ロングパスでゲームをつくり、立命大に逆転勝利!

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 15 14 32
立命大 PANTHERS 14 21

 学生屈指のアスリート集団を相手に奮闘した。前半は関西のフィジカルに対応できず自慢の堅守も崩壊。パスを中心に攻めたオフェンスもFG1本に終わり3ー21で前半を終えた。しかし、後半は息を吹き返し攻守で見事なパフォーマンスを見せる。WRブレナン翼(国教2=ユニバーシティラボラトリースクール)のTDを皮切りに、DB山口昴一郎(社4=東京・佼成学園)のスティールからのリターンTD。4クオーター(Q)にRB片岡遼也(法3=東京・早大学院)の独走TDで逆転した。最後はDB久保颯(国教4=東京・早大学院)のインターセプトで反撃の芽を摘み、関西の連戦を劇的な逆転勝利で締めくくった。

 最初の攻撃をパントで終えると、立命大のエースRB西村七斗のランを止められず早々と先制点を許した。早大もブレナンへのロングパスで流れに乗ろうとするがFGに終わる。第2Q開始直後にもランでねじこまれ失点。ディフェンスは関西のフィジカルに圧倒され、システムでは止まっていても個々の力で押し負ける場面が目立った。立命大の近江克仁主将率いるWR陣も強力で、西村がケガで退場した後もパスでTDを献上。ランストップからパスゲームに持ち込むプランだっただけに、ディフェンスリーダーのDB山口は「対策が足りなかった」と反省しきりだった。オフェンスも2Q終盤でQB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)のスクランブルでチャンスを演出したが、追加点はならず。3ー21と大量リードを許し前半を終えた。

WRのロングパスで流れをつくった

 このまま負けるわけにはいかない早大は、後半で驚異の快進撃を見せた。最初のシリーズでブレナンへのTDパスがヒットすると、4QでもWR斎藤健(法4=東京・早大学院)のロングパスからノーハドルで片岡のランを展開。リズムよく3プレーで95ヤードを獲得し逆転のTDを決めた。ハイテンポのパスオフェンスもさることながら、極めつけは3Qに見せたDB山口の「人生で始めて」と振り返るリターンTDだろう。相手QBのボールをもぎ取りそのまま約80ヤードを走り切った。守ってもディフェンスは後半失点0。立命大の最後のドライブもインターセプトで断ち切った。最後はRB元山伊織(商3=大阪・豊中)のだめ押しのTDもあり、気付けば得点は32ー21に。前半の18点差をものともせず激戦を制した。

後半に復活した早大ディフェンス

 関西の強力なラインズに阻まれランプレーが機能しない中でも、テーマであったロングパスを起点に勝利を物にした。ディフェンスも前半はタックルミスなど課題が出たが、後半のスコアは29ー0。立命大を相手に目標の無失点を果たし、早くも日本一へのピースがそろい始めている印象だ。しかし、「反省はものすごく多い試合だった」(斎藤)と現状に満足はしていない。春シーズン残り2試合でどこまで詰められるか。秋への期待が高まるばかりだ。

(記事、写真 高橋団)

コメント

高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――逆転勝利でしたが振り返っていかがでしたか

立命大は前半と後半で西村くん(七斗、立命大)がいるのといないのとでは全然違うチームでした。前半は試合になっていなかったので、ここでイーブンとかの試合をやらないと秋はきついかなと思います。

――前半はリードされた展開でしたが、ハーフタイムにどのような声をかけましたか

今回はやはり関西に我々がどのくらいチャレンジできるか、やってきたことの証明をどこまでできるかを目指してきていました。後半はリセットして試合の意義をもう一度確認して、しっかり目標を見失わないようにやろう、と言いました。

――後半は驚異の追い上げでしたね

西村くんがいなくなったことでランプレーをコンスタントに止められるようになって、締まってきた部分はあります。それから山口(昴一郎、社4=東京・佼成学園)のリターンTDで大きくモメンタムが変わったのはすごく良かったです。結局TDを取れたのは一発のロングゲインなので、やはり我々の目指すオフェンスをどう組み立てられるかです。きょうはロングパスというテーマがありましたが、しっかりドライブをするということもやりたかったです。出直しですね。

――前半はディフェンスのタックルミスや一対一で競り負ける部分が目立ちました。フィジカルの強化はいかがでしょうか

フィジカルというよりもことし目指してきているファンダメンタルの部分です。踏み込めていなかったりパックができていなかったり、もう一度残りの2試合で見つめ直さなければいけないです。JV戦についても同じように、もう一度全体でやり直しをしていきたいと思います。

――では、夏や秋に向けてもそこを目標としていくのですか

そうですね。関西の一流は簡単には勝たせてくれないです。

奈良貴充オフェンスコーディネーター(平11教卒=東京・早大学院)

――きょうのオフェンスは最初からパスで攻めるプランでしたか

そうですね。決めきれない部分もありましたが、ラインズがよくQBを守ってくれていました。QBのランも前半はもっていけませんでしたが、後半はよく出ていたので良かったと思います。

――逆転TDのシリーズではノーハドルも見られました

あれはシリーズ前からプレーが決まっていました。ランがうまくはまりましたね。

――関西の連戦を終えオフェンスの成長具合はいかがですか

関西だからというわけではなく、これまでの試合を通してそれぞれ課題をクリアして成長していってくれています。

QB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)

――きょうはロングパスがテーマの試合ということでした

ロングパスがテーマだった理由として、過去の定期戦では勝負のところでロングパスを決めるか決められないかで勝敗が分かれていると考えました。立命大というとても強い相手に対してはモメンタムを持ってくるためにもロングパスを決める必要がありました。

――ご自身のランでも大きくゲインしていましたが、パスとランの判断はどうしていましたか

とにかくディフェンスが強いということもあって、一瞬でも空いてなくて無理に投げたらインターセプトにつながる可能性が高いです。無理せず0ヤードに戻そう、空いてなかったら走ろう、ということでした。

――逆転TDのシリーズではノーハドルで速いテンポで仕掛けていきました

テンポを変えるということも含めて、去年よりも多く使って相手のリズムを崩すということを意識していました。

――ケイデンスを散らしていましたが、あれはスカウティングの段階からプランに入っていたのですか

すごいブリッツを仕掛けてくるので、そういうのも使ってリズムを崩していこうとしました。何回かこちらに優位な状態で展開できたこともあったので良かったと思います。

――関西との連戦が終わりましたが、振り返っていかがでしたか

フィジカルとアジリティの面に関しては、想像していた以上に関東と差があります。また一から練習に取り組んでいきたいと思います。

WR斎藤健(法4=東京・早大学院)

――きょうはパスゲームでしたが、オフェンスリーダーとして全体をどう振り返りますか

ゲームプランの段階でラインも厳しいということで、ランというよりはパスでゲームを組み立てようと話はしていました。奈良さん(貴充、平11教卒=東京・早大学院)からもパスモアで40プレイ以上パスでがんがん攻めていこうということで、そのことはWRもQBも共有できていたので特に気合を入れてやりました。

――ロングパスのキャッチもありましたが、個人として出来はいかがですか

ロングパスの時はOLももっていますし、陽木(坂梨)もいいところに投げてくれるので周りのおかげかなと思います。

――関東のディフェンスのレベルとの違いは感じましたか

関東にはないようなディフェンスのシステムに個々の能力も相当高かったです。ただ、その中でもWRはやれるところはやれたかな、と思います。

――これからのシーズンに向けて目標をお願いします

立命大に勝ったといってもまだ何も達成していないです。オフェンスとしても結果だけは良かったですけど、反省はものすごく多い試合だったので、レビューしてしっかり立て直してあと2試合全部勝てるようにやっていきます。

DB山口昴一郎(社4=東京・佼成学園)

――RBの西村七斗選手(立命大)の印象はいかがですか

前半結果として21点取られたのはディフェンスとしては課題が残りました。かたち自体は止まっていたんですけど、暑さもあり足が動かなくてタックルミスもありランでゲインされたことが多かったです。後半にいなくなりましたがRBが誰であろうと基本的なことをやろうと心がけていました。後半は0点に抑えたので良かったです。

――ご自身もスティールからTDでチームに流れを呼び込みました。対談ではビッグプレーをしたいとおっしゃっていましたが、果たせましたか

人生で初めてでした(笑)。ちょっと驚きです。サックしようという勢いでいって、(相手が)投げる途中に右手が入ってそのままボールを捕れました。

――相手のWRも脅威だったと思います

特にCBは相手の主将の近江くん(克仁)とかにやられていました。難しいパスコースではあるんですけど、今までランストップをしてパスゲームに持っていこうというゲームプランの中で、パスが来たときの対策が足りなかったとは思っています。永井(雄太、商2=東京・早大学院)、小野寺(郁朗、社3=東京・早大学院)、石河(佑太、創理3=東京・早実)もそうですけど、本人たちも分かってるとは思うので、今後に向けて練習はしていかなくちゃと思います。

――これからの試合に向けて意気込気をお願いします

きょうはTDを取られないという目標を立てていた中で、3本も取られてしまいました。日本一のディフェンスをつくるためには少しでも失点を少なくしないといけないので、無失点というテーマに向けてやっていきたいと思います。