実力差を見せつけられ、IWUに力負け

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS
IWU TITANS 13 20 33

 日米大学親善試合に臨んだBIG BEARS。5年ぶりの国際試合となる早大は、サイズの大きな選手を揃えるイリノイ・ウェズリアン大(IWU)を迎え撃った。試合は終始相手に主導権を握られ後を追う展開に。後半、なんとかTDを取り返したが結果は6-33。少ないチャンスをものにできなかった早大は、力の差を見せつけられ敗北を喫した。

 早大のリターンで始まった前半。最初のシリーズを3アンドアウトに抑えられると、テンポ良く攻撃を仕掛けたIWUに先制を許す。その後も、フィジカルの強い相手を前に攻めあぐねる場面が続いた。さらにペースをつかんだ相手に点差を広げられ苦しい展開に。反撃を試みる早大は、大柄なCBを振り切ったWR小原嶺(法3=東京・早大学院)へのロングパスが決まり一気に敵陣へ。得点の糸口をつかんだかに見えたが、エンドゾーン目前でインターセプトを喫しあと一歩のところで得点を逃した。第2クオーター(Q)に入っても攻撃の手を緩めない相手に、ランプレーでじりじりと自陣深くまで攻め込まれたが、早大ディフェンスが粘りを見せこのピンチをしのぐ。巻き返しを図りたい早大であったが、相手の激しいブルラッシュによるプレッシャーや、破壊力のあるハードヒットにより思うようにパスを繋げられず、2ポゼッション差で前半を折り返した。

一対一で勝負強さを見せたWRブレナン

 後半に入ってもIWUの勢いは収まらない。後半開始早々、ショートパスでヤードを稼いだ相手にTDを献上。さらに、フィジカルを武器に突進を繰り返すキャリアーに早大は手を焼き、相手のすさまじいセカンドエフォートを止めきれない。また、パントブロックからそのままボールをエンドゾーンへ運ばれるなど、第3Qを終え0-33と大きく突き放された。一矢報いたい早大オフェンス。WRブレナン翼(国教2=ユニバーシティラボラトリースクール)へミドルレンジのパスが立て続けに決まり、レッドゾーンへ侵入。得点のチャンスを迎えたが、TDを狙ったパスは相手のインターセプトに阻まれる。しかしその直後、LB古賀彬(基理3=埼玉・早大本庄)がファンブルリカバーに成功。流れを引き寄せた早大は、敵陣から攻撃を再開すると、WR斎藤健(法4=東京・早大学院)へのパスが決まり、エンドゾーンは目前に。最後は、QB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)が飛び込みTD。第4Q終盤にもノーハドルでテンポ良く敵陣に襲いかかったが、追い上げもここまで。相手の堅い守りを崩しきれず敗北となった。

フィジカルの差が顕著に表れた

 日本の大学では見られないような大きな体格の相手に苦戦し、フィジカル不足が露呈。「点差以上の力の差があった」(坂梨)と、スピードやフィジカルの面でレベルの違いを痛感させられ、これから更なる強化が求められる。この国際試合を通じて浮き彫りとなった課題は、日本一を目指すチームにとって大きな意味を持つ。まだまだ発展途上の早大。日本一の座を射抜くため、熱い夏がこれから始まる。

(記事 成瀬允、写真 平川茜音、新津利征)

コメント

高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――きょうは完敗でしたが、振り返っていかがですか

前半はメンタルの面で少しのまれてしまって、そこを鼓舞してあげられらなかったのは監督の未熟さというのが出たかもしれないです。

――アメリカの大学のチームから学ぶところはありましたか

勉強になるというか、とにかくハードでした。接点に対しての際の部分であったり、QBをチェイスしたときに最後まで守りにいっていたり。プレーコールの面においてもコーチたちがよく見ていますね。マッチアップだとか何があるかを見てうまくついてきました。

――きょうは仮想社会人ということでしたが、そこに関して得るものはありましたか

フィジカルやスピードなどシーズンが始まってから取り組んできたこと、Xリーグのチャンピオンはもっと色んなことをしてくるだろうし、そういう点で33点というのが、選手、コーチが今後どのように取り組めばいいかの指標になるというか。これを突き詰めていかなければ、日本一など到底言えないです。やってきたことをもっとやらなければいけないですね。

――春シーズンを振り返って、収穫はありましたか

早慶戦からずっと仮想~というのでやってきて自分たちの理想を目指していく上で、フットボールは甘くないというのがよくわかりましたね。

QB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

点差以上の力の差があったというか、オフェンスに関して言えば自分たちがやりたかったことができなかったので、伏見に帰って一からやり直したいと思います。

――ご自身のTDを振り返っていかがですか

あれは完全にOLが頑張ってくれて、パスももたせてくれて、ランも進めてくれたので、OLのおかげだと思っています。

――ランプレーで苦戦されましたが

うちのOLでも戦えていた場面がすごくあったのですが、フィジカルの面で力の差を感じたので、また一からやり直したいと思います。

――大柄なCBを相手に意識されたことは

タイミングをすごく意識していて、まだまだ完璧では無い部分があって、自分のミスでパス失敗が多かったので、秋までには修正していきたいと思います。

――相手からのプレッシャーは強く感じましたか

日本とは違って、結構体がでかいのでプレッシャーを感じる場面はあったかなと思います。

――きょうの試合で得たものはなんですか

日本一への思いを再認識した試合だったと考えています。きょう負けてすごく悔しかったですし、自分たちの取り組みが証明されなかったことは悔しかったので、このアメリカ終えて、また全員で日本一へ向けて努力していきたいと思います。

LB武上雅史副将(社4=神奈川・法政二)

――試合を振り返っていかがですか

きょうは事前のスカウティングと違って、相手のスピードやフィジカルだけでなく、意外とシステムがしっかりとしていて、試合が始まってから驚くというか慌てることが多かったです。そこはちょっと準備不足かなと思います。

――相手と対してみて印象はどうでしたか

一対一では太刀打ちできるところもあったかなと思うんですけど、チームとして見ると、少し日本のオフェンスと違うところがあったので、そこをアジャストしきれなかったのが敗因かなと。

――具体的には

バックスがハンドオフを受けてから、ロスを駆け抜けないで、一度見てからカットバックを踏んで、空いている穴を探して走ってきたので、LBが動きづらかったかなと思います。

――ディフェンスは試合中にどのような対処をしましたか

とりあえずDLは一対一で勝てるという人が多かったので、ベースのコールサインでいこうという話になっていました。パスに関してはそんなに問題ないかなという感じで試合中にアジャストしていきました。とにかくランファーストで止めていこうということで、そこもアジャストしたんですけど…って感じですね。

――サイズの差、アジリティーの差への対策はありましたか

とにかくサイズ関係なく、自分たちのフットボールをしようというのをチームのコンセプトとしてやっていたんですけど、やはり相手に合わせてしまう部分が多くなってしまいました。試合を通して相手を意識しすぎてしまったことが一番良くなかった点かなと思います。

――フィジカルと戦術のどちらに苦戦しましたか

んー、フィジカルというかサイズですね。サイズにちょっと苦戦しちゃったなという感じです。

――普段とは質の異なる相手と対戦して見つかったことはなんですか

やっぱサイズの差が一番大きくて、それによって全体の動きが悪くなっちゃったかなという感じですね。ちょっとビデオを見ないと分からない面も多いんですけど、とにかく自分たちのフットボールから外れちゃったのかなと。

――ディフェンス全体で見えた課題はありますか

課題はやはりタックリングだと思います。春シーズン通してちょっとタックリングに関して課題があったのですが、この試合で浮き彫りになってしまったかなと。

――捕まえきれない、倒しきれないということでしょうか

そうですね、ちょっとチキっちゃってました。

――夏に向けての意気込みをお願いします

春シーズン通して最後の試合で明確な課題が出たのはすごく良かったことだと思っていて、それをしっかり改善して秋日本一になれるように努力していきたいと思います。

OL鈴木敬太(法4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

純粋にすごいなと思いました。ビデオで見て想像していたのと全然違うなと思いました。

――アメリカの大学と対戦するに当たり意識したことはなんですか

この春は日本のチームには全勝していて自分たちも自信をつけてきたところで、ある程度はできるだろうと思った結果がこの点差なので悔しいです。

――体格の大きな相手と対峙(たいじ)してみていかがですか

純粋にすごかったとしか言いようがなくて(笑)。想像を超えていたという感じです。

――ランがなかなか出ませんでした

きょうはケガ人もいてランは厳しいだろうということだったのですが、それ以上に今まで自分たちのやってきたことが出せなかったです。

――どういった部分が出せなかったのでしょうか

相手に合わせてしまったというか、見て見てで相手の名前に負けたような。相手がアメリカということに負けてしまった部分があるかもしれません。そこは秋に向けて伸ばしていかないといけないと思います。

――パスプロテクションに関してはいかがですか

日本とアメリカでは全然違うなと。パスラッシュの種類はブルしかなかったのですが、それを分かっていても止められなかったので、フィジカルが足りないと改めて思いました。

――特に日本との違いを感じた点はどこですか

単純に思い切りの良さとフィジカルは日本のトップレベルの大学とは違うと感じました。

――逆にテクニックなどに関しては

テクニックは日本の方が持っているかなという印象です。やはりこれと決めたことを遂行する能力はアメリカの方がすごく高いと思います。

――きょう見つかった課題はなんですか

まずフィジカルが圧倒的に足りないなと改めて思い知らされました。

――今後OLとしてどのようなことに取り組んでいきたいですか

今までやってきたことは、春勝ってきているので間違ってはいないと思います。その突き詰めというのを再認識して、とにかくフィジカルを強化していきたいです。

――今後に向けての抱負をお願いします

きょうは負けてしまいましたが、またこの負けを糧にして秋は必ず日本一になりたいです。

LB長尾裕二朗(スポ4=愛知・海陽学園)

――実践復帰となりました。試合を終えていかがですか

4月の半ばにケガをして、ラストイヤーの早慶戦に出られないだとかメンタル的に苦しいことがあったのですが、スタッフや同期がサポートしてくれたおかげで体幹トレーニングや筋トレなどできることをしっかりやることができました。個人的には練習する期間が十分ではなかった中でも、体はめちゃくちゃ動ける状態だったので、ケガも無駄ではなかったと思える復帰戦になりました。

――その復帰戦ですが、振り返っていかがですか

自分は試合に出ていないのですが、この春、日本の大学と試合をしていてフットボールの本当の厳しさを自分たちはわかっていなかったと痛感しました。イリノイ(ウェズリアン大)の人たちは笛が鳴るまで相手が嫌がることをし続けて、し続けてというプレーをきょうしてきてたんですけど、それを関西のチームもしてきます。うちはそれができていなくて、改めてそういった部分を感じましたね。

――対戦してみて日本人との最大の違いはどの辺りだと感じましたか

見るからにフィジカルは違います。フィジカルはきょう変えることができませんけど、メンタル面で負けていたことが本当に悔しいです。最後までいやらしいプレーをし続けるという姿勢を見習っていかないと、僕たちは社会人に絶対に勝てないので。きょう本当に試合をやれてよかったです。

――実際に相対してブロックの激しさやフィジカルの強さも感じたのでは

その通りなんですけど、戦えないというわけではないというか。その後の、また何回も言っている通り、いやらしさですね。ホールディングギリギリのホールディングなんじゃないかっていうプレーも別に構わず最後までやってきていたので、そこはすごく感じましたね。自分たちの足りなさを実感させてもらえた試合だったので、これを生かしてチーム内でもいやらしいプレーをして秋に日本一になれるように頑張りたいと思います。

――試合終盤のケガの状態はいかがですか

あれやばかったです…(笑)。あれはパスラッシュで最初の一人は簡単に抜いて、サックできるなというところでやられました。QBのクイックネスが早くて「やばい」と思ってタックルを仕掛けたところに、その前に抜いた相手が来て…という感じですね。そういう部分でもそうですよね。やられた後でも結局最後まであきらめずにプレーして、見事に食らって…。あれは完敗です(笑)。あのプレーで向こうもきょうイチで盛り上がっていましたし、悔しかったですね。

――これから新人戦が中心になるということで上級生は実戦から遠ざかります。この春、十分に試合に出られなかったことで試合勘などの部分で不安もあるのでは

そういった部分で怖い部分もありますが、(不安は)なくはないっていうくらいですかね。みんな結局離れることになるので。きょう試合できたことは経験になりましたし、よかったと思います。

――最後に秋に向けて抱負をお願いします

僕らが4年生になったときからずっと言っているのですが、絶対日本一になるというのは変わらない軸なので、きょうの経験を糧にしっかりフィジカルアップして、秋必ず日本一になります。

WRブレナン翼(国教1=米国・ユニバーシティラボラトリースクール

――きょうの試合、体の大きい相手との対戦でしたが、感触としてはいかがでしたか

一年間日本にいて、日本のチームの相手と戦ってきて、やっぱりサイズと強さが本当に違って、最初のシリーズでは手こずって、慣れるのに時間がかかりました。でも、懐かしいというか、久しぶりにアメリカの人と試合ができて気持ちよかったです。

――相手のCBとの一対一について感想を教えてください

一対一だと、勝てた場面もあったし、ちょっと負けたところもあったけれど、やはり一対一だと負けた気分はしなかったです。

――きょうの試合はランニングよりもパスが中心だったと思います。このような試合展開において、今後はどのような試合をしていきたいですか

もっと練習中、はるきさん(QB坂梨陽木主将、政経4=東京・早大学院)とタイミングを合わせて、試合ではちゃんとカットポイントでタイミングよくもらえるようにしたり、相手が予想していないボールを捕れるようにしたいです。例えば、今日の一つのプレーで、縦に走るところがあったのですが、急にCBが引いて、僕はバックショルダー、少し後ろ気味に来ると思ってたボールが上に行ってしまったりする場面があったので、そこをもっとはるきさんと練習して、秋シーズンに向けて、頑張りたいと思います。

――きょうはあまりキックオフリターンができなかったと思うのですが、その点について教えてください。

やはり、アメリカ人ということで、あたりや重さが強かったので、リターナーの人たちも、ブロックしづらかったと思うし、自分も日本の相手だとまくれたりする場面がきょうはまくれなかったり、穴を突き抜けようとすると時、すぐに相手に囲まれて、タックルされたりしたので、厳しかったです。

――最後に、夏への課題を教えてください。

もっと筋肉をつけて、頑張ってスピードをもっと速くしたいと思います。