TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 BIG BEARS | 10 | 7 | 0 | 3 | 20 |
東北大 HORNETS | 0 | 0 | 3 | 7 | 10 |
5年ぶりに関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)で優勝した早大BIG BEARS。甲子園ボウルの出場権を懸けた東日本代表校決定戦を迎えた。相手は東北代表の東北大。オープニングドライブでRB須貝和弘(創理3=東京・早大学院)の57ヤードTDランが決まり先制。しかし東北大を突き放すことができず、もどかしい時間が続く。下馬評では圧倒的に早大が有利であったが、本来の調子には程遠く、思わぬ苦戦を強いられる。最終的に20―10で勝利を収めたが、結果にも内容にも不安が残った。
自陣43ヤード地点からの第一シリーズ、早大最初の攻撃。「まっすぐ走るだけだった」(須貝)。ボールを受けた須貝が、OLがこじ開けた走路から抜け出すと、追いすがる相手ディフェンス陣を置き去りにし、57ヤードを駆け抜けTD。TFPも決まり幸先よく7点を先制する。続く攻撃でもRB藤井光成(政経4=東京・早大学院)のロングゲインでエンドゾーンまで残り9ヤードに迫る。このまま得点を挙げ、勢いに乗るかと思われた。しかし好走を見せた藤井が痛恨のファンブル。東北大にターンオーバーを許し、流れをつかみ切れない。久々のスタメン出場となったQB坂梨陽木(政経2=東京・早大学院)は精彩を欠き、パスを通すことができない。早大の攻撃はランに偏りを見せ始め、苦しい展開となる。それでも、須貝のきょう2つ目となるTDランなどでなんとか得点を挙げ、17−0で前半終了。慶大戦での敗戦から悪い流れが続いているのか、会場に重苦しいムードが漂う。
久しぶりに先発出場したQB坂梨
後半最初のシリーズ、攻撃陣の悪い流れが守備陣にも伝染する。東北大のオプションを駆使した攻撃の前に、ズルズルと後退。レッドゾーンへの侵入を許し、FGで失点を喫した。その後、リーグ戦で出場機会に恵まれなかったRB高根龍平(1=東京・早大学院)らの活躍で攻撃が活性化。FGで点差を広げ、次の東北大の攻撃を凌ぐと、続く攻撃で時間を使いながら攻め込み、試合を決定づける。しかし、簡単には試合を終わらせることができない。東北大の意地の攻撃を止められずTDを献上。守備陣の詰めの甘さを露呈した。試合はこのまま終了し20−10で辛勝。何とか甲子園への切符を手にしたものの、攻守ともに課題が残り、後味の悪い結果となった。
この試合2TDを挙げ、MVPに輝いたRB須貝
大学日本一を決する甲子園ボウルの相手は立命大に決まった。早大はこれまで出場した二度とも、立命大の前に涙をのんでいる。雪辱を果たす好機。しかし、濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)が「現状の厳しさを再確認した」と語ったように、きょうの試合内容では、強豪ひしめく関西ブロックを勝ち抜いた立命大に勝利することは難しいだろう。決戦まであと2週間。チームの立て直しが急がれる。「前に向かってがむしゃらにやるしかない」(濱部監督)。数々の逆境をはねのけてきたこのチームなら、本来の姿を取り戻し、必ず勝利を手にしてくれるはずだ。日本のフットボールのルーツ校である早大BIG BEARSだが、創部以来、いまだ日本一に輝いたことはない。宿敵を撃破し、悲願の日本一へ――。今こそ、その『覚悟』を示す時だ。
(記事 新津利征、写真 近藤廉一郎)
得点経過 | |||||||
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TEAM | Q | PLAY | PLAYER(S) | PAT | PLAYER | G/NG | スコア |
早大 | 1 | RUN | #28 須貝 | K | #16 佐藤敏 | G | 7-0 |
早大 | 1 | FG | #16 佐藤敏 | 10-0 | |||
早大 | 1 | RUN | #28 須貝 | K | #16 佐藤敏 | G | 17-0 |
東北大 | 3 | FG | #76 岩下 | 17-3 | |||
早大 | 3 | FG | #26 渡邊卓 | 20-3 | |||
東北大 | 4 | RUN | #6 若狭 | K | #76 岩下 | G | 20-10 |
コメント
濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)
―5年ぶりの甲子園ボウル出場決めましたが、試合全体としてはいかがでしょう
素直に喜べていないです。甲子園ボウル出場が決まり一段と現状の厳しさを再確認しました。
――オープニングドライブでTDを取れたのは良かったのではないでしょうか
正直オフェンスはランプレーはあまり出ないと思っていたので、パスを多く絡めてバランスで崩さないといけないと思っていたので、立ち上がりから意外と出てたんですけどその分パスは調子が悪かったので、ランに偏った展開にせざるを得なかったですね。
――二回目のオフェンスドライブで相手エンドゾーン手前まで攻め込みながらファンブルで攻撃権が移ってしまいました。あの展開はTDを取っておきたかったですね
あのプレーは痛かったですね。あの場面でしっかりTDを取れるか取れないかで試合の流れは大きく変わったので、こういうところがチームの詰めの甘いところかなと思います。
――まだ、慶大戦からの悪い流れを断ち切れていない状況ですか
慶大戦の前から法大に勝ってリーグ優勝が決まり、少し気が緩んだ部分とリーグ終盤にかけてケガ人が出てきたりと選手もすごく疲れが溜まっていたので、そういう意味でいままでチームが大事にしていた細かい積み重ねが雑になってきて、小さいほころびの積み重ねがチーム全体においての悪い流れをつくり出しているのと思います。
――ディフェンスに関してはあまり止められていない印象でしたが
そうですね。一本目以降の質がまだまだ低いというか、本来ならばケガ人が出て控えの選手が出てきて、そういう選手たちが伸び伸びプレーをして活躍をし、その穴を埋めてくれるのがいい形ですが、なかなか下が育っていないですし、そういうほころびがフットボールに反映されているのかなと思います。
――監督自身もう少し点差をつけて勝ちたかった試合ではなかったでしょうか
そうですね。もう少し横綱相撲ではないですが、おごりではありませんが自分たちはもう少し地力を持っていると思うのでそういうフットボールをしたかったですね。でも結果が全てだからこれが実力なのかなとも思います。
――この試合のQB坂梨陽木選手(政経2=東京・早大学院)にはどういったプレーを期待していましたか
もっと貪欲にフットボールをしてほしいと思っています。昨年は坂梨は1年生で、皆がサポートした形でいいとは思ったんですが、もう2年生になり昨年の実績もあり今シーズンに臨むにあたって、坂梨にも政本(悠紀、創理4=東京都市大付)を退けてスターターを争う覚悟を持って臨んでほしかったですが、なかなかひたむきさや必死さが伝わってこなかったので、2年生のQBとして甘んじているのが非常に残念です。坂梨にはもっとそういう部分を変えてきてほしいと期待を込めて思っています。
――甲子園ボウルの対戦相手が立命大に決まりましたが秋の立命大の印象は
アニマルリッツが戻ってきたという感じですかね。
――勢いを取り戻した立命大相手にキーとなるのはどういったところになるでしょうか
やはりQBですね。OLのベストメンバーが揃うことが必須条件ですが、早大のオフェンスはQB次第なところがあるので、QBがしっかりプレーしてくれればある程度オフェンスは出れると思っています。しかし、絵に描いたようなプレーはできないので、甲子園ボウルという特別な状況で、相手が立命大ということでどれだけ集中してプレーできるところにかかってきていると思います。
――ディフェンスではどういったところに気をつけるべきですか
終盤課題となっているブロッカーとの接点、タックルといったところですかね。終盤ブロックで1対1で押し込まれてしまっては勝負にならないですし、いいバックフィールドが揃っている中でそれを繰り返しているようでは駄目ですね。
――まずはチームを立て直すことが急務となりますがこの2週間でどうやってチーム状態を上げていきたいですか
まずは細かいことを見直して積み上げていくということです。そしてそれを継続していくことです。フットボールに関してもいきなり難しいことをやっても形にならないのでいままでやり込んできたことを少しずつアレンジをしながら仕上げていきたいです。
――それでは最後に日本一に向け意気込みをお願いします
残りの時間を必死にやるしかないですね。時間が限られている中でどれだけやれるかで、自分の中でもチャレンジですし、やり切れば必ず結果が伴ってくることと信じているので、もう前に向かってがむしゃらにやるしかないです。
LBコグランケビン副将(商4=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
チームとしてもディフェンスとしても、ひどい内容でした。
――外から見て雰囲気があまりよくありませんでしたが
一体になれていないというか、コミュニケーションをしっかり取れておらず、お互いの役割を果たせていませんでした。それが雰囲気が出ていない原因だったと思います。
――慶大での試合の反省はどう生かせましたか
慶大戦は、個人個人のミスが延々と重なり、負けたという印象がありました。きょうは完璧には直せていませんが、慶大戦よりかはミスが少なく済んだと思います。
――オープンのランが止まらなかった原因はなんでしょうか
OLBがしっかりとふたをできておらず、取られて出されてしまいました。
――最後のシリーズに畳み掛けられましたが
自分はフィールドを離れてしまったのですが、中で統率が取れておらず、アジャストを最後までできずに出された、というのが外から見ていた印象です。リーダーシップをとれる選手が出てこないかなと思います。
――立命大オフェンスの印象について教えてください
スキルはうまくて速くて、ラインはでかくて強い、というのが率直な感想です。単純なフットボールをしていても強いですし、それに戦術的部分も加わってとてつもないチームになっていると思います。
――立命大要の選手、RB西村七斗選手、QB西山雄斗選手について教えてください
僕が高校3年生のクリスマスボウルの時に、西村選手が高校1年生で出てきて、その時にもすごい選手だと思っていました。大学になって本格的に化け物みたいな選手になってきていて、単純な1対1では止められないと思うので、集まって止めなければならないと思います。西山選手は僕が大学1年生の時のクリスマスボウルで活躍していました。春は調子が悪かったですが、秋になり調子が上がってきているので警戒しています。
――個人として意気込みをお願いします
ずっと目標にしていた舞台ですし、出るだけでは意味ないと思います。このリーグ戦も自分の活躍でチームを勝たせられた、という思いもあるので、甲子園でも絶対に活躍して勝ちたいと思います。
DL庭田和幸(創理4=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
きょうの試合は、自分達の今のチーム状況が出ました。まず、試合に出ている人は相手のプレーを止める、それ以外の人もサイドラインから声を出す、というような当たり前のことが出来ていませんでした。きょうの結果にそれが現れたと思います。今週の練習でもそこを突き詰めようとしていましたが、できていない印象を受けました。伸びしろがあると言えばそうですが、自分達のできていたことのレベルが下がってしまって、いまいちチームとしてまとまってきていないと思います。
――慶大での試合の反省はどう生かせましたか
慶大戦は、いままでできていたことを違うメンツでも出来るように、と言われていました。きょうは主力が戻ってきて、いつも通りやったつもりでしたが、まだまだ甘い部分があり練習から厳しさが足りないと思いました。上級生の甘さが試合結果に出たと思います。
――相手のOLと当たっていかがでしたか
東北大のOLは気迫があり、ガッツがあるいいOLでした。そういう点で自分たちは、口ではやるぞといいながら、攻め切れずアグレッシブさも欠けていたと思います。
――立命大のOLについてはどのような印象ですか
春にも当たりましたが、ファンダメンタルもしっかりしていて、でかく、速く、強いというのが立命大OLの印象です。僕が大学1年生のときから強く、それはいまも変わらないです。甲子園ボウルでは、DLがどこまで勝負できるかが勝敗を決めると思います。立命大OLは関西最強と言っても過言ではない、学生トップレベルだと思います。
――甲子園ボウルへの意気込みをお願いします
いまは、当たり前のことができていないというのが現状で、それが、できないとチームとしてもまとまらないです。そこを突き詰めてから、選手としての戦術などを落とし込めたらいいと思っています。まずこの2週間で、自分にも他人にも厳しく練習し精度を高めて、一つにまとまっていきたいと思います。
RB須貝和弘(創理3・東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返って率直な感想を聞かせてください
不完全燃焼の試合だったと思います。今週は一人一人ファンダメンタルという言葉を掲げて練習に取り組んだのですが、なかなかうまいこといかずに、オフェンスで展開を崩してしまった試合だったと思います。
――最初のドライブでTDを挙げましたがあの場面を振り返っていかがでしたか
あれはOLが走路を開けてくれて、まっすぐ走るだけだったのでOLに感謝したいと思います。
――その後のオフェンス全体の印象はいかがでしたか
気が緩んだのか分からないですけれども、ちょっとファンダメンタル、一つ一つのブロックが雑になってしまって、なかなかうまくいかなくなってしまった感じだと思います。
――スリーアンドアウトが多くてなかなか進めなかった印象を受けましたが、その原因はなんでしょう
パスがうまいことつながらなかったというのと、ファーストダウン、セカンドダウンでコールされたランプレーでなかなかゲインを出せず、ノーゲインで終わってしまうランがあったのが要因だったと思います。
――この試合でのチームの雰囲気はいかがでしたか
慶大戦に敗れて、そこからもう一度自分たちを見つめ直そうと取り組んだ一週間の練習での雰囲気はすごく良かったと思いますが、この結果を見るとやっぱりまだまだだったのかなと思います。
――二つのTDを挙げこの試合のMVPに選ばれましたが
自分としてはもっとできたし、もっとやらなければいけなかったと思います。まだまだ一発TDに持っていけたチャンスもあった中で、取り切れなかったというのは自分の力の至らなさだと感じました。
――立命大の印象はいかがですか
フロントが速くて、強くて、うまくて、パワフルで強烈なディフェンスだなという印象です。
――強烈なディフェンスに対して、どのように対策をとっていきたいですか
RBとしては迷わず、OLが開けてくれた穴をひたすら走り切ることかなと思っています。また、厳しい展開になると思うのでOLが開けてくれたワンチャンスというのをRBでつかみ切ることが勝敗を分けてくると思うので、この二週間はワンチャンスというのにこだわりを持ってやっていきたいと思います。
――どんなプレーを甲子園でみせたいですか
いつもと変わらず確実にヤードを取りきって、オフェンスの展開を繋いでいくというのが僕の役目だと思っているので、いつもと変わらず走り切りたいです。
――日本一に向けて今後チームはどうしていくべきだと思いますか
慶大戦ときょうの試合を含めて、まだまだ自分たちの力の至らなさというのを感じたので、限られた時間の中で、毎回毎回の練習で全力を出し切ることが大事だと思います。
――最後に甲子園ボウルに向けての意気込みをお願いします
自分たちが目標にしてきた一つの大舞台になると思うので、色々な人たちの気持ちも背負ってフィールドに立つことになると思うので、気持ちのこもったプレーをしていければなと思います。
QB坂梨陽木(政経2=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうの試合は完全に僕のミスで流れを崩してしまって、QBとして一番してはいけないことをしてしまったという印象です。
――久しぶりのスタメン出場に向ける意気込みはいかがでしたか
ケガ人も多くて、本当に自分がやるしかないので、それは一本目のQBとして臨もうとしたんですけど、結果が伴わなくて反省しています。
――前半最初のシリーズで得点したことについてはいかがですか
この試合はファンダメンタルから見直して、ベースプレーで臨もうということだったので、最初のランプレーでそれを見せられたのは良かったと思います。
――スリーアンドアウトが多かったオフェンスについてはいかがですか
自分のパスミスが多くて決めるべきところを決められなかったので、それが原因だと思います。
――甲子園ボウルで戦う立命大の印象はいかがですか
オフェンスから見ると相手のディフェンスはアグレッシブで、アスリートも多くて本当に自分たちの気持ちで負けるとやられてしまうと思うので、この2週間ファンダメンタルから見直していきたいと思います。
――強力な立命館DLへの対策はいかがですか
それに関してもやっぱり、詳しくは言えないんですけど、自分たちが持てる力を全て出して、ファンダメンタルからしっかりとしていきたいです。
――QBのポジション争いについてはいかがお考えですか
とにかくいまはケガが多くて、誰が出場するとしてもチームを導く覚悟を持ってやらないといけないと思うので、序列とかは関係なく、日本一になるために頑張っていきたいと思います。
――日本一に向けての意気込みを一言お願いします
甲子園に勝って、ライスボウルに行って、ライスボウルでも勝つっていうのが僕たちが一年間目指してきた夢で、応援してくださる方々のためにも頑張らなきゃいけないと思うので、この2週間覚悟を持って頑張りたいと思います。
<p class=”mt15″>LB高根龍平(政経1=東京・早大学院)
――甲子園ボウル出場おめでとうございます
ありごとうございます。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
僕にとって初めての試合に近く、今シーズンあまり試合に出場することができず、しかし他の1年生が出場していることが悔しかったです。ポジションコーチの方にも「気持ちが足りない」ということを指摘されました。きょうはそこを意識して思い切り走りました。
――言葉通りランで切り込んでいく姿が印象的でしたがいかがですか
はじめのプレーでロングゲインを取ることができたところは良かったのですが、そのあとのプレーでは迷いが出てしまったり、弱気なところが出てしまい自分のプレーができなかったところがあるのでそこが反省点です。
――早慶戦から見ていて少しチーム状況が悪いという印象がありました。今のチーム状況はいかがですか。
早慶戦での雰囲気も悪く、また練習での雰囲気も悪い状況が続いていて、下級生も上級生が必死に頑張っている中、ついていけていない状況がありました。しかし敗戦から取り組みを変えて徐々に良くなってきていると思います。下級生もチームを盛り上げていきたいと思います。
――甲子園ボウルで当たる立命大の印象はいかがですか
春に試合を行い、勝ってはいるのですが、ビデオを見ると春と比べると全く違う動きをしていました。自分のできることをして勝利に貢献したいです。
――最後に、甲子園ボウルではいろいろ勉強になることがあると思います。日本一に向けて意気込み、先輩へのエールをお願いします。
4年生の先輩方最後のチャンスなので自分ができることをして、絶対日本一になります。