試合前のルーティーンなどはありますか
小野寺 自分はあまりないタイプなんですよ。あまりルーティーンとかを作りたくなくて(笑)。でもその時に1番気分が高まる音楽を聴いてはいるんですけど、それがルーティーンとかではなくて、ルーティーンを作ってしまうとそれが何らかの要因で崩れてしまった時にどうするのという話になってしまうので、僕はあまりルーティーンを作らないで、自分は自然と上がってくるタイプなので普段通りにしています。
片岡 僕もあまりないですね。面白くなくてすいません(笑)。
――フットボールの魅力は
片岡 音ですかね。激しいヒットをしてガッシャーンという音を聞いた時は1番心が上がるかなと思います。それは他のスポーツじゃあまりないかなと思っていて、ハードヒットをした時の音はアメフトならではであり、アメフトで1番かっこいいかなと思います。
小野寺 1つ1つの勝負ですかね。自分は野球部出身なんですけど、アメフトはすごく分業されているスポーツだと思っていて、1人1人に勝負があるし、活躍できる場所があるし、こんなに勝った時にチームで喜べるスポーツは他にないと思いますね。1つ1つの勝負に燃えますし、仲間が勝負に勝った時は誰よりも嬉しいですし、そこはアメフトの魅力だと思います。
――オフの日のレフレッシュ方法は
片岡 最近のリフレッシュ方法は専ら就職活動ですね(笑)。
一同 (笑)。
小野寺 それリフレッシュになってないよ(笑)。
片岡 練習があるのでオフの月曜日に就職活動を詰め込むしかなくてですね。
小野寺 オフはないですね。
「全部で圧倒したい」(小野寺)
副将とDB主任を務める小野寺
――早慶戦でワセダのキーマンだと思う選手は
片岡 FBの永木と高瀬に注目してもらいたいです。1番の成長株で本当に日本を代表するくらいの選手になったと思うので、注目してほしいです。
小野寺 さっきの選手と同じになっちゃいますね。3人(高岡、高橋、大西)にはすごく期待しています。高岡にはアサイメントといった面で支えてもらっていますし、高橋と大西は新2年生ながらに自覚が出てきて、自分の現状に満足するヤツらではなく、これからどんどん伸びていくと思うので、どれだけ早慶戦で見せてくれるのかなと思います。
――慶大の印象はいかがですか
片岡 良い意味でも悪い意味でも1つのプレーでチームの士気が大きく左右すると思うので、いいプレーをこっちがたくさんして、相手を沈ませた状態で試合を進めることがカギになってくると思います。
小野寺 慶大のことは素直だなと思っています。喜ぶ時はすごく喜んで、どれだけ勢いに乗らせないかが大事です。彼ら以上に1つのプレーで相手をぶっ倒してやろうという思いを持っているチームはなかなかいないと思うので、どれだけ悪い流れに持っていかれないかが大事になってくるかなと思います。
――その中で特に警戒すべき選手はいますか
片岡 TE森下(誠)ですね。小学校が同じで、今年エースTEで、すごい選手だと思うので注目しています。
小野寺 今年のチームの色が分からないんですけど、キャプテンを見るからにどのユニットでもいかにビックプレーを起こされないかが大事だと思います。
――早慶戦で思い描く戦い方は
小野寺 狙って出来るものじゃないですけど、流れを変えられるようなプレーを要所要所で積み重ねていくかが大事になってくると思います。どうしてもアメフトをやっていると流れというのがあって、どれだけ上手い選手でも上手い流れに乗っていないとやられてしまうこともあるので、どれだけチームにいい流れを持ってこれるプレーをするかが大事です。
片岡 早慶戦は個の力でどれだけ上回れるかが重要だと思っていて、春なので両校共に基礎的なプレーで攻めると思うので、相手のディフェンスをどれだけ個の力で押し切れるかが重要になってくると思います。
――最後となる春の早慶戦への意気込みをお願いします
小野寺 全部で圧倒したいです。個人でもユニットでもチームでも圧倒します。
片岡 余裕で勝ちたいかなと思います。おごりではなくて普通にやって普通に勝つことをオフェンスでもディフェンスでも得点でも体現していきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 成瀬允)
早慶戦への意気込みを書いていただきました!
◆片岡遼也(かたおか・りょうや)(※写真左)
1996(平8)年7月22日生まれ。177センチ、89キロ。東京・早大学院高出身。法学部4年。RB。中村選手、小野寺選手と共に副将を務める片岡選手。早大学院高では米式蹴球部でキャプテンを務め、全国高校選手権(クリスマスボウル)で敢闘賞を受賞。早慶戦でも力強いランでチームを勝利に導いてくれるでしょう!
◆小野寺郁朗(おのでら・いくろう)(※写真右)
1996(平8)年4月27日生まれ。170センチ、68キロ。東京・早大学院高出身。社会科学部4年。DB。今季副将とDB主任を兼任する小野寺選手。早大学院高では硬式野球部で練習に打ち込み、フラッグフットボールの授業でも抜群の素質を見せていたそうです!果敢にビックプレーを狙うセカンダリーに注目です!