関西の強豪に完封勝利!新たな戦力も開花か

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 12 15
関大 KAISERS

 72回の歴史を誇る早関定期戦。昨年はオフェンスのミスからチームが崩れ惜敗を喫しただけに、早慶戦で躍動したRB、OL陣の動きが気になるところ。しかし、今回は安定したディフェンス陣が試合をつくった。前半にDL斉川尚之(スポ3=東京・獨協)のFGブロックで失点を防ぐと、その後も得点を与えずに見事完封。オフェンスもQB柴崎哲平(政経2=東京・早大学院)をスターターで起用し、激しい雨の中でも高い精度でパスを決めた。ファンブルなどミスはあったものの、昨年の関西3位を相手に15-0での勝利と上々の出来だった。

 立ち上がりは両チームいまひとつ。最初のシリーズはお互い探り合うようにパントで終わったが、最初に均衡を破ったのは関大。立て続けにフレッシュを奪われゴール前まで侵攻を許してしまう。しかし、このピンチで早大ディフェンスが見せる。早慶戦でも活躍した斉川のFGブロックが炸裂。ボールもしっかりとリカバーし失点を防ぐとともに、一気にモメンタムを持ってきた。ここからは早大ムード。柴崎からWR小原嶺(法3=東京・早大学院)へのロングパスがヒットしゴール前4ヤードまで進む。惜しくもTDには至らなかったが確実にFGを決め先制点を奪った。続く関大の攻撃でもディフェンスがパントブロックからセーフティーを誘発。オフェンスも後に続きTE田島広大(法4=東京・早大学院)への19ヤードTDパスを通し追加点を挙げる。2Qで畳みかけ12-0で前半を終えた。

FGブロックで大きく流れを変えた

 後半に入り、これまで順調にヤードを稼いできたRBが浮足立つ。雨でボールが滑りファンブルを警戒するあまり「そっちに気がいきすぎてびびってランが出せなかった」と、RB元山伊織(商3=大阪・豊中)は唇をかんだ。消極的になったところを関大ディフェンスに付け込まれ2つのファンブルリカバーを献上。3Qを0点に抑えられる。しかし、3Qの途中から出場したQB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)がさすがのゲームメイクでチームを落ち着かせる。自らのランで先陣を切りオフェンスを立て直すと、32ヤードFGを決め15-0とさらに引き離した。関大も負けじと気迫の追い上げを見せ、初のTDチャンスまでつなげたが試合時間残り2分を切ったところでDB久保颯(国教4=東京・早大学院)が会心のインターセプト。最後はディフェンスのビッグプレーで締めくくり、15-0の完封勝利を挙げた。

初のスターター起用されたQB柴崎、パスの精度向上が感じられる

 相変わらずの堅守を見せたディフェンス陣。しかし、この試合で多くのパスを的確に通した柴崎も評価できる。「遠投能力を武器にしたい」(柴崎)とスターター定着に向けて鼻息が荒い。今回の試合では先週の神大戦で活躍した選手がスターターで起用されるなど、多くのメンバーの変動が起きていた。秋に向けてポジション内の競争も激化してきそうだ。関西との連戦を勝利で飾ったBIG BEARS。次戦の立命大は学生屈指のアスリートをそろえる強豪だ。ファンダメンタルの鍛錬の成果を見せられるか、フィジカル勝負に期待が高まる。

(記事 高橋団、写真 太田萌枝)

コメント

高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――関西のチームを相手に無失点で勝利しました。振り返っていかがですか

ディフェンスはFGでのプレッシャーやゴール前のインターセプトとか、オフェンスもOLが安定していてドライブが出来て危ない部分もありながらも安定はしてきたかなと思います。ただファンブルが2個と、まだまだ粗い部分があるのでそこを修正しないといけないと思います。

――雨でのボールセキュリティに関して、チーム内で共有していたことはありますか

早慶戦でも大事なところでファンブルしていた部分があるので、きょうはボールセキュリティの話はしていたんですけど結果2回しています。雨の日こそしっかりやらなければなと。前半ディフェンスも雨で滑ってパックできずにタックルミスもあったので、ああいうところでもしっかりパックすると、そういうのは必要かなと思います。

――次は立命大との試合ですが、関西との連戦で意識していたことはありますか

きょうの関大戦と次の立命大戦というのは、関西の強いフィジカルのフットボールにどう立ち向かっていくのかというのを意識しています。結果は選手が集中できて後半も糸を切らさずにできたのは、良かったと思います。

――関西のフィジカルに対してどのような対策をしていますか

立命大は西山くん(西山雄斗)や西村七斗くんなど個としてトップのアスリートがそろっているチームです。この春の取り組みとしてストレングスとスピードというのを口を酸っぱくして山田ヘッドコーチ(山田広将、平5卒)が言っているんですけど、(立命大戦は)この3カ月我々が取り組んできたことの結果が出る試合だと思います。

――立命大戦は初めての遠征になりますが、チームの運営で意識することはありますか

今回の立命大戦には60人の枠を選手たちに伝えていて、そこに残るかが春の関門のひとつというのがあります。そこで選手たちはどれだけファイティングスピリッツを持ってやれるかというところですね。きょうのゲームスローガンも『スタート』ということだったんですけど、そういう意味で立命大に勝つためにはスタートでどれだけ集中できるかというところだと思います。そこはまた統一してやっていこうと思います。

 

QB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)

――昨年負けた相手に見事勝利を収めました

去年はオフェンスが足を引っ張る悔しい負け方をしたので、ゲームスローガンである『スタート』を体現しようということで、オフェンスもディフェンスもキッキングも取り組みました。

――きょうの先発はQB柴崎哲平選手(政経2=東京・早大学院)でしたが、どのような狙いがあったのですか

奈良オフェンスコーディネーター(奈良貴充、平11教卒=東京・早大学院)から先発は柴崎でいくということでした。能力の高い選手で奈良コーチもすごく認めているので、そういった意味で起用されたのだの思います。

――柴崎選手のプレーはいかがでしたか

パスが持ち味の選手で、ロングパスを決めていた場面もありました。そういった面で雨だったのが少し残念だなと、晴れだと良さがさらに生かされた試合だったな、と思っています。

――雨の試合でファンブルが多かったですが

雨の日はボールセキュリティを意識していたんですけど、結果的にファンブルをしてしまったので、これからはノーファンブル、ノーイエローというオフェンスをしていきたいと思います。

――関西との連戦で次は立命大との試合です。意気込みをお願いします

とにかく勝つことを目標にしていて、この2連戦は甲子園ボウルに向けて関西に挑める良い機会なので、チーム一丸となって勝ちたいと思います。

DL斉川尚之(スポ3=東京・獨協)

――試合を全体的に振り返っていかがでしたか

ディフェンスは無失点を目標に掲げていた中で、実際に無失点で終われたのはすごく良かったのですが、目標としていたターンオーバーやサックの数には届かなかったので、そこは課題に挙げられるかなと思います。

――斉川選手は試合を通して活躍を見せていましたが、ご自身の収穫や課題は何か見つかりましたか

前回の早慶戦で出た課題を、きょうの試合で潰しきることができました。きょうの課題としてはもう少しサックをしたかったという点ですかね。

――早慶戦での課題とは具体的には何でしょうか

僕はディフェンスエンドとして入っていて、相手のオフェンスに良いようにやられていたので、ちょっとどうにかしないといけないと思っていました。早慶戦からきょうまでは、パスラッシュにフォーカスして練習してきたのでサックができたことはすごく嬉しかったですね。

――最優秀選手にも選ばれました。感想を教えてください

やったー!(笑)嬉しいです!ラインズでMVPというのは難しいことなので、今回選ばれて自信にもなりますし、単純に嬉しかったです。

――関西のチームの特徴などは何か感じましたか

セットして相手のOLを見た時に大きいなと思いました。去年も思ったのですが、やっぱり関西のラインズは関東と比べても全然大きかったのでそこはすごく感じました。

――これから春夏に強化していきたいこと、また秋シーズンに向けての意気込みをお願いします

これから立大、中大というOLが強いと言われているチームと春に当たることができるので、相手にどれくらい通用するのかを確かめたいです。春にたくさん出た課題を、秋に向けて夏の合宿や練習期間で潰して、万全な状態で臨みたいと思います。

RB元山伊織(商3=大阪・豊中)

――試合全体を振り返っていかがでしたか

雨ということもあって、試合が始まる前からランが多くなるということはわかっていたのですが、慶大戦と違って自分たちのランが出せていない印象があって最初はすごく戸惑いました。終始自分たちのランは出せなかった印象はあります。

――早大、関大ともにファンブルが多くありました。何か意識はされていましたか

雨の試合ですごく滑るので、RBでも気をつけたつもりだったのですが、そっちに気がいきすぎてびびってランが出せなかった場面もありました。結果的に第3クオーターでRBが落としてしまったりだとか、きょうは結構RBが試合を潰してしまった印象があるので、立命大戦はRBで勝ちたいと思います。

――オフェンスとして手ごたえや収穫は何かありしたか

OLがきょうも良いパフォーマンスをしてくれました。RBが天候などに左右されずにいつも通りのランができていれば、この試合もランで圧倒できたと思います。OLが継続して良いパフォーマンスをしているというのは収穫だと思います。

――途中から下級生も出場しましたが、底上げが出来ているということでしょうか

そうですね。春はJV戦なども多くて、下級生のRBが頑張ってくれる機会が増えていると思います。ことしは一本目と二本目の差はあまりないと思っているので、どんどん頑張ってほしいです。

――では今後への意気込みを改めてお願いします

立大、中大、イリノイ大とフィジカルが強いチームが続くので、きょうの課題をしっかり次で解消して、今後の試合はランで圧倒して勝ちたいと思います。

QB柴崎哲平(政経2=東京・早大学院)

――雨の試合でしたがパスプレーも多かった印象でした。振り返っていかがでしたか

最初はチーム内でトラブルがあって1クオーター(Q)を無駄にしてしまったなというのはありました。自分としても初めてのスターターで浮足立ってしまったところを2Qで少しでも(挽回しよう)ということで、パスも意外とコールされたので、決められなかった部分もありましたがスコア出来たのはよかったです。

――ロングパスも決まっていましたが、パスの精度には自信がありますか

春が始まったときから自分の遠投能力を武器にしたいと思っていました。きょうの雨の中でも奈良コーチにしっかりボールを持って一発投げる分にはロングパスもコールすると言われたので、思い切って投げるというのは意識していました。もっと精度を高められるようにやっていきたいと思います。

――全体ミーティングで柴崎選手中心の試合だと言われていたそうですね

奈良コーチに全体ミーティングでスターターに抜擢してもらえて、自分の中でも2年生の春でこれから試合に出るにはラストチャンスだと思って臨みました。後半に陽木さん(坂梨陽木、政経4=東京・早大学院)が出て(プレーが)落ち着いている部分があったり、自分ももっともっとやらないとな、と思いました。

――JV戦など出場機会はこれからもあると思いますが、意気込みをお願いします

2年生は自分が引っ張るという気持ちでやっていきたいと思います。