悲願の日本一を目指すBIGBEARSを率いるOL松原寛志主将(法4=東京・早大学院)。今回の対談では、新シーズンにかける思いとチームの引っ張り方、主将に就いた胸中などを伺った。
※この取材は4月22日に行われたものです。
松原はおよそ150人の大所帯を率いる
――アメフトを始めたきっかけは高校での勧誘とお伺いしたのですが、なぜ大学でも続けようと思われたのですか
高校で満足して大学でもやろうと最初から思っていたわけでもないのですが、大学でもアメフトを続けている高校の先輩からやってほしいと勧誘をされて。大学で特にすることもなく生活するよりは、部活動に入って良い経験した方がいいよと親からも言われて、特にすることもなかったので大学でも部活に入ろうと思いました。
――今のポジションにはどういう経緯でなったのですか
大学ではもとからOLだったのですが、高校では勧誘してくれた先輩がラインバッカ―だったこともあって、LBやりたいなと思っていて少しだけやっていました。ただ、高校生のチームってだいたいOLとDLが少なくて、人数不足というのもあったので、OLやってもいいかなと思ってコンバートしました。
――できたらやってみたいというポジションはありますか
そうですね・・・ランニングバックですかね。単純にまわりにいる人間を使って、好き勝手といったらちょっと語弊あるかもしれないんですけど、自分がどうやりたいっていう主張を押していけばいくほど面白いポジションだと思うので興味があります。
――ことしのチームの強みは
伸びしろです。人数が多くてまだまだ完成された選手がいないので、伸びしろという意味ではどの代よりもあると感じているので、それをいかに伸ばすかというところですね。
――松原選手自身が強みと感じているところは
僕自身はケガしないことだと思っていて、ここまでケガなくこれたのでことし1年もケガせず、プレーし続けられたらなと思っています。
――今回の大学日本代表にも挑戦されますか
はい。チームを離れることになってしまうのですが、去年日本一を争った選手たちと高いレベルで経験を積むことができて、すごく良い経験なのでそれをチームに還元していくことが必要かなという風に思っています。
――自信のほどは
そうですね…(笑)。すごくコーチには良くしてもらっていて、純粋に関東、関西からすごくレベルの高いOLが集まっているので、ぜひ選ばれたいなとは思うんですけど(自信は)微妙です(笑)。
――少し話題変わって、もともと甲子園球児を目指していたほど野球がお好きだったとのことですが、どのポジションをされていたのですか
中学はピッチャーやっていました。
――ピッチャーだとクオーターバックになるという勝手な想像があったのですが
僕は高校入ったときにQBに同い年の笹木雄太(法3=東京・早大学院)っていうのがいて、彼がボールを投げている姿を見て「あ、これは違うな」というのは最初から気付いたので(笑)。そこからもうQBをやりたいっていうのはなかったですね。
――今も野球の試合を見たりするのですか
そうですね。プロ野球はあまり見ないのですが高校野球とかは時間があるとテレビをつけて見たりします。
――主将に就任されましたが、実際に新チームが動き出して何か感じたことはありますか
人数がすごく多いのもあって、一人一人が考え方も自由で色々なことを考えているなかで、最低限といいますか、フットボールで日本一になるというところの意思疎通、高い意識を共有するというのはいまでも苦労しているところですね。
――立候補された理由は何だったのでしょうか
僕自身、人前で話したりとかいうのはそんなに得意ではなくて、そういう意味で向いているのかどうか分からないというのは立候補した時のプレゼンでも言いました。ただ、そういう部分ではなくて、ケガをしなかったりだとかプレーで引っ張っていくという部分でチームを勝たせたかったというのが自分の動機です。
――やはり意識など変わったところはありますか
きょねんは3年だったということもあって、4年生が引っ張ってくれていたので、思ったこともあまり言わないまま過ごしていた部分が多かったんですけど、ことしは4年生、主将になったこともあって、思ったことや感じたことを伝えていく場があるので、それをしっかりチーム全体に伝えていくというのが変わったところかなと思います。
――運動部の中でもかなりの大所帯ですが、どのようにまとめていこうとお考えですか
人前で話すのがそんなに得意ではなかったりと、僕が1人で全部をまとめることは難しいと思っているので。チーム全体、また4年生全体で話しているのですが、幹部を中心に全体でチームを引っ張ってまとめていきたいなと考えています。
――目指すチーム像は
アメフっていうスポーツは、オフェンス、ディフェンス、キッキングとポジションがたくさんあるスポーツなので、そういった意味でも1年間かけて一人でも多くの選手が試合に出て活躍できる、そういうチームにしたいなと思って今取り組んでいます。
――副主将の印象はいかがですか
まず加藤樹(商4=東京・早大学院)はプレーでもそうですし、ハドルとかそういう言葉の面でもチームを締めるというか、チームが悪い空気になったときにそれを良い方向に変えられる存在なので、僕自身はオフェンスなんですけどディフェンスのリーダーとして信頼できる存在だと思っています。
鈴木隆貴(法4=東京・早大学院)はことしオフェンスリーダーになって、オフェンスの中でパスが通らない、ランが出ないっていう状況になっても、俺にパス投げればタッチダウンを取れるチームにするということを全体に言ってくれています。それを口だけではなくプレーでも見せてくれて、ことしのオフェンスを先頭に立って引っ張って行ってくれるので、すごく頼もしいですね。
樋口(央次朗、創理4=東京・早大学院)は高校から同じポジションで大学もずっと一緒なので、何でも言えるといいますか、チームに対する取り組みや、話すときどうしたほうがいいとかそういうことも言い合えるすごく近い仲ですし、テンションも高くてチームをすごく明るくできる奴なので、自分にはないものも持っているなと感じています。
――昨シーズンを振り返って、個人としてはいかがですか
僕自身は周りのOLのメンバーのケガもあってポジションが途中で急に1つずれて、少しやりにくいところもあったんですけど、秋シーズンの厳しい戦いを関東ブロックだけではなくて、東日本の代表決定戦、甲子園と数多く経験できたのは個人としてはすごくプラスだったなと思います。
――ここは成長したなという点は
去年を通じて一番成長したなと思ったのはメンタル面で、おととしまでは試合前になるとすごく緊張して周りが見えなくなってという状態だったんですよ。でも去年はシーズン最初の段階では下級生もスタメンに入っていて、そういう奴(自分より下級生)がいるのに周りが見えなくなったらダメだなと感じていたので、そこは1年間で成長できた部分だったと思います。
――今年の慶大の印象はいかがですか
慶應は毎年サイドラインのテンションも高くて、一度相手にプレスされると一気に流れが向こうに行ってしまうので、一体感のある良いチームだなという印象を持っています。
――警戒する選手はいますか
ディフェンスはDLとLBで特にすごく目立つスター選手がいるっていうわけではないんですけど、層が厚くてローテーションできる人数がいて、とにかく運動量も多くて去年の秋もいい様にプレーされてしまったのでそこが注意ですね。
オフェンスだとRBの李卓選手が圧倒的な存在感とプレーで引っ張るタイプで、うちのオフェンスが去年あまりできなかった一発タッチダウン、ロングゲインでタッチダウンに持っていくのが日本で1、2を争うくらい上手いプレーヤーなので、そこが1番の脅威だなと思っています。
――逆にワセダのキーマンは誰でしょうか
そうですね。オフェンスはQB次第です。ディフェンスだと加藤がリーダーなんですけど、アナライジングスタッフにことし移った杉田(法4=神奈川・浅野)もディフェンスの先頭に立ってプレー考えたりとかすごく貢献しているので、ディフェンスが止めたら杉田がやったのかなというのも分かってくれると嬉しいです。
――最後にご自身の早慶戦に向けての意気込みをお願いします
早慶戦ができるのは僕らの学年は人生で最後なので、そういった意味でもチーム全体ですべてを懸けて、慶應に春の初戦で勝って勢いをつけて日本一になれるように、まず初戦を全力で勝ちにいきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 太田萌枝、橘高安津子)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
主将の活躍に期待だ
◆松原寛志(まつばら・ひろし)
1995年(平7)1月1日生まれ。180センチ、113キロ。東京・早大学院高出身。法学部4年。OL。言葉を選びながら、一つ一つの質問に丁寧に答えてくださった松原主将。他の選手の方々もおっしゃっていましたが、松原主将なりのチームの引っ張り方は確実に浸透してきているようです。