早慶戦はことしで65回目を迎える。選手や監督も口を揃えて「特別な試合」と称する伝統の一戦だ。ケイオーには春の試合では2連勝中だが、秋のリーグ戦では4年生が1年生の時からの3年間、一度も白星がない。今回の早慶戦は日本一に向けて今後の運命を占う試合と言ってもいいだろう。
昨年の4年生卒業によりワセダのオフェンスは大きな戦力低下が懸念されたが、実力のある選手は十分に残っている。OLでは、1年時から甲子園ボウルに出場したOL香取大勇(スポ2=東京・佼成学園)。早大学院で高校日本一の経験のあるOL鈴木敬太(法4=東京・早大学院)が核になってくる。WR遠藤健史(法3=東京・早大学院)の昨年の獲得ヤードは、211ヤードで新チーム内トップ。QB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)とのホットラインに期待できる。中心となる選手はほとんど入れ替わると考えていいが、各ポジションに新たなエースとなる選手が在籍し、総合力では高い水準を誇っている。一方ディフェンスは粒ぞろいだ。DL仲田遼(政経4=東京・早大学院)は昨年から中心として活躍し、DL斉川尚之(スポ3=東京・獨協)も未経験者ながらサイズを生かした強烈なラッシュが魅力だ。LBも甲子園ボウル敢闘賞のLB加藤樹(平29商卒=東京・早大学院)が抜けたが、LB中村匠(人3=大阪・豊中)を筆頭に新戦力の成長が著しい。複雑なワセダディフェンスをまとめるDB山口昴一郎(社4=東京・佼成学園)は、高い戦術理解度を駆使しビッグプレーを狙う。
攻撃の司令塔としてチームを組み立てるQB坂梨
ケイオーのオフェンスも4年生卒業の影響を大きく受けそうだ。圧倒的な力を備えたRB李卓を失い攻撃力の低下は必至。戦力が残るワセダは1点も与えない覚悟でいきたい。しかし、問題はケイオーのディフェンスの堅さだ。ワセダは秋の試合で3Qまでわずか7点に抑え込まれている。昨年の秋のリーグ戦QBサック記録には、在籍中の選手でもLB染矢優生主将、LB工藤勇輝をはじめ10位までに6名のケイオーの選手が名を連ねる。ランを攻撃の軸とするワセダにとって、分析に裏付けされたアグレッシブさは脅威だ。受け身になってはビッグタックルでモメンタムを一気に持っていかれるだろう。
シーズン終盤から頭角を現したLB中村匠
ことしの早慶戦はディフェンス対決になりそうだ。オフェンスは少しでもミスをなくしチャンスをものにしなければ、完封負けの可能性が十分にあり得る。ケイオーはすでに春シーズンで二試合を経験し試合勘は取り戻しているはずだ。ワセダは新体制で初めての試合。ベンチワークも勝敗を分ける大きな要因となる。挑戦者の気概を忘れずに、日本一に向けての初戦を勝利で飾りたい。
(記事 高橋団、写真 新津利征、大槻竜平氏)