【連載】『第65回早慶戦直前特集』【第4回】DB久保颯×WR斎藤健×WR遠藤健史

米式蹴球

 華麗な空中戦が見せ場のWR。それを阻止し一気にモメンタムを持ってくるDB。試合の流れを大きく左右する二つのポジションは、いかにして慶大に挑むのか。DB久保颯(国教4=東京・早大学院)、WR斎藤健(法4=東京・早大学院)、WR遠藤健史(法3=東京・早大学院)の3人に話を聞いた。


※この取材は3月22日に行われたものです。

「日本一を目指すため」(久保)

ポジションの魅力について語る久保

――ではまず、アメフトを始めたきっかけを教えてください

遠藤 中学校までずっと野球をやっていて、高校でもそのまま野球をやろうと思っていたんですけど、高校のアメフト部が強くて1回見学に行ってみようかなと思って行ってみたら「上手いから入った方がいいよ」みたいにすごくおだてられて。人工芝やウエイトルームもきれいで環境も良くて、全国で優勝しているという実績もあったので、野球も続けたかったんですけどアメフトにより魅力を感じて始めてみようと思いました。

久保 僕は中学2年までアメリカに住んでいて、帰ってきたタイミングもすごく中途半端で運動部に入れなくて、運動したいという気持ちをずっと持っていました。高校に入る前から大学付属の高校に入って7年間部活をやりたいと思っていて。そんな時に(早大)学院のアメフト部が優勝したのをテレビで見て、かっこいいなと。家が近かったこともあって(早大)学院に入って、それからはあまり迷わないでアメフト部に決めました。

斎藤 僕は小学校から中学校まで野球をやっていて、高校でもやろうかなと思っていたんですけど、上下関係もきつくなく、和やかな雰囲気で風通しも良いアメフト部を見学していいなと思って決めました。

――大学でも続けようと思った理由は何かありますか

遠藤 僕は高校1年生、2年生で全国優勝を経験しました。僕らの代で五連覇を目指していたんですけど、僕らの代は秋の関東大会でも負けるんじゃないかと言われるくらいあまり強くなくて。やっとの思いでクリスマスボウルに出たのにそこで負けてしまって、高校の長く続いてきた連覇というのを自分たちの代で途絶えさせてしまいました。その時の試合で自分があまり活躍できなかったという不完全燃焼の気持ちや悔しさから大学でも続けようと思いました。

久保 僕たちの代は高校で全国優勝できて、その時は完全燃焼してアメフトは高校までと思っていたんですけど、大学入って先輩から勧誘されて。考えてみたら、せっかく高校で日本一という大きい目標を達成できたのに大学でやらなかったら結局大学でやってきた他の学校の奴らと比べて薄いアメフト生活になっちゃうのかなと思いました。早大は日本一になったことがありませんが、上の代にはクリスマスボウルを連覇した先輩たちもそろっていたので、いけるんじゃないかと思って日本一を目指すために入りました。

斎藤 僕は全く続ける気がなくて、大学ではやめようと思っていました。でも、それまでは落としたことなかったのにクリスマスボウルでボールを落としたんです。高校卒業してから大学入学までずっとそのことを考えていて、やっぱりこのまま終わりたくないなという思いから大学でも部活に入りました。

――それぞれ今のポジションに就いた理由と、そのポジションの魅力を教えてください

遠藤 自分がWRというポジションになったのは小中ずっと野球をやってきて、ボールに触れることに慣れていたことがまずあります。初めて体験に行った時も、レシーバーの先輩に「才能あるよ」みたいにおだてられて。他のポジションも考えたんですけど、アメフトはフィジカルが必要なスポーツなので、体格が大きくない自分でも一番可能性があるのがWRかなと思いました。RBとかDBもやってみたかったのですが、体格的にも才能的にも自分に一番向いているのがレシーバーかなと思って始めました。レシーバーの魅力は一言で言えば、一発でチームや観客を盛り上げることができるポジションであることです。その分落としたときとかミスが目立つポジションでもあるんですけど、絶対にボールを取る、というプライドを持てます。まとめると、みんなを盛り上げることができるポジションです。

斎藤 始めたきっかけは遠藤と一緒で、体が小さかったのでそれでも勝負できるところと言ったらレシーバーとかRBで、僕も野球をやっていたのでボールを取る方がいいなと思ってレシーバーを選びました。魅力はプレーの一番最後にボールが来るところ。レシーバーにボールが来るまでに、OLやRBがブロックして、QBがブロックの中でラッシュを交わしてボールを投げてっていう過程があって、そのプレーを完結させるのがレシーバーというポジションです。全員の思いを背負っていて責任が一番大きいポジションなのでそういうところにやりがいや魅力を感じています。

久保 実は僕も最初はレシーバーをやろうかなと思っていたんですけど、先輩からレシーバーってキャッチを決めるとめちゃめちゃかっこいいけど、結局ローテーションで一試合に何球かボールが来れば良い方って聞いて。

斎藤 それは間違いないな(笑)。

久保 逆にディフェンスは基本的にメンバーが変わらないから、スタメンになっちゃえばずっと試合に出られるというのを聞いてDBをやろうかなと思ったのが一つです。もう一つはアメフトで一番かっこいいプレーって何だろうと思ったときに、自分の中でインターセプトリターンタッチダウンだなと思ったので最後はそこで決めました(笑)。ディフェンスの一番後ろのポジションで自分たちが止めないとパスでもランでもタッチダウンに直結してしまうので、その分責任感や緊張感もあるんですけど、そのプレッシャーに打ち勝って自分の仕事をやり遂げてなおかつ良いプレーをして目立てたときはすごく嬉しいですし。基本的にDBってすごく良いプレーかすごく悪いプレーかでしか目立たないので、良い意味で目立てた時がすごく嬉しいです。

――どこでもやっていいと言われたら、やってみたいポジションはありますか

久保 それはQBでしょ!アメフトをアメリカで見たときも一番かっこいいのはQBだと思っていました。でも高校に入ったら坂梨陽木(政経4=東京・早大学院)っていう奴がQBとしてやっていたので早々に諦めちゃったんですけど、もしもう一回やり直せるならやっていたかもしれないですね。

斎藤 僕はOLをやってみたいですね。体とかは置いといて、OLの先輩や同期の敬太(鈴木、法4=東京・早大学院)とも仲が良かったりとかするので、あの人たちに勝ちたいですね(笑)。違うポジションをやるって言ったら、OLをやってお前らより上手いんだぞっていうところを見せたいです(笑)。去年のキャプテンの松原さん(寛志、平29法卒=東京・早大学院)や島崎さん(貴弘、平29スポ卒=東京・早大学院)、央次朗さん(樋口、平29創理卒=東京・早大学院)とかいるんですけど、あの人たちと並んでプレーできたら面白いかなと。

遠藤 僕はDBですかね。さっき久保さんが言っていた通り、レシーバーってローテーションとかもあって一試合に一回もボールが来ないときもあったりするのに対して、DBだと常に試合に出られますし。僕の同期に小野寺(郁朗、社3=東京・早大学院)っていう未経験から始めて、今もうスタメンとして出ているアスリートのCBがいるんですけど、そいつを見ていると常に試合に出て試合を決めるようなインターセプトとかをしていて。試合での達成感みたいなものはもしかするとオフェンスよりも大きいんじゃないかなと思うのでディフェンスをやってみたいな、やるならDBかなと思います。

――ご自身の強みはなんですか

斎藤 僕は試合でも練習でも常に冷静でいられるところですかね。その冷静さを生かして相手のカバーとかを頭で考えて、相手の動きを利用して自分がどう動くかということを考えてプレーできるのが強みかなと思います。

遠藤 僕は見た目からしても背が小さくてフィジカルもないんですけど、クイックネスという部分では絶対誰にも負けないようにしようと思っています。初速であったりとか、切り返しのスピードであったりとか、対面したときに絶対振り切れるようなクイックネスというのが自分の強みかなと思っています。

久保 何だろうな…。

斎藤 腕の長さでしょ!189センチだっけ?

久保 まぁまぁ(笑)。よく言われるんですけど、腕が長いのは一対一のマンツーマンやカバーのときに生かされているのかなと思います。あとはメンタル面で言うと、常に勝負を楽しむことができる人間で、試合前も緊張とかはせずに楽しみだなと思えるのでそこはプラスかなと思っています。

――お互いのすごいと思うところ、また高校時代から成長したなと思うところはどこでしょうか

斎藤 久保は高校の最後の方からすごく上手くなって、手足が長いとか背が高いとか自分の体の特徴を生かしています。それに加えてアメリカに留学しているときも一人でモチベーションを保つのはすごく難しかったと思うんですけど、それでも帰ってきたときには見違えるように体が大きくなっていて。それもメンタルの強さだと思うんですけど、一人でウエイトとかをしっかりしていたんだなと思いました。やっぱり自分の特徴をすごく生かしてプレーできているのがすごいなと思います。高校時代からディフェンスの要として頼りにしていますし、練習でマンツーマンとかをやっても(勝つのが)難しい面もあるので(笑)。本当にいい選手だなと思います。遠藤に関しては、高校時代からずっと同じポジションでやってきてそのときからずっとかわいくて。大学に入って、一つ下の代でも実力が一つ抜けているので、大学では一緒にライバルとしてできていていいなと思います。あ、これすごいところじゃないな(笑)。強みは自分でも言っていた通りクイックネスと、あとは熱さですかね。負けたくないという気持ちが人一倍あると思うので、そういうところもいいところだなと思っています。うーん、遠藤はもう私情が入っちゃうからな(笑)。

遠藤 (笑)。久保さんは本当にすごい。まじですごいんですよ!

久保 抽象的(笑)。

遠藤 何ていうんだろうな…。全部すごいんですけど、特に秀でているのは身長とフィジカルとスピードで、本当に非の打ちどころのない選手というか。マンツーマンをやっても一番嫌なDBと言ったら間違いなく久保さんですし。さっき言っていた通り勝負を楽しむというか駆け引きがすごく上手くて、自分の想定外の動きまでしてきて頭が良いというかIQが高いです。

斎藤 そうか?(笑)

久保 全体じゃなくてフットボールのIQね!(笑)そこ大事(笑)。

遠藤 (久保さんは)本当に一対一の勝負の駆け引きがすごく上手いです。一つ上にこんな上手い先輩がいて、自分の成長にもつながっているので絶対に勝ちたいなと思える存在です。健さんはもう6年くらいの付き合いで、普段はいつも2人でふざけて遊んでいるんですけど、グラウンドに入ると人が変わったように集中して冷静にチーム全体を見ていながら、自分のこともしっかりやっていて。オフェンスリーダーとして背中で見せています。去年の隆貴さん(鈴木、平29法卒=東京・早大学院)はすごく熱い人だったんですけど、それとは対照的でぎゃーぎゃー騒がないというか。

斎藤 それ隆貴さんのこと悪く言っているよ(笑)。

遠藤 違います、違います!(笑)青い炎じゃないですけど、心の奥から燃えるような感じを持っているのがかっこいいなと思います。試合中も僕とか同期のWR小原(嶺、法3=東京・早大学院)とかが焦っているときも、冷静に相手のことを分析していてそういうところのメンタルがすごいなと思いますし、自分が真似できない部分ですね。

久保 健は高校のときからキャッチがすごく上手いなと思っていたんですけど、高校時代はそのキャッチ力に頼っていた部分があったのかなという印象で。でも大学に入ってから相手も強いし速いという状況で、すごく頭を使うようになったと思います。一緒にやっていても、上手くこっちの動きをずらして空いているところに入っていったりだとかそういうプレーがすごく上手いので、こっちが優位なポジションを取っていてもすぐやられてしまったりします。なのでこっちも頭を使わないと勝てない相手で、そこが選手としてすごく長けているところだと思います。人間的にも大学に入ってやっていく中でリーダーシップがついて、オフェンスやレシーバーを引っ張っていく存在なのかなと思っています。遠藤は、めっちゃ良い選手です。

遠藤 雑!(笑)

久保 本当に技術も高くてスピードもありますし。一回置いていかれたらもう追いつけないという恐怖が常に付きまとう選手です。なおかつボールへの執着心とか勝利への執念とかもすごく強くて、一緒にプレーしてブロックでもマンツーマンでもすごく気持ちが伝わってきますし、こっちも死ぬ気でいかないと絶対にやられるという闘志が伝わってくる熱い男だと思います。

遠藤 ありがとうございます!

「勝ちにこだわりたい」(斎藤)

リーダーとしてオフェンスをけん引する斎藤

――久保選手、斎藤選手は4年生になりますが最終学年になるにあたって何か思いはありますか

久保 去年も甲子園ボウル(三菱電機杯毎日甲子園ボウル)まで行けたんですけど、本当に先輩たちに連れて行ってもらったと思っています。自分も試合には出ていましたが、チームのために何かできたかと聞かれたら自信を持ってできたとは答えられなくて。ことしは去年の経験もありますし、自分が成長するのはもちろんですけどそれをいかに周りに波及させてチームとして強くなっていけるかを考えています。去年の主力も抜けてチーム戦力としてはすごく落ちていると思うので、後輩も含めてチームとして成長していかないといけないと思いますし。いかに自分が中心となってチーム全体のモチベーションを上げていけるかというのが課題です。

斎藤 2年連続甲子園で負けて、もう本当に負けられないという思いが強くて。3回目に行って負けたら本当に恥ずかしいと思いますし。関西のカベも厚いと思うんですけど、ノウハウは2年間で身に付いてきていて、あとは自分たちがどれだけ勝ちたいかという気持ちだと思うので、うまくその気持ちをまとめて特にオフェンスで甲子園で勝ちたいなと思います。2年間オフェンスで負けているところもあるので、ことしはオフェンスで関東を勝ち抜いて、甲子園で勝ちたいと思います。

――遠藤選手は上級生になります。どのような思いですか

遠藤 去年から試合に出させてもらっていて、関東のリーグ戦や甲子園ボウルも経験させてもらったんですけど、昨年は試合に出られているだけで十分だって思っている部分が多少なりともあって。その思いもあったのかわからないですが、試合でもあまり活躍できずに自分がチームに貢献できたかと言われたら頷けるような結果ではありませんでした。ことしは3年生になって自分のテクニックやスキルを向上させることはもちろんなんですけど、4年生と1、2年生のモチベーションの差を埋めるためのアプローチをしたり、4年生と同じような思いでやっていったりということが3年生としての自分の役目であると思います。自分が4年生と同じ気持ちでやるのは当然なんですけど、自分たちの代や新しく入ってくる選手たちともコミュニケーションを取ってチーム全体を底上げできるようなことを率先してやっていきたいと思っています。

――昨シーズンは振り返ってどのようなシーズンでしたか。印象に残っている試合などがあれば教えてください

久保 去年のシーズンは試合に出させてもらっていたんですけど、ディフェンスリーダーだった加藤さん(樹、平29商卒=東京・早大学院)から期待されていたようなプレーはできていなかったなと思っています。理解力の面で勉強不足な部分が多くてできる仕事が限られてきて、ディフェンスに幅を持たせられなかったのは自分の責任が大きかったなと。それをシーズンを通して完全に解消することができませんでした。甲子園ボウルでも自分のせいで出されたプレーがあったのでそこはすごく反省しています。印象に残っている試合はやっぱり甲子園ボウルですね。関西のチーム、特に関学大は関東のチームと比べても自分たちのディフェンスをすごく研究して弱点を突いてきて。終わった後ビデオを見ていても弱点を突かれている場面が結構あって、そのいくつかは結局自分がちゃんとできていれば止まっていたプレーでした。改めて去年の自分の取り組みが足りていなかったことを実感したので、ことしはビデオをたくさん見て頭の面でも絶対にトップになってやろうと思っています。

遠藤 去年のシーズンは波乱のシーズンだったなと思っています。おととしはリーグ戦初戦から法大戦まで6連勝してそこで優勝が決まって、甲子園ボウルに行けるってなったんですけど、去年は日体大戦でタイブレークの試合があったり、このままじゃダメだとなっている中で慶大に負けたりして。そのあと法大、日大に勝って何とか甲子園に行けたという点ですごく波乱のシーズンでした。印象に残っている試合は負けた慶大戦です。あの試合は前半はすごくランに頼っていた部分があったのですが、相手のディフェンスがすごくランストップをしてきて、終盤パスじゃないと追いつけない展開になって。そうなるとレシーバーとかQBの力の見せどころだったと思うんですけど、そこで勝ちきれなかったということがすごく印象に残っています。準備がしっかりできていたのかと考えると、まだまだできたんじゃないかと悔やむ部分も多くて、負けることがどれだけ悔しいかとか準備の大切さを学ばせてもらったという意味で一番印象に残っています。

斎藤 印象に残っている試合は日体大戦と関学大戦です。日体大戦に関しては明らかに自分たちオフェンスとして準備が足りなかったなと思います。どこかで勝てるだろうという思いが自分たちの中にあって。隆貴さんと2人で試合を外から見ていて、その試合では何もできない無力感、悔しさを感じました。関学大戦に関してはそれも踏まえて1年間やってきて、オフェンスも相当準備をして臨んだんですけど、それが全く通用しませんでした。準備をしたのにも関わらず、超えられないカベがあったなと。それは今シーズン絶対に超えないといけないんですけど、そういう意味で印象に残った試合でした。

――新体制となりましたが、ことしのチームの強みは何でしょうか

斎藤 ことしは結構4年生に実力やリーダーシップが欠けているところがあるので、その分プレーもそうですしチームの運営の面でも下級生に頼る部分があって。そういう意味ではチーム全体で4年生だけじゃなくて3年生も中心となってやっていかないといけないというところで、チーム全体としてレベルアップしていけるような環境かなと思っています。4年の不甲斐なさというのはあるんですけどね(笑)。

久保 あとは濱部監督(濱部昇、昭62教卒=東京・早大学院)という絶対的な存在がいなくなってしまって、その中で高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)と山田ヘッドコーチ(山田広将、平5卒)と4年生が話し合い機会が増えて、何をやるにしても意志の統一ができているので一つの方向を向くという意味ではすごく良いのかなと思います。

――主将、主務の印象は

久保 主将の坂梨陽木君(政経4=東京・早大学院)は一緒の寮に住んでいることもあり、ちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。すごく尊敬しています。自分が誰よりもしっかりと取り組んでいて、それを当然のようにやっている上で、周りに怒るのではなくて頑張ろうみたいな雰囲気で、絶対的なリーダーシップを持っていながらフォロワーシップもあるというか。それを生かして引っ張っていける存在だと思っています。そこにいかに応えていけるか、いかに彼と同じ気持ちになってチームが一つになっていけるかというのが本当に大事だと思っています。それはやっぱり4年生の責任というか4年生の仕事だと思うので。下級生を巻き込んでいこうという中で自分もしっかりやっていかないとなと思っています。

斎藤 陽木は高校からずっと一緒にやってきて、実力は本当にすごいんですけど、それでも周りに気をつかえる人間で。自分の能力だけに突っ走るんじゃなくて周りがどう考えているかとか同期、先輩、後輩まで全て見ているなというのが印象的です。気をつかえるというところが彼の良いところでもあるし、一人ひとりに真剣に向き合っているのでそこに生まれる求心力がみんながついてくる一つの要因なのかなと思います。

遠藤 陽木さんは結構仲良くさせてもらっていて、プレーヤーとしては本当に頭の良い人だと思います。このプレーにはどういう意図があって、という細かいところまで理解していて。その頭の良さがリーダーシップにも出ているなと思います。あとは先ほど久保さんも言っていたように怒るとかけなすとかではなくて、頑張ろうぜという感じでポジティブにリーダーシップを発揮しています。いつもの主将と違うのは優しいじゃないですけど、ポジティブにこっちのやる気を出させてくれるような声かけをしてくれるところですね。どの人に対しても平等に接していてすごく面倒見のいい主将だなと思います。

久保 主務の中村航(法4=東京・早大学院)は高校では同じポジションでやっていたんですけど、大学になってレシーバーになって、常に成長するために頭を使って考えているなと練習を見ていても思います。僕にも意見を求めてきたりしますし、選手としては成長することに貪欲です。主務としては選手兼主務、というのは前例がないし普通に考えて選手とマネージャーのトップを兼任するというのは大変なことなんですけど、それを大きな不満も言わずにやっていてすごく尊敬しています。

斎藤 本当にそうだよな。

遠藤 そうですね。全部言ってくれました。

――皆さんもそれぞれリーダーの役職に就任されましたが、どういった経緯で決まったのでしょうか

遠藤 僕は昨シーズンの試合で活躍できなかった、準備が足りなかったという反省がすごく残っていて、ことしは自分が引っ張っていくという決意があってパスユニットリーダーに立候補しました。立候補したからにはもちろんしっかりやるという気持ちはありますし、役職に就けばより一層自分の中で自覚が芽生えると思いました。

――リーダーに就任して変わったことはありますか

遠藤 やっぱり今までは自分のことばっかりを気にしていて、自分が上手くなれさえすればいいじゃないですけどそんな風に思っていた部分もあったんですけど、今はパスユニット全体として成長するにはどうしたらいいのかと考えるようになりましたし、そのおかげで下級生や周りに目を配れるようになりました。ユニットとして底上げができるように自分の視線が、自分だけから周りにも向くようになったのが変わったところかなと思います。

――4年生のお2人はどのような経緯だったのでしょうか

久保 僕はさっきも言った通り、去年から試合に出ていたのにも関わらず、自分の取り組みの甘さで勝ちきれなかったというのを自覚していて。それに加えてことしは戦力が落ちている中でいかに下級生を引っ張って全体として上がっていけるかというのが大事だと思ったので、そこは去年の経験や悔しさを知る自分がリーダーシップを取ってDBというユニットを引っ張っていきたいと思いました。

斎藤 ことしはチームが新体制になるということでチームの運営に関していろいろ変わることが多くて。外から見ても変革の年という風にみられると思いますが自分の中ではその中でも絶対に勝ちたいという思いがあります。チーム変革の年だからと言われることも多いのですが、そういうことに関係なく絶対に勝つという勝利への執着心を持ってより勝ちにこだわりたいという思いからオフェンスリーダーに立候補しました。また、ことしはオフェンスの中でもレシーバーがかなりの武器になっていくと思うので、その色々なタイプの選手がいるレシーバーを上手くまとめて、レシーバーをオフェンスの強みにしていきたいなという思いからレシーバーのリーダーにもなりました。

「早慶戦という舞台で活躍する」(遠藤)

笑顔でインタビューに応じる遠藤

――それでは早慶戦についてうかがいます。皆さん早慶戦とは高校時代からの付き合いですが、早慶戦にかける思いはどのようなものですか

久保 高校のときから春の早慶戦とか秋の大事な試合で対戦する機会が多くて、選手も高校のときから知っている人が多いですし、あと中3のときに同じクラスだった奴が慶大にいて、そいつともよく早慶戦の話をしています。やっぱり絶対に負けたくないですね。

斎藤 早慶戦ということで、プライドのぶつかり合いというか慶大だけには絶対に負けたくないという思いもあります。さっき久保も言った通り、工藤選手(勇輝)とか高校の選抜でも一緒だった選手も多くてレシーバーの柴田源太と久保と4人でご飯行ったりするくらい仲が良いんですけど、そういうのは置いといて(笑)。だからこそっていうのもありますけど、絶対に慶大には負けたくないなという思いがあります。

遠藤 2人が言った通りでお客さんもいっぱいくるような試合で慶大だけには負けなくないという思いが強いですね。全部言われちゃいました(笑)。

斎藤 高校からずっとワセダなので慶大には絶対負けたくないというか、負けてはならないみたいなのが自然に身についています(笑)。そういうのをずっと背負ってきているので自然にね(笑)。

久保 そうそう!もう使命じゃないですけど慶大戦っていうだけでスイッチが入ってやる気も一段階上がりますし。そういう存在ですね。

――早大のキーマンになる選手はどなたでしょうか

久保 キーマンは2人いて、CBの永井(雄太、商2=東京・早大学院)とLBの長尾(裕二朗、スポ4=愛知・海陽学園)です。その2人の成長度合いというか出来によってディフェンスは変わってくると思うので。2人とも仲が良いんですけど、長尾は寮も同じ部屋でよくアメフトの話をしますし、アメフトをよく分かっていて、勝つために何が必要かということもわかっているのですごく期待しています。永井は高校の頃はQBだったんですけど、高3からCBにコンバートしたんです。めちゃめちゃセンスがあって、準スターターみたいな感じで活躍していたので彼がスターターとして独り立ちしてくれればDBとしては本当に良いユニットになるのではないかなと思います。その2人によってディフェンスの出来が左右されるので2人に期待しています。

遠藤 僕はポジションから挙げるとWR高地(駿太朗、先理3=神奈川・浅野)ですかね。彼はU―19でレギュラーを取っていたりとか、実力やフィジカル、キャッチセンス、スピードという面では申し分ないんですけど、いかんせんアサイメントの理解度が低いので。アサイメントをしっかり覚えていたら、間違いなく去年から試合に出ていた選手なので彼が今後どれだけ成長するかによってレシーバー内の競争の激しさも変わりますし。ポテンシャルは間違いなくすごくあるので彼に上級生としての自覚が芽生えて、成長することがユニットとして成長するキーだと思います。だから頑張ってほしいです。本当に頑張ってほしい!

斎藤 オフェンスから出すとOLですかね。去年のOLを支えていた3人が抜けてことし結構若いメンバーになるんですけど、そういう面ですごく期待していますし、これから成長していってほしいという思いがあります。それぞれ今すごく努力していて、それはレシーバーである自分でもわかるくらい伝わってきます。戦力が落ちたという思いは一人ひとり持っていて、それでも強くなりたいという気持ちをすごく感じるので頑張ってほしいです。その中でも4年の鈴木敬太はランユニットをしっかりまとめていて僕も頼っている部分がすごく多いので、彼のプレーやまとめる力に特に期待しています。

――では最後に改めて早慶戦への意気込みをお願いします

遠藤 高校からずっとやっていてことしで6回目になります。とりあえず慶大には絶対に負けたくないという気持ちが本当に強くあって、今はそのために準備をしています。その上で早慶戦という舞台で自分がレシーバーとして活躍して、オフェンスで勝ったと言われるような試合にしたいです。

久保 春の早慶戦って甲子園ボウルの次にお客さんが入るんです。2年前に出させてもらったときの試合は人生でトップ3に入るくらい楽しい試合で。本当に雰囲気がすごく独特ですごく楽しかった記憶がありますが、もちろん勝たないと楽しくありません。去年の秋に負けているということもあるので絶対に絶対に慶大に勝って、そのあとの4年生の懇親会に楽しい気持ちで行きたいです!(笑)

斎藤 秋シーズン負け続けていて、その借りを返したいという思いと、ワセダのプライドに懸けて必ず勝ちたいという思いがあります、あとは新しいオフェンスコーディネーターの奈良さん(奈良貴充)、が来て初めての試合になるので、勝利をプレゼントしたいと思っているのでオフェンスで圧倒して勝ちたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 太田萌枝)

高校時代からの付き合いの3人。対談中も笑顔が絶えなかった

◆遠藤健史(えんどう・つよし)(※写真左)

1996(平8)年11月17日生まれ。168センチ、68キロ。WR。東京・早大学院高出身。法学部4年。かわいい笑顔が印象的な遠藤選手。持ち前のクイックネスを生かしたキャッチとランは、ポジション内でもトップクラスです!

◆斎藤健(さいとう・たける)(※写真中央)

1995(平7)年6月2日生まれ。168センチ、70キロ。WR。東京・早大学院高出身。法学部4年。オフェンスの中心としてチームを引っ張る斎藤選手。QB坂梨主将とのホットラインに注目です!

◆久保颯(くぼ・はやて)(※写真右)

1995(平7)年10月19日生まれ。182センチ、85キロ。DB。東京・早大学院高出身。国際教養学部4年。慶大のLB工藤選手とは中学校の時に同じクラスだったそうです。LBにも見劣りしない久保選手のハードタックルに期待です!