きょうで3日目となったこの企画。本日は5年ぶりの関東制覇を決めた早大BIG BEARSのオフェンスを支えている3年生の登場だ。その中からQB笹木雄太(法3=東京・早大学院)、WR鈴木隆貴(法3=東京・早大学院)、OL松原寛志(法3=東京・早大学院)の3名に、リーグ戦での戦いぶり、3年生の雰囲気、そして甲子園ボウルへの意気込みについてのお話を伺い、BIG BEARSの『矛』の中核を担う三選手に迫った。
「克服できている」(笹木)
今季スターターとしての出場が多いQB笹木
――まずは今シーズンを振り返ってみて
鈴木隆 春は全勝で終えて、夏を経て秋に勝つことを目標にやってきて、法大戦に勝ってリーグ優勝できたことがまずは良かったと思っています。
松原 本当に勝てたという結果の部分で良かったという率直な感想です。
笹木 春は全勝を目標にやって結果全勝できて、秋は隆貴(鈴木)と同じです(笑)
――春シーズンに関してですが、初戦の早慶定期戦(早慶戦)で勝利できましたが、初戦を勝ちでスタート切れたのはどうでしたか
松原 僕らが入部してから早慶戦では勝てていなくてとにかく悔しかったので、そういう意味では勝てたということはすごく大きなことだと思います。
笹木 早慶戦ではドライブができたのがすごく印象的で、早慶戦に出るのが初めてだったので勝てて良かったと思います。
鈴木隆 昨年は同じ相手に二度負ける、それが慶大だったので、ことしは絶対負けない自信もあったので勝てて良かったと思います。
――笹木選手は昨年ケガで苦しんだシーズンとなりましたがこの試合の感触は良かったですか
笹木 そうですね。本当に何もできなかったシーズンだったので、今シーズンはその分もチームに貢献するということでやってきて、昨シーズンのトレーニングの成果が発揮できているのかなと思います。
――サンフラワーボウルにも勝利し、春の山場である立命大戦を迎えたわけですが、いかがでしたか
鈴木隆 あの完封勝利に関しては完璧にディフェンスの勝ちでしたね。ことしはディフェンスが強いので、オフェンスはとにかく点を取って、僕らが得点すればディフェンスがしっかり守ってくれると思っていて、関西でも強豪の立命大に結果として勝てたのは良かったです。
松原 僕らの代が立命大のグラウンドで試合するのが初めてで、慣れない環境や厳しいスケジュールの中で勝て、その勝てた相手が立命大だったのは自信になりました。
――関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)の話題に移りますが、リーグ編成して2年目のシーズンとなりましたが
笹木 本当に自分は昨シーズン何もできなかったので今シーズンはQBのスターター争いも激しくて、そんな中試合で自分にチャンスが巡ってきたときにいかにそれを生かすかというところで、このリーグ戦はいい機会だったと思います。
松原 昨年やってみて、どのチームも実力があって必ず一つも落とすことができないスケジュールでの試合だったので、すごく体の部分であったり、メンタル面であったりの疲労が溜まる中でいかにケガをしないかということを意識して、これまでやってきました。
鈴木隆 相手は強いのは分かっていて、でも勝負に絶対はないので。しかし、僕らが手を抜いて勝てる相手でもないですし、僕らはそんなに力があるわけでもないので、一戦一戦、自分たちの持っているものを全部出して成長していくことが全てだと思ったので、初戦はすごい緊張はしましたがそのあとはしっかりやれたのかなと思います。
――鈴木隆選手は開幕戦で2TDを挙げ、MVPに選ばれましたが
鈴木隆 ことしは上級生になり試合に出させてもらっていて、その中で結果を出すということが必須だと思っているので結果にこだわっています。結果を出せたことは良かったんですけど、まだ反省点も多くてそういう部分ではまだ自分に伸びしろがあると思うので詰めていきたいです。
――松原選手は上級生となりOLユニットを引っ張る存在となっていると思いますが
松原 春の対談でも話させて頂いた機会があったんですが昨年中村さん(洸介、平27スポ卒=東京・日大三)という絶対的存在がいて運良く隣でプレーさせてもらって、おんぶにだっこの状態だったので、そう意味ではことしは後輩と一緒にプレーすることで昨年見えていなかった部分が見えてきて、少しずつ自分にも自覚が出ているように感じているのですが、まだまだというところです。
――笹木選手はQB争いでスタメンの座を射止めた要因はどういったところにありますか
笹木 僕以外の選手もうまくてどちらかというと監督(濱部昇監督、昭62教卒=東京・早大学院)も仰っているんですが、実力があるというよりは他の人より自分の状態が少し良かったという感じでした。誰が絶対的なQBになるのかということで春から競ってきて、このリーグ戦を通してもまだつかめていなくて、日体大戦からは自分が調子が良かったので使ってもらっています。
――調子維持の仕方は昨年と大きく変化した部分はありますか
笹木 序盤にミスをする癖が昨年からあって、それを直さない限りスタメンにはなれないとずっと言われていたので、そういう精神面で自分が焦ってしまうことをいかになくすかを今シーズン考えてきたので、いまはそれが少しは克服できているのかなと思います。
――日大戦で最初のドライブで先制点を取れたことは良かったのかなという印象ですが入りとしては
笹木 いままでの進め方とは異なったランやパスコースであったり、日大戦のために準備してきたものをファーストドライブではできていたのかなと思います。
松原 あのドライブができたのを何でかって考えた時に、日大には普通にやれば勝てるというのがあったと思います。そして僕らが対策してきたことを日大がやってきたので最初はきれいにはまったのかなと思います。逆に日大が普通じゃないことやってきたときにアジャストできなかったので、最初は良かったですけどそこからは相手にいいようにしてやられてしまいました。
鈴木隆 オフェンスはあのシリーズだけ良かった、他のシリーズは散々だったということを言われて、そういった意味で反省が多かったですが、ディフェンスがその分頑張ってくれて勝てて、反省を次に生かす機会を得られたのは一番良かったと思います。反省できるありがたさを感じました。
――その反省を生かして迎えた法大戦ですが、法大戦に向けたスカウティングのほうはいかがでしたか
鈴木隆 日大戦の一日後に法大戦用に練ったんですが、やはり春からやってきた自分たちのスタイルを貫いて勝負しようということでやっていったので、そういう意味ではやりやすかったです。
松原 第6節の日大と慶大の試合の結果によっては優勝争いが大きく変わってくる中で日大が勝ち、そこで早大が勝てば優勝という状況になったので、法大は本当に気合いを入れてやってくると分かっていました。これまでの法大の試合や、さらにさかのぼって法大が甲子園ボウルに出場した時の試合を見て研究してやり込んだ分、法大が何をやってくるのかをある程度想像できていたので、そういう意味ではスカウティングは良かったのかなと思います。
笹木 隆貴と同じですがいままでと違ったプレーをするよりもいままで積み上げてきたファンダメンタルだったりスキームで法大と真っ向から勝負することになってすごくやりやすかったです。
――少し話は変わりますが鈴木隆選手はホルダーの役割も担っていると思いますがその点に関してはいかがですか
鈴木隆 敏基さん(K/P佐藤、社4=東京・早大学院)はすごいキッカーで日本のトップレベルと思っているので、僕がしっかり抑えれば絶対決めてくれるという安心感があって、敏基さんも自分だったら安心して蹴ることができると言ってくれているので、それがうれしくて絶対に敏基さんの思いに応えたいのでそういう気持ちが強いです。
「個性的な学年」(鈴木隆)
今シーズン、勝負強いキャッチングを見せている鈴木隆
――少しのブレイクタイムということで、3選手とも高校から一緒ということですが、意外な一面が見えてきたりということはありますか
鈴木隆 秘密いっぱいある(笑)あ、逸話がいっぱいあるだけか(笑)
松原 僕は特に隆貴に対してですけど
鈴木隆 え!?
松原 三人とも学部も一緒なんですけど、笹木は高校の時も勉強も頑張っていて成績良くて、僕と隆貴はそんなに変わらなかったんですけど…
鈴木隆 嘘つけ(笑)
松原 大学入って差ができて、隆貴も勉強できるんだなって感じてます(笑)
鈴木隆 僕は結構優秀でちゃんとできていたんですけど、松原は大変そうで、テスト前は一緒に勉強しているんですけどめっちゃ助けてあげてます(笑)
――3年生はどういった学年ですか
鈴木隆 個性的(笑)
松原 統率する人がいないので、皆いろんな方向に散らばっています(笑)
鈴木隆 自由ですね。僕はオフシーズンになると川行ったり、お疲れさま会を企画したりしてるんですけど、比較的来てくれるのですごく楽しくやっています。この前やった川の企画も楽しかったです。
「全員フットボールを体現」(松原)
強力OLユニットの核となっているOL松原
――東日本代表決定戦を勝ち進めば5年ぶり甲子園ボウルとなりますが
鈴木隆 負けられない試合ですし、関西が立命大、関学大どちらが出てくるか分からないですけど、いまのままでは絶対勝てないと分かっているので、甲子園ボウルまで成長し続けることが必須だと思いますし、成長の歩みを止めてはいけないと思います。いつも以上に日々の練習から取り組んでいき、一から見直していきたいです。
――4年生と長くプレーしてきましたが4年生に対する思いはありますか
鈴木隆 ことしの4年生は日本一に絶対になるという強い思いやことしに懸けている熱意を感じています。僕らがそれにおんぶにだっこでは日本一になれないと思うので、4年生が周りのプレッシャーを受けてくれて自分たちは伸び伸びやれると思いますが、自分たちが常に引っ張る気持ちを持って4年生を日本一にしてあげたいです。
松原 三年間一緒にやってきていろいろ面倒も見てもらって、すごく感謝しているんですけど、その感謝というのを試合に勝って日本一になって恩返ししたいです。
笹木 僕らは主体性をもって行動しろと言われていて、4年生を勝たせてあげるのはもちろんなんですが僕ら3年生が来年があるということで手を抜いていると4年生になったときにそれで勝てるのかと言ったら違うので常にラストイヤーだと思ってやることが必要だと思います。そういう意味では4年生を勝たせるため主体性をもってチームを勝たせる気持ちでやって結果につながればいいと思っています。
――甲子園ボウルの印象は
笹木 おととしは全員で観戦に行って、昨年は希望者だけだったんですが、何回行ってもこのフィールドに立ちたいという気持ちが強くて、ことしがそのチャンスがあるということで、そこに全てを懸けるつもりでやっていきたいです。
松原 昨年は僕も行ってスタンドから今季なんで勝てなかったのだろうという気持ちがある中見ていて寂しい気持ちになったので、フィールドに立って試合ができる一歩手前のところまでことしはきているのですごくうれしいです。
鈴木隆 僕は昨年は行かなかったです。自分があの舞台に立っていないことがすごく嫌で、そういった意味であの舞台に立てることはすごくうれしいんですけど、僕は甲子園よりも東京ドームでプレーしたいので甲子園ボウルに勝って東京ドームでプレーすることしか考えていないです。
――最後に甲子園ボウルへ向けて意気込みをお願いします。
笹木 甲子園という舞台で緊張はするとは思いますが気負いしすぎても何もいいことはないので、早大の泥くささや、基本に忠実なクリーンなフットボールをして、普段通りプレーして勝ちたいです。
松原 早大の80年の歴史で一度も甲子園で勝って学生日本一になれていないので、3回目の甲子園ということでいままで成し得なかった日本一になるための一歩手前まできているので、ここまで大事にしてきた全員フットボールを体現して日本一になりたいと思います。
鈴木隆 まずは甲子園の舞台に立てたことに感謝をしたいです。そこでしっかり勝って、ライスボウルの超満員の東京ドームで社会人を倒して日本一になるまで負けるわけにはいかないので、そこまで成長し続けて自分のプレーで勝利に導きたいと思います。
――ありがとうございました!
◆笹木雄太(ささき・ゆうた)(※写真右)
1994年(平6)7月24日生まれ。173センチ、76キロ。東京・早大学院高出身。法学部3年。ポジションはQB。鈴木隆選手とは逆に答えに迷い考え込む場面があった笹木選手。しかし、終始冷静に受け答えしている姿から今季復活を遂げた笹木選手のうちに秘める熱き闘志が垣間見えました
◆鈴木隆貴(すずき・りゅうき)(※写真右中央)
1995年(平7)2月25日生まれ。178センチ、81キロ。東京・早大学院高出身。法学部3年。ポジションはWR。徐々に取材慣れしてうまく話せるようになったという鈴木隆選手。笹木選手、松原選手から拍手を送られた場面もありました。試合では球際の強さが持ち味である鈴木隆選手がボールに食らいつき、勝利を引き寄せられるか注目です!
◆松原寛志(まつばら・ひろし)(※写真中央)
1995年(平7)1月1日生まれ。180センチ、113キロ。東京・早大学院高出身。法学部3年。ポジションはOL。対談中、笹木選手、鈴木隆選手の答えにつっこむお茶目な一面を見せていた松原選手。今季OLの核としてRBの走路を切り開き続ける松原選手は甲子園の地でも勝利への走路を切り開いてくれることでしょう!