春の早慶戦3連勝!チームの総合力でつかむ

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 17 31
慶大 UNICORNS 14

 チームとして幸先の良いスタートを切った。序盤は少し浮足だったが2クオーター(Q)に入りしっかりと修正。オフェンスはランでテンポをつくり、ディフェンスはビッグプレーを連発する。新体制の萎縮を感じさせない攻守の活躍で、31ー14でケイオーを蹴散らした。

 1Qはオフェンスの不安定さが目立った。ロングスナップミス、ファンブル、反則。自分で自分の首を絞め、勢いに乗れないまま早々と2本のFGを決められてしまう。しかし、ことしのオフェンスは一味違った。WRブレナン翼(国教2=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)が得意のリターンで50ヤードまでボールを進め、RB片岡遼也(法3=東京・早大学院)のFGスペシャルで4thダウンギャンブル成功。最後はQB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)からWR斎藤健(法4=東京・早大学院)へのパスがきれいに通り待望のTD。一気に畳みかけ7-6と逆転した。昨年までディフェンスに助けられていたことが多かったオフェンスが、自ら主導権を手繰り寄せチャンスを演出。ディフェンスのワセダと呼ばせない。そんな気迫が感じられた。そして、負けじとディフェンスも奮闘。DB小野寺郁郎(社3=東京・早大学院)のインターセプト、DL仲野竜矢(文構3=東京・佼成学園)のQBサックで反撃の余地を与えない。最後の攻撃はケイオーのインターセプトで阻まれたが、点差以上の手応えで前半を終えた。

RB元山の走りがチームを勢いづけた

 後半になり、ワセダのオフェンスはさらに勢いを増していく。後半最初の攻撃は、RB片岡とRB元山伊織(商3=大阪・豊中)の圧巻の80ヤードドライブ。全てランプレーで走り切り、最後はRB片岡がボールをねじ込んだ。しかし、リードしたのもつかの間、その後すぐに返され得点は14-14。ケイオーも意地を見せる。同点の3Q終盤。得点が欲しい場面で、ワセダのオフェンスが先手を打った。「RBに注意が向いていた」と、QB坂梨が相手ディフェンスの隙を見逃さずにスクランブルで攻撃の起点をつくる。ゴールまで20ヤード付近のところからまたしても自ら持ち込み、タックルをかいくぐる気迫のTD。続くシリーズでは3rdダウン20の場面からWR斎藤へのロングパスがヒット。最後はここまで獅子奮迅の活躍を見せるRB元山が念願のTDを奪い28-14。終盤にはLB田口凌(社4=東京・早大学院)のインターセプトでボールを奪い、駄目押しのFGで31-14と差をつけた。ワセダの安定したディフェンスも健在だ。その後も得点を許すことなく試合終了。宿敵ケイオーを相手に快勝を収めた。

攻撃の要となったOL

 ことしのワセダは攻守のバランスがいい。戦力低下が危ぶまれたOLであったが、オフェンスリーダーのWR斎藤が「良い意味で期待を裏切るパフォーマンスでした」と褒めちぎる活躍。きょうの31得点の猛攻は、OLの働きによるものが大きかった。ディフェンスも多くの主力が残り、個々の反省はそれぞれあるようだが、チームの初戦としては良い結果にまとまったのではないだろうか。春シーズンはこれからJV戦でチームの底上げを狙う時期に入る。下級生の成長は、上級生にとってもいい刺激になるに違いない。ことしのBIG BEARSはまだまだ楽しませてくれそうだ。

(記事 高橋団、写真 新津利征)

★過去10年間の対戦成績
過去の戦績
第55回 早大 ○24-14● 慶大
第56回 早大 ○24-17● 慶大
第57回 早大 ○47-3● 慶大
第58回 早大 ●24-28○ 慶大
第59回 早大 ○27-12● 慶大
第60回 早大 ●21-24○ 慶大
第61回 早大 ○38-7● 慶大
第62回 早大 ●28-35○ 慶大
第63回 早大 〇31-17● 慶大
第64回 早大 〇19-14● 慶大
コメント

高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――早慶戦勝利となりましたが、振り返っていかがですか

前半はディフェンスが後半はオフェンスが、選手たちは初戦の緊張もあったと思いますがよく頑張っていました。

――高岡監督も監督として迎えた初めての試合でしたが

判断しなければいけないところをどう判断するかは、前読み前読みではやっていましたが一つ余分なタイムアウトを取ってしまいました。後半もギャンブルの伝達が遅れたり、細かいベンチワークミスはなくしていきたいです。

――オフェンスコーディネーターは方が別がいらっしゃいますが、高岡監督が決めることもあるのですか

実際は全部オフェンスコーディネーターに任せていますが、ギャンブルやFG、タイムアウトなどはそうですね。

――新体制での初めての試合でしたが、ベンチワークの出来はいかがでしたか

ベンチワークは50点です。スムーズにできなかったかなと。

――これからJV戦や練習試合が多くなると思います。チームとしてどう成長するか目標はありますか

終わりのハドルでも言いましたが、目指すべきところを考えると全員が試合で活躍するという気持ちがないと、去年おととし以上には行けないという話はしました。全員が日本一になるために、どう考えてどう行動するか、選手だけでなくスタッフやコーチ、私自身も含めてどう考えて行動するか、というのはこれからも言い続けます。

QB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)

――3年連続の早慶戦勝利となりましたが今の心境は

単純に勝てたことが、素直にうれしいです。

――試合を振り返って

オフェンスに関して言えば、出だしが良くなかったので、やはり毎年の課題である出だしをどのように改善していくかが肝になってくるかなと思います。

――きょうはランがよく出ました

そうですね。自分は去年からもランのタイプなので、そこの持ち味を忘れずにパスもこれからどんどん決めていきたいと思います。

――後半は坂梨選手自身も走っていく機会が増えましたが

(相手のディフェンスが)RBに注意が向いていたので、そこでアクセントというか、自分が持って走るプレーが多くなったのかなと思います。

――前半はあえて控えめにした部分はありましたか

そういうプランはありませんでした。ゲームの流れを見てというかたちになります。

――試合を通してロングパスがなかなか通らないように見えましたが、パスに関しては

相手がマンツーマンだったので、1対1の勝負に勝つと信じて投げてるだけで。まだまだ僕のスローの精度が良くないので、そこは色々なレシーバーと合わせて、これから決めていきたいと思います。

――オフェンス全体としては31得点と結果を残せたのではないでしょうか

まだまだ反則もあり、細かいミスを少なくしていくことがオフェンスを強くしていく秘訣だと思うので、これからそういうオフェンスを目指していきたいと思います。

――きょうの試合で見つかった、今後に向けての課題と収穫は

きょうはOLがすごく頑張ってくれたので、パスの方もOLを助けるではないですけれども、QBとレシーバーでもっとコミュニケーションを取って、これから取り組んでいきたいと思います。

――最後に今後に向けての抱負をお願いします

今回勝てたのは良かったのですが、ここを目標にしているわけではないので、どこが目標であるかをしっかり考えてチーム全体で、全員で取り組んでいきたいと思います。

LB武上雅将史副将(社4=神奈川・法大ニ)

――新体制での初実戦をやってみて手応えは

意外と試合の形になったというのが正直な感想です。実戦を経験できて春の明確な課題が見えた事は大きな収穫だと思っています。

――武上選手、個人としても久々の試合出場だったと思いますが

試合勘を取り戻すのに苦労しました。ただ、ディフェンスは去年からのメンバーも多く、山口をはじめ落ち着いてプレーしていたので雰囲気に助けられた部分は大きいです。

――DLからLBにコンバートされましたが、いかがでしたか

中途半端でミスがあり反省の多い試合でした。同じポジションの長尾に指導してもらっています。

――ディフェンスでは新しいシステムが見られました。その出来映えは現時点でどうでしょうか

春は個の強化に力を入れているためシンプルなアサイメントにしていますが、今年は経験値のある選手も多く、もう少しで良いものができると思っています。特に斉川(尚之、スポ3=東京・獨協)や中村(匠、人3=大阪・豊中)、小野寺はそれらを体現してくれています。

――31-14で勝利しましたが、14点に抑えられたという感覚なのか14点も取られたのか、感覚としてはどちらですか

ミスを減らしていけばもっと抑えられたと思います。

――5、6月は多くの試合が組まれています。下級生にはどんなことを期待しますか

全体的なレベルアップを図りたいです。特に出れない選手でも日頃から積極的にチームに貢献してくれているので、そのような選手がフィールドで活躍して欲しいです。

――最後にこれからの意気込みを聞かせてください

丹保(公佑、スポ4=東京・城北)や田口をはじめより多くの選手と切磋琢磨(せっさたくま)して秋に繋がるシーズンにしていきたいです。

OL鈴木敬太(法4=東京・早大学院)

――ランプレーが多く出てる印象でしたが、試合を終えて手応えはいかがでしたか

やる前は正直、不安なところもありましたが結果としてランプレーが出ててよかったと思います。ただ序盤にファンブルがあったのでそこはランユニット全体として反省したいと思います。

――昨年の慶大戦と比較して、どのような点が改善されたと思いますか

慶大も主力選手を欠いた状態での試合だったと思うので実際その選手が出ていたらどうかわかりませんが、一つ言うなら昨年に比べて迷わずプレーできたというところです。

――OLは、昨年から大きくメンバーが変わりましたが、新しいユニットについてどのような印象を受けますか

絶対的な存在がいない状況だからこそ一人一人の試合に出たいと言う意欲が高いです。後輩たちはよく頑張ってくれていると思います。

――秋のシーズンに向けて、個人として、OL全体として、どのような課題がありますか

自分や全体にも言えることはまだまだ他校に比較してフィジカルが劣っているのでそこは秋シーズンまでにより一層鍛えたいです。

WR斎藤健(法4=東京・早大学院)

――試合を振り返っていかがですか

オフェンスとしては反則とかも多くてそんなに良い滑り出しではなかったのですが、その中でもランは出るという実感はあったので自分たちを信じてやっていこうと思っていました。

――ご自身のTDは振り返っていかがですか

あのプレーはもとから大事な場面で使うために用意していました。陽木(QB坂梨、政経4=東京・早大学院)が上手くアボイドして良いところに投げてくれたので、僕は捕るだけでよかったです。

――去年はケガなどで出場できない時期もあったと思います

ケガはスタッフ含め色々なケアをしてもらってきたので、きょうは本当に不安なくプレーできました。

――WR全体の出来はいかがでしたか

ランが多くて、あまりパスは飛んでこなかったと思いますが、要所で(パスが)来た時にそれぞれ役割を全うしていたと思います。ことしのオフェンスの武器だと思っているので、そういった意味でも責任を果たせたかなと思っています。

――ではオフェンス全体の出来はいかがでしたか

オフェンス全体として課題は相当出たと思いますが、その中でもOLが本当に頑張ってくれていました。RBの2人も、我慢強くやってくれていましたし。ランだけのドライブでもOLとRBが本当に頑張ってくれていたので、オフェンス全体としてはラン、パスバランスよくいけたかなと思います。

――事前対談でもOLがキーになるというお話を伺いましたが、まさに、ということでしょうか

そうですね。本当に良い意味で期待を裏切る良いパフォーマンスでした。きょうのことは良かったこととして受け止めて、まだまだ課題もあると思うのでこれからもOLの成長を本当に期待しています。

――では最後に春、夏シーズンへの意気込みをお願いします

春は試合も多いので、まずはボトムアップをしっかり図ること。また毎年選手層は課題になっているので、オフェンスの中でも全員が良いパフォーマンスを発揮できるように、自分もしっかりプレーしつつ、オフェンス全体で春を乗り切りたいです。それから秋のリーグ戦に勝って、関西に勝てるようなチームを作っていきたいと思います。

DB山口昴一郎(社4=東京・佼成学園)

――序盤の失点の原因は

初戦ということもあり、ディフェンスのメンバーが浮き足立ってしまい、中でコミュニケーションが取れずにいました。

――タックルの精度などに関しては

今シーズン始まってからずっとファンダメンタルを大事にしてきた中で、いいタックルもありましたが、まだ改善できるところもあるのでそこは練習していきます。

――後半になるにつれてディフェンスが安定してきましたが、何かチームや個人として意識したことは

必ずオフェンスが点を取ってくれると信じていたので、自分たちは自分たちの仕事をしてオフェンスに回そうということを言い続けました。

――新しいディフェンスのシステムを取り入れた感触は

初戦としてはいい出来だったと思います。個の力が試されるディフェンスなので今後もファンダメンタルの向上も兼ねて、さらにいいディフェンスができるよう努めます。

――李卓選手(慶大)が抜けた慶大オフェンスの印象は

李卓選手がいない穴は大きかったですが、それでも慶應のオフェンスには怖さがまだまだ多くあったので、秋に向けて準備していきます。

――今後の課題や展望は

日本一のディフェンスを作ると言い続けているので次戦以降、それが体現できるようやっていきます。

――下級生の印象や期待すること

早慶戦でも下級生でいいプレーができてる選手が多かったので、今後もいい選手が出てくることを期待してます。

DB小野寺郁朗(社3=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

チームのディフェンスとしては目標の中で完封というのがありました。それを達成できなかったところにもっと(練習を)詰めるところがあるんですけど、個人としてはまだまだで課題点があるかなと思います。

――試合前に意識していたことはなんですか

相手には絶対的QBがいて、パスが多くなるだろうなというのは頭の中にあったので、自分たちDBがボールを持ってきてチームの勝利に貢献しようと意気込んでいました。

――試合ではインターセプトやパスカットをする場面が目立ちました

狙っていたのでそれができてよかったんですけど、欲を言えばもっと(インターセプトやパスカットが)できたところもあったので、そこは悔しいです。

――きょうの試合を通じての課題や収穫はありますか

課題は、ショートのパスやロングのパスは封じることができたんですけど、中距離的なパスにまだ弱いところがあるので、そこは練習していきたいなと思います。去年はロング系を封じることができてたんですけど短い距離のパスを結構通されてたんで、そこを意識してきょうはいい感じだったのでこれは収穫かなと思います。

――今後への意気込みをお願いします

春シーズン始まったばかりですけど、自分たちのディフェンスがどれだけ秋に向けてやっていけるかというシーズンでもあるので、そこはちゃんとDBでボールを持ってくると共に完封をいつも目標にしてやっていきたいです。

RB元山伊織(商3=大阪・豊中)

――相手のDLやLBの印象はいかがでしたか

スカウティングの時点では去年から活躍している選手が残っていて、それに対してうちはOLもRBもことし1本目の選手が多かったので、始めはすごく不安だったのですが、OLがすごく頑張ってくれて、正直RBはそのお尻を走るだけでした。(慶大の)主将がケガをしていて、あっちも戦力的に抜けていた部分もあるのですが、きょうに関しては本当にOLが頑張ってくれたと思います。

――早慶戦前対談では、慶大戦ではなかなかランプレーが出ないというお話がありましたが、きょうの試合ではランがよく出ていました

OLのおかげですね。新チーム始動の段階では、パスユニットには陽木さん(坂梨主将)もいて、WRには去年から活躍していた選手が残っていたので、ランユニットに不安が残っていました。でもきょうは本当にOLが頑張ってくれていたので、RBももっと頑張らなきゃと思いました。

――第4QにはTDも取りました。そのシーンを振り返っていかがですか

第2Qにファンブルしてしまったので、それを取り返すことに必死でした。ファンブルしてしまった時に、同期や先輩、ディフェンスのメンバーがすごく励ましてくれて。仲間への感謝、絶対に後半取り返さなきゃいけないという気持ちで取ったTDでした。

――RB片岡遼也選手(法3=東京・早大学院)と二人で1本目として出場した初めての試合でした。何か思うところはありますか

1年の頃から二人でシリーズ交代でランとゲームを組み立てていくというのが、二人の夢というか目標としてありました。きょうは第3Qのシリーズでそれができて、アメフトがすごく楽しかったです。二人で「やっとできたな」と話していました。

――第4Qの終盤は下級生の選手も出場していました。下級生の選手に期待することはありますか

下級生だといま村田賢紀(文構2=東京・西)と中野玲士(商2=東京・早大学院)が頑張ってくれていて。僕や片岡には無いものを持っていて、同じ選手として尊敬する部分があるので、その二人には期待しています。同期にも三浦(佑太朗、社3=東京・早大学院)と高根(龍平、政経3=東京・早大学院)もいるので、もっと頑張ってもらいたいと思います。

OL香取大勇(スポ2=東京・佼成学園)

――ランプレーが出てる印象でしたが、手応えはいかがですか

最初の方で、押せるかなっていうのがわかって、後半はランで行こうという話になって、それで出せたので良かったです。ランとしての手応えは、やってきたことが形になったので良かったです。

――昨年の慶大戦と比較して、何か大きく変わった点はありますか

昨年までは、当時4年生の先輩にばっかり頼ってて、周りを見きれなかったところがあったんですけど、今回は自分から結構発信できたので、それが去年との違いかなと思います。先輩がいなくなったということで、自分も引っ張っていかなきゃという意識を持ち始めたので、変わったかなと自分では思えます。先輩がいなくなって、頼りきっていたことを強く感じました。

――OLは昨年から大きくメンバーが変わりましたが、何かその点について話し合われたことはありますか

先輩方がいなくなった後から、OLには結構大きな穴が開いて、その穴をどうやって埋めるかということは話し合いました。課題として取り組んでました。

――今後の課題はどのようなところでしょうか

今日やってみて、ランは結構出てて良かったんですけど、パスの面で漏れちゃってるところがあったのと、出てないランプレーもあったので、そこがなんで出なかったのか、しっかりと精査していきたいと思います。

――新入生に対する期待や不安はありますか

どちらかというと、期待の方が大きいです。デカかったり、フィジカルがあって期待できる選手が多くいたりするので、そういう選手をぼくたちが育てて、秋のシーズンで戦えるように、OLの選手層が厚くなるようにできたらいいなと思います。