攻守で中大を圧倒、個々の成長感じる

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 10 10 10 37
中大 RACCOONS

 危なげない試合運びで昨年苦戦した中大を圧倒した。第1クオーター(Q)からエンジン全開。WR斎藤健(法4=東京・早大学院)のTDパスにLB田口凌(社4=東京・早大学院)のインターセプトなど中大に流れを渡さず、前半を20ー0の大量リードで終える。後半最初のシリーズで失点したが、DB家田泰成(国教2=京都・立命館宇治)のファンブルリカバーからすぐに取り返し、LB西野達也(政経3=東京・早実)がインターセプトリターンTDで勝利を決定付けた。後半は控えメンバーを出しながらも得点は37ー6。試合を通して着々と実力をつけてきている。

 キックオフリターンで好ポジションから攻撃を始め、たやすくFGで先制点を挙げる。相手をパントに抑えると、次のシリーズの1プレー目にQB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)から斎藤へのホットラインで64ヤードTDパスを決めた。シーズン序盤と比べ「見違えるくらい」(坂梨)成長したパスプレーは、今後のチームにとって最大の武器になるだろう。WRはこの後も一対一で競り勝つキャッチを見せ流れを作っていく。2Qには坂梨のスクランブルからも得点。ディフェンスも中大に自陣への侵攻を一度も許さず無失点に抑え、20ー0で前半を終えた。

エースQBとして成長するQB坂梨主将。この試合では自らTDも決めた

 後半最初のシリーズは中大に連続でパスを通され被TD。立命大戦でもアスリートWRに苦しめられただけに、パスディフェンスには課題が残る。しかし、DLなどフロント陣のさすがの活躍で追加点を許さない。インターセプトとファンブルリカバーを合わせて4ターンオーバーで試合を掌握。4Q終盤には中大の4thダウンギャンブルのパスを途中出場の西野がインターセプトし、そのままエンドゾーンへ。オフェンスも1TD1FGを決め、合計37点を奪い完勝した。

リターンTD後に笑顔でサイドに戻るLB西野

 特別なことをせずベースプレーを軸にした試合でこの内容だ。個人の実力アップがチームの底上げにつながっているのが分かる。後半は多くの控えメンバーも活躍し「目標を見失わずにやっている成果」と、高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)も個々の成長を感じている。次戦の相手は米国のイリノイウェズリアン大。サイズ、スピード共に上回る相手にも一対一の勝負を仕掛けられるか。課題のフィジカルが試される試合を勝利で終え、晴れやかに夏を迎えたい。

(記事、写真 高橋団)

コメント

高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――快勝でしたね

そうですね。しっかり準備して出た選手が伸び伸びできたのでよかったと思います。

――後半には控えのメンバーも出てきましたが、JV戦などの成果が出てきていますか

昨日の防衛大とのスクリメージは主力を温存して控えのメンバーを出したんですけど、連投で出た選手もそれなりの動きができていたので、みんな目標を見失わずにやっている成果かなと思います。

――中大は昨年苦戦した相手でしたが、チームとしてどのような取り組みをしていましたか

秋の第4戦で当たるチームなので秋につながる試合をしようと。絶対に負けられない相手ということで、チームとしても個々としてもそれに取り組もうと伝えていました。

――夏の合宿に向け課題のブラッシュアップは進んでいますか

正直連戦が続いているので、合宿に向けての反省はこれからですね。

――次戦のイリノイウェズリアン大に向けて意気込みをお願いします

バーシティーの最終戦なので春から取り組んできたフィジカルアップ、スピードアップがサイズのあるチームにどれだけ通用するか、我々のベンチマークというか試金石になる試合だと思っています。選手にもそういう意識を持って取り組むとハドルでも話しました。

QB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)

――快勝を収めましたが、振り返っていかがでしたか

オフェンスの面から言えばスタートのミスであったり、ノーイエローを達成できた試合はまだないです。秋に戦う上で反則をなくしていくというのが一つの肝になってくるので、次戦も意識していきたいと思います。

――中大はことしの春も良い結果を残しているチームですが、そういう相手にはどのような対策をしていましたか

中大は春はフィジカルを重点的に意識しているチームで、それに対して自分たちも春に培ってきた個の力ををいかにぶつけるかという試合でした。小手先で勝負というよりもベースの力で勝負しよう、と全員に話しました。

――プレーも基本的なものが多かったのでしょうか

そうですね。あまりスペシャルプレーなどは用意せずに今までのベースプレーを磨き上げるということで、そこを中心にやりました。

――WRも競り勝つ場面が多くなってきました。パスの精度向上は感じられますか

春のチームが始まった当初より見違えるくらいコミュニケーションが取れていて精度が上がってきていますが、まだまだ関西や社会人のレベルには達していないと思うので、満足せずに取り組んでいきたいと思います。

――控えメンバーが多く出場できましたが、チームの状況はいかがですか

秋シーズンに1本目の選手がケガをしないわけではないですし、厳しいシーズンを送る上でも今控えの選手でも1本目になる可能性は高いです。チーム全体で頑張れるというのが総合力で強いチームだと思うので、1、2、3本目に関わらず日本一という目標に向け頑張れたらなと思います。

――そろそろ新入部員を迎える時期だと思います、人数がまた増えチームをどうまとめていきますか

まだ煮詰まってはいないんですけど、人数が多くなってもいかに全員が同じ気持ちで日本一を目指せるかというのが一番重要だと考えています。4年生が30人しかいないんですけど、言い訳せずに全員が同じ気持ちでプレーだったり練習に取り組めるように、主任や幹部から意識掛けをしていきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

自分自身は初めての国際試合で少し不安もある面、楽しみというか本場のチームとやれるというのは良い経験だと思います。打倒社会人、関西を掲げているチームとして春の集大成としていかに力を見せられるかなので、頑張りたいと思います。

DB山口昴一郎(社4=東京・佼成学園)

――ターンオーバーも多かったと思いますが、ディフェンス全体を振り返っていかがでしたか

無失点という目標だったので、西野(達也、政経3=東京・早実)が一発持っていってくれたのはよかったですけど、後半最初のシリーズにパスでやられたのがDBとしては課題が残ります。フロントが頑張ってくれていたので、そこは頑張らないとなと思います。

――パスでの被TDもありましたが

そうですね。DBのパスが多かったですね。

――立命大戦でもCBの対策が足りなかったということでしたが、今回はいかがでしたか

微妙でしたね。しっかり位置関係やボールへの寄りってのは言ってはいたんですけど、やっぱり練習でできてもって感じで実戦でできなければ何も意味がないです。イリノイ戦(イリノイウェズリアン大)が終わればもう合宿なので、そこは夏に詰めていかなければと思います。CBは高さがないので、特に小野寺(郁朗、社3=東京・早大学院)や石河(佑太、創理3=東京・早実)の二人はボールの寄りがキーになってくるのかなと思います。

――中大は昨年の秋に苦戦した相手でしたが

秋も戦うので春だろうと気は抜かないように、チーム全体としてもディフェンスとしても臨みました。

――強敵を相手にどのようなコンセプトでディフェンスをしていましたか

ランストップしてパスゲームに持ち込むというのはいつもと同じですね。きょうはそういう展開だったので最後にインターセプト3つ、ファンブルリカバー1つの計4つのターンオーバーをもらえましたが、やっぱり後半最初のシリーズが。パスゲームに展開してきたときの対策が、特に後ろは遅かったです。

――点差が付いてからは多くの控えメンバーが出場していました

特にLBは西野が本人もTDは初めてと言っていましたし、そういう結果が残せる人間が出てくるのはチームとしてボトムアップ、トップアップも含んで重要になってくるので、そういうのは大きいのかなと思います。

――次のイリノイウェズリアン大戦に向けて意気込みをお願いします

仮想社会人で組んでもらった試合なので、日本一になるためには社会人に勝たなければならないですし、体がでかくても全員で集まって止めていきたいと思います。