忘れものを、取り返す――。東日本代表決定戦で、東北大に快勝し甲子園ボウル出場を決めた早大BIG BEARS。通算では4度目の出場となるわけだが、学生日本一を経験したことは未だない。対する相手は甲子園ボウル常連の関学大。歴代最多27回の優勝経験を持つ相手にワセダはどのような戦いを見せてくれるのであろうか。
総合力。まさに今年の早大を象徴する言葉ではないだろうか。春シーズンから主力の負傷が相次ぎ、なかなかベストメンバーで臨めなかった今季。しかしその中でも、出場する1人1人の選手がベストメンバーとなり戦い抜いてきた。総勢200人を超える早大BIG BEARSが掲げる目標、『日本一』。聖地・甲子園で、1人1人がその思いを体現する。ついにその時がやってきた。
OL松原主将を中心とするOL陣
カギはやはりQBか。リーグ戦終盤からQBの起用法が変化。「2人の良いところを引き出しながらゲームを作っていければ」濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)の思惑通り、法大戦・日大戦はQB2人の良さが光るオフェンスになった。ランが持ち味のQB坂梨陽木(政経3=東京・早大学院)とQB笹木雄太(法4=東京・早大学院)。甲子園でも、彼らのパフォーマンスが試合のモメンタムを大きく左右することだろう。ダブルエースのRB須貝和弘(創理4=東京・早大学院)、RB北條淳士(社4=東京・佼成学園)を走らせてもよし。またWR西川大地(商4=東京・早大学院)、WR鈴木隆貴(法4=東京・早大学院)を中心とした好調WR陣に投げてもよし。早大オフェンスが誇るタレント陣を惜しみもなく使い、堅守な関学大に突破口を見いだせるか。2人のQBに注目である。
プレー1つ1つの精度が非常に高い関学大。司令塔QB伊豆(4年)を筆頭にタレント揃いのオフェンス。特に立命大戦でTDを決めたWR松井(2年)、RB橋本(4年)は早大にとって厄介な存在だ。またディフェンス陣は、主将LB山岸(4年)を中心とした固い守りが特徴。リーグ戦平均失点は4.4点と圧巻の成績を残している。オフェンス・ディフェンス共にほぼ隙のないチームに仕上がっている関学大。1つのミスが命取りになることを、早大は肝に銘じなければならない。
今度こそ聖地・甲子園で「紺碧の空」を響かせる
「とにかく去年の借りを返して、次に進む」(加藤樹)、「練習でやってきたことをやれば確実に勝てるという確信を持っている」(樋口)、「やっとつかめるチャンスが来た」(鈴木隆)、「最高の舞台で最高のプレーをして必ず勝つ」(松原)。悲願の『日本一』へ向け早大BIG BEARSは勝たなければならない。過去3度涙を呑んだ聖地・甲子園の先へ。関東のエンジ戦士が、過去を『超越』する新たな一歩を踏み出す。
(記事、写真 大槻竜平)